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ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第107回 葉酸とすい臓ガン予防

  




サイト案内




□□■ 果物&健康NEWS Vol.107 ■□□
   ■   2006年6月23日(金)   ■


みなさん、こんにちは!
特集は「葉酸とすい臓ガン予防」です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
果樹農業は未来を拓く! Do! our BEST.


:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ くだもの健康豆知識:痔(核)にならないために果物を
 ◇ 今週のレシピ:あんず
 ◇ 葉酸とすい臓ガン予防
 ◇ 品種紹介:アンズ「信山丸」
 ◇ 低カロリー食で老化抑制
 ◇ 今日は何の日:林檎忌(6月24日)
 ◇ 読者から
 ◇ 新メルマガ「ベジフル関東」創刊
 ◇ 編集部より



□ くだもの健康豆知識:痔(核)にならないために果物を

 痔(じ)とは、肛門及びその周辺部分の疾病の総称ですが、直腸や肛門部の粘膜にある静脈内の圧力が高くなり血管がふくらみ、こぶ状になった状態(静脈瘤)を痔核(じかく:いぼ痔)といい、ひどくなると出血します。妊娠や慢性の便秘、下痢、排便時のいきみなど様々な因子により発生します。

 痔核の予防や軽減のために、アメリカ・直腸結腸外科学会(ASCRS:the American Society of Colon and Rectal Surgeons)では、食物繊維を豊富に含む果物や野菜、全粒穀物などを沢山摂取する食生活に改善することと、水分の摂取を勧めています。




□ 今週のレシピ:あんず

あんずは今が旬です。そこで、あんずのレシピが沢山掲載されているサイトを紹介します。

○生のあんずを使ったレシピ
 「あんずのおしたし」、「あんずと玉ねぎのおかかあえ」、「春巻きパイ」

○あんずのシロップ漬けを使ったレシピ
 「あんずとアーモンドのオーブン焼き」、「あんずシェイク」

○あんずジャムを使ったレシピ
 「あんずジャムのババロア」、「あんずジャムのロールケーキ」、
 「スペアリブのあんず風味」、「あんずの香りピザ風」 など、など

下記のサイトで作り方を読むことができます。
http://www.chikumashi-koshoku.jp/anzu/homemade.html




□ 葉酸とすい臓ガン予防

 すい臓は胃の後ろにある長さ20cmほどの細長い臓器です。すい臓の主な働きは、大きく二つに分けられます。その一つは、外分泌機能で、アミラーゼなどの消化酵素を大量に含んだすい液を一日に約2リットル十二指腸へ流し込みます。食物は、これらの消化酵素によって分解・吸収されて私たちが生きていくためのエネルギー源となります。

 もう一つの働きは、内分泌機能です。血糖を下げるインシュリンや逆に血糖を上げるグルカゴンなどのホルモンを血液中に分泌し、血糖値を調整しています。

 すい臓から発生したガンのうち90%以上は外分泌に関係した細胞、特にすい液を運ぶすい管の細胞から発生します。すい臓ガンは、我が国のガンによる死因の6.8%を占めており、肺ガン、胃ガン、大腸ガン、肝ガンに次いで第5位です。すい臓が体の奥深くにあるため検査がしにくく、特有の症状が現れにくいため、すい臓ガンの早期発見が簡単にはできないため治療困難なガンの一つとなっています。

 最近、果物などに豊富に含まれている葉酸をたくさん摂取するとすい臓ガンの発症リスクが下がることが、スウェーデンに住む81,922人(男性45,306人、女性36,616人)を対象とした研究から明らかになりました。この研究以前にもフィンランドで行われた男性の喫煙者に対する葉酸の効果等が明らかになっていましたが、今回のような大規模な調査結果はありませんでした。

 研究は1997年に開始され6.8年間追跡調査が行われました。その結果、葉酸の摂取量が最も高いグループ(1日あたり350μg以上)は、最も低いグループ(1日あたり200μg以下)と比較してすい臓ガンの発症リスクが75%も低いことが分かりました。しかし、サプリメントから摂取した葉酸には、すい臓ガン予防効果は認められませんでした。

 以上の結果より著者らは、果物など葉酸を豊富に含む食品を長期に継続的に摂取することがすい臓ガンのリスクを下げると結論づけています。また、サプリメントの摂取は推奨できないとしています。この結果は、果物の摂取はすい臓ガンの予防に有効であるとする今までの疫学調査の研究結果を支持しています。

 果物に含まれている葉酸の量は、200g当たりで、イチゴには180μg、サクランボには76μg、スモモには74μg、キウイフルーツには72μgなどと豊富です。上記のスウェーデンの研究には、1日当たり葉酸の摂取量が200μg以下のグループと200-249μgのグループの比較も示されており、1日当たりの摂取量が200-249μgになるだけでもすい臓ガンのリスクが半分になるとしています。従って、毎日くだもの200g以上の摂取は、すい臓ガンのリスクを下げるのにたいへん有効です。

【文献】
Larsson, S. C. et al.: Folate Intake and Pancreatic Cancer Incidence: A Prospective Study of Swedish Women and Men. J. Nat. Cancer Inst. 98: 407-413. (2006)




□ 品種紹介:アンズ「信山丸」

 長野県果樹試験場が育成した「信山丸(しんざんまる)」は、長野県須坂市では6月下旬から7月上旬に成熟する早生品種です。果実の形は短だ円形で40〜50gとやや小ぶりですが、玉ぞろいは良好です。肉質は繊維が少なく緻密で、糖度は10%前後です。丸アンズシロップ漬けなどに適した品種です。

「信山丸」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/ikuseihinsyu/
data/hinsyu/pr-shinzanmaru.html





□ 文献紹介:低カロリー食で老化抑制

 栄養成分が十分に含まれている低カロリー(1800kcal)な食事を続ければ老化が抑制できるとアメリカ・セントルイスのワシントン大学医学部の研究グループが科学研究雑誌に報告しました。

 低カロリー食を続けるとT3と呼ばれる甲状腺ホルモンと炎症性タンパク質腫瘍壊死因子(TNF-α)のレベルが低下することが分かりました。T3ホルモンは、体温、細胞代謝の制御と細胞にダメージを与えるフリーラジカルの生成に関与していることから、T3ホルモンの減少は老化速度を遅くすると研究者らは述べています。

【文献】
Fontana, L. et al.: Effect of Long-term Calorie Restriction with Adequate Protein and Micronutrients on Thyroid Hormones. J. Clin. Endocrinol. Metab. Online May 23 (2006) [doi: 10.1210/jc.2006-0328]




□ 今日は何の日:林檎忌(6月24日)

 美空ひばりさんが亡くなられたのは1989年(平成元年)6月24日でした。そのため、ひばりさんが生涯大切にしていた曲「リンゴ追分」に因んで、この日は林檎忌とされています。戦後の人々の心をとらえ大ヒット(1952(昭和27)年)した「リンゴ追分」の歌い出しは、『リンゴ〜の花びらが‥‥』で、途中に津軽弁の台詞が入る詩情豊かな曲です。ひばりさんには、歌を通じて国民に夢と希望を与え続けたことに対して、女性初の国民栄誉賞が贈られています。

リンゴ追分けの歌詞は下記のサイトで読めます。
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=A00301



□ 読者から

 仕事で健康食品の調査をしています。ワイン(つまりぶどうの皮)やピーナッツの薄皮に含まれるとするポリフェノールのレスベラトロールが野草のイタドリにも含有されています。植物図鑑をみると小学生時代に食べた雑草のスカンポのようだ。知り合いの新潟の魚沼の人から送ってもらったらやはりスカンポだった。ちょっとすっぱい味が懐かしかった。

 このwebメールを読むようになってから、「1日200gの果物」を実践しようと努力してます。達成率は半分くらい。(ペンネーム:砂町隆)




□ 新メルマガ「ベジフル関東」創刊

 関東地域野菜・果物健康食生活推進協議会からメールマガジン「ベジフル関東」が創刊されました。果物と野菜に関する関東地域のイベント開催のお知らせや、果物と野菜に関するおもしろ・お役立ち情報を発信しています。果物&健康NEWSと合わせてお読みいただければ幸いです。

登録先は下記です。ぜひご登録下さい(無料)。
http://www.kanto.maff.go.jp/yasai_kudamono/kaiin.htm



     「毎日くだもの200g運動」のロゴマークを使おう!
     http://www.kudamono200.or.jp/undou/copyright.html


☆ 編集部より ☆

 残念ながらワールドカップ日本代表チームは決勝トーナメントに進めませんでした。よく戦ったと思います。ご苦労様でした。
 ブラジルとの試合が行われたドルトムントの名物郷土料理にリンゴのムースと茹でたジャガイモを使ったヒンメル・ウン・エート(Himmel un Aad)があるそうです。食べてみたいです。(tnk)

 うううむ。残念!残念!日本の選手の皆様、本当にお疲れ様でした。連日、ビールを片手に深夜までサッカー観戦を続けていたら、体重が一気に増加してしまいました(79kg)。決勝リーグはビールをやめて果物を食べながら、観戦するよう努力します。
 (uru)

 引き続きワールドカップネタですが、現時点の予選通過国13カ国のうち、9カ国は各リーグにおいて果物の摂取量が多いことが分かりました。(4チーム中1か2位)
 日本においては、32カ国中28番目の摂取量(年間1人あたり54.8kg)となっており、日本よりも摂取量の少ない国は全て予選敗退しています。サッカーの強さの要因として果物の摂取量も関係しているかもしれません。次回のワールドカップの予選突破のために、もっと多くの果物を摂取しましょう!
 ちなみに、果物摂取量の1位は、オランダ(182.1kg)となっています。(sk)
 
 『参考』
 1人あたりの年間果物供給量(FAO STAT Food Balance Sheet 2003)
 ドイツ:   113.2kg  イングランド: 115.9kg
 スウェーデン:115.2kg  アルゼンチン:  83.3kg
 オランダ:  182.1kg  イタリア:   131kg
 ブラジル:   95.7kg  オーストラリア:103.5kg




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

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 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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