ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第14回 ウメの健康機能性  



  

      
□□■  果物&健康NEWS Vol.14 ■□□
    ■   2004年6月4日(金)  ■

みなさん、こんにちは!
今回は、ウメ特集です。


■メニュ−■

   □□ ウメの健康機能性 □□

   ◎● Q&A ウメを生で食べても大丈夫? ●◎

   ◆◇◆ サイト紹介 ◆◇◆

   ★☆ 話題:種なしビワ ☆★



□□ ウメと健康機能性 □□

 ウメは、植物分類学上バラ科サクラ属スモモ亜属に属し、スモモやアンズと近縁です。原産地は中国の四川省や湖北省の山岳地帯とする説が有力です。我が国では弥生時代の遺跡から種が発見されています。ウメは、薬用として古くから栽培されており、中国の「斉民要術」(530〜550年頃)に、「烏梅」(うばい)が薬用として記載されています。「烏梅」とは、未熟の梅をかまどの上で燻して乾燥したもので、胃腸を丈夫にして、下痢を止め、熱を消し、吐き気を止める漢方薬です。

 ウメに含まれるビタミンでは、抗酸化力が強いため生活習慣病の予防に効果的なビタミンE(7mg/200g)が多く、梅漬けには3.4mg/200g、梅干しでは1mg/200g含まれています。また、最近、梅酒や梅酢に、ビタミンEの中で最も生物活性の高いα−トコフェロールと同程度の抗酸化性を持つリオニレシノールというポリフェノール成分が見つかりました。そのほか、糖質、脂質、タンパク質の代謝に関与するナイアシン(生ウメ0.8mg/200g:梅干し0.8mg/200g)やアミノ酸代謝と関係するビタミンB6(生ウメ0.12mg/200g:梅干し0.1mg/200g)など、基礎代謝に関係するビタミンも豊富です。ビタミンAの前駆体で、ガンなどの生活習慣病に効果のあるカロテンも多く含まれています。‘白加賀’の完熟果には1842.6μg/200gも含まれています。

 江戸時代、旅に出るときは、食欲不振によく効く梅干しを持参したといいますが、ウメにはクエン酸、リンゴ酸が豊富に含まれているので、炭水化物と同時に摂取すると、グリコーゲンを効率的に蓄積することができるため疲労回復に役立ちます。また、クエン酸、リンゴ酸にはカルシウムの吸収促進効果もあります。ヒトの小腸はアルカリ性のため、カルシウムは不溶化して吸収されにくいのですが、クエン酸やリンゴ酸と結合すると、アルカリ性でもカルシウムは可溶化し、吸収率が高まることが知られています。梅干しを食べたときに出てくる唾液に含まれる酵素には、変異原性物質の作用を抑制する効果があります。また、貧血と関係する鉄が梅漬け(5.8mg/200g)、梅干し(2.0mg/200g)に多く含まれています。

 最近、クエン酸やムメフラールに血流改善効果が見いだされました。クエン酸は、生ウメにも梅干しなどの加工品にも含まれていますが、ムメフラールは、加熱過程で糖とクエン酸が結合してできる物質なので、生のウメには含まれていません。



◎● Q&A ウメを生で食べても大丈夫? ●◎

 この季節になると、「ウメを食べても大丈夫か」との問い合わせがよくきます。ウメの加工品については問題がありませんが、生の青ウメの種子中の仁(胚)を大量に食べると中毒を起こす可能性があります。生の仁には、アミグダリンという青酸化合物が含まれています。アミグダリンそのものには毒性がないのですが、酵素(エムルシン)によって分解され、毒作用のある青酸が発生します。青ウメの仁の重量は0.3g前後で、その中に青酸が0.3mg含まれています。そのため、生の青ウメの仁を、一気に200個程度摂取しない限り生命に危険は生じません(致死量50〜60mg)。青酸発生のもととなるアミグダリンは、果実の成熟が進むと減ってきます。また、青酸の沸点は25.6℃と低いので、青酸は自然に揮発していきます。さらに、果肉にはほとんど含まれておらず、加工すると仁の中のアミグダリンが急激に消失するため、ウメの加工品で中毒が問題となることはありません。



◆◇◆ サイト紹介 ◆◇◆

http://www.ja-kinan.or.jp/web/ume/recipe/recipe.html

 「梅干しのファルシー」、「梅の香そうめんちゃんぷる」、「ささみの梅しそヘルシー巻き」、「梅シフォン」、「梅みそ」、「PouletあらUME〜エ」、「梅水餃子の栄養満点賞」、「豆腐の梅香巻」、「梅レアチーズケーキ」、「初恋の青梅福」と美味しそうな梅料理ばかりです。これらの作品はJA紀南が行った梅料理コンテストに入賞した力作です。レシピもあるので作ってみてはいかがでしょう。料理の写真を見るだけでも‥‥お腹が減ってきました。



★☆ 話題:種なしビワ ☆★

 千葉県農業総合研究センターが、世界初の種なしビワ「希房」を開発しました。3年以内に正式な品種登録をすませ、4年後の商品化を目指しているそうです。種なしブドウと同様な技術を使い、育種実生約200系統の中から、味などが優れた系統を選び「希房」と命名しました。果実はジューシーで果肉が柔らかいのが特徴で、収穫期は5月下旬とのことです。



☆ 編集部より ☆

 果物の季節がやってきました。ウメ、オウトウ、ビワから、スモモ、アンズ、モモと続きます。今年は、いつもより少しだけ多めに食べていただければと願っています。(tnk)

 先日、南国のシークワーサーを目にし、ふと、私が子供の頃に母親が庭木で生えていたシークワーサーの実を絞ってジュースを作ってくれたことを思い出しました。今では各地でシークワーサージュース、サワーが出回っていると思いますので、ぜひ、お試しください。爽やかでおいしいですよ!(N)


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