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  ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第149回 
国際糖尿病連合の世界戦略とグローバルガイドライン

  
 

□□■ 果物&健康NEWS Vol.149 ■□□
   ■   2007年4月27日(金)   ■


みなさん、こんにちは!
特集は「国際糖尿病連合の世界戦略とグローバルガイドライン」です。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
果樹農業は未来を拓く! Do! our BEST.


:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ くだもの健康豆知識:ビワ「茂木」の歴史
 ◇ 今週のレシピ:ビワ
 ◇ 国際糖尿病連合の世界戦略とグローバルガイドライン
 ◇ 品種紹介:ビワ「茂木」
 ◇ 文献紹介:果物や野菜、ナッツでぜん息予防
 ◇ 文献紹介:高血糖の女性はガンになりやすい
 ◇ 果物おもしろ記録:神宮院の石割枇杷
 ◇ 文学の中の果物:大阪を歩く(直木三十五著)
 ◇ 読者から:果物&健康NEWS製作の皆さんへ
 ◇ 果物花便り:弘前りんご花まつり
 ◇ 編集部より



□ くだもの健康豆知識:ビワ「茂木」の歴史

 ビワの原産地は中国及び日本で、我が国で食用に供せられたのは約千年前と考えられていますが、我が国に自生するビワは小さくて食用としての価値が低くあまり利用されていませんでした。

 今、私たちが食べているビワは江戸時代の天保弘化のころ(1830-1847年)に中国南部から長崎に伝来した唐ビワに由来します。

 長崎の代官屋敷に奉公に出された農家に生まれた三浦シオさんが、中国から来た唐ビワが美味しいのに驚き、その実を茂木に持ち帰り自宅の庭に植えて出来たのがビワの代表品種「茂木」です(異説もあります)。

 長崎県茂木の農協横には1934年(昭和9年)に建立された茂木枇杷(びわ)記念碑があります。




□ 今週のレシピ:ビワ

○ ビワのコンポート紅茶風味

 かすかにほろ苦い紅茶の風味が大人っぽいとのことです。作詞家・作家阿木燿子さんの「ほっぺたぽろりんレシピ」をご覧下さい。

材料
 ビワ 6個、紅茶(ティーバッグ) 1個、はちみつ 3/4カップ、砂糖大さじ2杯、レモンスライス 4枚、ミント 適量

下記のサイトで作り方と出来上がりの写真は下記です。
http://www.yokoaki.jp/recipe/20050502/index.html


○ ビワのアイスクリーム
 愛媛県の武方農園のウェブマスターによるレシピから

材料(5人分)
 ビワ(小) 15個、卵黄 2個分、砂糖 40g、生クリーム 200ml、牛乳 150ml、コンデンスミルク 大さじ2杯、レモン汁 少々

下記のサイトで作り方と出来上がりの写真は下記です。
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/takeken/okashi/
okashi-reship/biwaice.htm





□ 国際糖尿病連合の世界戦略とグローバルガイドライン

 世界では、毎年400万人以上が糖尿病で死亡しています(文献1)。糖尿病の患者数ではインドが最も多く、次いで中国、アメリカで日本は6位です(表1)。発生率ではナウル、アラブ首長国連邦、サウジアラビアの順となっています(表2)。

 糖尿病は致命的な疾病で心臓発作や脳卒中、失明、腎不全、手足切断などの原因となりますが、早い時期に自覚をもって自己管理を行えば予防が可能です。そのため、肥満対策や食事指導、検診のシステム作りや、生活習慣改善の必要性を分かりやすく伝えることが大切です。

 世界各国の糖尿病学会などで作る国際糖尿病連合(IDF: International Diabetes Federation)は、全世界で患者が急増する糖尿病の治療と予防のための世界基金の設置を国際連合に働きかけました。この働きかけに応えて昨年(12月20日)糖尿病対策の強化を求める国連決議が採択されました。これは非伝染性疾病に対する決議として初めてのことです。

 現在、国際糖尿病連合は、糖尿病の危険性の認識を広めることや、戦う勇気を与えるなど、「糖尿病に対して団結しよう(Unite for Diabetes)」キャンペーンを行っています(文献2)。また、国際糖尿病連合はインスリンを発見したフレデリック・バンティング氏の誕生日である11月14日を世界糖尿病デーとすることを決めました。この運動には150以上の国と200以上の各国の糖尿病学会などが参加しています。

 また、国際糖尿病連合では2型糖尿病のためのグローバルガイドラインを公表しています(文献3)。近年、糖尿病について行われた大規模な疫学研究など科学的な根拠が蓄積し、糖尿病の最適な治療や予防のための環境が明らかになっています。しかし、まだ多くの国ではこうした最適な治療や予防のための環境が整っていません。その理由は、糖尿病の複雑さや多様な臨床習慣、費用対効果についての研究不足などによると考えられています。

 そこで、国際糖尿病連合はグローバルガイドライン(Global Guideline for Type 2 Diabetes: Brussels, 2005)を作成し、資金や専門的な技術レベルが異なる各国の医療制度ごとに費用対効果についての各国のレベルにあったガイドラインを作成しました。

 セクション5にライフスタイル管理のガイドラインが示されています。この中で「2型糖尿病に対する危険因子をコントロールするには食生活と運動のパターンを変えることが有効であると忠告しなさい(標準レベル)」などの13の勧告がだされています。また、このセッションの科学的根拠として21の科学文献が掲載されていますが、その中にアメリカ、カナダ、イギリスのガイドラインが含まれています。そこで今後、本メルマガにおいて各国の糖尿病ガイドラインを紹介していきます。

表1.糖尿病患者数トップ10
−−−−−−−−−−−−−−
順位 国名  人数(万人)
−−−−−−−−−−−−−−
1 インド   4090
2 中国    3980
3 米国    1920
4 ロシア    960
5 ドイツ    740
6 日本     700
−−−−−−−−−−−−−−

表2.人口(20-79歳)に占める糖
   尿病患者の割合トップ10
−−−−−−−−−−−−−−−−
順位 国名     割合(%)
−−−−−−−−−−−−−−−−
1 ナウル      30.7
2 アラブ首長国連邦 19.5
3 サウジアラビア  16.7
4 バーレーン    15.2
5 クウェート    14.4
−−−−−−−−−−−−−−−−

【文献】
1) International Diabetes Federation: Diabetes Atlas, Backgrounder p6 (2006)
 http://www.eatlas.idf.org/webdata/docs/
background_opening_pc.pdf


2) 糖尿病に対して団結しよう(Unite for Diabetes)」キャンペーンのサイト
 http://www.unitefordiabetes.org/index.html

3) Global Guideline for Type 2 Diabetes (Brussels: International Diabetes Federation, 2005)
 http://www.idf.org/home/index.cfm?unode=B7462CCB-
3A4C-472C-80E4-710074D74AD3





□ 品種紹介:ビワ「茂木」

 ビワ「茂木」は、唐ビワの実生から育成された日本で最初の経済品種で重さは60g程度です。果皮、果肉ともに橙黄色でむきやすく、酸味は少なく甘味が強い(糖度11-12度)のが特徴です。長崎市茂木地区から栽培が広まったためこの名がつきました。

 「茂木」と「茂木」の実生から発見された「田中」がビワの2大品種です。

「茂木」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.e-nagasaki.com/contents/
guide_books/biwa/con6_hin/index.html





□ 文献紹介:果物や野菜、ナッツでぜん息予防

 果物や野菜、ナッツを豊富に摂取している子供は、ぜん息や呼吸器系アレルギーの発症が少ないとギリシャとイギリスなどの研究チームが発表しました。

 クレタ島に住む7歳から18歳の子供たち690人を対象に調査したところ、80%子供たちは1日に2回以上リンゴやオレンジ、ブドウなどの果物を摂取していました(野菜は68%でした)。そして、果物や野菜などを沢山摂取していると喘鳴(ぜんめい)とアレルギー性鼻炎に対する保護作用があること、また、果物や野菜の摂取量が多く、脂肪の摂取量の少ない地中海ダイエットはアレルギー性鼻炎に有効であることが分かりました。また、ナッツを多く食べていた子供はぜん息のリスクが低くなりました。

 以上の結果から、果物や野菜、ナッツに含まれている抗酸化成分がぜん息予防に有効ではないかと研究者らは述べています。

【文献】
Chatzi, L. et al.: Protective effect of fruits, vegetables and the Mediterranean diet on asthma and allergies among children in Crete. Thorax. Online 5 April (2007) [doi: 10.1136/thx.2006.069419]




□ 文献紹介:高血糖の女性はガンになりやすい

 高血糖の女性はガンになりやすいとスウェーデン・ウメア大学(Umea Univ.)の研究チームが発表しました。

 女性3万3293人と男性3万1304人を調査したところ、女性のガン発症は、最も血糖値が低いグループに比較して、最も高いグループは26%リスクが高いことが分かりました。一方、男性ではこうした関係は認められませんでした。

 以上の結果から、女性では、肥満の如何にかかわらず血糖値が高い女性はガンのリスクが高くなることから、血糖値の高い女性は生活習慣の改善が必要であると研究者らは述べています。

【文献】
Stattin, P. et al. Prospective study of hyperglycemia and cancer risk. Diabetes Care. 30: 561-567. (2007)




□ 果物おもしろ記録:神宮院の石割枇杷

 福岡県田川郡香春町殿町にある神宮院(じんぐういん)の石割枇杷(いしわりびわ)は、石灰岩の割れ目に自生しており、岩を割って生育したかのような力強い姿を見せています。このビワの木は、胸高周囲76cm、樹高8m、樹齢約60年とのことです。果実は食べられないそうです。福岡県指定の天然記念物です。

下記のサイトで石割枇杷を見ることが出来ます。
http://www.educ.pref.fukuoka.lg.jp/bunka/
cgi-bin/detail/detail.cgi?number=251





□ 文学の中の果物:大阪を歩く(直木三十五著)

 その時分の、枇杷(びわ)葉湯、甘酒――それらは昆布と共に、もう一度、民間の飲み物になってもいい。カルピスなんかよりも、枇杷葉湯は、確に、薬効的であり、甘酒はずっと優れた栄養分を含んでいる。私は、飾窓の装飾を弁えていると同時に、甘酒と、枇杷葉湯の価値も知っている。昆布茶のうまさも知っている。つまり、古今東西の価値を認め温故知新の人間である。

☆ ☆ ☆
直木三十五(なおき さんじゅうご)
 1891年(明治24年)2月12日-1934年(昭和9年)2月24日)。大阪市南区内安堂寺町二丁目生まれ。時代小説、大衆小説を多作した作家で代表作は「南国太平記」です。菊池寛らが「大衆文学の歴史を変える貢献」があったとして「直木三十五賞(直木賞)」を設立しました。




□ 読者から:果物&健康NEWS製作の皆さんへ

 お世話になっております。数あるメルマガの中でいつも一番楽しみにしています。148号の下記の記事がとても身近に感じました。店頭で多く見かけますが、まだ買っていないので次回に見かけたら購入しようと思います。(名古屋在住のひとひとより)

* * (再録) * *
 名古屋に赴任してからふと気づきました。「編集に直接携わらなくても情報の発信はできる!!」ってことです。そこで、名古屋からも時々皆様に情報を発信させていただければと思いますので、これからもよろしくお願いします。さて、皆様、「セミノール」ってご存じですか?東海地方では今の時期にたくさん出回っているかんきつで三重県が主産地です。とにかくジューシーでとても美味しいです。是非、一度味わってみてはいかがでしょうか。(uru)




□ 果物花便り:弘前りんご花まつり

 青森県弘前市のりんご公園では、今年もりんごの開花時期に合わせて「りんご花まつり」(5/3(木)〜13(日))を開催致します。

 りんごジュースの試飲(土日祝のみ10:00〜15:00)、りんごドーナツの実演販売(土日祝のみ)、津軽昔語り(期間中毎日開催@11:00〜A13:30〜、りんご花茶サービス)などが行われます。

 また、今年は「りんごを食べる日条例制定記念」として巨大アップルパイに挑戦とのことです。

りんご公園のホームページは下記です。
http://www.hi-it.net/~ringo-kouen/

 毎月五日を「りんごを食べる日」とする条例は、市民に特産品のリンゴの消費拡大を呼び掛ける目的で、今年の3月の弘前市定例市議会で可決されました。




■ 「果物&健康NEWS」登録依頼パンフレット

 「果物&健康NEWS」登録依頼パンフレットは下記のサイトにあります。PDFファイルをダウンロードしてご自由にお使い下さい。
 http://www.kudamononet.com/kkr/index.html




☆ 編集部より ☆

 明日からゴールデンウィークです。メルマガのための資料収集・整理などをしようと思っています。特に、糖尿病についてのデータを蓄積したいと考えています。(tnk)


 最近、ブドウや桃が無性に食べたいのですが、さすがに時期的に何処にも売っていません(ハウスものはありますが)。今の時代は季節に関係なくほとんどの食べ物が食べられますが、果物は季節感を楽しむうえでのも重要な食べ物だと思いました。 (sk)


 「みなさんこんにちは。私が最近よく食べる果物はキウイフルーツです。私が買うのはたいていお買い得な1個80円等で売っているときなのですが、この前の日曜日にスーパーで契約栽培でこだわったキウイフルーツというのを見かけ、試しに買ってみました。

 値段は1個198円で3個で580円とかなり(?)高級なキウイでしたが、さすが高級だけあって大きさは普段私が買うキウイの1.5倍で、味も格別!ふつう、まだ未熟なキウイはすっぱすぎて食べれないのですが、このキウイはすっぱくても美味しかったです。(OA)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

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 詳しくは、著作権、リンクについて に記載しています。

 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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