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  ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第171回 アメリカと日本の果物と食事摂取基準

  




□□■ 果物&健康NEWS Vol.171 ■□□
   ■   2007年10月26日(金)  ■


みなさん、こんにちは!
特集は「アメリカと日本の果物と食事摂取基準」です。
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お届けします! 新鮮、おいしい、
科学な生活情報メールマガジン
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:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ くだもの健康豆知識:キウイフルーツ
 ◇ 今週のレシピ:キウイフルーツ
 ◇ アメリカと日本の果物と食事摂取基準
 ◇ 品種紹介:キウイフルーツ「さぬきゴールド」
 ◇ 文献紹介:果物に循環器疾患の予防効果
 ◇ 読者から:プロフェッショナル・インタビューを読んで
 ◇ 今週の果物
 ◇ 東海農政局食育セミナー:
   くだもののススメ 〜考えよう 未来を担う子供達の食生活
 ◇ りんご祭り2007
 ◇ みかん祭り2007
 ◇ プレスセミナー名古屋
   メタボリックシンドローム対策としてのくだもの
 ◇ 今日のフォト
 ◆ 広告(ホントなの編)
 ◇ 編集部より



□ くだもの健康豆知識:キウイフルーツ

 キウイフルーツは、温帯から亜熱帯に分布する果樹ですが、今のように改良されたのはニュージーランドにおいてです。1905年に中国原産のシナサルナシがニュージーランドに渡り品種改良され、1959年にキウイ鳥に似ていることからキウイフルーツと命名されました。

 日本で出回っているキウイフルーツは、国産品と輸入品がおよそ 半々で、輸入品はニュージーランド産が大部分を占めています。日本とニュージーランドは、北半球と南半球で季節が逆なので、国産は10月から翌年の5月まで、ニュージーランド産は4月から12月にかけてというように、出回る時期が異なっています。




□ 今週のレシピ:キウイフルーツ

○ キウイのボンシュ

材料
 キウイフルーツ 4個、グレープフルーツ 小4個、桂花陳酒 100cc、イチゴ 2個など

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.jp.zespri.com/recipe/resipe_2_01.php

○ キウイのウィスキー風味ローストアイスクリーム添え

材料
 キウイフルーツ 4個、生クリーム 40cc、ヴァニラアイスクリーム、ウイスキーなど

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.jp.zespri.com/recipe/resipe_2_05.php




□ アメリカと日本の果物と食事摂取基準

 読者から下記の手紙が届きました。

 質問です。1日に果物をアメリカでは、3サービング、4サービングなどとかなり沢山摂取するように推奨されていて、日本でも同様に、沢山摂取する方が良いとメルマガに書いてあります。しかし、アメリカのフルーツと日本のフルーツでは、糖度などの面で違いがあるのではないですか?また、アメリカで発表されたものが、日本でそのまま当てはまらないのではないでしょうか?その点について知りたいと思い質問させていただきました。よろしくお願いします。(大阪:K)

○ アメリカと日本の果物のカロリー

 日本の果物が美味しいため、アメリカの果物に比べて糖度が高く、カロリーが多いと思われていますが、これも果物にまつわる誤解の1つです。日本の果物とアメリカの果物のカロリーを文部科学省が作成している日本食品標準成分表とアメリカ・農務省(USDA)が作成している成分表(USDA National Nutrient Database for Standard Reference)で比較してみましょう。

 リンゴのカロリーは日本では54kcal、アメリカでは53kcalです(表)。バナナ、ニホンナシ、モモのカロリーも、日本とアメリカでほとんど同じです。一方、アンズ、ブドウ、オレンジではアメリカの方が高いくらいです。このように、日本とアメリカの果物のカロリーには違いがありません。


表 日本とアメリカの果物の
 カロリー比較(100g当たり)
−−−−−−−−−−−−−−
種類    日本  アメリカ
−−−−−−−−−−−−−−
バナナ   86    89
ブドウ   59    69
リンゴ   54    53
ニホンナシ 43    42
モモ    40    39
オレンジ  39    47
アンズ   38    48
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 糖度は、果物の美味しさを決める重要な要素ですが、それだけでは決まらず、糖度と酸度の比率や肉質などと関係しています。リンゴ「ふじ」は、アメリカの新聞にその品質と美味しさから「第二のトヨタ」と評されました。そして、2001年に主要なリンゴ生産国で栽培されている様々な品種の中でリンゴ「ふじ」が生産量で世界一となりました。日本が世界に誇る育種研究の成果です。

○ アメリカと日本の食事摂取基準

 生活習慣病は、複数の疾患感受性遺伝子と環境因子の影響下で発症しますが、その遺伝子の発現は、環境因子によって大きく左右されます。最近の日本人の食習慣や身体的特徴が欧米化し、生活習慣病が増えています。

 これは遺伝的体質が変化したと考えるより環境要因(食生活など生活習慣因子等)により、日本人の疾病構造が変化してきていると考えられます。このことは、世界的に有名な九州大学の研究チームによる久山町の研究や、ハワイに移住した日本人の疾病構造がアメリカ型に変化していることを明らかにした研究などからも裏付けされています。

 生活習慣病予防のための環境因子に関する研究が進み、ある特定の成分や食品が生活習慣病を予防すると考えるよりも、食事バランスが大切で、共通性があることが分かってきました。そして、21世紀に入って、果物が生活習慣病予防に効果があるとするデータが、さらに多く蓄積してきました。そのため、世界各国で食生活指針が書き換えられてきています。

 アメリカの医学系学会により食事バランスの詳細は少しずつ異なっていますが、果物の健康効果は野菜と同等で、従来より多く摂取するとしている点では共通しており、徐々に統一がとれてきています。また、高血圧予防のためのDASH摂取プランは、日本高血圧学会のガイドラインや日本人の食事摂取基準2005年版に影響を与えています。また、食事バランスガイドでは、摂取目標のなかった果物に対して「毎日2つ」の目標値を導入しています。

 以上のように、食事全体を考えた上で果物の摂取量を増やす点でアメリカなど世界各国の食事摂取基準は、日本の食事摂取基準と矛盾していません。




□ 品種紹介:キウイフルーツ「さぬきゴールド」

 「さぬきゴールド」は、アップル系キウイフルーツと中国系キウイフルーツ「FCM−1」を交配して育成された品種です。
 「ヘイワード」やアップル系キウイフルーツと比較して、果実が大きいこと、種子の外側の果肉色が濃黄色であることが特徴です。甘味は多く、酸味の少ない品種です。

「さぬきゴールド」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/ikuseihinsyu/
data/hinsyu/pr-sanukigold.html





□ 文献紹介:果物に循環器疾患の予防効果

 果物をたくさん食べる人ほど循環器疾患(脳卒中、心筋梗塞)のリスクが低くなると、厚生労働省研究班が発表しました。

 岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古に住む45〜74才の男女7万7891人を対象に追跡調査を行いました。果物の摂取量ごとに4グループに分けて比較した結果、果物の摂取量が多いグループほど、循環器疾患(脳卒中、心筋梗塞)発症のリスクが低いことが分かりました。

 果物の摂取量が最も多いグループでは、最も少ないグループより
循環器疾患(脳卒中、心筋梗塞)発症のリスクが統計的に有意に19%低くなり、予防効果が確認されました。しかし、野菜と循環器疾患、野菜・果物と全がん発症との間に関連性は見いだされませんでした。

【文献】
Takachi, R. et al.: Fruit and Vegetable Intake and Risk of Total Cancer and Cardiovascular Disease: Japan Public Health Center-based Prospective Study. Am. J. Epidemiol., Online Oct. 10, (2007) [doi: 10.1093/aje/kwm263]




□ 読者から:プロフェッショナル・インタビューを読んで

 果物&健康NEWS170号のプロフェッショナル・インタビューの山口さんのお話を興味深く読ませていただきました。

 育種研究のためにはすごい量を食べることや、ご自分の育成された品種の良い評判を聞くとうれしくなってしまうことなど読ませていただきました。育種は大変な仕事ですね。(東京:I)




□ 今週の果物

 旬のリンゴ、ミカン、カキ、ブドウ、ナシ、クリなどが豊富に出回っています。

 リンゴは、サンつがるを中心に、シナノスイートや千秋など多くの品種が出揃いました。ミカンは、酸味の抜けが良いことから好評です。ブドウは「巨峰」、「ピオーネ」、カキは「刀根早生」、「平核無」などです。ナシは「新高」など晩生の品種や、洋なし「ラ・フランス」が出回っています。国産のキウイフルーツの販売も始まっています。

 「生鮮食料品のマーケット・レポート(10月22日発行)」は下記のサイトでご覧いただけます。
http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/
market2007-10-2/market2007-10-2.htm





□ 東海農政局食育セミナー:
  くだもののススメ 〜考えよう 未来を担う子供達の食生活


 毎日の食生活に果物は不足していませんか?日本人の果物摂取量は先進国の中でも最低クラスで、若い人を中心に果物をあまり食べていない人が増えています。

 果物には、ビタミンやミネラル、食物繊維、ポリフェノールなど沢山の機能性成分が豊富に含まれており、毎日の食生活に果物を取り入れることが、日本人の生活習慣病の予防や健康増進に効果的であることが分かってきました。

 今回のセミナーでは、果物の機能性や必要性、食事バランスガイドにおける果物の位置づけ等について情報提供を行うとともに、果物を取り入れた豊かで潤いのある食生活の提案や教育現場での先進的な食育事例の紹介を行います。

 多くの方に参加していただき、セミナーを通じて未来を担う子どもたちの健全な食生活を実現させることが出来たらと考えています。(参加者全員に果物携帯ストラップのプレゼント)

1.講演:食事バランスガイドと果物の健康機能性について
 農研機構果樹研究所 上席研究員 田中敬一氏
2.講演+実演:知っ得?納得!果物の魅力
 (有)八百文 代表取締役 鈴木和子氏
3.先進的な食育事例の紹介:子供が変われば家庭が変わる
 西尾市立寺津小中学校 栄養教諭 榎本美晴氏
4.講師との意見交換会

日時:平成19年12月1日(土曜日) 13:00〜16:10(受付12:30から)
場所:椙山女子学園大学文化情報学部メディア棟001教室
名古屋市千種区星ヶ丘元町17-3
参加費:無料 先着250名
主催:食育シンポジウム(中央果実基金、椙山女子学園大)、東海農政局
問い合わせ先:東海農政局生産経営流通部園芸特産課
電話:052-223-4624(直通)

セミナーの詳細は下記のサイトに掲載されています(申込書あり)。
http://www.tokai.maff.go.jp/seisan/engei/kaju/seminar.html




□ りんご祭り2007

 今年も「全国ふるさとフェア2007」において「りんご祭り2007(11月4日のみ)」を開催します。
 会場である横浜赤レンガ倉庫イベント広場において、りんご祭り参加県による試食・販売ブースを設置し、試食を主体としたチャリティー販売を行うとともに、くだものの機能性等のパネル展示を行います。

開催日時:平成19年11月4(日)  10:00〜17:00(予定)
場所:神奈川県横浜市・赤レンガ倉庫イベント会場

りんご祭りの案内は下記のサイトにあります。
http://www.nichienren.or.jp/home/topic/News/ringofes.htm

全国ふるさとフェア2007のサイトは下記です。
(2007/11/3(土・祝)〜4(日))
http://www.minatomirai21.com/entertainment/
event_detail.html?id=10710006





□ みかん祭り2007

 今年も「10万人のふれあい広場2007」において「みかん祭り2007」が開催されます。大阪城公園太陽の広場において、みかん祭り参加県による試食・販売ブースを設置し、試食を主体としたチャリティー販売を行うとともに、くだものの機能性等のパネル展示を行います。

開催日時:平成19年11月23日(金・祝) 9:00〜15:00
場 所:大阪城公園 「太陽の広場」

みかん祭りの案内は下記のサイトにあります。
http://www.nichienren.or.jp/home/topic/News/mikanfes.htm




□ プレスセミナー名古屋
  メタボリックシンドローム対策としてのくだもの


 プレスセミナーでは、足立香代子氏(せんぽ東京高輪病院栄養管理室長)より、「メタボリックシンドローム対策としてのくだもの」と題した講演、「愛知県の果物最新情報」についてJAあいち経済連の森直樹氏、名古屋東急ホテル総料理長鈴木博明氏による果物のオリジナルレシピの試食会、農研機構果樹研究所田中敬一氏の講演、中央果実基金の野田知宏氏の「食事バランスガイド」と「毎日くだもの200グラム運動」についての紹介などを行います。

対象:プレス関係者
日時:10月30日(火)15:00〜16:30(受付14:30)
場所:名古屋東急ホテル(名古屋市中区栄)
問い合わせ先
 「毎日くだもの200グラム」プレスセミナー
  広報事務局(電通PR 内)
  TEL:03-5565-2737 FAX:03-5565-4467




□ 今日のフォト

 十三夜も過ぎ、外気温が下がってきました。秋も深まり果物の美味しい季節です。写真は農研機構果樹研究所の育種圃場のナシと月(十三夜+2日)です。

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News20.html
  (掲載は終了しました)




■ 広告(ホントなの編)

くだものが足りないなんてうそでしょう ...
 えェ〜! ホントなの?

(食事バランスガイドでは毎日果物2つ)



☆ 編集部より ☆

 数件のプロジェクト研究を抱えながらシコシコとメルマガを作っています。メルマガ登録依頼のパンフレットを、これもシコシコと配って歩いています。何がうれしいかというと読者からの便りと、配信数の増加です。皆様のお便りをお待ちしています。ただ、質問には直ぐにお答えできないことが多いので、気を長くしてお待ちいただければ幸いです。(tnk)

最近言葉を覚えた2歳の娘とスーパーに行ったら「みっかーん!」と叫びながらSSサイズのみかんを床にぽとり。初めてSSを買いました。SSは袋が柔らかくて食べやすかったので、娘は一度に4個も食べました。(AH)

虎ノ門近くのコンビニに行ったら、カットフルーツの中においしそうな柿がまるまる1個。初めて見ました。(AH)

今朝シナノスイートを食べてきました。ふじに慣れている私は、しすっぱいなぁと思ってしまいます。隣で父は酸味があってうまい!とぱくぱく口に運んでいました。(KT)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

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 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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