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第176回
 ガン予防:1997年と2007年世界ガン研究基金の報告の比較

  




□□■ 果物&健康NEWS Vol.176 ■□□
   ■ 2007年11月30日(金) ■


みなさん、こんにちは!
特集は「ガン予防:1997年と2007年世界ガン研究基金の報告の比較」です。
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 ◇ くだもの健康豆知識:ブンタン
 ◇ 今週のレシピ:ブンタン
 ◇ ガン予防:1997年と2007年世界ガン研究基金の報告の比較
 ◇ 品種紹介:カンキツ類「はやさき」
 ◇ 文学の中の果物:墨汁一滴(正岡子規)
 ◇ 今週の果物
 ◇ 今日のフォト
 ◆ 広告(誤解編)
 ◇ 編集部より



□ くだもの健康豆知識:ブンタン

 ブンタン(文旦)の学名は、Citrus grandisで、ブンタンは、ザボン、ボンタンなどの別名があります。果実は品種により異なりますが400g〜2kgとかなり大きいのが特徴で、ビタミンCが100g中に45mgと豊富です。白肉品種と紅肉品種があります。

 ブンタンはマレー半島からインドネシアが原産と考えられています。我が国へは、江戸時代に南方から果実で持ち込まれました。ブンタン(文旦)の名は中国語に由来し、ザボンの名はポルトガル・スペイン語のZamboaの転訛語と考えられています。




□ 今週のレシピ:ブンタン

○ 文旦マーマレード

材料 (2人分)
文旦 3個、砂糖 500g

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://cookpad.com/sion/recipe/136007/




□ ガン予防:1997年と2007年世界ガン研究基金の報告の比較

 今回の世界ガン研究基金の報告(文献1)は21人のパネリストが最終判断を行っていますが、その判断を支えるスタッフに、文献(エビデンス)の調査を行う約100人の専門家、WHOやFAOのオブザーバー、政策パネリストが加わっています。また、作成された報告書に対して世界各国のガン専門家約80人による再検討、再調査が行われています。このように、前回の報告(文献2)と比べて格段にシステマティックとなっています。

 前回と比べ文献数も7000件と増加しただけでなく、前回の報告では少なかった前向きコホート研究という信頼性の高い疫学研究や、メタ分析と呼ばれるさらに信頼性の高い疫学研究報告が蓄積し、前回と比較にならないほど科学的判断の正確性が向上しています。そのため、前回と今回の報告結果を単純に比較することは出来ません。

 報告書は3部で構成されています。第1部は背景や文献(エビデンス)の判定基準について、第2部で食品など生活習慣因子の科学的判定、ガンの部位ごとの科学的判定などが記載されています。第3部では第2部で判定された基準に基づきガン予防のための勧告をまとめています。

 第3部の果物と野菜についての勧告は、前回よりむしろ強化されています。前回の勧告では果物と野菜の摂取量の上限800gが設定されていましたが、今回は撤廃されました。また、前回は摂取カロリーの7%以上をゴールとしていましたが、今回は政策目標として600g以上となり、推奨摂取量が増えています。

 単純に第2部を読むとランクが下がった、限定的になったと感じるかも知れませんが、科学的には果物と野菜の重要性は高まっているのです。例えば、第3部に生活因子の3次元の図が掲載されていますが、前回は単なる通覧(overview)でしたが、今回はパネリストによる判定の通覧(overview of the panel's key judgements)となっています。なぜでしょうか。前回の報告では科学的信頼性の高い前向きコホート研究やメタ分析研究がほとんどありませんでしたが、今回、科学的評価に耐えるだけの報告が蓄積してきたためです。

 研究の増加に伴い、果物と野菜のガン予防効果はないとする報告も発表されました。そうした報告をもとに果物と野菜のガン予防効果は限定的とする議論もあります。

 しかし、今回の報告では、そうした限定的とする報告も含め検討を行った結果、パネリストは果物と野菜の摂取の重要性を勧告しています。果物と野菜のガン予防効果が限定的であるとする科学的議論は尊重する必要がありますが、今回の世界ガン研究基金の報告は果物と野菜はガン予防に有効という結論です。

 次回もう少し具体的に第2部の判断基準について紹介します。

【文献】
1. World Cancer Research Fund / American Institute for Cancer Research: Food, Nutrition, Physical Activity, and the Prevention of Cancer: a Global Perspective. Washington DC: AICR, (2007)

2. World Cancer Research Fund / American Institute for Cancer Research: Food, Nutrition and the Prevention of Cancer: a Global Perspective. Washington DC: AICR, (1997)




□ 品種紹介:カンキツ類「はやさき」

 ブンタン(ザボン)「はやさき」は、「麻豆ブンタン(まとうブンタン)」と「平戸ブンタン(ひらどブンタン)」を交雑して出来た品種です。果実は扁球形で、600〜1000g程度となります。果肉は緑を帯びた黄色で、肉質は柔軟多汁です。12月下旬から1月に熟するやや早熟のブンタンで、糖度も高く食味良好です。品種の名前は、育成地(長崎.口之津町早崎(はやさき))に因んで名付けられました。

「はやさき」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://fruit.naro.affrc.go.jp/kajunoheya/
ikuseihinsyu/data/hinsyu/cu-hayasaki.html





□ 文学の中の果物:墨汁一滴(正岡子規)

 近日我貧厨(ひんちゅう)をにぎはしたる諸国の名物は何々ぞ。大阪の天王寺蕪(かぶら)、函館の赤蕪(あかかぶら)、秋田のはたはた魚、土佐のザボン及び柑(かん)類、越後の鮭の粕漬、足柄の唐黍(とうきび)餅、五十鈴(いすず)川の沙魚(はぜ)、山形ののし梅、青森の林檎羊羹、越中の干柿、伊予の柚柑(ゆずかん)、備前の沙魚、伊予の緋(ひ)の蕪及び絹皮ザボン、大阪のおこし、京都の八橋煎餅、上州の干饂飩(ほしうどん)、野州(やしゅう)の葱、三河の魚煎餅、石見(いわみ)の鮎の卵、大阪の奈良漬、駿州(すんしゅう)の蜜柑(みかん)、仙台の鯛の粕漬、伊予の鯛の粕漬、神戸の牛のミソ漬、下総の雉(きじ)、甲州の月の雫、伊勢の蛤(はまぐり)、大阪の白味噌、大徳寺の法論味噌、薩摩の薩摩芋、北海道の林檎、熊本の飴、横須賀の水飴、北海道のはららご、そのほかアメリカの蜜柑とかいふはいと珍しき者なりき。



正岡子規(まさおか しき:(1867年(慶応3年)9月17日〜1902年(明治35年)9月19日)
 名は常規(つねのり)。幼名は処之助(ところのすけ)で、のちに升(のぼる)と改めた。明治時代を代表する文学者の一人で、俳句・短歌・新体詩・小説・評論・随筆など多方面で活動し、日本の近代文学に多大な影響を及ぼした。




□ 今週の果物

 ミカンが甘くて美味しいと好評です。リンゴ「ふじ」、「ジョナゴールド」、「王林」、カキ「富有」、「平核無」、ナシ「南水」、「新興」、セイヨウナシ「ラ・フランス」などが、食味が良いので好評です。ブドウ(「巨峰」、「ピオーネ」)はそろそろ終わりです。お好きな人は忘れずに。

生鮮食料品のマーケット・レポート(11月21日発行)は下記です。
http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/
market2007-11-2/market2007-11-2.htm





□ 今日のフォト

 農研機構果樹研究所で収穫されたカキ(「御所」、「御代」、「次郎」、「黒柿」)です。一番手前にあるのが「御所」で、この柿を食べた正岡子規は「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」の句をつくりました。子規は、カキが好きで一度に十個くらい食べたこともあるようです。子規の句をもう一つ。

 秋暮るゝ 奈良の旅籠や 柿の味

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News25.html
  (掲載は終了しました)



■ 広告(誤解編)

 くだものの誤解は科学でとける



☆ 編集部より ☆

 世界ガン研究基金の今回の報告は、前回と比べて解析手法などが優れており信頼性が高くなっています。そのため、果物と野菜の重要性も高まったと思っています。例が適当かどうか分かりませんが、調査や選挙などで、100%の投票率で100%の支持よりも、70%の投票率で70%支持の方が信頼できると思える感覚と似ています。
 正岡子規のあげた各地の名物と現在とを比較するとかなり共通点が見られます。それと子規は、カキだけでなくミカンやリンゴなど果物が好きだったことも分かります。(tnk)


 明日から12月、だいぶ寒くなってきました。こたつでみかんが似合う季節ですね。そろそろこたつ出そうかな?(KT)




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