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  ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第200回 毎日くだもの200グラムのすすめ

  




■□ 果物&健康N8WS Vol.200
□■  2008年6月6日(金)


みなさん、こんにちは。お元気ですか。
特集は「毎日くだもの200グラムのすすめ」です。
新鮮、おいしい、メルマガをゆっくりとお楽しみください。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp


:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ 果物&健康NEWSが200号に
 ◇ 今週のレシピ:リンゴとミカン
 ◇ 毎日くだもの200グラムのすすめ
 ◇ 品種紹介:ウンシュウミカン「興津早生」
 ◇ 文献紹介:果物と野菜の摂取で頭頸部ガン予防
 ◇ 文献紹介:100%フルーツジュースは子供の肥満と無関係
 ◇ 果物の小話:ナシの雑学−その5
 ◇ 文学の中の果物:吾輩は猫である(夏目漱石)
 ◇ 今週の果物
 ◇ ウメの旬と生産地
 ◇ 今日のフォト
 ◇ 消費者の部屋特別展示
 ◆ 父の日(6月17日)
 ◇ 編集部より



□ 果物&健康NEWSが200号に
 
 2008年2月26日に創刊された「果物&健康NEWS」が今回の配信で200号となりました。ほぼ週刊で発行を続け、4年3ヶ月ほどで到達しました。創刊号の配信数は、おおよそ400部でしたが、皆様のご支援のおかげで9千部を越えるまでに成長できました。ありがとうございます。

 果物と健康にかかわる特集や最新のニュースなどとともに、ちょっといい話題など、これからも読まれるメルマガのコンセプトを守っていきたいと考えています。

 同時に、「果物のある食生活推進全国協議会」とともに「毎日くだもの200グラム運動」を積極的に推進していきます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。




□ 今週のレシピ:リンゴとミカン

○ フライパンで出来る”アップルカレー

材料 (2人分)
 リンゴ 半分、鶏肉 1枚、タマネギ 1個、レーズン 少々、りんごジュース 1缶、ブイヨン 1個、カレー粉 適量、生クリーム 大さじ1杯など。

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://cookpad.com/mykitchen/recipe/574034/

○ みかんご飯

材料 (1人分)
 ミカンジュース(ミカン果汁) 20ml、水 65ml、米 72g 若鶏もも 10g、むきエビ(ちりめん、カニ缶等でも可) 8g、タマネギ 20g(約1/4個)、ニンジン 5g(約1/4個)、マッシュルーム水煮 5g、グリンピース 5g、白ワイン 2mlなど。

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://cookpad.com/mykitchen/recipe/419193/




□ 毎日くだもの200グラムのすすめ

 ガン、高血圧、脳卒中、心臓病、メタボリック・シンドロームなど生活習慣病を予防して健康的な生活を送るために、毎日、果物を少なくとも200グラム摂取していただくことを「果物&健康NEWS」はめざしています。その科学的根拠は以下の通りです。

1)世界保健機構(WHO)の「食事と運動に関する世界戦略」で生活習慣病を防ぐため、果物の摂取を増やすことを推奨していること。

2)農林水産省、厚生労働省の作成した食事バランスガイドで果物の1日の摂取量を2つ(リンゴ1個、ミカン2個)としていること。

3)アメリカ国立ガン研究所などが推進しているガン予防のための「fruits & veggies more matters(旧5 A DAY)運動」で果物と野菜を5〜13サービング(1サービングは握り拳1個くらい:400〜1040g)の摂取が推奨されていること。

4)アメリカ国立衛生研究所、アメリカ国立心肺血液研究所などによる高血圧などの予防のためのDASH摂取プランでは果物を320kcal〜400kcal摂取することを勧めていること(リンゴなら毎日3〜4個、ミカンなら7〜8個)。

5)生活習慣病予防(糖尿病予防も含む)のためのマイピラミッド(アメリカ食生活指針)では、果物を1日あたり1〜2.5カップ(1カップは2サービング)の摂取を勧めていること(リンゴなら毎日1〜3個くらい)。

6)果物には、野菜の摂取では代替えは出来ない健康機能があること。

7)果物のカロリーは少ないので200gは、1日に必要な適正カロリーのおおよそ3〜5%程度にすぎないことなどによります。

 果物200グラムは、目安ですから、すでにそれ以上食べている人は、減らす必要はありません。なぜならば、人を対象とした疫学研究やヒト介入研究の結果は、果物を多く摂取すると生活習慣病の予防効果が高いとのデータが蓄積しているためです。

▽果物の誤解を解く

 平成12年に定められた「健康日本21」の中で「果物はたっぷりの野菜と毎日のくだもの」と記載されましたが、摂取目標はなく、各県版では「おいしく、楽しく、きちんと食べよう野菜、乳製品、豆類などが組み合わされた食事は生活習慣病予防に大切です。」とされ、果物の摂取目標値は記載されませんでした。その理由は、果物に含まれている果糖を摂取すると中性脂肪が増え、冠動脈疾患が疑われていたためなどです。

 そのため、果糖を含むリンゴを摂取しても中性脂肪は増えないことをヒト介入研究で実証しました。このように「果物&健康NEWS」では内外の誤った批判に応え、果物にまつわる誤解も解いてきました。主な誤解は下記の通りです。

1)果物は甘くカロリーが高い。
2)果物は太る。
3)最近の果物は昔に比べてカロリーが高い。
4)果物には果糖が含まれているので中性脂肪が増え高脂血症になる。
5)果物を摂取すると糖尿病になる。
6)果物を食べるとメタボリックシンドロームになる。
7)果物のガン予防効果は限定的である。
8)果物の食べすぎは良くない(200グラム以上は食べない)。
9)果物はビタミンCとカリウムだけしか含まれていない。
10)果物の値段は高い。
11)果物を食べるなら朝だけ。

▽果物の良さを知ってもらうために

 現在、健康にかかわる科学論文はかなりの量に達しています。しかし、科学論文は、それ以前に行われた研究を前提とした実証的なデータの積み重ねであるため、ただ一つの科学論文で健康に対する決定的な結論を導き出すことは滅多にありません。また、科学論文の結論は限定的で、大きなテーマのすべてを説明することは出来ません。従って、食習慣の改善や健康に関する包括的な研究が必要となります。

 そのため、果物&健康NEWSでは、果物と健康に関する包括的な研究を基盤として、人の健康に果たす果物の役割を明らかにしてきました。また、「毎日くだもの200グラム運動」を理解してもらうために継続的、定期的に情報を発信しています。多くの人に果物の良さを知っていただきたいと考えています。



□ 品種紹介:ウンシュウミカン「興津早生」

 ウンシュウミカンの代表的品種である「興津早生(おきつわせ)」は、1940年に「宮川早生(みやがわわせ)」にカラタチを受粉して得られた珠心胚実生から選抜された品種です。果実の着色は「宮川早生」より5日くらい早く、甘味比は「宮川早生」とほぼ同じですが、果汁中の糖と酸の含量は「宮川早生」より多く含まれています。そのため、味が濃厚です。完全着色後も味ボケせず樹上におくと風味が増すので完熟栽培も可能です。

「興津早生」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/
ikuseihinsyu/data/hinsyu/cu-okitsuwase.html





□ 文献紹介:果物と野菜の摂取で頭頸部ガン予防

 アメリカ国立がん研究所の研究チームは、果物と野菜の摂取で頭頸部(頭部と頸部)ガンを予防できると発表しました。

 50歳以上の男女490,802人を対象に4年間追跡調査を行った結果、果物と野菜の摂取が1サービング/日/1000kcal当たり頭頸部ガンの発生リスクが6%減少することが分かりました。また、リンゴ、モモ、ナシ、イチゴなどバラ科植物やトマト、ニンジン、マメ科植物などで予防効果があきらかとなりました。

 以上の結果から、研究者らは少なくとも果物と野菜を毎日5サービング以上、摂取することを勧めています。通常1日の摂取カロリーは2000kcalなので、果物と野菜を5サービング摂取すると頭頸部ガンのリスクが60%下がります。

【文献】
Freedman, N. D. et al.: Fruit and vegetable intake and head and neck cancer risk in a large United States prospective cohort study. Int. J. Cancer, 122: 2330-2336. )2008) [doi: 10.1002/ijc.23319]




□ 文献紹介:100%フルーツジュースは子供の肥満と無関係

 アメリカ・ルイジアナ州立大学の研究チームは、青少年における100%フルーツジュースの消費について21の研究報告を調査した結果、青少年の過体重と100%フルーツジュースの消費との間に有意な関連はなかったと発表しました。

 研究者らは、100%フルーツジュースは栄養分が凝縮されており、フルーツの推奨摂取量を満たすことに寄与できると述べています。

【文献】
O'Neil, C E. and Nicklas, T. A.: A Review of the Relationship Between 100% Fruit Juice Consumption and Weight in Children and Adolescents. Amer. J. Lifestyle Med., Online Apr. 23, (2008) [doi: 10.1177/1559827608317277]




□ 果物の小話:ナシの雑学−その5

 日本ナシから西洋ナシに移ります。西洋ナシは、ヨーロッパ中・南部からカフカス、小アジア、イラン北部にかけて原生分布するナシの一種を基本種にして、一部アルプス、ヨーロッパ南部に分布するナシとの交雑によりできた品種群とされています。

 西洋ナシの栽培歴は古く、既にギリシア時代には野生種と栽培種との区別、実生繁殖と接ぎ木繁殖の相違について知られており、ローマ時代には35品種あったとされるほど、ヨーロッパの人達には古くから馴染み深い果物です。

 西洋ナシは、明治初期に開拓使によって海外からわが国にも導入され、各地域に苗木が配布されました。しかし、当初は夏期に雨の少ない地域が適するなどの気象条件に対する知識に乏しく、多くは枯れ、また樹上で熟成せずリンゴのように直ぐに食べられないこと、香気が強過ぎることなどから、広く普及するまでには至りませんでした。

 西洋ナシといえば山形県ですが、山形県には民権運動の弾圧者として知られる初代県令三島通庸(福島事件、加波山事件を誘発した)が、明治9年頃に西洋ナシを奨励したとされており、上の理由でなかなか普及しなかったようです。同県での普及は、明治34年秋、赤湯町で開催された日本園芸山形県支部主催の果樹講習会で、東京府立園芸の菊地秋雄(後の京大教授)が西洋ナシを推奨したことが契機になったとされています。そして明治40年頃から気象条件、品種の選択、剪定などの栽培管理が喚起工夫され、少しずつ栽培は広まって行きました。 (間苧谷)



□ 文学の中の果物:吾輩は猫である(夏目漱石)

「寒月君博士論文はもう脱稿するのかね」と主人が聞くと迷亭もその後から「金田令嬢がお待ちかねだから早々呈出(ていしゅつ)したまえ」と云う。寒月君は例のごとく薄気味の悪い笑を洩らして「罪ですからなるべく早く出して安心させてやりたいのですが、何しろ問題が問題で、よほど労力の入る研究を要するのですから」と本気の沙汰とも思われない事を本気の沙汰らしく云う。「そうさ問題が問題だから、そう鼻の言う通りにもならないね。もっともあの鼻なら充分鼻息をうかがうだけの価値はあるがね」と迷亭も寒月流な挨拶をする。比較的に真面目なのは主人である。「君の論文の問題は何とか云ったっけな」「蛙の眼球の電動作用に対する紫外光線の影響と云うのです」「そりゃ奇だね。さすがは寒月先生だ、蛙の眼球は振ってるよ。どうだろう苦沙弥君、論文脱稿前にその問題だけでも金田家へ報知しておいては」主人は迷亭の云う事には取り合わないで「君そんな事が骨の折れる研究かね」と寒月君に聞く。「ええ、なかなか複雑な問題です、第一蛙の眼球のレンズの構造がそんな単簡(たんかん)なものでありませんからね。それでいろいろ実験もしなくちゃなりませんがまず丸い硝子(ガラス)の球をこしらえてそれからやろうと思っています」「硝子の球なんかガラス屋へ行けば訳ないじゃないか」「どうして――どうして」と寒月先生少々反身(そりみ)になる。「元来円とか直線とか云うのは幾何学的のもので、あの定義に合ったような理想的な円や直線は現実世界にはないもんです」「ないもんなら、廃(よ)したらよかろう」と迷亭が口を出す。「それでまず実験上差(さ)し支(つか)えないくらいな球を作って見ようと思いましてね。せんだってからやり始めたのです」「出来たかい」と主人が訳のないようにきく。「出来るものですか」と寒月君が云ったが、これでは少々矛盾だと気が付いたと見えて「どうもむずかしいです。だんだん磨(す)って少しこっち側の半径が長過ぎるからと思ってそっちを心持落すと、さあ大変今度は向側が長くなる。そいつを骨を折ってようやく磨り潰したかと思うと全体の形がいびつになるんです。やっとの思いでこのいびつを取るとまた直径に狂いが出来ます。始めは林檎(りんご)ほどな大きさのものがだんだん小さくなって苺(いちご)ほどになります。それでも根気よくやっていると大豆ほどになります。大豆ほどになってもまだ完全な円は出来ませんよ。私も随分熱心に磨りましたが――この正月からガラス玉を大小六個磨り潰しましたよ」と嘘だか本当だか見当のつかぬところを喋々(ちょうちょう)と述べる。「どこでそんなに磨っているんだい」「やっぱり学校の実験室です、朝磨り始めて、昼飯のときちょっと休んでそれから暗くなるまで磨るんですが、なかなか楽じゃありません」「それじゃ君が近頃忙がしい忙がしいと云って毎日日曜でも学校へ行くのはその珠を磨りに行くんだね」



夏目 漱石(なつめ そうせき)
 1867年(慶応3年)2月9日-1916年(大正5年)12月9日) 江戸牛込馬場下横町(現在の東京都新宿区喜久井町)生まれ、本名は夏目金之助。大学時代に正岡子規と出会い俳句を学ぶ。俳号は愚陀仏。代表作に「吾輩は猫である」、「こころ」などがある。




□ 今週の果物

 6月に入り東京では、熊本、愛媛産などの甘夏ミカンや青森産のリンゴ(「ふじ」など)の定番の果物に加えて、彩り鮮やかな多種類の国産の果物が出回り始めています。

 和歌山、群馬産のウメ、茨城産のアンデスなどのメロン、栃木産の「とちおとめ」などのイチゴ、千葉、熊本産のスイカの入荷量が多く人気です。

 その他、大阪、山梨産などのブドウ(「デラウェア」、「巨峰」など)、佐賀産のハウスミカン、宮崎産のマンゴー、長崎産のビワ、山梨産のモモ、福岡産などのスモモ、山梨、山形産のサクランボの入荷も始まっています。
 いよいよ美味しい果物の季節がやってきました。




□ ウメの旬と生産地

 ウメの出荷は5月下旬頃から始まり6月中旬をピークに下がり初め7月上旬でほぼ終了します。平成19年度の収穫量は12万6千トンで、主産県は和歌山県が58%と圧倒的に多く、次いで群馬県の6%です。




□ 今日のフォト

 クリの花が咲き始めました。今の時期は、たとえ樹の姿が見えなくてもその独特の匂いから、クリの樹の存在を知ることが出来ます。クリの雌花が咲く前に袋を被せ、雌花が咲いた頃に雄しべを交配します(写真)。

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News46.html
  (掲載は次号まで)





□ 消費者の部屋特別展示

 農林水産省消費者の部屋で食事バランスガイドを活用した日本型食生活について展示を行います。果物のスペースでは生鮮果物や果物加工品の展示、果物摂取の重要性を訴求するパネルの展示等を行います。
また、初日には和歌山県産みかん100%ジュースの試飲があります。

日時:6/16(月)12:00〜6/20(金)13:00
場所:農林水産省1階消費者の部屋特別展示会場

※みかんジュースの試飲は16日(月)12:00から開始します。
 なくなり次第終了とさせていただきます。

http://www.maff.go.jp/j/heya/tenzi/0806/16.html




■ 父の日(6月17日)
 父を囲んで美味しい果物を食べる日!



☆ 編集部より ☆

 メルマガの配信回数が、ついに200号となりました。今日は部屋を暗くして中島みゆきの曲を聞きながらつらつらと回想してみたいと思っています。「闘う君の唄を闘わない奴等が笑うだろう・・ファイト」。これからもファイトです。(tnk)

 200号という記念すべき日に担当であれたことをうれしく思います。今日はお祝いに初物のさくらんぼを買って帰ろうっと!(KT)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

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 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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