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第229回 野菜を摂取していれば果物は不必要?

  



■□ 果物&健康N8WS Vol.229
□■  2009年1月16日(金)


明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。。
特集は「野菜を摂取していれば果物は不必要?」です。
───────────
毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp

:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ 梅の句
 ◇ 今週のレシピ
 ◇ 野菜を摂取していれば果物は不必要?
 ◇ 品種紹介:カンキツ「ありあけ」
 ◇ 文献紹介:医療にまつわる俗説
 ◇ 文学の中の果物:故郷(太宰治)
 ◇ 果物花便り:平成21年 第65回熱海梅園梅まつり
 ◇ 今週の果物
 ◆ 広告
 ◇ 編集部より



□ 梅の句

  やまざとはまんざい遅し梅の花

           松尾芭蕉




□ 今週のレシピ

○ 聖護院かぶのまるごとグラタン

材料(4人前) 
 ギンナン 10粒、 聖護院かぶ 1/2個、タマネギ 1/2個、エノキタケ 100g、ユリ根 1/2個、かに身 80g程、柚子みそ など。

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.jakyoto.com/modules/weblinks/
singlelink.php?lid=159


○ 絶品焼きフルーツ

材料(2人分)
 オレンジ 1個、バナナ 1本、グラニュー糖 適量、レモン 適宜

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.ja-fukuikeiz.or.jp/gas/recipe/fruit.html




□ 野菜を摂取していれば果物は不必要?

 「野菜を沢山食べていれば果物は特別必要ないのでは?」といわれることがあります。それに対して「加熱すると失われるビタミンCは果物から摂るのが良いのでは」と言っても、「それだけなら野菜サラダを食べればいいのでは」と反論されてしまいます。そこで、今回は野菜と異なる果物の健康機能について紹介します。

○ 心臓病予防と果物

 心臓の筋肉(心筋)に必要な血液を供給出来なくなると狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患(心臓病)となります。食物繊維を摂取すると、血圧が下がり、血液中の脂質やインスリン感受性が改善されると報告されています。

 そこで、食物繊維の摂取量と冠動脈疾患との関係をより明確にするために、大規模な疫学研究が行われました(文献1)。研究ではアメリカ、ヨーロッパに住む男性91,058人、女性245,186人あわせて約34万人を対象に6〜10年間追跡調査が行われました。その結果、食物繊維を多く摂取すると冠動脈疾患の発症が少なくなることが確認されました。

 次に、食物繊維源を穀類由来、果物由来、野菜由来に分けて、冠動脈疾患との関係を調べたところ、1日あたりの摂取量が10グラム増えると、冠動脈疾患の罹病リスクは、穀類由来の食物繊維ではリスクが10%低下、果物由来ではリスクが16%低下、野菜由来ではリスク低下は認められませんでした。死亡リスクは、穀類由来の食物繊維では25%低下、果物由来では30%低下、野菜由来でははっきりしませんでした。
 こうした研究結果から、果物摂取は冠動脈心臓病予防に有効です。

○ 大腸ガンと果物

 大腸ガンは、大腸の内側に発生するガンで、近年わが国では大腸ガンが急速に増加しています。大腸ガンと食生活の関係を明らかにするために、世界保健機関(WHO)に所属する国際ガン研究機関が組織したプロジェクトで、ヨーロッパ8ヶ国に住む、519,978人を対象とした大規模な追跡調査(1992〜1998年、25〜70才)が行われました(文献2)。その結果、食物繊維の摂取量が多い人(摂取食物繊維量31.9g/日)は、低い人(12.6g/日)と比べて、大腸ガンの発生リスクが25%低くなることが明らかになりました。

 さらに、食物繊維の供給源別に大腸ガンとの関係を調べたところ、果物由来の食物繊維ではリスクが22%低下、穀類由来も22%低下、野菜由来では12%低下、豆類由来でははっきりしませんでした。。この結果は、果物の摂取は大腸ガン予防に有効であることを示しています。

○ 肥満と果物

 肥満は、メタボリックシンドロームの危険因子で、かつ、高脂血症、高血圧、糖尿病、ガンなどの生活習慣病を誘発します。しかし、無理なカロリー制限は、空腹感に悩まされ長続きしません。従って、肥満予防にはカロリーが低く空腹感を満たす果物の摂取が有効です。

たとえば、アメリカで行われた肥満の人と標準体重の人を比較した農務省(USDA)の調査によると、肥満の男性、女性は、ともに果物の摂取量が少なく、肉の摂取量が多いことが分かりました(文献3)。一方、野菜は、標準体重の人と肥満の人の間に有意な差は認められませんでした。

さらに、南カリフォルニア大学などの研究グループが行った研究でも、標準体重の人は太った人より果物の摂取量が多いことが分かりました(文献4)。また、果物の摂取量と体脂肪とは逆相関があることも明らかになりました。一方、野菜の摂取量は標準体重の人と肥満の人との間に摂取量の明かな差はありませんでした。

こうした結果は、果物を摂取すると調理されることの多い野菜より満腹感を満たし、肥満予防に有効であることを示しています。

○ まとめ

 果物には野菜とは異なる生活習慣病予防作用があります。従って「野菜を摂取していれば果物は不必要」ではありません。毎日くだもの200グラムは生活習慣病予防に有効です。

【文献】
1) Pereira, M. A. et al. Dietary fiber and risk of coronary heart disease: a pooled analysis of cohort studies. Arch Int Med., 164: 370-376. (2004)

2) Bingham, S. A. et al.: Dietary fibre in food and protection against colorectal cancer in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC): an observational study. Lancet, 361: 1496-501. (2003)

3) Lin, B.H. et al.: Higher fruit consumption linked with lower body mass index. Food Rev. 25: 28-32. (2002)

4) Davis, J. N. et al.: Normal-weight adults consume more fiber and fruit than their age- and height-matched overweight/obese counterparts. J. Am. Diet. Assoc. 106: 833-840. (2006)




□ 品種紹介:カンキツ「ありあけ」

 タンゴール「ありあけ」は「清家ネーブル(せいけネーブル)」と「クレメンティン」を交雑して育成した品種です。
 
 果実はネーブルオレンジに似て球形で、大きさは170〜200gです。果肉は濃橙色で柔軟多汁です。熟期は12月中から下旬で、糖度13度、クエン酸含量は0.8〜0.9%となり、食味良好な品種です。剥皮性はネーブルオレンジより改良されているもののやや困難で、ほぼ無核です。名前は育成地(長崎・口之津)を潮の出入り口とする有明海に因んでつけられました。

「ありあけ」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/
ikuseihinsyu/data/hinsyu/cu-ariake.html





□ 文献紹介:医療にまつわる俗説

 イギリスの医学雑誌「BMJ」に毎年恒例の医療にまつわる俗説が発表されました。健康にまつわる6つの俗説が取り上げられています。

 「二日酔いには犬の毛が効く?」は根拠の全くない俗説です。二日酔いに関して、様々な食べ物や物質で研究が行われていますが、現在のところ科学的な根拠が立証された治療法や予防法はないとのことです。

 「夜遅くに食べると太りやすい?」も俗説です。報告された2つの研究によると、夜食を食べると太るのはカロリーの摂取量が増えるためであって、夜遅く食べたからといって太るわけではありません。

 「糖分を摂り過ぎると、子供の落ち着きがなくなる?」、「帽子で風邪を防げる?」、「ポインセチアは毒がある?」「クリスマス時期は自殺者が増える?」なども科学実験の結果から俗説であることが分かりました。

【文献】
Vreeman, R. C et al.: Christmas 2008: Seasonal Fayre Festive medical myths. BMJ, 337:a2769, (2008) [doi: 10.1136/bmj.a2769]




□ 文学の中の果物:故郷(太宰治)

「あなた達にご迷惑がかからない事でしたら、私は連れていってもらいたいのです。母に、逢いたくないわけは無いんだし、また、去年の夏には、文治兄さんに逢うことが出来ませんでしたが、こんどこそ逢いたい。連れていって下さると、私は大いにありがたいので
すが、女房のほうはどうですか。こんどはじめて亭主の肉親たちに逢うのですから、女は着物だのなんだの、めんどうな事もあるでしょうし、ちょっと大儀がるかも知れません。そこは北さんから一つ、女房に説いてやって下さい。私から言ったんじゃ、あいつは愚図々々いうにきまっていますから。」私は妻を部屋へ呼んだ。

 けれども結果は案外であった。北さんが、妻へ母の重態を告げて、ひとめ園子さんを、などと言っているうちに妻は、ぺたりと畳に両手をついて、
「よろしく、お願い致します。」と言った。

 北さんは私のほうに向き直って、
「いつになさいますか?」
 二十七日、という事にきまった。その日は、十月二十日だった。
 それから一週間、妻は仕度(したく)にてんてこ舞いの様子であった。妻の里から妹が手伝いに来た。どうしても、あたらしく買わなければならぬものも色々あった。私は、ほとんど破産しかけた。園子だけは、何も知らずに、家中をヨチヨチ歩きまわっていた。

 二十七日十九時、上野発急行列車。満員だった。私たちは原町まで、五時間ほど立ったままだった。
 ハハイヨイヨワルシ」ダザイイツコクモハヤクオイデマツ」ナカバタ
 北さんは、そんな電報を私に見せた。一足さきに故郷へ帰っていた中畑さんから、けさ北さんの許(もと)に来た電報である。

 翌朝八時、青森に着き、すぐに奥羽線に乗りかえ、川部という駅でまた五所川原(ごしょがわら)行の汽車に乗りかえて、もうその辺から列車の両側は林檎(りんご)畑。ことしは林檎も豊作のようである。
「まあ、綺麗(きれい)。」妻は睡眠不足の少し充血した眼を見張った。「いちど、林檎のみのっているところを、見たいと思っていました。」

 手を伸ばせば取れるほど真近かなところに林檎は赤く光っていた。
 十一時頃、五所川原駅に着いた。中畑さんの娘さんが迎えに来ていた。中畑さんのお家は、この五所川原町に在るのだ。私たちは、その中畑さんのお家で一休みさせてもらって、妻と園子は着換え、それから金木町の生家を訪れようという計画であった。金木町というのは、五所川原から更に津軽鉄道に依(よ)って四十分、北上したところに在るのである。

 私たちは中畑さんのお家で昼食をごちそうになりながら、母の容態(ようだい)をくわしく知らされた。ほとんど危篤(きとく)の状態らしい。
「よく来て下さいました。」中畑さんは、かえって私たちにお礼を言った。「いつ来るか、いつ来るかと気が気じゃなかった。とにかく、これで私も安心しました。お母さんは、黙っていらっしゃるけど、とてもあなた達を待っているご様子でしたよ。」



<今年は太宰治(明治42年(1909年)6月19日〜昭和23年(1948年)6月13日))生誕百年です。>




□ 果物花便り:平成21年 第65回熱海梅園梅まつり

 恒例の熱海梅園の梅まつりが始まります。日本一早咲きと言われる熱海の梅が見られます。

熱海梅園:熱海市梅園町
平成21年1月17日(土)〜3月22日(日)

問合せ/熱海市観光協会0557-85-2222

サイトは下記です。
http://www.ataminews.gr.jp/ume/




□ 今週の果物

 東京大田市場に入荷している果物について紹介します。大田市場で取り扱われている果物の多い産地は愛媛県、青森県、静岡県などです。入荷量の多い果物はウンシュウミカン、イヨカン、リンゴ、イチゴなどです。

ウンシュウミカンは静岡、愛媛、長崎産などです。 ネーブルオレンジは和歌山、広島産などです。 甘ナツミカンは熊本産などです。イヨカンは愛媛産などで、ハッサクは和歌山産などです。

リンゴ「ジョナゴールド」は青森産、「王林」は青森産、「ふじ」は青森、長野産などです。

イチゴは栃木、福岡、佐賀産です。

ニホンナシは大分、福岡、長野(「新高」)産、セイヨウナシは山形産です。カキは福岡(甘ガキ)、岐阜、愛媛(渋ガキ)、山形(渋ガキ)産などです。ブドウは青森産などです。キウイフルーツは福岡、和歌山、愛媛産などです。 
 
メロンは静岡(温室メロン)、宮崎(温室メロン)、 熊本(温室メロン、「アンデスメロン」)などです。スイカは熊本、沖縄産です。
 



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☆ 編集部より ☆

 年が明けました。厳しい経済状況ですがその中でも希望を求め広げていきたいと思います。今年もよろしくお願いいたします。(tnk)

 果物は嗜好品と言われていますが、たかが数百円でちょっとした幸せな気持ちを与えてくれる食品です。ある意味不況でも購入しやすい嗜好品なのでは?と最近考えています。
 果物&健康NEWSともども今年もよろしくお願いいたします。(KT)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。

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 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

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