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第268回 リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その8
      食品と薬の違いA

  





□■□ 果物&健康NEWS Vol.268
■□□ 2009年11月13日(金)配信
□□◇ <創刊日2004年2月26日>



みなさん、こんにちは。お元気ですか。
特集は「リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その8」です。
メルマガをゆっくりとお楽しみください。
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公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp
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<<■ 本日のメニュー >>>>

 ◇ 季節のたより
 ◇ 今週のレシピ:レモン
 ◇ リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その8
          食品と薬の違いA
 ◇ 品種紹介:カンキツ「瀬戸温州」
 ◇ 文献紹介:果物・野菜由来食物繊維やω3系脂肪酸で食道ガン予防
 ◇ 新型インフルエンザ情報14
   −正確な知識で冷静な対応−
 ◇ 文学の中の果物:檸檬(梶井基次郎)
 ◇ 今週の果物
 ◇ 今日のフォト
 ◇ 編集部より



□ 季節のたより

旬の果物:ミカン、カキ、リンゴ

広島産のレモン、高知産のユズ、大分産のカボス 徳島産のスダチ

広島市11月14日
日の出 6:42  日の入り 17:07
夜明け 6:09  日暮れ  17:40
月の出 3:54  月の入り 15:08  月齢 26.4

気象庁予報用語から
小春日和:晩秋から初冬にかけての暖かく穏やかな晴天の日のこと。

広島市11月の過去3年間の気候
       06年   07年   08年 09年(途中経過) 
平均気温   13.6   12.8   12.0   15.6   ℃
降 水 量   67.5    15.0   62.5   −    mm
相対湿度   67    63    67    70    %




□ 今週のレシピ:レモン

○ サツマイモのレモン煮

材料 (4人分)
さつまいも 中2本、レモン果汁 1個分、グラニュー糖、ハチミツ、など

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.ja-town.com/shop/contents3/4401/umaimon01.aspx

○ れんこんのすり身揚げ

材料
 れんこん 400g、ひき肉 150g、レモン 1個、大根おろし、グリーンピース、味付けのり、など

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://www.islands.ne.jp/tachibana/ja/renkon/recipe.html




□ リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その8
         食品と薬の違いA


リ  ポ:皆さんこんにちは。先週に引き続いて食品とお薬の違い
     について伺います。フルッタさん、お願いします。
フルッタ:寒くなってきましたね。最初に新薬の開発過程を紹介し
     ます。

リ  ポ:食品ではなくお薬ですね。
フルッタ:はい。新薬開発の最初のステップは、多種多様な化合物
     のライブラリーの中から治療に有効な化合物をスクリー
     ニングします。探索した化合物の中から将来、有望な新
     規化合物や新しい機能が見つかったら、新規化合物に関
     する特許を取得します。

リ  ポ:食品中の機能性成分の探索と同じですね。
フルッタ:そうです。次に、動物実験などで新規化合物をどれくら
     い与えると効果があるか、どのような方法で使用するか
 などを調べます。体内でどのように吸収され、分布し、
     排泄されるかなども調べます。

リ  ポ:新規化合物の毒性試験も行うのですよね。
フルッタ:ラットやイヌ、サルなどで急性、亜急性、慢性毒性試
     験を実施しますこうしてヒトに対する安全性をチェッ
     クします。

リ  ポ:そして、ヒトを対象とした臨床試験になるわけですね。
フルッタ:ヒトを対象に行う試験は、ヘルシンキ宣言にもとづき被
     験者に試験の目的や内容を十分に説明し、文書による同
     意を得ることが求められます。

リ  ポ:医の倫理を守るためですね。
フルッタ:そうです。臨床試験の第T相は同意を得た少数の健康人
     志願者を対象に、安全性のテストを行います。第U相で
     は同意を得た少数の患者を対象に有効で安全な投薬量や
     投薬方法などを確認します。第V相では同意を得た多数
     の患者で、「二重盲検試験」などにより、既存薬などと
     比較して新薬の有効性や安全性をチェックします。

リ  ポ:結果が良ければ、新薬となるわけですね。
フルッタ:いいえ、違います。申請された新薬は審査を受ける必要
     があります。審査をパスしたものには、厚生労働大臣か
     ら製造販売の承認が与えられます。

リ  ポ:つまり、第三者によってお薬の有効性の判定と安全性の
     確認が行われるわけですね。
フルッタ:はい。新薬の審査は、医学、薬学、生物統計学などの分
     野別の専門官や臨床医などにより審査されます。

リ  ポ:新薬が承認されるまでの過程がよく分かりました。
フルッタ:薬の安全性は何度もチェックされ確認されます。その上
     で医師による投薬の管理が行われています。

リ  ポ:食品の安全性はどのように考えればよいのですか。
フルッタ:前回もお話ししましたが、薬と違い食品の摂取量は人に
     よりバラバラなので、薬よりも高い安全性が要求されま
     す。

リ  ポ:フルッタさんが「人の健康に関係する機能性成分やサプ
     リメントを推奨するには研究論文があるだけでは不十分」
     ということが、おぼろげながら分かってきました。
フルッタ:研究論文はある実験条件下における結果を示しています
     が、すべての問題を解決している分けではありません。
     有効性の追試験や安全性の確認と専門家による判定が必
     要です。

リ  ポ:機能性成分やサプリメントに関する研究情報の伝え方が
     大切となるわけですね。
フルッタ:その通りです。新薬の開発過程の研究成果は科学論文と
     して発表されていますが、承認されない限り広告、販売
     できません。機能性成分やサプリメントも薬と同様です。
     つまり、こうした研究も携わる研究機関、企業などには
     高い倫理規範が求められています。

リ  ポ:食品もお薬と同じように研究はよいが広告販売はできな
     いということですね。新薬の開発過程を見るとその理由
     がよく分かりました。
     次回は食品とお薬を巡る薬事法と言論の自由との関係だ
     そうです。どんなお話になるのでしょうか。お楽しみに。


    (つづく)


【用語解説】
ヘルシンキ宣言
 ヘルシンキ宣言とは、ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則です。この宣言は1964年6月にフィンランドのヘルシンキで開催された第18回世界医師会(WMA)総会で採択されました

 世界医師会は、ヒトを対象とする医学研究に関わる医師、その他の関係者に対する指針を示す倫理的原則として、ヘルシンキ宣言を発展させてきました。ヒトを対象とする医学研究には、個人を特定できるヒト由来の材料および個人を特定できるデータの研究を含みます。

ヘルシンキ宣言は下記のサイトで読むことができます。
http://www.med.or.jp/wma/helsinki02_j.html


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□ 品種紹介:カンキツ「瀬戸温州」

 「瀬戸温州(せとうんしゅう」は「杉山温州(すぎやまうんしゅう)」にトロビタオレンジを交雑して得られた珠心胚実生から選抜された品種です。瀬戸内地方などの雨の少ない地域で品種の特長を発揮します。

 果形は扁平で大果、果面は滑らかで美しい品種です。果実の着色は「杉山温州」より早く、11月下旬に成熟します。果汁中の糖が高く酸が低いため、甘味比が高く食味が優れています。

「瀬戸温州」の果実の写真は下記のサイトで見られます。
http://www.fruit.affrc.go.jp/KIH/data/kankitu/setounsyu.html




□ 文献紹介:果物・野菜由来食物繊維やω3系脂肪酸で食道ガン予防

 食道ガンの多くはバレット食道から発生しますが、前ガン段階のバレット食道炎の解析は遅れていました。今回、パレット食道炎と関連するリスク因子について「栄養とガン」に発表されました。

 研究では、北カリフォルニアに住む患者約300人と健常者約300人を対象に症例対照調査が行われました。その結果、果物と野菜由来の食物繊維、ω3系脂肪酸、多価不飽和脂肪酸などの摂取量が多い人はパレット食道炎になりにくいことが分かりました。

 一方、トランス型脂肪酸の摂取はリスクを高めることが分かりました。総脂肪、焼いた食品、果物と野菜以外の食品に由来する食物繊維繊維の摂取量はバレット食道炎とは有意な関係はありませんでした。

【用語解説】
バレット食道:
 食道上皮は本来は重層扁平上皮であるが、円柱上皮化生が生じることがある。これに特殊腸上皮化生が合併したものがバレット食道である。バレット食道は食道腺ガンの前ガン状態とされ、無治療では高確率で食道ガンが発生する。

【文献】
Kubo, A. et al.: Effects of dietary fiber, fats, and meat intakes on the risk of Barrett's esophagus. Nutr. Cancer, 61: 607-616. (2009)




□ 新型インフルエンザ情報14
  −正確な知識で冷静な対応−


◇農林水産省:新型インフルエンザ関連情報

○食品とインフルエンザウィルスについて

 万一、ウィルスが付着していたとしても、インフルエンザウィルスは熱に弱く、加熱調理で容易に死滅する。
 万一、ウィルスが付着していたとしても、インフルエンザウィルスは酸に弱く、胃酸で不活化される可能性が高い。

農林水産省の情報のサイトは下記です。
 http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/pdf/shininful.html

◇国立感染症研究所・感染症情報センター

○国内の状況

 感染症発生動向調査によるインフルエンザの報告は増加傾向にあり、第44週(10月26日から11月1日)の1週間に159,651例で、定点あたりの報告数(1週間の1医療機関当たりへの受診患者数)は33.28で43週(24.62)と比べて増加しました。

上記の情報は下記のサイトにあります。
 http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.html

◇厚生労働省:新型インフルエンザ対策関連情報サイトは下記です。
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html




□ 文学の中の果物:檸檬(梶井基次郎)

 しかしどうしたことだろう、私の心を充たしていた幸福な感情はだんだん逃げていった。香水の壜にも煙管(きせる)にも私の心はのしかかってはゆかなかった。憂鬱が立て罩(こ)めて来る、私は歩き廻った疲労が出て来たのだと思った。私は画本の棚の前へ行ってみた。画集の重たいのを取り出すのさえ常に増して力が要るな! と思った。しかし私は一冊ずつ抜き出してはみる、そして開けてはみるのだが、克明にはぐってゆく気持はさらに湧いて来ない。しかも呪われたことにはまた次の一冊を引き出して来る。それも同じことだ。それでいて一度バラバラとやってみなくては気が済まないのだ。それ以上は堪(たま)らなくなってそこへ置いてしまう。以前の位置へ戻すことさえできない。私は幾度もそれを繰り返した。とうとうおしまいには日頃から大好きだったアングルの橙色(だいだいろ)の重い本までなおいっそうの堪(た)えがたさのために置いてしまった。――なんという呪われたことだ。手の筋肉に疲労が残っている。私は憂鬱になってしまって、自分が抜いたまま積み重ねた本の群を眺めていた。

 以前にはあんなに私をひきつけた画本がどうしたことだろう。一枚一枚に眼を晒(さら)し終わって後、さてあまりに尋常な周囲を見廻すときのあの変にそぐわない気持を、私は以前には好んで味わっていたものであった。……

「あ、そうだそうだ」その時私は袂(たもと)の中の檸檬(れもん)を憶い出した。本の色彩をゴチャゴチャに積みあげて、一度この檸檬で試してみたら。「そうだ」

 私にまた先ほどの軽やかな昂奮が帰って来た。私は手当たり次第に積みあげ、また慌(あわただ)しく潰し、また慌しく築きあげた。新しく引き抜いてつけ加えたり、取り去ったりした。奇怪な幻想的な城が、そのたびに赤くなったり青くなったりした。

 やっとそれはでき上がった。そして軽く跳りあがる心を制しながら、その城壁の頂きに恐る恐る檸檬(れもん)を据えつけた。そしてそれは上出来だった。

 見わたすと、その檸檬の色彩はガチャガチャした色の階調をひっそりと紡錘形の身体の中へ吸収してしまって、カーンと冴えかえっていた。私は埃(ほこり)っぽい丸善の中の空気が、その檸檬の周囲だけ変に緊張しているような気がした。私はしばらくそれを眺めていた。

 不意に第二のアイディアが起こった。その奇妙なたくらみはむしろ私をぎょっとさせた。
 ――それをそのままにしておいて私は、なに喰(く)わぬ顔をして外へ出る。――

 私は変にくすぐったい気持がした。「出て行こうかなあ。そうだ出て行こう」そして私はすたすた出て行った。

 変にくすぐったい気持が街の上の私を微笑(ほほえ)ませた。丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛けて来た奇怪な悪漢が私で、もう十分後にはあの丸善が美術の棚を中心として大爆発をするのだったらどんなにおもしろいだろう。

 私はこの想像を熱心に追求した。「そうしたらあの気詰まりな丸善も粉葉(こっぱ)みじんだろう」

 そして私は活動写真の看板画が奇体な趣きで街を彩(いろど)っている京極を下って行った。




□ 今週の果物

 今週は広島市の青果物市場に入荷している果物について紹介します。地元広島産の果物はミカン、ニホンナシ、カキ、キウイフルーツなどです。取扱量が多い果物はミカン、リンゴ、カキなどです。産地別では広島産が最も多く、次いで福岡、青森、岩手、長野、熊本、和歌山産などです。

ミカン(早生温州)は広島、佐賀産などです。

リンゴ「ジョナゴ−ルド」は青森、岩手産、「王林」は岩手、長野産、「ふじ」は長野、岩手、青森産です。

甘ガキは福岡、広島産、渋ガキは愛媛、島根、鳥取産などです。

ブドウ(「ピオーネ」、「巨峰」など)は岡山、山形、長野産などです。ニホンナシ(「豊水」、「新高」など)は熊本、岡山、福島産、セイヨウナシは山形産です。クリは山口産です。

キウイフル−ツは広島産です。

イチゴは佐賀、北海道産です。メロンは高知、静岡、長崎、高知、長崎産などです。スイカは高知、熊本産です。




□ 今日のフォ

 日増しに寒さが加わってきています。圃場のクリの樹やイチョウの樹の葉も色づいてきました(写真)。関東地方でもコートやマフラーが必要な季節となりました。

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News110.html
  (掲載は次号まで)





☆ 編集部より ☆

 この時期はリンゴ、カキ、ミカンを順繰りに食べています。「果物は高くない。野菜と同じくらい」とのデータを示すと誰もが驚きます。今年はさらに安いので満腹になるまで食べてください。(tnk)

 先週の土曜日、ビッグサイトで行われた農林水産祭で鍋関係の展示を行いました。県のブースでは、様々な農畜産物を販売していて、ものすごい活気でした。そのとき大分県のブースで買ったカボスをどう使おうか悩んでいます。(KT)





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