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第269回 リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その9
      食品と薬の違いB

  





□■□ 果物&健康NEWS Vol.269
■□□ 2009年12月7日(月)配信
□□◇ <創刊日2004年2月26日>



みなさん、こんにちは。お元気ですか。
特集は「リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その9」です。
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<<■ 本日のメニュー >>>>

 ◇ 季節のたより
 ◇ 今週のレシピ:カキ
 ◇ リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その9
          食品と薬の違いB
 ◇ 文献紹介:十分な睡眠は、健康的な食事へと導く
 ◇ 文献紹介:尿酸排泄遺伝子の発見
 ◇ 新型インフルエンザ情報15
    −正確な知識で冷静な対応−
 ◇ 文学の中の果物:十五夜お月さん(野口雨情 )
 ◇ 今週の果物
 ◇ 今日のフォト
 ◇ 編集部より



□ 季節のたより

旬の果物:ミカン、リンゴ、カキ

クリスマスにむけてイチゴの出荷が増えています。

金沢市 12月8日
日の出  6:53  日の入り 16:38
夜明け  6:17 日暮れ  17:14
月の出 23:20  月の入り 11:23  月齢 20.8

冬型の気圧配置
 大陸に高気圧、日本の東海上から千島方面に発達した低気圧がある気圧配置のことです。ただし、時間的、空間的に小さな西高東低の気圧配置は「冬型の気圧配置」とはいいません。(気象庁予報用語から)

金沢市 12月の過去3年間の気候
       06年   07年   08年  09年(途中経過) 
平均気温   7.1    7.5    7.6  10.1   ℃
降 水 量   278.0    286.0   219.0  −    mm
相対湿度   71     70    65   67    %




□ 今週のレシピ:カキ

○ 柿とくらげの辛子酢味噌和え

材料
 カキ 1ケ、お刺身用くらげ 120g、辛子酢味噌 60g、茗荷 1本、煎り胡麻 少々、辛子酢味噌(玉味噌)、白こし味噌(西京味噌)500g、酒 45cc、味醂 65cc、卵の黄身 3ケ分、酢・辛子 適量など

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://recipe.gnavi.co.jp/recipe/6685.html

○ 梨と柿の柚子味噌風呂炊き

材料
 カキ 1ケ、ナシ 2ケ、インゲン 8本、昆布(5cm角) 1枚、針柚子 適量、ユズ味噌、白こしみそ 170g、酒 大さじ1杯、味醂 20cc、卵の黄身 1ケ分、ユズの皮(すりおろし) 1/2ケ分、など

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトです。
http://recipe.gnavi.co.jp/recipe/6683.html




□ リポフル閑談:ガン予防の科学的パラダイム−その9
         食品と薬の違いB


リ  ポ:皆さんこんにちは。今日は、食品とお薬の違いについて
     お聞きしたいと思います。フルッタさん、よろしくお願
     いします。
フルッタ:こんにちは。「ガン予防効果など機能性成分の効用・効
     果について科学論文があるのに、どうして消費宣伝に利
     用できないか?」との質問を受けることがあります。

リ  ポ:科学論文があってもいけないのですか。
フルッタ:そうです。それは、機能性成分が薬として承認されてい
     ないからです。科学論文の有無に関係ありません。

リ  ポ:機能性成分は宣伝してはいけないのですか。
フルッタ:薬についての法律である薬事法では、認可されていない
     サプリメントや機能性成分などで「効能・効果」につい
     て広告することを厳しく禁じています。

リ  ポ:なぜ禁止しているのですか。
フルッタ:その理由は、消費者の健康を守るためです。

リ  ポ:どのようなことが禁止されているのですか。
フルッタ:広告とは、顧客を勧誘するために商品などについて多く
     の人に知らせるようにすることで、主なものに、テレビ
     広告、新聞・雑誌広告、交通広告、チラシ、ポスター、
     インターネット広告などがあります。

リ  ポ:このような広告で認可されていない機能性などの「効能
     ・効果」によって、顧客を勧誘してはいけないわけです
     ね。
フルッタ:そうです。顧客を勧誘するとは、消費者の健康にコミッ
     トすることですから、安全であることが極めて大切です。

リ  ポ:科学論文があってもいけないわけですね。
フルッタ:はい。科学論文があるからといって安全ではありません。
     科学論文は、ある実験条件下の結果で、副作用などが確
     認されているわけではありません。

リ  ポ:お薬なら広告して良いのですね。
フルッタ:はい。でも薬事法の第8章「医薬品等の広告」の中で、
     第66条では誇大広告等の禁止、第67条では特定疾病用の
     医薬品の広告の制限、第68条では承認前の医薬品等の広
     告の禁止が定められています。

リ  ポ:学術上の成果の発表と消費者の勧誘とは違うわけですね。
フルッタ:その点が、重要なポイントです。つまり、科学論文とし
     て実験結果を発表するのは良いのですが、その発表が消
     費者の消費行動を促す場合は問題です。

リ  ポ:まだ、安全性が十分ではないからですね。
フルッタ:はい。学術発表と消費宣伝の区別を研究者でも理解して
     いない場合があります。

リ  ポ:サプリメントや機能性成分以外の食品の場合はどうです
     か。
フルッタ:食品の場合も同様です。特定保健用食品(食品衛生法第
     11条)として認可されない限り広告できません。

リ  ポ:特保以外で成分を表示することはできますか。
フルッタ:はい。国民の健康の維持・向上を目的とした健康増進法
     では、その第6章「特別用途表示、栄養表示基準等」の
     第26条「特別用途表示の許可」で特別用途のために販売
     する食品は、厚生労働大臣の許可を受けなければならな
     いとしています。

リ  ポ:効能・効果の広告を規制する必要のあることは分かりま
     した。でも、ちまたには科学的常識からかけ離れた健康
     に関するバイブル本がたくさんあるじゃないですか。そ
     れは取り締まらないのですか。
フルッタ:この問には難しい課題が含まれてます。憲法で保障する
     言論・出版の自由や学問の自由(研究の自由)と関係し
     ます。

リ  ポ:詳しくお願いします。
フルッタ:科学的根拠のないいき過ぎた広告は消費者の健康を守る
     ために規制する必要がありますが、その一方で言論・出
     版の自由も守らなくてはいけません。

リ  ポ:科学的常識からかけ離れた健康に関する本は規制できな
     いのですか。
フルッタ:規制対象として判断する場合、明らかに社会的に害悪を
     及ぼすかがポイントとなります。

リ  ポ:その判断基準を教えてください。
フルッタ:厚生労働省医薬食品局は、「書籍の体裁をとりながら、
     実質的に健康食品を販売促進するための誇大広告として
     機能することが予定されている出版物」としています。

リ  ポ:なるほど。
フルッタ:コペルニクスやガリレオのように裁判にかけられたり、
     規制されては、人類の発展に寄与するような優れた研究
     は生まれません。

リ  ポ:言論の自由、学問の自由は大切ですね。
フルッタ:はい。また、憲法が国民に保障する自由及び権利につい
     て「国民は、これを濫用してはならないのであつて、常
     に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」と
     あります。

リ  ポ:憲法にある健康で文化的な生活を営む権利を守ることも
     大切ですね。
フルッタ:そうです。研究の自由、発表の自由の権利が認められて
     いるので科学論文を発表できますが、消費者の健康を守
     るために勧誘することはできません。

リ  ポ:だんだん分かってきました。では、食品とお薬の違いの
     最終回として、ヒトを対象とした科学論文について具体
     的に伺います。みなさんごきげんよう。

(つづく)


【用語解説】
特定保健用食品
 特定保健用食品は、食品の持つ特定の保健用途を表示して販売される食品です。特定保健用食品として販売するためには、製品ごとに食品の有効性や安全性について審査を受け、表示について国の許可を受ける必要があります。特定保健用食品及び条件付き特定保健用食品には、許可マークが付されています。

特別用途食品
 特別用途食品とは、健康増進法第26条第1項に規定する販売に供する食品につき、乳児用、幼児用、妊産婦用、病者用その他厚生労働省令で定める特別の用途に適する旨の表示を使用とする者が、厚生労働大臣の許可を受けて販売する食品のことです。


【文献】
日本国憲法
http://www.houko.com/00/01/S21/000.HTM

薬事法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35HO145.html

健康増進法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H14/H14HO103.html

食品衛生法
http://www.houko.com/00/01/S22/233.HTM




□ 文献紹介:十分な睡眠は、健康的な食事へと導く

 アメリカ、ブリガム&ウィメンズ病院の研究チームは適切な睡眠がトラック輸送労働者の健康的な食事行動に関連すると「アメリカ公衆衛生雑誌」に発表しました。

 研究では、トラック輸送業者の正社員542人(平均49歳、平均BMI30)を対象に調査が行われました。その結果、適切な睡眠は、健康的な食事選択に有意に関連していました。

 こうした結果から研究者らは、職場の健康維持プログラムの作成には労働者の睡眠時間にも敏感であるべきであると結論づけています。

【文献】
Buxton et al.: Association of Sleep Adequacy With More Healthful Food Choices and Positive Workplace Experiences Among Motor Freight Workers. Am. J. Public Health, 99: S636-S643. (2009) [DOI: 10.2105/AJPH.2008.158501]




□ 文献紹介:尿酸排泄遺伝子の発見

 東京大学などの研究チームは、尿酸排泄遺伝子(尿酸トランスポーター遺伝子ABCG2)は痛風の主要な病因遺伝子であると発表しました

 痛風は、高尿酸血症に引き続いておこる生活習慣病で、激しい関節痛を生じます。また、高血圧や腎臓病などのリスクとも関係しています。しかし、尿酸値が高くとも痛風にならないケースがあるなど痛風の原因は不明でした。

 研究では痛風と尿酸トランスポーター遺伝子との関係を調査した結果、この遺伝子が痛風の主要な病因遺伝子であることを発見しました

 尿酸トランスポーター遺伝子の変異による尿酸排泄機能低下は痛風患者の8割に見いだされ、さらに、痛風発症のリスクが26倍も高まる変異パターンを痛風患者の1割が持っていることがわかりました。本研究は、世界初の痛風の主要な病因遺伝子の発見についての報告です。

【文献】
Matsuo, H. et al.: Common defects of ABCG2, a high-capacity urate exporter, cause gout: A function-based genetic analysis in a Japanese population. Sci. Transl. Med. 1, 5ra11 (2009).)




□ 新型インフルエンザ情報15
  −正確な知識で冷静な対応−


◇農林水産省:新型インフルエンザ関連情報

最新情報

・新型インフルエンザ対策本部(第4回会合)資料
  基本的対処方針  など

上記の情報は下記のサイトにあります。
 http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/pdf/shininful.html

◇国立感染症研究所・感染症情報センター

国内の状況

 感染症発生動向調査によるインフルエンザの報告は増加傾向にあり、第46週(11月9日から11月15日)の1週間に169,095例で、定点あたりの報告数(1週間の1医療機関当たりへの受診患者数)は35.15で45週(32.76)と比べて増加しました。

上記の情報は下記のサイトにあります。
 http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.html

◇厚生労働省:新型インフルエンザ対策関連情報
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html




□ 文学の中の果物:十五夜お月さん(野口雨情 )

 柿

五兵衛さん娘が
柿 持つてた
おいらに見せ見せ
柿 持つてた

隣の ぼんちも
柿 持つてた
おいらに見せ見せ
柿 持つてた

柿 買つて食べたい
銭(ぜんぜ) おくれ
向ふの小母(をば)さん
銭 おくれ

おいらが母(かか)さん なぜ死んだ
おいらにだまつて なぜ死んだ
草端(くさば)の蔭から
柿 おくれ。




□ 今週の果物

 今週は金沢市の青果物市場に入荷している果物について紹介します。地元産はカキやリンゴなどです。取扱量の多い果物はウンシュウミカン、リンゴ、カキ、メロン、イチゴなどです。産地別では山形、福岡、長崎、長野、和歌山、奈良、愛知産です。

ウンシュウミカン(早生温州、普通温州)は長崎、福岡産などです。

リンゴ「王林」は山形産、「ふじ」は山形、長野産などです。

甘ガキは奈良、福岡産、渋ガキは石川産などです。 

セイヨウナシは山形産、ブドウは岡山産など、キウイフル−ツは福岡産などです。 

メロンは熊本、静岡、高知産などです。
イチゴは愛知、鹿児島産など、スイカは高知、熊本産などです。




□ 今日のフォト

 枝に残ったカキの実の色が青空に映えるこの頃です。ストーブで暖かくなった部屋でたべる熟しカキが美味しい季節です。あの正岡子規はカキが大好きだったとのことです。

http://www.kudamononet.com/kkr/snapshot/KK-News111.html
  (掲載は次号まで)





☆ 編集部より ☆

 先日金沢に伺ったのですが、暖かい日が続いていました。スキー場に雪がないなどのニュースも伝わってきています。師走にはいりせわしくなってきました。インフルエンザもまだ衰えていません。ご自愛ください。(tnk)

 読者の皆様へ。こちらの都合により、突然、果物&健康NEWSを2週間ほどお休みしてしまい申し訳ありませんでした。tnkさんにもご迷惑おかけしました。
 引き続き、元気になれるくだもの情報を提供して参りますので、今後ともよろしくお願いいたします。(KT)





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