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第6回 昔と比べて果物のカロリーは高い?



  

      

□□■  果物&健康NEWS Vol.6 ■□□
    ■   2004年4月8日(木)   ■

みなさん、こんにちは!
果物&健康NEWS Vol.6をお届けします。





■メニュ−■

   □□Q&A:昔と比べて果物のカロリーは高くなった?□□

   ★★用語解説★★

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□□Q&A:昔と比べて果物のカロリーは高くなった?□□

 「昔と比べて最近の果物は甘くて美味しいのですが、カロリーも高くなっているのでしょうか」との問い合わせがよくあります。そのことを調べるには、日本食品標準成分表(食品成分表)が適しています。平成12年(2000)に公表された五訂食品成分表と18年前に公表された四訂食品成分表に記載されている100g当たりのカロリー値を比較してみると、温州ミカンでは44kcalから46kcalへ、リンゴでは50kcalから54kcalへと増えたものから、カキのように変わらないもの、キウイフルーツのように減ったものまであります(下記の表を参照)。果物全体を見ると大きな変化はありません。一方、クロワッサンは431kcalから448kcalへと17kcal増加し、水稲めしは148kcalから168kcalと20kcal増加しています。従って、昔と比べて最近の果物はカロリーが、特に増加したとは言えません。

 「果物は昔と比べて美味しくなっているのにどうして?」と、疑問に思われるかも知れません。果物の美味しさを作る成分の一つに甘味があります。甘味成分は、ショ糖、ブドウ糖、果糖などの糖質ですが、糖質1g当たりのカロリーは4kcalなので、糖度(甘さの指標)が1%増加してもカロリーは4kcalしか増加しません。そのため、甘味が増しても、カロリーにはあまり影響がないのです。

 さらに、果物の美味しさの秘密は、甘さだけではありません。酸味、糖と酸の比率(糖・酸比)や肉質も関係しています。酸味成分はリンゴ酸やクエン酸などです。酸味が少ないと甘いだけの淡泊な味となります。ところが、糖と酸の比率が適正であると、濃厚な味になり果物らしさが出てきます。また、食べるときの歯ごたえ(肉質)も美味しさを決める大きな要因です。

 昔に比べて果物は美味しくなっていますが、それは、それぞれの果物の美味しさを構成する成分や要因がバランス良く整った新品種が現れたためです。育種に携わる人たちの長年の努力の成果でもあります。


表 主な果物のカロリー
-----------------------------------
果物の種類   カロリー(kcal/100g)
                四訂   五訂
-----------------------------------
アンズ        33   36
ウメ         29   28
温州ミカン      44   46
バレンシアオレンジ  37   39
カキ         60   60
キウイフルーツ    56   53
グレープフルーツ   36   38
オウトウ       54   60
スモモ        46   44
セイヨウナシ     56    54
ナツミカン      38    40
ニホンナシ      40   43
パインアップル    58   51
バナナ        87   86
ビワ         43   40
ブドウ        56   59
モモ         37   40
リンゴ        50   54

-----------------------------------
四訂:四訂日本食品標準成分表(1982)
五訂:五訂日本食品標準成分表(2000)





★★用語解説★★

カロリー

 カロリー(cal)とは、熱量の単位で1カロリーは、1気圧の下で1gの水を14.5度から15.5度まで上げる熱量のことである。栄養学では普通1kcal(1000cal)のことをカロリー(Cal)という。ただし、日本食品標準成分表に示されているカロリー値は、食品を燃焼させた場合に発生する熱量をそのまま示しているのではなく、消化吸収率や尿中へ損失したエネルギー量を補正後、人で利用できるエネルギー量として記載されている。


五訂日本食品標準成分表

 昭和25年(1950)に初めて作成され、昭和57年(1982)の四訂を経て、最新版は平成12年(2000)に公表された五訂日本食品標準成分表である。収載食品数は1,800点以上、成分項目は、タンパク質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンなど36項目が記載されており、栄養学の研究、病院、学校などの集団給食、食料計画、日常の食生活などに広く利用されている。

 科学技術庁資源調査室編.(2000)五訂日本食品標準成分表.(大蔵省印刷局)





◆◇◆サイト紹介◆◇◆

http://food.tokyo.jst.go.jp/ (ホームページ)
http://food.tokyo.jst.go.jp/selectFood/sel_top.pl (食品名検索サイト)

 五訂日本食品標準成分表のデータベースサイトです。検索方法として「フリーワード検索」(食品名に関するキーワードを直接入力して検索する)、「食品名検索」(食品群と食品名をリストから選択して検索する)、「食品成分検索」(食品を構成する成分をリストから選択し、条件を指定して検索する)があります。

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/12/11/001197.htm

科学技術庁(当時)から発表された五訂日本食品標準成分表の概要が見られます。目的、性格などが記載されていますので、成分表に関心のある方はクリックしてみて下さい。(報道の日付 2000/11/21)





☆ 編集部より☆

 もし時間があれば、科学技術庁資源調査室編の五訂日本食品標準成分表(大蔵省印刷局)を見ていただきたいと、成分表の作成に携わって感じました。この原本には、成分値のほかに、各成分の分析法や各食品の何を分析したかなどが記載されており、成分表に対する疑問のいくつかはこの部分で解決できると思うからです。各出版社から出ている成分表は見やすくて使いやすいのですが、残念ながら原本の成分値のみしか記載されていません。(tnk)

 4月から担当することになりましたNと申します。出身が南国なので、こちらでは最近さくらが咲いて暖かくなったと思いますが、私にとってまだまだ寒いです。それでは、今後ともよろしくおねがいいたします。(N)



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