ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第7回 1日1個のリンゴで医者いらず



  

      
□□■  果物&健康NEWS Vol.7 ■□□
    ■   2004年4月14日(水)  ■


みなさん、こんにちは!
今回は、「1日1個のリンゴで医者いらず」の起源と歴史です。
言葉を組み合わせて頭の体操を楽しんでください。





■メニュ−■

   □□ 「1日1個のリンゴで医者いらず」の起源と歴史 □□

   ★★用語解説★★

   ◆◇◆サイト紹介◆◇





□□ 「1日1個のリンゴで医者いらず」の起源と歴史 □□

 「1日1個のリンゴで医者いらず」、「みかんが色づくと医者が青くなる」など、果物と健康との関わりについて簡明に言い表したたくさんの養生訓があります。そこで、「1日1個のリンゴで医者いらず」の起源と歴史を調らべてみました。

 1866年のthe Jouornal Notes and Queries(疑問と解説)に、「Eat an apple on going to bed, And you'll keep the doctor from earning his bread」(寝る前にリンゴを1個食べなさい。そうすれば、医者がパンを稼ぐのを妨げられるでしょう)との記録があることが分かりました。また、現在の形である「An apple a day keeps the doctor away」(1日1個のリンゴは医者を遠ざける//1日1個のリンゴで医者いらず)は、1913年の印刷物に記載されているそうです。

 1930年頃になると、「XはYを遠ざける」(An X a day keeps Y away)のフレーズが、流行したようです。たとえば、「An onion a day keeps the world away」(1937年:1日1個のタマネギはみんなを遠ざける//タマネギは臭いという意味でしょうか)、「A murder a day keeps the doctor away」(1日1人の殺人で医者いらず//かなり不気味)、「An effort a day keeps failure away」(1日1回の骨折りは失敗を遠ざける//結婚した若いカップルに対する言葉だそうです)のようなパロディーも作られたとか。最近では「5 miles a day keeps the docter away」(Times, 1978年:1日5マイル(約8km)で医者いらず)、「A beer a day keeps the doctor away」(Punch, 1985年:1日1杯のビールで医者いらず)などがあるそうです。

 19世紀以前の歴史は曖昧ですが、古い英語に「Ate an apfel avair gwain bed Makes the doctor beg his bred」(単語の意味は用語解説に記載)とのことわざがあるそうです。このことわざの起源には、13世紀後半説、Middle ages(中世)説、Old English(古期英語)説があり、それぞれ、1250-1300年、500-1350-1500年、450-1150年となります。重なっているような、いないような感じです。12-13世紀頃が起源として有力ですが、少なくとも16世紀はじめには、この養生訓は成立していたと考えられます。また、どこの地で言われていたかについては、イギリス・ウェールズのPembrokeshire(ペンブルックシャー)説が有力です(グレートブリテン島南西部の地方)。

 ではなぜ、このような養生訓が生まれてきたのか。リンゴと医療との関係についての歴史も調べましたが、長くなるので、またの機会にメルマガでお知らせいたします。

 最後に、現代の養生訓を。
 「毎日くだもの200g以上」、しっかり食べて健康を維持しましょう。





★★用語解説★★

Old English
 古(期)英語:450年ごろから1150年ごろまでの英語をさす。

 →ヨーロッパの歴史:450年頃、アングロサクソン族がブリテン島に移住。1066年、ノルマンディー公(のちのウィリアム1世)がイングランドに侵攻し、ノルマン王朝(イングランド王国)を創始。
 →日本の歴史:604年、聖徳太子が官位十二階、憲法十七条を制定。1192年、鎌倉幕府が開かれる。

Middle Ages
 中世、中世紀:ヨーロッパ史では、通例、ローマ帝国の滅亡からイタリアルネサンスまで、つまり500年ごろから1350年ごろまでをさす。時には1100年以降に限ることもあり、また、1450年ないし1500年ごろまで拡大されることもある。

 →ヨーロッパの歴史:467年、西ローマ帝国滅亡。1337年、英仏百年戦争がはじまる。レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)
 →日本の歴史:1338年、 室町幕府が開かれる。1590年、豊臣秀吉が国内を統一。

apfel
 リンゴ:古英語はドイツ語の影響を受けている。ドイツ語でリンゴはapfel。

avair
 前に:古英語avairのvはfでaforに変化した。afor = before

gwain
 行く:古英語gwainのgは発音しないのでgainからgoingに変化したと考えられている。マーク=トウェーン(1835-1910)は、トムソーヤのなかでgoingの代わりにgwineを使っているそうである。

Pembrokeshire(ペンブルックシャー)
 1093年、イギリス・ウェールズの南西部のペンブルックシャーに、ノルマン人が木造の城を築き、その後13世紀に、イングランド国王につながるウィリアム・マーシャルが石造りの城を築いたと伝えられている。ペンブルックシャーにあるドックは、主として18世紀に木造艦船を建造しており、1920年代までイギリス海軍の造船所があった。

 →ヨーロッパの歴史:1096年、第一回十字軍遠征。1920年、国際連盟創設。
 →日本の歴史:1902年、日英同盟。





◆◇◆サイト紹介◆◇

 今、果樹農業は、曲がり角にきています。美味しくて、健康によい果物を消費者に届けるにはどうしたらよいか。労働力の減少、高齢化が進む中、果樹農業が発展していくには、少人数でも生産効率の高い果樹栽培技術の開発は不可欠です。

 しかしながら、省力栽培技術を本格的に行っている研究グループは、残念ながらほとんどなく、果樹農家の努力に頼っているのが現状です。今回は、新旧の先進的農家を紹介したサイトを2つ。

http://www.nhk.or.jp/projectx/129/

 NHKの番組プロジェクトX「悲願のリンゴ 伝説の職人津軽に立つ」のあらすじが載っているページです。1つの品種が普及するまでには、先人の心身の労を惜しまない努力が隠されています。


http://www.nhk.or.jp/t-shinseiki/back/syoku127.html

 NHKの番組「食の挑戦者」のリンゴ編です。美味しいリンゴを作るため日々改良を重ねている農家が紹介されています。果樹農家は、皆、それぞれ独自の方法を積み上げて美味しい果物を作っていますが、その一端を知ることができます。




☆ 編集部より ☆

 新年度が始まりました。メルマガ「果物&健康NEWS」を立ち上げたebさんも転勤です。ebさんの熱意と努力がなければ、このメルマガはありませんでした。気をひきしめて、志を引き継ぎたいと思っています。(tnk)

 果樹を担当することとなってから、スーパー、デパート等のくだもの売場が気になるようになりました。そのコーナーは、彩りが鮮やかでなんだか楽しいし気分になります。これから夏になると、もも、ぶどう、なし等、美味しい果物がどんどん出て来るのが、また、楽しみです。(N)




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