くだもの・科学・健康ジャーナルHP > 果物&健康NEWSトップ >
ほぼ週刊メールマガジン「果物&健康NEWS」

第82回 リンゴとビタミンC

  



サイト案内





メルマガ果物&健康NEWS登録


□□■ 果物&健康NEWS Vol.82 ■□□
   ■  2005年12月2日(金)   ■


みなさん、こんにちは!
特集は「リンゴとビタミンC」です。
------------------------------------------------------
毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは http://www.kudamono200.or.jp



:::■ メニュー ■::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 ◇ リンゴとビタミンC
 ◇ 今週のレシピ:リンゴ
 ◇ 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り、こんな時どうする(第22回)
 ◇ 都道府県別食料自給率
 ◇ サイト紹介:フクロウの住むリンゴの木
 ◇ 文献紹介:老いは鋭敏な頭脳の障壁ではありません
 ◇ 編集部より



□ リンゴとビタミンC

 リンゴは不思議な果物です。リンゴに含まれているビタミンCは100g中に3mgで、食品の中ではさほど多いわけではありません。にもかかわらず、農研機構果樹研究所で行ったヒト介入研究の結果、血液中のビタミンCがリンゴを摂取すると34%も増加しました。

 被験者14人(平均45才)に1日1.5〜2個(360〜480g)のリンゴを3週間、毎日摂取してもらい、血液中のビタミンCを測定しました。また、リンゴ非摂取期間を前後各2週間もうけ、リンゴ摂取期間と比較しました。その結果、リンゴを摂取すると、血液中のビタミンCが摂取前より34%増え、統計的に有意に増加し、摂取を中止すると有意に減少しました。

 フランスで行われた動物実験では、モルモットにリンゴを与えると、血液中のビタミンCが2倍となり、肝臓や副腎でも増加し、リンゴに含まれているビタミンC含量よりも体内のビタミンCが大幅に増えたと報告されています。こうした実験結果を総合して考えると、リンゴにはビタミンCを効率よく体内に取り込むのを助ける成分が含まれているため、含有量から予測される以上に血液中のビタミンCが増えると考えられました。

 一方、国立がんセンターが行った5年間の調査によれば、サプリメントでビタミンCを1日50mg摂取したグループの血液中のビタミンCの増加量は13.0%で、500mg摂取したグループでも増加量は38.5%でした。従って、リンゴ摂取で血液中のビタミンCが34%増加したことを、サプリメントに直すと1日約500mgのビタミンCを摂取したことと同等になります。このことは、ヒトの健康に役立つ栄養素を摂る場合、サプリメントではなく食品から摂取する方が効率的であることも示しています。

 ビタミンCは、様々な生活習慣病予防に有効です。新潟県新発田市に住む約2千人を対象に20年間追跡調査した結果、血液中のビタミンC含量が高いグループは、低いグループと比較して脳卒中の発症リスクが55%低くなり、脳梗塞では49%も少ないことが分かりました。また、ガンに対するビタミンCの予防効果について米国の成人男性を追跡調査した結果では、血液中のビタミンC含量が低いグループは、高いグループと比べて、ガンによる死亡率が62%も高いと報告されています。そのほか、ビタミンCを多く摂取すると、壊血病予防、ストレス解消、色素の沈着防止、白内障予防などに有効であると報告されています。

 ビタミンCは水溶性なので体内に蓄積されないので毎日摂取する必要があります。従って、ビタミンCを含む食品とともにリンゴを毎日摂取すると生活習慣病を予防し、健康の維持増進に有効です。




□ 今週のレシピ:リンゴ

○ リンゴのレモン煮
 ヨーグルトやアイスクリームにリンゴのレモン煮を添えたり、ホットケーキの素と混ぜて焼けばアップルケーキとなります。

材料
 リンゴ 2個、グラニュー糖 大さじ2杯、水 大さじ2〜3杯、
 無塩バター ひとかけ、レモン汁 1/2個分、レーズン適量

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトにあります。
http://www.mint-j.com/toko/001.htm

○ リンゴのクランブル
 上記レシピの応用編で、リンゴのレモン煮にそぼろ状のビスケット生地をまぶして焼き上げたお菓子です。
レシピはリンゴのレモン煮と同じサイトにあります。

○ クリーム焼きリンゴ
 30分でできるリンゴのデザートです。

材料4人分
 リンゴ 小4個
 <チーズソース>クリームチーズ 大4枚、バター 40g、
 砂糖 大さじ4杯、薄力粉 大さじ2杯、
 シナモンパウダー 少々、ブランデー 大さじ1杯

作り方と出来上がりの写真は下記のサイトにあります。
http://www.e-recipe.org/regulars/154/011003_4.html




□ 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り、こんな時どうする
  第22回 剪定の実際−その1


 前回、花の付き方や実のなり方についてお話ししましたが、こうした果樹の結果習性について思い出していただきながら剪定についてさらに話しを進めたいと思います。

 剪定は樹形を整えるために枝を切ることですから、まず、それに適したノコギリやハサミを揃える必要があります。果樹の剪定用に製造・販売してい専門メーカー(剪定鋸(ケース付き):2500円〜5000円程度:剪定鋏(ケース別):2500円〜5000円)のものを利用するのが無難ですが、ホームセンターなどで売られている比較的安いものでも使用はできると思います。こうした道具を扱うときに大切なことは、剪定が終わったときに汚れを取るなどの手入れを怠らないようにして、いつも使いやすくしておくことです。

1)剪定はしなければいけないか
 剪定に対する考え方はいろいろあります。例えば、ある剪定の名人曰く「剪定とは切らないことと見つけたり」。またある名人曰く「剪定とは切ることと見つけたり」とか、枝を切るとき「迷ったら切れ」とか、「迷ったら切るな」とかの名(迷)台詞があります。このことを私なりに解釈すれば、どちらも正しいことをいっているのではないかと思います。どの言葉も、切りすぎを戒めるとともに、樹には不要な枝はないことを示しています。そのため、樹勢の維持や結実管理のためには樹の特性に合わせた適切な剪定が必要です。

 樹種によっては放任すると大きくなりすぎて樹形が乱れてしまうものがあります。この様な樹種では毎年剪定を行い管理しやすい樹形を維持することが大切です。一方、1年間の生長量が小さく樹形もそんなに大きく変わらないものでは剪定は軽めでも良いかも知れません。このことは、樹型の管理についてだけでなく、それぞれの枝の剪定にも当てはまります。

 いずれにしても良果生産には、切りすぎないよう適度な剪定によって枝数を調整し、枝を充実させ、花や果実の量を制限して品質のよい実を付けるようにするのが剪定です。

 ただ、どのような剪定をする場合でも、樹には不要な枝はないのだが、目的に合わせてやむを得ず切るのだとの気持ちを持ちたいものです。剪定だけで品質のよい果実の生産を達成しようとすると枝を切りすぎてしまいます。そのため、できるだけ切らなくて済むような樹形を作るには芽かき、捻枝(ねんし)、誘引などの管理も併せて行うことが大切です。

2)剪定の時期
 落葉果樹の剪定は12〜2月の冬季に果樹が休眠している時期に剪定し、春からの成長に備えます。特に枝の切り口から養水分が流失し易いブドウやキウイフルーツでは1月中に行います。寒さに弱いカンキツ類は発芽直前の2月下旬から3月下旬頃に行います。一方、冬の間に花が咲き実の付いているビワなどは9月に行います。

 春先からの夏の成長期は、樹形を乱すように大きくなると予想される元気の良い芽や同じ場所から多数発芽して混雑の予想される部分では、芽かきを中心とし、摘芯、新しい枝の間引きや誘引もこの時期に行ましょう。




□ 都道府県別食料自給率

 農林水産省は、各都道府県別にカロリーベース及び生産額ベースの食料自給率を公表しました。地域の食料自給率の公表は、地産地消、食育活動において活用するなど、地域の農業生産や食生活について国民の一人一人が身近な問題として考える契機なることを期待しています。

 詳しい県別の数値は下記のサイトで読めます。
 http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20051125press_2b.pdf




□ サイト紹介:フクロウの住むリンゴの木

 津軽地方には樹齢100年を越えているリンゴの木があり、そうした老木の穴の中でフクロウは子育てをするそうです。NHK「さわやか自然百景」の取材日記サイトは下記です。

http://www.nhk.or.jp/sawayaka/tsugaru.html




□ 文献紹介:老いは鋭敏な頭脳の障壁ではありません

 老いるということは鋭敏な頭脳の障害ではないが、たぶん若いときの記憶方法と異なっているのではないかとジョンズ・ホプキンス大学の科学者ら示唆しています。

 研究者らは、老いたラットと、若いラットを用いて実験を行った結果、老いたラットは、若いラットと異なった方法でものを覚えていることを発見しました。

 実験では、様々なテストに対して鋭敏に反応する2歳の老いたネズミと、新しいことを学ぶ力の衰えた2歳の老いたネズミ、6カ月の若いネズミの脳を比較しました。

 記憶など情報伝達に関与するシナプス接合部には微細な隙間があり、この間を神経伝達物質が移動し、脳へ情報を登録・保存し記憶を形成します。

 新しいことを学ぶ力の弱い老いたラットでは、シナプス接合部における連絡・調整をする能力が失われていました。一方、鋭敏な老いたラットは若いラットと比較してシナプス接合部の数は少なくなっていましたが、シナプス接合部における連絡・調整能力は維持されていました。このことから、シナプス接合部における連絡・調整能力は年齢とは独立していることが分かりました。

 以上のことから、加齢によってシナプス接合部の数は減少していきますが、記憶・学習などと関係する能力(long-term potentiation)は加齢とは関係なく高いことが分かりました。97歳でこの世を去る直前まで精力的に活動し、世界に影響を与えたバートランド・ラッセル氏などの記憶・学習能力が死ぬまで衰えなかったのはこのためだろうと考えられています。

【文献】
Lee, H-K., et al.: NMDA receptor-independent long-term depression correlates with successful aging in rats. Nature Neuroscience, online 13 Nov. 2005; [doi:10.1038/nn1586] (2005)




☆ 編集部より ☆

 リンゴの健康効果を研究していますが、調べれば調べるほど不思議な果物です。今まで知られていない生活習慣病予防効果が次々と明らかとなってきています。(tnk)

 これから忘年会シーズンですね、お酒やご馳走で血がドロドロになりがちなので、果物を沢山食べて元気に乗り切りましょう!(uri)




 果物&健康NEWS ご愛読に感謝申し上げます。
 無断転載は、引用を含めて、お断りします。
 ご協力に感謝いたします。  編集長 敬白

Copyright 2004-2005 Keiichi Tanaka. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.



くだもの
はたらき



果物と糖尿病予防


果物&健康Newsへ戻る
果物&健康Newsへ戻る


くだもの・科学・健康ジャーナルへ
くだもの・科学・健康ジャーナル
ホームページへ戻る