
サイト案内 |
2005/06/28 記憶力の維持に葉酸
老化に伴う記憶力などの低下を防ぐために、葉酸が有効との研究結果を米ワシントンで開かれたアルツハイマー病の国際学会でオランダのDutagaらが発表した(文献下記)。
50-75歳の健康な男女818人を2つのグループに分け、一方のグループには葉酸800μgの錠剤を、別のグループにはダミー錠剤を、毎日1回ずつ投与し続け、3年後に記憶力と認知速度を検査した。
その結果、葉酸を服用したグループは記憶力の検査で、実年齢より平均5.5歳も若い人たちと同等のレベルを維持していることが分かった。このグループは認知速度でも、平均1.9歳若い人たちに並ぶ成績を挙げたという。
【文献】 Dutga, J., et al.: Effect of 3-year folic acid supplementation on cognitive function in older adults. A randomized, double blind, controlled trial. Alzheimer's Association International Conference on Prevention of Dementia. HT-002 (2005)
▽ 葉酸の豊富な食品は、イチゴやサクランボ、キウイフルーツ、クリなどです。上記論文はアルツハイマー病を予防できるとしているわけではありませんが、大変興味深い研究です。これまでに葉酸は、心臓病、脳卒中の予防に有効との結果が報告されており、果物の有用性がまた一つ明らかになったと思っています。
2005/06/23 食事バランスガイドの目的
平成12年3月に文部省(当時)、厚生省(当時)、農林水産省により「食生活指針」が策定され、それを受けて食に携わる関係者の取組方針を定めた「食生活指針の推進について」が閣議決定されるなど、心身ともに健康で豊かな食生活の実現に向けた普及・啓発が進められてきた。しかし、野菜の摂取不足、食塩・脂肪のとり過ぎ等の食生活上の問題が見られ、男性を中心として肥満者が急速に増加する中で、国民一人一人が自らの食事を選択する際に「何を」「どれだけ」食べればよいのかの拠り所をわかりやすく示すことが必要となってきている。
食生活指針は広く国民に対して望ましい食生活に関するメッセージを伝えたものであり、毎日の生活の中で一人一人が自らの食生活上の問題点を容易に把握でき、具体的な行動に結びつけることを目的とした情報やツールを提供することが大きな課題となっていた。また、生活習慣病の予防を中心とした健康づくりという観点からは、とりわけ、30〜60歳代男性の3割が肥満である状況を改善に導くこと、単身者や子育てを担う世代に対して栄養・食生活についての関心や必要な知識・スキルを身につけてもらうことが必要である。
このため、食生活指針を具体的な行動に結び付けるものとして、食事の望ましい組合せやおおよその量をわかりやすくイラストで示した食事バランスガイドを策定することとした。
食事バランスガイドは、誰もが親しみやすいものになることを目指して策定したものであり、一人一人が自分自身又は家族の食生活を見直すきっかけになるものとして、より多くの方々に活用されることが重要である。このためには、国を始め、地方公共団体、食品事業者、管理栄養士、栄養士、地域における食生活改善推進員等が連携して、普及活用の取組を進めていく必要がある。とりわけ、日々の食べ物を購入・消費する小売店、外食の場等で活用されることが必要である。
このような取組を進めることにより、「バランスのとれた食生活の実現」が図られ、国民の健康づくり、生活習慣病の予防、食料自給率の向上に寄与することが期待される。
▽ くだもの200グラムを最初に提唱したとき、果樹研究所のなかに反対があった。そして、その後、果樹研究の主要目標からも外されるというようなことが起きていた。ぜひこの食事バランスガイドの目的をよく読み、内容を理解してもらいたいものである。果樹農業の現状をしっかり把握しないと趣味的研究に埋没し、果樹農業が衰退してしまうだろう。
2005/06/22 食事バランスガイド公表:果物は1日2つ
生活習慣病予防や健康づくりのため、厚生労働省と農林水産省の検討会は21日、食生活の指針となる「食事バランスガイド」をまとめ公表した(サイトは下記)。
こまをイメージした逆三角形のカラーイラストで、ごはんや肉、魚、野菜、乳製品、果物をバランス良く食べる目安を示している。
特に30−60代の肥満男性、単身者、子育て世代を対象に、野菜不足や朝食抜き、食塩や脂質の取りすぎなどを改善するのを狙いとしている。スーパーやレストラン、給食施設、弁当などに表示してもらい、夏から普及させたいとしている。
食事バランスガイドは、成人が1日に食べる目安を、1つ、2つなどを単位(またはSV)で提示している。(1)ご飯やパンなどの主食は5−7つ、(2)野菜など副菜は5−6つ、(3)肉や魚の主菜は3−5つ、(4)牛乳・乳製品は2つ、(5)果物は2つ、とした。
【主食(ごはん・パン・麺など)】<5〜7つ(SV)>
毎食、主食は欠かせない。主菜、副菜との組合せで、適宜、ごはん、パン、麺を組み合わせる。
【副菜(野菜・いも・豆・海藻など)】<5〜6つ(SV)>
日常の食生活の中で、どうしても主菜に偏りがちになることが多い。従って、できるだけ意識的に主菜の倍程度(毎食1〜2品)を目安に十分な摂取を心がける。
【主菜(肉・魚・卵料理・大豆食品など)】<3〜5つ(SV)>
多くならないように注意する。特に油を多く使った料理では、脂質及びエネルギーの摂取が過剰に傾き易くなる。
【牛乳・乳製品】<2つ(SV)>
毎日コップ1杯の牛乳を目安に摂取
【果物】<2つ(SV)>
毎日、適量を欠かさず摂るように心がける。
プレスリリースのサイトは下記。
http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050621press_2.html
食事バランスガイドは下記。
http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050621press_2b.pdf
▽ 1日に食べる果物2つは、ミカンなら2個、リンゴなら1個、カキなら2個、ナシなら1個、ブドウなら1房、モモなら2個です。果物は牛乳・乳製品と同等と位置づけられました。今までの努力が実ったのがうれしい。これから、皆さんに実際に食べてもらい、健康になってほしいと願っています。

2005/06/21-22 アルツハイマー病予防に果物・野菜ジュース
米・ワシントンD.C.で開催中のアルツハイマー病に関する国際会議(June 19-21)で、果物や野菜ジュースを愛飲すると発症リスクが4分の1に抑えられるという発表された。
果物・野菜ジュースの効果は、南フロリダ大のBorenstein教授らの研究チームが、米ワシントン州シアトルに住む65歳以上の日系人男女1836人を7〜9年間にわたり追跡した健康調査のデータから示された(Kame
Project cohort)。
コップ1杯(約240ml)の果物・野菜ジュースを週に最低3回飲む人は、週1回未満の人に比べて、アルツハイマー病の発症リスクが73%低かった。また、週1-2回でも32%発症リスクが下がった。一方、サプリメント(ビタミンE、C、β-カロテン)の摂取ではアルツハイマー病
に対する予防効果が認められなかった。
以上の結果から、果物や野菜のジュースに含まれているポリフェノールが過酸化水素に対する神経細胞の保護やタンパク質の酸化を防ぐ働きによるのではないかと考察している。
【文献】 Borenstein,A.R., et al.: Consumption of fruit and vegetable juices
predicts a reduced risk of Alzheimer's disease: The Kame project. Alzheimer's
Association International Conference on Prevention of Dementia. P-161 (2005)
▽ 日系人を対象としたこの研究は追加調査が必要であるが、果物と野菜ジュースがアルツハイマー病に有益である可能性が高い。予防効果を示す成分としてポリフェノールのほかに葉酸なども考えられるのではないか。最近、果物がアルツハイマー病予防に効果的との情報が次々に発表され、科学的証拠が蓄積している。
2005/06/15 C型肝炎ウイルスを世界初の培養に成功
東京都神経科学総合研究所のチームなどが、ヒトの培養細胞の中でC型肝炎ウイルスを作り出すことに世界で初めて成功した(文献下記)。C型肝炎ウイルスは増える力が弱いため生体の外での培養は実現しておらず、そのため、ワクチンも開発されていない。
一方、C型肝炎の患者は全国に200万人といわれ、ウイルスが作られる仕組みが明らかになれば、新しい抗ウイルス薬やワクチン開発に結びつくと期待される。
C型肝炎は数十年かけて慢性肝炎から肝硬変、肝臓がんに移行することが知られており、インターフェロンなどが治療に使われているが、患者の半数は効果が十分でないとされている。
C型肝炎のウイルスは複数確認されているが、ウイルスの遺伝子は複製力が弱く、生体外でウイルスは増えないと考えられていた。しかし、脇田らは、劇症肝炎を起こすウイルスは増える力が強いことに着目し、劇症肝炎患者の血液から採取したウイルスを使い、培養したヒトの肝細胞に感染させウイルスを増やすことに成功した。
【文献】 Wakita, M., et al.: Production of infectious hepatitis C virus
in tissue culture from a cloned viral genome. Nature, [doi:10.1038/nm1268]
(online 12 June 2005)
脇田らの仕事は下記のサイトで日本語で読める。
http://www.tmin.ac.jp/topics/002/002.html
2005/06/09 ミカンに肝障害予防効果
ミカンを多く食べると肝機能障害や動脈硬化の予防に役立つことが、(独)農研機構果樹研究所の杉浦実らの疫学調査で分かった。温州ミカンの産地でわる静岡県三ケ日町の男女1073人を対象に調査した結果、ミカンに含まれるカロテノイドの一種、β-クリプトキサンチンの血中レベルが高い人ほど、アルコール性肝障害の指標となるγ-GTP値や、動脈硬化の度合いを示す数値が低かった。同じカロテノイドの一種のβ-カロテンについても同様の結果だった。
ミカンは、オレンジの約10倍のβ-クリプトキサンチンを含み、過去の調査ではミカンを多く食べると血中濃度が高くなることも分かっている。
プレスリリースは下記のサイトで読める。
http://www.fruit.affrc.go.jp/announcements/
kisya/h17-06-07/eiyo_Carotenoid.html
2005/06/06 死亡率が高いのは「やせた人」
約1万1000人を対象にした疫学調査から、日本人の中高年では、男女ともにやせた人の方が肥満や標準体格の人より死亡率が高いとする結果を林らのグループが発表した(文献下記)。
1993年に群馬県内の40-60才の男女に身長、体重、生活習慣などを尋ね、以後7年間追跡して死亡率を調べた。
その結果、体格指数(BMI)が標準的(22-24.9)な人に比べ、やせとされる18.5未満の人は、死亡率が男性で2.59倍、女性で2.93倍高かった。BMIが28以上の肥満の男性は1.63倍、女性は2.71倍で、男女ともにやせの死亡率の方が肥満を上回った。
また、がんや循環器疾患などの死因別に見た場合や喫煙者を除いた場合でも、同様の傾向を示した。
【文献】 Hayashi, R., et al.: Body Mass Index and Mortality in a Middle-aged
Japanese Cohort. J. Epidemiology. 15: 70-77. (2005)
▽ 疾病と肥満との関係はよく知られているが、やせにも問題があることが今回の調査で明らかとなった。特に、肥満体よりもやせすぎの方が死亡率が高いことは注目すべき点である。やせすぎの場合、栄養バランスがくずれているため疾病にかかりやすいのではないかと考えられる。
2005/06/05 日本では子供の事故が多い
厚生労働省がまとめた「子どもの事故予防のための市町村活動マニュアルの開発に関する研究」で、1〜14歳の子どもの死亡原因(2003年)は、事故が24%を占め、がん14%、先天奇形9%、心臓病7%などで、0歳で152人、1〜4歳で230人、5〜9歳で221人が不慮の事故で亡くなったとしている。
そのため、子どもの事故防止指導に必要な「市町村活動マニュアル」を開発することとしている。
上記報告書は下記のサイトで読める。
http://www.niph.go.jp/soshiki/shogai/
jikoboshi/public/pdf/manual-all.pdf
子供の事故防止支援サイトは下記(国立保健医療科学院)
http://www.niph.go.jp/soshiki/shogai/jikoboshi/index.html
厚生労働省のプレスリリースのサイトは下記
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/05/h0510-2.html
2005/06/02 04年人口動態調査結果
厚生労働省の04年の人口動態統計から晩婚化・晩産化の傾向が進んでいることがわかった。生まれた子どもの数は111万835人と前年より1万1775人少なく4年連続の減。1899年に統計を取り始めて以来の最少を更新した。少子化に歯止めがかからない実態が浮かび上がった。
日本人女性1人が産む子どもの数の平均を示す合計特殊出生率については、「1.29」と正式に発表した。細かくは1.2888だったが、小数点以下第3位は四捨五入して表すのが国際的慣行といい、同省は「横ばいだが、下げ止まったともいえない」としている。
平成16年人口動態統計月報年計(概数)の概況は下記のサイトで読めます。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/
jinkou/geppo/nengai04/index.html
2005/06/01 現代サラリーマンの太りやすい生活行動
花王が「現代サラリーマンの太りやすい生活行動」調査の結果(回答数323人)を発表している。その報告によると、6割以上のサラリーマンが「早食い」「不規則な食事時間」といった食生活などから、自らの生活が「太りやすい」と分かっているにもかかわらず、生活習慣を変えられず、減量できないことを自覚していることが分かった。
全体の43%が減量に挑戦したが、そのうち57%が再び体重が増え、失敗しているという。「太りやすい」人の生活習慣が端的に表れるのは休日の過ごし方で、「休みぐらいは、ゆっくり過ごしたい」と「夜型」、日ごろの疲れから「家でごろごろ過ごしてしまう」という回答が半数を超えた。
上記報告のサイトは下記。
http://www.kao.co.jp/corp/news/2005/2/
n20050530-01re.html

2005/05/31 がん予防の常識の崩壊??
5月30日発売AERA(05.6.6, No30:31-33)に「がん予防常識の崩壊」の記事が掲載されました。副題は、「野菜や食物繊維が大腸がんを予防する。教科書にも載るそうした常識を覆す研究結果が次々と出ている。何を信じて生活すればいいのか」とあります。著者は編集部の大岩ゆり氏です。
タイトルと副題だけ読むと今までの常識がすべて覆ったように読めます。ところが、記事の結論部分で、「科学的根拠に基づくがん予防」の中で、「野菜・果物を少なくとも1日400グラムとるようにする」という指針を紹介しています。なんだか騙されたような記事です。
それに、大腸がんについては昔から論争が続いていて、効果があるかないかの判定はまだ下っていないと思います。動物実験などでは、予防効果があるとした結論の方が多いと思います。そのため、今回の厚生労働省の研究班の結果だけを取り上げて常識の崩壊とは科学的にはいえないのです。なぜなら、疫学研究の場合、1つの論文だけですべてを言うことができないためです。
たとえば、お茶に胃がん予防効果があるかどうかについては、東北大の坪野らのグループと文部科学省の研究班が効果なしの結論を出しましたが、厚生労働省の研究班は効果ありとしています。同じ日本人を対象にした大規模な、そして、信頼性の高い研究でも結果に違いがでます。
疫学研究は統計学を基礎とした学問であるため、比較する対象間の差が小さい場合は、有意差もでにくくなります。我が国の果物の摂取量は世界的に見て、とても少ないことが知られています。そのため、果物の摂取量の多い人と少ない人を比べても、もともとの差が小さいので統計的な有意差はでにくくなります。ところが、そうした条件でも果物を多く摂取している人では胃がんの発生が少ないとの報告は注目に値します。
結論、「がん予防のために果物や野菜をたくさん摂取する」の常識は覆っていないです。
2005/05/29 未承認広告で家宅捜査
5月18日に警視庁は、「アガリクスはがんに効く」と本で宣伝した疑いで出版社のなどを家宅捜査したと毎日新聞などが伝えています。容疑は薬事法違反です。医薬品の販売や広告には厳しい規制(薬事法)がありますが、出版社などは、本の中で薬事法に違反した広告をしたとして捜査されています。
具体的には、健康食品の「即効性アガリクスS」などが「がんに効く」と効能をうたった本の中で健康食品販売会社につながる電話番号を掲載したのは、未承認医薬品の広告に当たるとした疑いです。
昨年から厚生労働省は、出版社側に本から健康食品会社の電話番号を削除するよう行政指導していたが、その後、本のしおりに電話番号を記すなど、いたちごっこが続いていたとのことです。
病気が治るなどとして錠剤や加工食品などを販売広告するのはすべて未承認医薬品として薬事法違反です(特別に許可されている特定保険用食品などを除く)。たとえ広告内容に科学的根拠があっても薬事法違反です。科学的に正しいのだから広告・宣伝してもよいと思っておられる方がいますが間違いですので気をつけてください。
2005/05/20 食生活パターンと大腸がんとの関連
塩分が多い「伝統型」や肉類中心の「欧米型」食事をする女性は、大腸がんになりやすいことを、津金(国立がんセンター)らの研究グループが発表した(文献下記)。
岩手、秋田、長野、沖縄の4地域に住む40〜59歳の男女4万人を対象に、1990年から10年間調査した。調査は44食品の摂取量から「欧米型」、「伝統型」、「健康型」とに分け、大腸ガンの発生との関係を解析した。
その結果、女性では、肉や脂肪を多く食べる「欧米型」や、塩漬け食品を多く食べる「伝統型」の食事をしている人でで大腸がんの一種である結腸がんが増えていたが、大腸がん全体では明確な関連はみられなかった。また、男性の場合、「欧米型」でもがんの発症は特に増えなかった。果物や野菜を多く摂取している「健康型」では、最も多く食べるグループと最も少ないグループの間に統計的な有意差は認められなかった。
【文献】 Kim, M.K., et al., Dietary patterns and subsequent colorectal
cancer risk by subsite: A prospective cohort study. Int. J. Cancer, 115:
790-798. (2005)
▽ 上記結果を受けて、研究グループは「日本では大腸がんが急増しており食事の欧米化が主因と言われてきたが、定説に疑問」としています。ただ、この1つの論文だけで決定的なことを言うのは難しいと思います。著者らも述べているようにこの研究では、食品をたった44品目しか調査していません。そのため、それ以外の食品を含めれば結果が違ってくるかも知れません。また、調査の対象者数は多いのですが、大腸がんの発生数が少ない(10年間で370人が大腸がんを発症)ことも考慮する必要があります。本欄の2005/05/11付けの「野菜・果物摂取と大腸がん」と同じ一連の研究ですが、これらの調査結果は他の研究グループの疫学調査結果と異なる結論が多いように感じています。何故なのでしょうか。
2005/05/17 ホモシステインがアルツハイマー病に関与
アルツハイマー病の原因とされるβ-アミロイドが脳への蓄積に、ホモシステインが酸化したホモシステイン酸が関与していると、長谷川亨(佐賀女子短大)らが発表した。
実験は、アミノ酸の一種ホモシステインが酸化した「ホモシステイン酸」という物質を微量混ぜた溶液中で遺伝子を組み換えたヒトの脳細胞を培養したところ、ホモシステイン酸を混ぜていないものに比べ、脳細胞でのベータアミロイドの蓄積量が約1・4倍になった。そのため、ホモシステインの酸化を抑制すればアルツハイマー症の治療に役立つと期待される。
【文献】 Hasegawa, T., et al., Homocysteic acid induces intraneuronal accumulation
of neurotoxic A42: Implications for the pathogenesis of Alzheimer's disease.
J. Neurosci. Res., online doi: 10.1002/jnr.20514 (2005)
▽ ホモシステインとは、必須アミノ酸であるメチオニンから生成される含硫アミノ酸です。体内でメチオニンからホモシステインを経由してシステインに代謝される過程でビタミンB6が不足するとホモシステインからシステインへの代謝が低下し、ホモシステインが余り、血中ホモシステイン値が上昇します。また、葉酸、ビタミンB12が不足するともホモシステインからメチオニンへの代謝が低下して血中ホモシステイン値が上昇します。
メチオニン ←/→ (葉酸、B12) ←/→ ホモシステイン →(B6)→ システイン
ホモシステインが体内に蓄積すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞になりやすくなることが明かとなってきています。また、アルツハイマー病などの痴呆症の発症との関係も深いと考えられていました。今回の研究もその考え方を支持しています。
2005/05/11 野菜・果物摂取と大腸がん
厚労省研究班が野菜たくさん食べても、大腸がんの予防には効果がないのではないかとの調査結果を公表した。研究班は1990年に4地域(岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部)と1993年に5地域(茨城県水戸、新潟県柏崎、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古)の40-59歳の男女、計8万8652人に食生活についてのアンケート調査を行い、その後、追跡調査を行い、7年から10年の間に大腸がんにかかったかどうかを確認した。
野菜の量が少ないグループから多いグループまで全体を四つに分けて調べると、大腸がんになった人の数は、どのグループでも年間1000人に1人前後であった。一方、果物では、最も果物摂取量の多いグループは、少ないグループと比較して、大腸がんのリスクは0.92となり、やや予防効果が認められたが、統計的な有意差はなかった。
【文献】
Tsubono Y, Otani T, Kobayashi M, Yamamoto S, Sobue T, Tsugane S.: No association
between fruit or vegetable consumption and the risk of colorectal cancer
in Japan. Br J Cancer. 92:1782-1784. (2005)
下記のWEBサイトで全文(PDFファイル)を読むことができる。
http://www.nature.com/cgi-taf/dynapage.taf?file=
/bjc/journal/v92/n9/full/6602566a.html&filetype=pdf
▽ 果物と野菜が大腸がんに効果があるかどうかについては、効果があるとする報告と効果がないとする報告とがある。効果があるとした報告の代表例は、ヨーロッパで行われた52万人を対象にヨーロッパで行われた疫学調査(コホート研究)である。この調査では、果物による大腸がん予防効果が認められているが、その理由として食物繊維の摂取量があげられている。予防効果が認められたグルールの食物繊維の摂取量は1日あたり31.9gで、少ないグループは12.6gであった。現在、我が国における食物繊維の摂取量は14g程度なので、少ないグループに近い。そのため、統計的に有意な差がでなかったのではないか。
2005/05/08 フリーラジカル除去でマウスの寿命が延長
遺伝子操作で、マウスのミトコンドリアからで抗酸化酵素であるカタラーゼを過剰に発現させると、マウスの寿命が延長し、心臓病や老化も減少したと米科学雑誌サイエンス(Science)に発表された。カタラーゼには抗酸化作用があり、生体に有害な過酸化水素を除去する。遺伝子を組み換えられミトコンドリアのカタラーゼ濃度が高くなったマウスでは、細胞の酸化に起因する損傷や老化による心臓の衰弱および白内障が減少し、寿命がほぼ20%延長した。
著者らは、今回の結果から生体内で発生するフリーラジカルが細胞を攻撃して生体機能を低下させ、最終的には死に至るとしている。また、フリーラジカル源としてのミトコンドリアの重要性も指摘している。
【文献】Schriner, S.E., et al. (2005) Extension of murine lifespan by overexpression of catalase targeted to mitochondria. Science online 5 May 2005 [DOI: 10.1126/science.1106653].
▽ 今回の研究は、生体内の酸化作用を抑制すると哺乳類の寿命をのばすとする説を支持する結果です。酸化作用を抑制する酵素や成分が生活習慣病を予防するとの説を裏付ける研究が蓄積してきました。ただ、完全証明までには、まだまだ実験の積み重ねは必要だと考えています。
2005/05/05 こどもの日
「こどもの日」にちなんで総務省が、「我が国のこどもの数(15歳未満人口)」を発表した。同推計人口によると、平成17年4月1日現在のこどもの数は前年より15万人少ない1765万人で、昭和57年から24年連続の減少となった。男女別では,男性が904万人、女性が860万人で、男性が女性より44万人多く,女性100人に対する男性の数(性比)は105.1となっている。総人口に占めるこどもの割合は13.8%(前年比0.1ポイント低下)で,過去最低となった。
年齢区分別人口の割合の推移を見てみると、50年前の、1950年には15歳未満人口は、全体の35.4%、65歳以上人口は4.9%だった。
その後、1995年には、15歳未満人口16.0%、65歳以上人口は14.6%とほぼ同じ割合となり、2000年には、15歳未満人口14.7%、65歳以上人口は17.1%と逆転した。
一方、子供の割合は、沖縄県が18.6%で最も高く、東京都が12.0%で最も低い。また、全国平均(13.9%)よりも低いのは、18都道府県となっている。平成15年と比較すると、東京都及び大阪府は前年と同率、他の道府県はすべて低下している。都道府県別の低下幅をみると、青森県、秋田県、島根県、長崎県及び沖縄県が0.4ポイントと最も大きくなっている。
総務省が発表した統計は下記に記載されている。
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi120.htm
▽ 子供たちのいる生活は楽しい。そんな気持ちにさせてくれる漫画がほぼ日刊イトイ新聞のサイトにある「うるまでるびののぞきあな3」です。ごゆっくりお読み下さい。
http://www.1101.com/urumadelvi3/index.html
▽ 昭和26(1951)年5月5日に定められた児童憲章は下記のサイトで読めます。
http://list.room.ne.jp/~lawtext/1951JidoKensho.html

2005/04/24 厚労省による国民健康・栄養調査結果
2003年11月、全国の4160世帯を対象に、肥満、運動習慣などを調査した結果を厚生労働省が4月21日に発表した。この国民健康・栄養調査によると40代男性の3人に1人が「上半身肥満の疑い」で、20代女性の2割がやせていることが分かった。体重を身長の2乗で割った体格指数(BMI)が25以上で、男性はウエスト85センチ以上、女性は90センチ以上を「上半身肥満の疑い」とし、「上半身肥満」を調べたところ男性の40代に続いて、30代が29%で多かった。「上半身肥満」になると糖尿病や高血圧などの生活習慣病になる率が高い。
上記結果は下記のサイトで見ることができる。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/04/h0421-1.html
国民健康・栄養調査とは、健康増進法に基づいて厚生労働省が行う全国調査で、全国300地区の約5000世帯及びその世帯員(約15000名)に対して、毎年11月に実施される。各保健所が、栄養摂取状況を中心に、食事状況、生活習慣、体格、血液指標、運動量等を調査し、それらの集計にかかわる業務は独立行政法人国立健康・栄養研究所が行っている。
2005/04/21 アメリカCDCが肥満度と死亡率との意外な関係を発表
肥満が深刻な社会問題になっているアメリカで、最新データを基に体格と死亡数の関係を調べたところ、肥満度を示すBMIが30以上の肥満とBMIが18.5以下のやせの死亡率が高いことと、BMIが25-29.9の肥満まではいかない「太り過ぎ」に分類された人たちの方が、標準とされる集団より死亡数が少ないと、アメリカ疾病対策センター(CDC)が発表した。
この結果を受けて、CDCは、「太り過ぎ」の結果は意外だが肥満が深刻な問題であることは変わらないとし、引き続き対策を進める考えである。
CDCのプレスリリースのサイトは下記。
http://www.cdc.gov/od/oc/media/pressrel/fs050419.htm
▽ 肥満とやせは両方とも死亡率が高いことは従来の結果と同様であるが、「太り過ぎ」が標準より低いとの結果は今までに見られなかった。この点に関して今後の検討が必要である。もしかしたら、BMIの標準値はもう少し上なのかも知れない。
2005/04/20 書籍で「がんに効く」に薬事法違法容疑
キノコの一種アガリクスを成分とする健康食品を書籍で「がんに効く」と紹介したのは、未承認医薬品の広告に当たるなどとして、警視庁生活環境課が薬事法違反(未承認医薬品の広告、販売)の疑いで出版社「史輝出版」と健康食品販売「ミサワ化学」など約10カ所を家宅捜索したと共同通信などが伝えている(04/4/19)。
警視庁によると、出版物の内容が薬事法の定める広告に当たるとして捜査対象となるのは、全国でも初めてとのこと。史輝出版はミサワ化学とともに、薬事法で未承認医薬品の広告が禁じられていることを知りながら、「即効性アガリクスで末期がん消滅」などの書籍2冊の中で、健康食品の特集を載せ、書籍巻末に、本当はミサワ化学につながる電話番号を「問い合わせ先・アガリクス研究センター」と偽って掲載していた。
▽ 薬事法に違反していることを知りながら健康食品を売ることは論外であるが、知らずに違反することもあるので関係する法令等を下記に記載する。
健康食品とは
1.普通の食品よりも健康によいと称して売られている食品。
2.法令上明確な定義はない。
3.栄養成分を補給し、又は特別の保健の用途に資するものとして販売の用に供する食品(食品として通常用いられる素材から成り、かつ、通常の形態及び方法によって摂取されるものを除く=野菜、果物など)
。
4.バランスのとれた食生活が困難な場合においての2次的・補完的なもの。
従って、健康食品といっても「食品」なので、医薬品として認められているような効能効果は表記できない。そのため、食品を医薬品と思わせるような表現をした場合、医薬品としての承認や許可を取得せずに広告や販売をしたと判断され、薬事法違反となる。
下記のような表現があれば医薬品と判断され、薬事法違反となる。
1.疾病の治療又は予防を目的とする効能効果
2.身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効能効果
(ただし、栄養補給、健康維持等に関する表現はこの限りでない。)
3.医薬品的な効能効果の暗示
(1)名称又はキャッチフレーズよりみて暗示するもの
(2)含有成分の表示及び説明よりみて暗示するもの
(3)製法の説明よりみて暗示するもの
(4)起源、由来等の説明よりみて暗示するもの
(5)新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話、学説、経験談などを引用又は掲載することにより暗示するもの
薬事法 第66条(誇大広告等)
何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
2.医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
2005/04/13 糖転移ヘスペリジンで中性脂肪が減少
林原生物化学研究所は、ポリフェノール(フラボノイド)の一種であるヘスペリジンに、中性脂肪を減らす効果があることを人で確認したと発表した。ヘスペリジンはミカンのすじやふくろ(じょうのう膜)に多く含まれている成分。
同研究所では、ヘスペリジンにブドウ糖を付加し水に溶けやすいようにした糖転移ヘスペリジンを開発していたが、今回、この糖転移ヘスペリジンを、成人男性に500ミリグラムを毎日投与したところ、中性脂肪が当初標準値を超えていた8人で半年後に平均約3割低下したが、正常だった6人への影響はほとんどなく、副作用もなかった。
すでに糖転移ヘスペリジンは、動物実験では血管の強化などに効果があることが確認されていたが、人での効能を確認したのは今回が初めてである。同研究所は、5月中旬に東京都内で開かれる日本栄養・食糧学会大会で研究結果を報告する。
プレスリリースは下記のサイトで見られる。
http://www.hayashibara.co.jp/html/press/2005/050411/index.html
▽ 動物実験や細胞レベルでの裏付け試験も行われており、実験結果に信頼が置ける成果だと思う。この研究のオリジナリティーは、水に溶けにくいヘスペリジンを水に溶けやすくした糖転移ヘスペリジンを使用しているところ。
2005/04/10 肥満の経済コスト、年217億ドル(カルフォルニア州)
カリフォルニア州の成人の半分以上が太り気味か肥満で、こうした太り過ぎのための医療費支出や生産性の低下による経済損失は年217億ドル(2兆3400億円)に上ると毎日新聞が伝えている(05/4/7)。
25歳以上の53%が標準体重を超えており、うち17%は寿命を縮める危険がある「肥満」状態にあるという。ヒスパニック系、黒人、学歴が高卒以下の人口では、60%以上が太り過ぎているとしている。
太り過ぎによる医療費、生産性の低下などでカルフォルニア州が00年に被った経済損失を計217億ドルと概算しており、このまま放置すれば、今年は280億ドルの損失になると警告している。
また、米疾病対策センター(CDC)では、全米で肥満が原因で起こる病気の医療費だけで750億ドルに上るとしている。
2005/04/08 メタボリックシンドローム
日本内科学会など8学会は、過食や運動不足で起こる生活習慣病の一種「メタボリックシンドローム」の診断基準を作成したと毎日新聞が伝えている(05/4/8)。
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満が原因で糖尿病や高血圧、高脂血症などが重なり、動脈硬化症を引き起こす病気で、中高年がかかりやすく、国内には1000万人以上の患者がいると推定されている。診断基準は、胴回りが男性で85センチ以上、女性で90センチ以上で、リポたんぱくの異常、高血圧、高血糖のうち二つ以上のリスクを持つと判断された場合としている。
▽ 国民の死因の約1/3を占める心血管疾患発症には、耐糖能異常や高血圧、脂質代謝異常、肥満といった複数の危険因子が重複する病態が高頻度に存在する。このような複数の危険因子の重複は、偶然に期待される以上の頻度や程度で生じることから、各々の危険因子は互いに独立したものではなく、互いに密接に関連しているものと考えられ、そのような病態を「メタボリックシンドローム」と総称している。

2005/03/29 糖尿病リスク判定にウエストサイズが有効
アメリカ成人男性のウエストサイズが糖尿病の危険度の有効な指標になるとジョンズホプキンス大の27270人、13年間の疫学調査でわかった。肥満度の指標としてよく使われるBMI値よりも、優れた目安になるとしている(Youfa
Wang, Eric B Rimm, Meir J Stampfer, Walter C Willett, and Frank B Hu, Comparison
of abdominal adiposity and overall obesity in predicting risk of type 2
diabetes among men Am J Clin Nutr 2005 81: 555-563.)。
アメリカ人男性のウエストサイズを身長や体重にかかわらず5段階に分け、生活習慣に伴う肥満と強く関連する2型糖尿病の発症頻度を比較したところ、最も小さい74〜86センチのグループに比べ、より大きいサイズのグループは糖尿病の人が2倍以上に達し、特に100センチ超のグループは、最小グループの約12倍になった。
身長と体重から肥満度を数値化するBMIでは、同様のグループ分けをしてもここまで明確な差は出ないという。ウエストによる糖尿病の危険度予測がうまくいくのは、腰回りの脂肪が、2型糖尿病の発症に強く関係しているためと考えられている。
2005/03/24 肥満を防止するタンパク質AGFの発見
尾池雄一(慶応大)らは、肥満を防止に効果を示すたんぱく質AGFを発見したと米科学誌ネイチャー・メディシン(Oike,
Y., et al., (2005) Angiopoietin-related growth factor antagonizes obesity
and insulin resistance. Nature Medicine. doi:10.1038/nm1214.)に発表した。糖尿病を防ぐ作用もあり、将来のやせ薬や、血糖値を下げる薬の開発につながる可能性が示唆されている。
血管が新たに伸びるのを促す因子として見いだされたタンパク質AGF(Angiopoietin-related
growth factor)を作れないようにしたマウスに普通にえさを与えると、生後半年で通常マウスの約2倍の体重になり、内臓脂肪も著しく増え、血糖値の調節もうまくできなくなり、糖尿病のような状態に陥った。
逆にAGFを多くつくれるマウスは、体重は通常の4分の3程度の「やせ」になり、解剖すると内臓脂肪が少なかった。さらに、高カロリー食を与えても肥満や糖尿病にならなかった。
2005/03/23 リンゴを食べると乳ガン発生を抑制する可能性示唆
米コーネル大学の研究グループは、毎日リンゴを食べると乳ガンの発生リスクが低下する可能性があることをマウス実験で確認したと発表した。リンゴに含まれる抗酸化成分が、細胞を破壊するフリーラジカルを除去したためとしている。腫瘍発生抑制率は、ヒトに換算したリンゴの量にすると1個で17%低下、3個で39%低下、6個で44%低下した。
Liu, R. H., et. al., Apples Prevent Mammary Tumors in Rats. J. Agric. Food Chem., 53: 2341-2343 (2005)
2005/03/22 健康情報に対する国民生活動向調査結果
国民生活センターが大都市に居住する主婦を対象に、生活面での行動や意識を調べ、その現状と動向を発表している。政令指定都市と東京23区に住む、20〜60代の既婚女性約1900人(回収率63%)を対象にアンケート調査を行った。その結果、「気になる健康情報」(複数回答)では、「生活習慣病」が49%、「肥満」が39%、「骨粗しょう症」が37%、「コレステロール」が36%だった。年代別に見ると、30〜50代は「生活習慣病」、20代は「体形の維持」、60代では「コレステロール」が最も多かった。
詳細は下記のサイトに記載されている。
http://www.kokusen.go.jp/cgi-bin/byteserver.pl/pdf/n-20050304_2.pdf
2005/03/18 ガン発症リスクに対する遺伝子と生活習慣解明研究が始まる
特定のガンになりやすい遺伝子の型を持っている人は、日常生活でどんな点に気を付ければよいか。血液中のDNAから読み取った遺伝情報と生活習慣などのデータを組み合わせ、ガン発症のリスクを解明する大規模疫学調査を名古屋大学などが4月から始めると朝日新聞が伝えている(3/7)。
5年かけて住民健診や人間ドックを受けた35〜69歳の10万人を登録、食事や運動などに関する質問に答えてもらい血液も採取する。血液中の白血球からDNAを取り出すほか、コレステロールや肝機能などの検査値も記録する。
遺伝情報に微妙な個人差を与えているDNA上の微細な差(一塩基多型)を数百カ所調べて、協力者をタイプ分けし、20年間の変化を追う。ガンが早期発見された人からは、発病に先立って検査値に変化あるかなど、診断に役立つ研究も行うという。最終的には、
この研究で体質に合わせて生活習慣を変えるガン予防につなげたいとしている。
大きな課題の一つは、協力者のプライバシーの保護だ。採取した血液から遺伝子を調べる際にはバーコードで匿名化するなどデータ管理を徹底、判明した遺伝子の型については、すぐには重要度が確定しないことから協力者本人にも知らせない方針とのことである。
2005/03/14 アメリカ人の平均寿命が過去最高(77.6歳)
アメリカ疾病対策予防センター(CDC: Centers for Disease Control and Prevention)が、2003年のアメリカ人の平均寿命は、77.6歳と過去最高を記録したと発表した(CNN
05/2/28)。女性は80.3歳、男性は74.8歳で、25年連続で女性が上回った。
また、2002年の平均寿命は77.3歳だった。
心臓病やがん、脳こうそくの3大死因による死亡率が減少したことが大きいとしている。この3大死因の死亡率は2.2-4.6%低下した。また、エイズウイルス、薬物・アルコール乱用、銃器が絡む死亡率も落ち込み、平均寿命が伸びる要因となった。逆に、死亡率が上昇したのは、アルツハイマーやパーキンソンなど、高齢者に関連する疾患であった。
http://www.cnn.com/2005/HEALTH/conditions/02/28/
life.expectancy.reut/
2005/03/12 牛乳だけではカルシウム不足に
牛乳ばかりたくさん飲んでも、骨のじょうぶな子供には育たないという研究論文がアメリカ医学誌ペディアトリックスに発表されたとCNNが伝えている(05/03/09)。乳製品以外にもカルシウムの多く含まれる食事をバランスよくとり、適度に運動することが重要だという。
ワシントンにある「責任ある医療を求める医師会(PCRM)」は、カルシウム摂取と骨の強度の関係を調べた37の研究内容をまとめた結果、27の研究が、牛乳を飲む量を増やしても骨の強化にはつながらないと結論していることが分かったという。そのため、
牛乳1カップと同量のカルシウム摂取源としてほかに、カルシウム強化オレンジジュース1カップ、ゆでたケールまたはカブラ菜1カップ、豆腐2/3カップ、ブロッコリー1カップと2/3、などを例として挙げ、牛乳だけでなく多種多様な食品からカルシウムを摂取するよう提唱している。
▽この報告も栄養バランスの良い食事が健康を増進することを支持する論文だと思う。最近の疫学研究の論文では、骨粗しょう症に有効な食品の1つとして果物の摂取の重要性を指摘している。
2005/03/11 日本型フードガイドの準備
農水省と厚労省は、健康に配慮した食生活に役立てるフードガイド(仮称)の具体的な検討に入ったと日本農業新聞が伝えている(05/3/8)。イラストで主食や主菜、副菜など料理別に望ましい栄養素の摂取量を示すことを目標に5月までにまとめる。
フードガイドは、2000年に作成された「食生活指針」を広く国民に浸透させることが狙いで、1回に食べる料理で主材料に含まれる望ましい栄養素の摂取量を例示する。ご飯など主食類で炭水化物を摂取し、主菜類(肉、魚、卵料理)でたんぱく質を摂取する。副菜類(野菜、海藻料理)のほか、果物と牛乳、乳製品を「積極的に取りたいもの」に、糖分や油脂類を「取り過ぎに注意したいもの」に位置付けた。
2005/03/03 禁煙の時期
米国とカナダの研究チームは、喫煙の習慣を止めれば、たとえ肺疾患を発症した後でも数年間寿命が延びると報告し、禁煙に遅すぎるということはほとんどないことを明らかにした。調査では、10カ所の病院の協力の下に、35-60歳で、肺疾患を持ちながらそれを病気と自覚していなかった人5887人を対象に実施した。その結果、禁煙プログラムを利用して禁煙に成功した中年のヘビースモーカーの死亡率は、通常のほぼ半分に低下していることが分かった。
下記のサイトで論文全部が見られる。
http://www.annals.org/cgi/content/full/142/4/233
2005/03/02 日本医師会の健康被害対策
食品による健康被害を早く察知し被害拡大を防ぐため、日本医師会は、医師が診療を通じて得た被害情報を収集する「食品安全に関する情報システム」をつくる方針を固めた。昨年、スギヒラタケを食べ急性脳症を起こす人が相次いだり、健康食品が絡む健康被害報告が増えていたりすることに対応する。行政のように原因が確定的になってから対応したのでは、手遅れになる恐れがあるとし、医師が『怪しい』と感じた段階で情報を把握できる仕組みを作るとしている。
計画では、患者が不調を訴えて受診した際、食品が原因の可能性もあると医師が判断した症例は、原因がはっきりとしなくても医師会に報告する。似たような症例が多く集まれば、問題がある可能性が高いとして警告を出すことも検討する。
この方針については日本医師会の下記のサイトで読める。
http://www.med.or.jp/nichinews/n161105g.html
▽ 健康に係わる情報には不正確な場合が多い。マスコミの影響かも知れないが、普通なら顧みられることのない論文を引き出してきて、あたかも病気が予防できると思わせている商品もある。

2005/02/28
カリフォルニア大ロサンゼルス校のチームが、緑茶から抽出した成分に、初期のぼうこうがんの進行を抑える効果があると発表した。研究チームでは、発がん性物質と緑茶成分を人のぼうこう細胞と接触させて反応をみた。その結果、たとえがん細胞が発生しても、緑茶成分がその増殖を阻害することが分かったと、がん研究の専門誌「Clinical
Cancer Research 」に報告した。
緑茶成分はがん細胞中の「アクチン」に作用するとみられる。アクチンは細胞の形を維持したり、細胞運動の原動力となったりするたんぱく質で、これを制御する「Ryo」という別のたんぱく質が、緑茶成分によって活性化され、がんが周囲の健康な細胞まで広がるのを抑えるのではないかと説明している。
▽ 細胞レベルの試験なので、科学的には緑茶を飲めば、ぼうこうがんを予防できるとまでは言えない。人でも効果があるとするためには、今後、動物試験を行ってから疫学調査、ヒト介入研究などの研究が必要である。
2005/02/22
お酒の飲み方と肥満との関係を調査した結果、たまにしかお酒は飲まないが、飲んだときは深酒する人は太りやすいと米国立アルコール依存研究所が発表した(National
Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism )。一方、少量の晩酌を習慣にする人の飲み方は太りにくいという。
1997-2001年の国民健康面接調査に参加した男女のうち、一度も煙草を吸ったことがなかった約3万7千人について「1回の酒量」と「飲酒の頻度」を調べた。その結果、太りにくいのは、1回に1杯しか飲まず、週に3〜7日飲む人で、反対にたまにしかお酒を飲まないが、量を過ごす人が最も太りやすいことが分かった。NIH
Newsのサイトは下記。
http://www.niaaa.nih.gov/press/2005/Drinking-Patterns.htm
2005/02/19
40〜69歳の日本人の男女約9万人について追跡調査した結果、コーヒーをよく飲んでいる人の肝がんの発生率が低いことが分かった。調査開始時には、対象者の33%はコーヒーをほとんど飲まず、一方37%はほぼ毎日コーヒーを飲んでいた。調査開始から約10年間で、334名(男性250名、女性84名)が肝がんになった。コーヒーをほとんど飲まない人と比べ、ほぼ毎日飲む人では肝がんの発生率が約半分に減少し、1日の摂取量が増えるほど発生率が低下し、1日5杯以上飲む人では、肝がんの発生率は4分の1にまで低下していた。発生率の低下は男女に関係なく見られた。しかしながら、現在よりもコーヒーを多く飲むようにすると肝がんの発生率が低くなるか否かについては、さらなる研究が必要である。
コーヒーは、炎症を和らげる作用があり、肝炎の進行を防ぐことによって、肝がんを予防するのではないかと考えられる。また、コーヒーにはクロロゲン酸など抗酸化物質が含まれており、動物実験などでは、これが肝臓のがん化を防御するという報告がある。また、本研究の分析では、コーヒーと同じくカフェインの多く含まれている緑茶の場合、多く飲んでいる人でも肝がん発生率の低下がほとんど認められなかったことから、カフェインというよりは、コーヒーにのみ含まれている別の成分が関与しているものと思われる。
文献:Inoue, M., et al., (2005) Influence of Coffee Drinking on Subsequent
Risk of Hepatocellular Carcinoma: A Prospective Study in Japan. J. Nat.
Cancer Inst,, 97: 293-300.
2005/02/08
先端医療振興財団(神戸市)は、世界のがん治療の最新情報を掲載する「がん情報サイト」を開設した。治療成績のほか、国内外で実施されている抗がん剤などの臨床試験の進行状況も検索できる。財団の臨床研究情報センター(TRI)が全国のがん専門医と協力し、米国立がん研究所が運営するがん情報データベースを翻訳し、1カ月程度の遅れで掲載していくとのこと。
情報は専門的でやや難しいが一度アクセスしてはどうだろう。
がん情報サイトは下記
http://cancerinfo.tri-kobe.org/
2005/02/07
心臓血管疾患に係わる因子と痴呆との関係について、1964-1973年に健康であった8.845人(40-44歳)を対象に追跡調査(コホート研究)が行われた。その結果、1994-2003年に心臓血管疾患の危険因子である高コレステロール、糖尿病、高血圧、喫煙のうち1つの因子をもつ人の痴呆のリスクは、20-40%高くなることが分かった。また、4つの因子を同時にもつ人の痴呆症になるリスク(2.37)は、1つしかもたない人(1.27)の2倍以上となる。
(Whitmer, RA, et al., (2005) Midlife cardiovascular risk factors and risk of dementia in late life. Neurology. 64:277-281. )
2005/02/06
医学雑誌ランセットに発表されたミネソタ大の研究によると、18−30歳のアメリカ人3,031人を15年間追跡したところ、ファーストフードのレストランに週2回より多く通うグループは、週1回未満のグループと比べて、体重が4.5kg、インシュリン抵抗性が2倍に増えていた。この結果から、ファーストフードに通う回数が増えると肥満と2型糖尿病になるリスク(危険)が高まるとしている。
下記をクリックすると論文全文を見ることが出来る。
Pereira, MA, et al., (2005) Fast-food habits, weight gain, and insulin
resistance
(the CARDIA study): 15-year prospective analysis. Lancet, 365:36-42.
2005/02/05
和歌山県の特産「柿酢」の健康面での機能性を実証し、販売促進の目玉にしようと、県内の生産者やJAの職員らが柿酢を半年間飲むモニター調査を3月から始めると日本農業新聞が伝えている(05/2/3)。和歌山県と和歌山県立医大、JA和歌山の取り組みで、一般の住民を対象として、柿酢による動脈硬化や高血圧の予防効果を解明するとしている。
2005/02/03
果物供給量の多い上位3カ国はどんな国?
○ドミニカ(Commonwealth of Dominica)
カリブ海にある小アンティル諸島のドミニカ島(佐渡と同じくらい)がドミニカで、首都はロゾーです。1493年コロンブスにより「発見」され、1978年に独立しました。皆さんがよくご存じのハイチの隣にあるドミニカ共和国(Dominican Republic)ではありません。主要産業は農業でバナナ、マンゴー、ココナツ、柑橘類の生産が多い国です。面積は790km2、人口は69,278人です。
ドミニカの人は、1日にグレープフルーツを447g、オレンジを196g、バナナを70gなどを食べています。
○ベリーズ(Belize)
中央アメリカにありカリブ海に面した国で、首都はベルモバンです。1502年コロンブスにより「発見」され、1981年に独立しました。面積は22,963km2(四国より少し大きい)で、人口は24.1万人です。主要産業は、バナナ、柑橘類、砂糖などの農業で、フルーツジュース、バナナ、砂糖などを輸出しています。
ベリーズの人は、1日にオレンジを349g、レモン・ライムを254gなどを食べています。
○バハマ(Commonwealth of The Bahamas)
バハマは、カリブ海の西インド諸島北部の群島からなる国(700余りの小島から成る)で、首都はナッソーです。1492年コロンブスにより「発見」され、1973年に独立しました。主要産業は観光です。面積は13,878km2で、人口は303,000人です。
バハマの人は、1日にオレンジ387g、リンゴ93gなどを食べています。リンゴはすべて輸入ですが、ハバナの人たちは、日本人が1日当たり食べているリンゴの量(47g)の倍くらい多く食べているのには驚きます。
○日本
日本人の1日当たりの果物供給量は154gで、オレンジ・ミカンを34g、リンゴを47g、バナナを17gなどを食べています。
2005/02/02
生活習慣病を予防するため、WHO(世界保健機関:国連の専門機関)では果物の摂取を積極的に推進しています。2004年5月にジュネーブで開催された第57世界保健総会で「食事と運動と健康に関する世界戦略」を採択し、生活習慣病(心血管疾患、タイプ2型糖尿病、ガン、肥満など)を予防するため、果物の摂取を増やすことを勧告しました。
そこで、世界の国々では、果物をどのくらい食べているのかについて紹介します。FAO(国連食糧農業機関)が作成しているFAOSTATデータベースのうちFood Balance Sheets 2002年度のデータ (栄養出納表:更新日August 27, 2004)から、各国の1人1日当たりのワインを除いた果物の供給量(Fruits - Excluding Wine)について紹介します。
2002年版のFAOSTATのデータベースに統計数値が記載されている国は171カ国ありますが、そのうち供給量の多い順に並べると日本は100番目です(表1)。1位はドミニカで1日当たり871.8g、2位はベリーズで809.6g、3位はバハマで750.1gです。先進諸国ではイタリア、カナダ、ドイツ、アメリカが300g以上で、イギリス、フランスが49、50位で274-5gです。日本は、154.2gなので、こうした先進諸国のおおよそ半分くらいです。
表1 各国の果物供給量
------------------------------------------
順位 国名 年間供給量(kg) 日供給量(g)
------------------------------------------
1 ドミニカ 318.2 871.8
2 ベリーズ 295.5 809.6
3 バハマ 273.8 750.1
------------------------------------
23 イタリア 131.2 359.5
25 カナダ 124.1 340.0
34 ドイツ 115.5 316.4
39 アメリカ 110.3 302.2
49 イギリス 100.3 274.8
50 フランス 100.0 274.0
-------------------------------------
100 日本 56.3 154.2
-----------------------------------------
171カ国すべてのリストは下記のサイトで見られます。
http://www.kudamononet.com/LifeStyle/statistics/FAO_171.html
果物供給量の世界平均は1日当たり167.1gで、先進国(Developed Countries)は230.1g、発展途上国(Developing Countries)は149.9gです(表2)。北アメリカにおける1日当たり供給量は305.8g、15カ国で構成している欧州連合では1日当たり317.5g供給されています。
表2 経済状況と果物供給量
---------------------------------------
年間供給量(kg) 日供給量(g)
---------------------------------------
世界 61.0 167.1
先進国 84.0 230.1
発展途上国 54.7 149.9
---------------------------------------
我が国の1日当たりの果物供給量は、1972年の172.7gを最大として下がり続け、1991年の127.7gを最低として低迷が続いていました。ただ、2001年、2002年とやや増加傾向が認められます。
我が国の1961-2002年のデータは下記のサイトで見られます。
http://www.kudamononet.com/LifeStyle/statistics/FAO_Japan_sup.html
FAOSTATにおける果物の供給量は、生産量から輸出量を差し引き、輸入量を加えた総数から、飼料用、種子用、減耗量などを差し引いた総果物重量を人口で割った数値です。従って、上記の数値は各国の1人当たりの果物の供給量を示す数値で、果物を実際に摂取した量を表しているわけではありません。そのため、アメリカなどの先進諸国では、生活習慣病を予防するにはもっとたくさんの果物を食べる必要があるとしています。
我が国で、現在定められている果物摂取の目標値は、1日当たり200gとしているので、年間では73kgとなりますが、この量でも残念ながら先進諸国の平均値に達しません。
また、このデータベースを使うと各国の摂取熱量、動物性食品と植物性食品の比率、栄養バランス(PFCバランス)を知ることが出来るほかに、毎年公表されているエネルギーやたんぱく質、脂質、炭水化物の自給率の根拠も知ることができます。
FAOSTATのサイトは下記です。
http://faostat.fao.org/faostat/form?collection=FBS&Domain
=FBS&servlet=1&hasbulk=&version=ext&language=EN
2005/02/01
食べ過ぎや運動不足などの生活習慣が原因でおきる2型糖尿病は、p27と呼ばれるタンパク質の働きを抑えれば改善することを、神戸大院医の春日雅人らがマウスを使った実験で突き止めた(Uchida,
T., et al. Nature Medicine published online: 30 January 2005 (doi:10.1038/nm1187))。
研究グループは、遺伝子操作で糖尿病にしたマウスのβ細胞を調べたところp27が異常にたまっていることを見つけた。今までの研究から、p27はβ細胞の細胞分裂を抑える働きをすることが知られていた。そこで、糖尿病で生まれつきp27を作れないマウスと、p27を作っている糖尿病マウスを比較したところ、p27を作れないマウスの血糖値は糖尿病マウスの4分の1で、正常に近かった。
糖尿病が進むと、血糖値を正常に保つインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が減少する。この研究から、糖尿病の発症はp27がβ細胞の細胞分裂を抑制するためと考えられる。そのため、p27を抑える薬が開発されれば、β細胞の減少を食い止め、糖尿病を治療できる可能性がある。
2型糖尿病は、過食や運動不足でエネルギー(ブドウ糖)を消費しきれなくなって発症する。初期段階では、ブドウ糖を筋肉などに取り込ませる働きをするインスリンの分泌も増え、高血糖とならないが、この状態が長く続くとβ細胞が疲弊し、糖尿病に至ると考えられている。

2005/01/27
学校や病院の給食などの献立にも利用されている日本食品標準成分表と脂肪酸成分表編の改定版を文部科学省の科学技術・学術審議会資源調査分科会がまとめ、24日に発表した。脂肪酸成分表では、食品を100グラム食べると、健康に良いリノール酸やドコサヘキサエン酸(DHA)、動脈硬化を招く飽和脂肪酸などがどれだけ摂取されるか、一目で分かるようになった。ビタミンAやEの算定式も変更になったことから各食品の成分値も変更された。また、厚生労働省が昨年11月公表した「日本人の食事摂取基準2005年版」と一緒に使いやすい形式になった。
2005/01/26
オーストリアの研究者が坂を下りる運動には上る運動とは別の効果があり、糖尿病患者らに向いているとの実験結果をアメリカ心臓病協会(American
Heart Association)の会議で報告したとCNN(05/1/7)が伝えている。 実験はほとんど運動をしていなかった45人の健康な人を対象に、アルプスのスキー場で、片道だけリフトを利用する山歩きを続けてもらい、血糖値やコレステロール値を測定した。
最初の2カ月間は毎週3-5時間山道を上り、リフトで戻る運動を繰り返した。続く2カ月間は、リフトで上ってから歩いて下るように切り替えた。その結果、下りの運動では上りに比べ、血糖値が目立って低下した。逆に、血液中の中性脂肪を減らすには、上りの運動の方が効果的だった。コレステロール値は、上りと下りの両方で改善することが分かった。
この結果について研究者は、上りと下りでは筋肉の使い方が違うため、異なった効果が出たと述べている。糖尿病患者で上りがつらいと感じる人は、下り坂の方が楽なうえに、血糖値も下がりやすく、向いているとしている。
http://edition.cnn.com/2005/HEALTH/diet.fitness/01/07/exercise.ups.downs.ap/
2005/01/24
山之内製薬と理化学研究所のグループは、体内時計として働く16個の遺伝子のうち、九つの遺伝子上の朝になると活性化する塩基配列が、体内時計の心臓部を制御していることを突き止めたと発表した(Ueda,
HR, et al., System-level identification of transcriptional circuits underlying
mammalian circadian clocks. Nature Genetics, advance online publication
Letters)。
体内時計は体内の昼夜のリズム(体内リズム・概日リズム)を作り出す仕組みで、これまでに16個の遺伝子(時計遺伝子および時計関連遺伝子)が体内時計の部品となっていることが知られている。しかしながら、これらの16個の遺伝子がどのような仕組みで体内時計を構成しているのかは明らかになっていなかった。
そこで、ラットの細胞を使って、試験管内で体内リズムを測定できる実験系を作成し、16遺伝子の役割を調べた。その結果、朝に活性化する塩基配列が16遺伝子のうちの9遺伝子上に、昼に活性化する配列が7遺伝子上に、夜に活性化する配列が6遺伝子上に分散していることを突き止めた。次に、朝配列を不活性化させると、すべての時計遺伝子の機能が弱くなったが、夜配列の不活性化では夜に働く遺伝子のみが弱くなり、昼配列ではほとんど影響がなかった。
体内時計は、睡眠や覚醒、血圧や体温の変動、ホルモン分泌といった生理機能の24時間リズムを管理している。そのリズムが乱れることで惹き起こされる疾患や症状には、不眠症やうつ症状、時差ボケ、登校拒否症や痴呆症の周辺症状である夜間徘徊などが知られている。さらに最近では薬の効き目などへの関与も明らになっている。今回の成果は、リズムの変調によって惹き起こされる様々な疾患の治療や予防に大きく道を開くものであるとしている。
「体内時計の遺伝子ネットワークの心臓部を解明」については下記
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2005/050124/index.html
バックナンバー 2004:下半期へ
|
|
|