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2005/12/30 食事からのマグネシウムの摂取で骨密度が高まる 2,038人の男女(70-79歳)を対象に骨密度と食事との関係を調査したところ、白人の女性と男性では、マグネシウムの摂取量が多いとこと密度が高まることが分かった。一日100mg多く摂取すると骨密度が1%高くなる。しかし、黒人ではこの関係は見いだせなかった。
【文献】 Ryder,
K.M., et al.: Magnesium Intake from Food and Supplements Is Associated with Bone
Mineral Density in Healthy Older White Subjects. J. Amer. Geriatrics Soc. 53:
1875-1880. (2005) [doi: 10.1111/j.1532-5415.2005.53561.x]
2005/12/26 物忘れとホモシステイン 年配のイギリス人の記憶喪失のリスクは血液中のホモシステインの増加と葉酸の減少と関係していることがオックスフォード大学の調べで分かった。 すでに、ホモシステインは冠状動脈性心臓病、脳卒中などのリスクを上げることが知られており、血液の中のホモシステインのレベルは食事の内容と遺伝に強く影響される。一方、葉酸とビタミンB群は、ホモシステインのレベルを下げる。 2,100人(65〜67歳)以上を対象に1992-1993年、及びその6年後に血液中のホモシステイン、葉酸、ビタミンB12と記憶力を測定した。その結果、標準テストで記憶障害が認められたヒトはホモシステインレベルが高く、葉酸レベルが低いことが分かった。
【文献】 Nurk,
A., et al.: Plasma total homocysteine and memory in the elderly: The Hordaland
Homocysteine study Ann. Neurology. 58: 847-857. (Published Online: 27 Oct 2005)
[DOI:
10.1002/ana.20645]
2005/12/24 日本の人口が減少 厚生労働省が2005年人口動態統計の推計値を公表した。出生数は過去最低の106万7000人で、統計を開始した1899年以来初めて死亡数(107万7000人)を下回った。減少幅は1万人で、推計値段階ではあるが、日本は「人口減少社会」に突入したとみられる。厚労省の国立社会保障・人口問題研究所は日本の人口が2007年から減少すると予測していたが、これが2年早まることになりそうだ。 合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子どもの平均数に相当)は2004年に過去最低の1.28台を記録したが、05年はさらに下回る見通し。国立社会保障・人口問題研究所が2002年に公表した人口推計(中位)の出生率は2007年に1.306で底を打ち、その後は徐々に回復するとみていたが、実態はそれよりも少ない。 結婚件数は前年比7000組減の71万3000組、離婚件数も前年比9000組減の26万2000組。離婚件数の減少は2003年以降3年連続。
平成17年人口動態統計の年間推計のサイトは下記
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei05/index.html
2005/12/23 鳥インフルエンザ治療薬タミフルに耐性菌 人間への感染拡大が懸念されている鳥インフルエンザについて、治療薬タミフル(一般名オセルタミビル)が効かない耐性ウイルスが発見された。 最初のタミフル耐性ウイルスについての報告は、東大医科学研究所の河岡義裕教授らで、タミフル服用から4日目に死亡したベトナムの14歳少女から発見された(文献1)。 次いで、イギリス・オックスフォード大学などの研究チームが、H5N1型の鳥インフルエンザに感染したベトナム人患者8人について調べた。8人は感染発覚後にタミフルの投与を受けたが、4人が死亡した。死亡した4人のうち13歳少女と18歳少女の2人から、タミフルに耐性のあるウイルスが検出された(文献2)。 13歳少女の場合は発症2日目に入院しすぐにタミフル治療を開始したが、6日後に死亡した。投薬効果が最も高いとされる感染初期からタミフルの治療を受けていたにもかかわらず、治療効果があがらなかったことが注目されている。 一方で、回復した4人のうち3人については、タミフル投与によるウイルス量の減少が確認された。
タミフルは効果的な治療薬であるがそれだけでは完全ではないようだ。
【文献】 1) Le, Q.M., et al.: Avian flu:
Isolation of drug-resistant H5N1 virus. Nature 437: 1108-1108. (2005) 2) de
Jong, M.D., et al.: Oseltamivir Resistance during Treatment of Influenza A
(H5N1) Infection. N. Engl. J. Med. 353:2667-2672.
(2005)
2005/12/22 ガン促進遺伝子が、ガン転移を抑制 膵臓ガンや肺ガンなどを引き起こす遺伝子「N-ras」に、ガンを悪性化させたり、転移を抑える働きもあることが発見された。 N-ras遺伝子は、突然変異が起きたり、「Rb」と呼ばれるガンを抑制する遺伝子がなくなると、さまざまなガンを引き起こすことが知られていた。 そこで、マウスの体に二つずつあるN-rasとRbの遺伝子を一つ、あるいは二つ欠損させ、体のどの部位にどんなガンができるかを調べた。 Rbだけを二つとも欠損したマウスは脳下垂体に悪性のガンができたが、Rbに加えてN-rasもすべて欠損すると、ガンは良性腫瘍になった。しかし、同じマウスで、のどの甲状腺にできたガンの場合は、Rbが二つ、N−rasが一つ欠損すると良性腫瘍ができ、さらにN−rasもすべてなくなると、他の臓器に転移を起こす悪性のガンに変化した。 そのため、N-rasは単純なガン促進遺伝子ではなく、組織によって正反対の働きもすることが分かった。N-rasの機能を制御すればより効果的な、新しいガン治療開発の手がかりとなる可能性があるとしている。
【文献】 Takahashi,
C., et al.: Nras loss induces metastatic conversion of Rb1-deficient
neuroendocrine thyroid tumor. Nature Genetics (Published online: 20 December
2005) [doi:
10.1038/ng1703]
2005/12/20 高血圧予防のため若くても果物など植物性食品摂取 果物など植物性食品の摂取は高血圧のリスクを減少させ、肉の摂取はリスクを高めるとアメリカ・ミネソタ大学の研究グループが発表した。 若い男女(18〜30歳)4304人を対象に調査した結果、植物性食品の摂取量に従って5つのグループに分けて解析したところ、摂取量が一番少ないグループに比較して最も多いグループは高血圧のリスクが36%低かった。さらに、植物性食品のサブグループの分析では、全穀粒、果物、ナッツが有意にリスクを下げることが分かった。一方、赤肉と加工肉の間には正の相関が認められた。 以上の結果から、研究者は、果物など植物性食品を多く摂取し、赤肉と加工肉を摂取を減らせば高血圧の発症を防ぐことができると結論づけている。
【文献】 Steffen,
L.M., et al.: Associations of plant food, dairy product, and meat intakes with
15-y incidence of elevated blood pressure in young black and white adults: the
Coronary Artery Risk Development in Young Adults (CARDIA) Study Am. J. Clin.
Nutr. 82: 1169-1177.
(2005)
2005/12/17 WHOとFAOは果物と野菜の摂取促進を推奨 世界保健機関(WHO)と国連食料農業機関(FAO)は、果物と野菜の摂取を促進する行動計画を共同で実施している。
WHOの非伝染病予防、健康促進ディレクターのPekka
Puska博士は、「果実と野菜の十分な摂取は、多くの病気を予防し、健康を促進するが、世界のかなりの地域で人々は少ししか消費していない。」と述べている。WHOは、果物と野菜の摂取を増やせば、心血管疾患、2型糖尿病、肥満、いくつかのガンを予防できるとしている。
【文献】 Eaton,
L.: WHO launches initiative to encourage eating fruit and vegetables. BMJ.
327:1125 (2003) [doi:
10.1136/bmj.327.7424.1125-a]
2005/12/14 大動脈瘤の原因たんぱく質を究明 破裂すると大出血して多くの患者が死亡する大動脈瘤の原因となる細胞内のたんぱく質の異常を、山口大学の研究グループが突き止めた。動物実験でこのたんぱく質の働きを抑える薬を与えると大動脈瘤が縮小したという。 腹、胸部などにできる大動脈瘤は、血管の壁が弱くなり、血圧に押されて風船のように膨らむ病気である。コラーゲンなど血管壁構成物質が分解されやすくなったり、血管壁構成物質を合成する能力が落ちると血管壁が弱くなると考えられている。 研究グループは、その原因が「JNK」というたんぱく質の働きが異常に高まることにあると考え、大動脈瘤を持ったマウスにJNKの働きを抑える薬を与えたところ、血管壁をつくり直す能力が回復し、大動脈瘤が小さくなった。
【文献】 Yoshimura,
K., et al.: Regression of abdominal aortic aneurysm by inhibition of c-Jun
N-terminal kinase. Nature Medicine. online 27 Nov. 2005
[doi:10.1038/nm1335]
2005/12/13 カルシウムは、錠剤より食事から摂取する方が効果的 カルシウムを摂取するなら錠剤から摂取するより食事から摂取した方がよいと報告された。1日当たりのカルシウムの推奨量900mgより低い量しか摂取していない10〜12歳の195人の健康な少女を4つのグループに分け調査した(錠剤から1000mg摂取したグループ、1000mgのカルシウムと200IUビタミンDの錠剤を摂取したグループ、低脂肪チーズ(1000mgのカルシウム含有)、偽薬の錠剤グループ)。その結果、チーズを摂取したグループは他のグループより骨への利用率が統計的に有意に高いことが分かった。 また、同時に、必要以上にカルシウムを摂取しても、より骨が丈夫になるわけではないことも明らかになった。
【文献】 Cheng,
S., et al.: Effects of calcium, dairy product, and vitamin D supplementation on
bone mass accrual and body composition in 10-12-y-old girls: a 2-y randomized
trial. Am. J. Clin. Nutr. 82: 1115-1126.
(2005)
2005/12/11 アルツハイマー病は糖尿病と似た病気? アルツハイマー病の発生機序の解明と治療法の開発について、アメリカ・ブラウン大学のMonteらは、インスリンが膵臓だけではなく脳内でも産生され、アルツハイマー病患者では脳内のインスリン産生能が障害されていると発表した。 ラットを用いた実験で脳のいくつかの領域でインスリンが産生されているのを発見し、またインスリンの産生低下による脳神経細胞の機能低下を認めた。さらにアルツハイマー病で死亡した患者の脳組織を検討した結果、インスリン産生量の著しい低下と、インスリン受容体の減少を発見した。 Monteらは、インスリンは脳細胞機能の維持にきわめて重要であり、不足するかインスリン応答性が低下すると、ニューロンの機能が阻害されてニューロン死を引き起こすと述べている。 そのため、脳内インスリンの代替物質の投与や、インスリン受容体の再活性化によるアルツハイマー病の治療法につながるとしている。
【文献】 Steen,
E., et al.: Impaired insulin and insulin-like growth factor expression and
signaling mechanisms in Alzheimer's disease --- is this type 3 diabetes? J.
Alzheimer's Disease. 7: 63-80.
(2005)
2005/12/10 授乳によって母親の糖尿病発症リスクが低下 アメリカで行われた調査から子供を母乳で育てた母親は2型糖尿病の発症リスクが低いことが分かった。今までに、母乳で育てた子供は小児疾患の発症率が低く、調合乳で育てた小児よりもぜい肉が付きにくいことが分かっていたが、母親にもよい影響が出ることも今回の研究から明らかとなった。 今回の研究は、授乳が母体の糖尿病リスクに及ぼす影響について調べた。看護師の健康調査(Nurses'
Health StudyおよびNurses' Health Study
II)」の実施期間に出産を経験した女性15万例以上のデータをもとに検討を行った。 このうち2型糖尿病と診断されたのは6000例以上で、2型糖尿病発症のリスクが授乳期間が1年増えるごとに15%低下した。何故そうなるのかは分からないが、授乳が血糖値の均衡を維持する役割を果たしているのではないかと考えられている。 ただ、この結果の解釈に対して、授乳期間が長い女性は健康に対する意識が高く、それが結果的に糖尿病の発症リスクの低下につながっているとの見方もある。
【文献】 Stuebe,
A.M., et al.: Duration of Lactation and Incidence of Type 2 Diabetes. JAMA. 294:
2601-2610. (2005)
2005/12/09
高学歴者ほどパーキンソン病の発症リスクが高い 高学歴であるほどパーキンソン病の発症リスクが高く、職業別にみると医師は最もリスクが高いグループに分類されるとする研究結果が公表された。 アメリカ・ミネソタ州オルムステッド(Olmsted)地区に住むパーキンソン病患者の教育レベルと職業を、一般集団におけるものと比較する研究を実施した。 ロチェスター疫学プロジェクト(Rochester
Epidemiology
Project)の医療記録からデータを収集し、1976〜1995年にパーキンソン病の発症をみた同地区の居住者を洗い出した。これに基づいて、電話による質問や医療記録の見直しを実施し、学歴および職業を確認した。 その結果、9年以上教育を受けている人はパーキンソン病の発症リスクが高く、年数が長くなるにつれてリスクは増大した。医師では発症リスクが有意に高いことがわかった。建設作業員や鉱員、油井作業員、製造業作業員、金属工、技師など肉体労働の度合いが高いと思われる職種は、リスクが有意に低かった。
【文献】 Frigerio,
R. : Education and occupations preceding Parkinson disease: A population-based
case-control study. Neurology 65: 1575-1583.
(2005)
2005/12/08 インターネット掲示板は糖尿病の治療に役立つ アメリカ・ボストンのジョスリン糖尿病センターの研究からインターネット掲示板は糖尿病の治療に有効であることが分かった。 インターネット掲示板(ジョスリンインターネットフォーラム)では、糖尿病患者やその家族の糖尿病関連の質問やコメントを掲載するとともに、医師、栄養士、および心理学者を含む専門家のチームのアドバイスを載せている。 このインターネット掲示板を6年間で33万人以上が利用しいるが、1999年と2004年の利用者を対象に満足度に対するアンケート調査を行った。その結果、75%の人が糖尿病の治療に役立つと回答した。また、71%の人は、この掲示板によって治療への希望を感じたと回答した。 以上の結果から、研究者は、インターネット掲示板は糖尿病の治療に有効であると結論づけている。
【文献】 Zrebiec,
J.F.: Internet Communities: Do They Improve Coping With Diabetes? Diabetes
Educator 31: 825-836. (2005) [DOI:
10.1177/0145721705282162]
2005/12/05 コウモリがエボラ出血熱を媒介か 致死率が90%にも達する感染症のエボラ出血熱は、アフリカで食用にもされるコウモリが広めている可能性があると発表された。ガボンなどの国際チームが、症状が全くない3種類のオオコウモリからエボラウイルスの遺伝子や抗体を検出した。 エボラウイルスの自然宿主や感染ルートは謎だったため、有効な予防策が取れなかったが、コウモリが感染源なら、食用を避けることで人への直接感染を大幅に減らせる可能性がある。 チームは2001年以降のガボンとコンゴ共和国での流行期間中に、森林で野生のコウモリや鳥類、小動物など1000匹余りを捕獲してウイルス感染の有無を詳しく調べた結果分かった。
【文献】 Eric
M. Leroy, E.M., et al.: Fruit bats as reservoirs of Ebola virus. Nature 438:
575-576. (2005)
[doi:10.1038/438575a]
2005/12/04 動物療法で心不全患者の心肺機能が改善 動物療法が心不全を来す入院患者の肺機能を改善し、神経内分泌量を抑えて、急性かつ重症な症状に対する不安を緩和する補助療法として有効であることを、アメリカ・カルフォルニア大学のチームがアメリカ心臓協会の年次集会(2005.11.13-16)で発表した。 今回、医療センターに入院している心不全患者計76例(18〜80歳)を対象に、イヌを連れたボランティアの訪問を受けるグループ(26例)、ボランティアのみの訪問を受けるグループ(25例)、対照群として訪問を受けないグループ(25例)の3つのグループにについて評価した。訪問はいずれも12分間とし、イヌはいすの横に座らせるか、患者の隣に約60cm離れてベッドに横たわらせた。患者はイヌをなでたり話しかけたりした。 イヌ同伴の訪問を受けたグループは、不安スコアが24%低下したのに対して、ボランティアのみのグループはわずか10%の低下であった。一方、訪問なしの対照群はスコアに何ら変化は認められなかった。 ストレスホルモンであるエピネフリン値は、イヌ同伴のグループが平均17%低下し改善がみられたのに対して、ボランティアのみのグループが2%の低下、一方、対照群は7%増大した。このほか、肺機能に関連する左心房圧値、肺動脈収縮圧値においても、イヌ同伴のグループには改善が認められた。

2005/11/24 レーザーを使う遺伝子治療法の開発
レーザーを使う新しいドラッグデリバリーシステムを東京大のグループが開発した。遺伝子を中に閉じこめた微小粒子(高分子でできた粒)を作り、この微粒子を標的細胞に取り込ませたあとで赤色レーザーを当てると、高分子が反応して微粒子に含まれていた遺伝子が標的細胞内へ放出される。
この方法で、ネズミの目の結膜に遺伝子を送り込み、レーザーを当てたところ、標的細胞の中で遺伝子が働くことを確認した。
研究者らは、血管に光ファイバーを通せば、体の中でもレーザーを当てられるので、目の病気のほか、体内のがんなどの遺伝子治療にも利用できるとしている。
【文献】
Nishiyama, N., et al.: Light-induced gene transfer from packaged DNA enveloped in a dendrimeric photosensitizer. Nature Material, online 20 Nov. 2005 [doi:10.1038/nmat1524]
2005/11/23 高脂肪食摂取による動脈閉塞誘発のメカニズムの解明
高脂肪食を摂取するとなぜ悪玉LDL-コレステロールが増え、動脈閉塞が起きるのかよく分かっていなかったが、ハーバード大学の研究グループが、高脂肪食に含まれている飽和脂肪酸から動脈閉塞の原因となるLDL-コレステロールに変換する分子スイッチを発見した発表した。
この分子は、肝代謝に関与するPGC-1β(ベータ)で、食物に含まれる飽和脂肪酸が肝臓に達すると、PGC-1βが活性化して生化学反応が開始し肝細胞から動脈を閉塞させるLDL-コレステロールが産生する。
以上のことから、食事から摂取した飽和脂肪が動脈閉塞を誘発するメカニズムが明らかになったとしている。また、研究者らによると、この発見は自然淘汰の一つの例を示しており、従来ヒトには害でなかったPGC-1βが、寿命が延びたために有害となったのではないかとしている。
【文献】
Lin, J., et al: Hyperlipidemic Effects of Dietary Saturated Fats Mediated through PGC-1β Coactivation of SREBP. Cell 120: 261-273. (2005)
2005/11/21 ガンのリスク因子
2001年、世界ではガンにより700万人が死亡している。このうち、避けることのできる9つの危険因子での死者数は2,430,000人で全体の35%であった。どの国も、喫煙、アルコール、低い果物と野菜がガンによる死亡のリスクであったが、高所得国ではこのほかに、太り過ぎ、肥満がリスク因子であった。
【文献】
Danaei, G., et al.:Causes of cancer in the world: comparative risk assessment of nine behavioural and environmental risk factors. Lancet, 366: 1784-1793. [DOI:10.1016/S0140-6736(05)67725-2] (2005)
2005/11/20 老いは鋭敏な精神の障壁ではない
老いるということは鋭敏な精神の障害ではないが、たぶん若いときの記憶方法と異なっているのではないかとジョーンズ・ホプキンス大学の科学者ら示唆している。
研究者らは、老いたラットと、若いラットを用いて実験を行った結果、老いたラットは、若いラットと異なった方法でものを覚えていることを発見した。もしこのことが人にも当てはまるのであれば、加齢に従って失われる記憶の喪失を予防することができるかもかもしれないと研究者らは述べている。
実験では、様々なテストに対して鋭敏に反応する2歳の老いたネズミと、新しいことを学ぶ力の衰えた老いたネズミ、6カ月の若いネズミの脳を比較した。
記憶など情報伝達に関与するシナプス接合部に研究者らは注目して研究を行った。神経細胞の間には微細な隙間があり、この間を神経伝達物質が移動し、脳へ情報を登録・保存し記憶を形成する。
新しいことを学ぶ力の弱い老いたラットは、シナプス接合部の連絡・調整する能力が失われていた。一方、鋭敏な老いたラットは若いラットと比較してシナプス接合部は少なかったが、シナプス接合部の連絡・調整能力は維持されていることから、情報の通りやすさを示す長期増強(long-term
potentiation)は年齢とは独立していることが分かった。
以上のことから、鋭敏なラットは、加齢によってシナプスは減少していくが、記憶・学習などと関係する能力は高いことが分かった。
【文献】
Lee, H-K., et al.: NMDA receptor-independent long-term depression correlates
with successful aging in rats. Nature Neuroscience, online 13 Nov. 2005;
[doi:10.1038/nn1586] (2005)
2005/11/18 インスリン欠乏とアルツハイマー病
アルツハイマー病の発生機序の解明と治療法の開発について、アメリカ・ブラウン大学のMonteらは、インスリンが膵臓だけではなく脳内でも産生され、アルツハイマー病患者では脳内のインスリン産生能が障害されていると発表した。
ラットを用いた実験で脳のいくつかの領域でインスリンが産生されているのを発見、またインスリンの産生低下による脳神経細胞の機能低下を認めた。さらにアルツハイマー病で死亡した患者の脳組織を検討した結果、インスリン産生量の著しい低下と、インスリン受容体の減少を発見した。
Monteらは、インスリンは脳細胞機能の維持にきわめて重要であり、不足するかインスリン応答性が低下すると、ニューロンの機能が阻害されてニューロン死を引き起こすと述べている。
そのため、脳内インスリンの代替物質の投与や、インスリン受容体の再活性化によるアルツハイマー病の治療法につながるとしている。
【文献】
Steen, E., et al.: Impaired insulin and insulin-like growth factor expression and signaling mechanisms in Alzheimer’s disease---is this type 3 diabetes? J. Alzheimer's Disease. 7: 63-80. (2005)
2005/11/17 不適切な食事で毎年60億ポンドの損失:イギリス
イギリス政府は、不適切な食事のために医療費を毎年60億ポンド余分に支出していると、食生活に起因している病気と費用との関係を調査した研究から明らかになった。
世界保健機構が収集したデータを用いて、食習慣と関係する心血管疾患、ガン、糖尿病について調査したところ、これらの疾病の37%は不適切な食事に起因していることが分かった。一方、イギリスにおける2002年の心血管疾患、ガン、糖尿病の医療費は180億ポンドであった。そのため、不適切な食習慣による病気のために支出している医療費をおよそ3分の1とすると年に60億ポンド余分に支出していると見込まれた。このコストは、交通事故のコストの二倍、喫煙のコストの3倍以上にあたる。
食習慣に関連する病気のコストは喫煙のコストより高いことから、食習慣に対する対策を政府の健康施策の目標とする必要があると研究者らは述べている。
【文献】
Rayner, M., et al.: The burden of food related ill health in the UK. J. Epid. Com. Health, 59:1054-1057. [doi:10.1136/jech.2005.036491] (2005)
2005/11/15 レスベラトロールでアルツハイマー病予防
いくつかの細胞培養系でを用いて実験を行った結果、ブドウなどに含まれているレスベラトロールが、アルツハイマー病を引き起こすと考えられているβ-アミロイドペプチドの分解を促進し、結果として脳内のβ-アミロイドペプチドのレベルを下げることが分かった。
【文献】
Marambaud, P., et al.: Resveratrol promotes clearance of Alzheimer's disease
amyloid-beta peptides. J. Biol. Chem. 280: 37377-82. (2005)
2005/11/14 休暇をとる女性は結婚に満足しており、精神状態もよい
アメリカ・ウィスコンシン州で行われた研究によると、1年に2回以上休暇を取った女性は、2年間で一度以下しか休暇をとらなかった女性と比較して、うつ病、精神的緊張感が低いことが分かった。さらに、休暇の頻度が高くなるに従って、結婚への満足が高くなることも見いだされた。
以上のことから、研究者らは、休暇を取ることは個人の精神状態の改善され、生活の質が向上することから仕事の能率が高くなるだろうとしている。
【文献】
Cbikani, V., et al.: Vacations Improve Mental Health Among Rural Women: The Wisconsin Rural Women’s Health Study view article. Wisconshin Med. J. 104: 20-23. (2005)
2005/11/13 禁煙をもたらすニコチンワクチン
アメリカ・ボルチモアで開かれた米国がん学会(American Association for
Cancer Research: AACR)の招待講演で、NicVAX(nicotime vaccine)と呼ばれるニコチンワクチンの安全性および有効性を強く裏づける成績が報告された。
アメリカ・米ミネソタ大学のHatsukami教授は、NicVAXは臨床試験に移行するのに十分な効果を発揮しており、われわれの研究だけではなく、他の研究でもそのことが確認されていると述べた。
ニコチンワクチンは、体内の免疫系を刺激して抗体を産生させ、ニコチン分子に接着する。動物での研究では、抗体が接着したニコチンは分子量が大きくなり血液・脳関門を通過することができないため、ニコチンが脳内に送達するまでの時間が延長し、脳内に達する量も低下することが明らかになった。
喫煙者68例を用量が異なるワクチン投与群およびプラセボ(偽薬)投与群に無作為に割り付けて評価した結果、ワクチン被験者の38%が30日間の禁煙に成功した。ワクチンの用量が高いほど抗体の反応は良好であり、
30日間禁煙率は最高用量投与群が最も高かった。
副作用として一部の被験者に、関節痛および圧痛、頭痛、疲労感、筋肉痛が報告されたが、そのほとんどが数日で改善をみた。ワクチン投与群とプラセボ投与群との間に、離脱症状発症の差は認められなかった。
Hatsukami教授は「禁煙を補助するという点では、有力なワクチンであると思われる」との見解を示しているが、ワクチンの有効性がどのくらい継続するか、追加投与の必要性、喫煙習慣が復活する可能性など、まだ、いくつかの課題が残されているという。
【文献】
Hatsukami, D.K., et al.: Nicotine immunization is a novel treatment that
targets the drug. Frontiers in Cancer Prevention Research. Oct. 30-Nov.
2, 2005. Baltimore, MD. U.S.A. Abstracts p205-206. (2005)
2005/11/11 うがいで風邪が4割減
水でうがいすると、しない場合に比べ風邪になるのを4割近く抑える効果があるとの調査結果を京都大の川村孝教授らが発表した。世界で初の無作為化試験とのこと。水道水に含まれる微量の塩素の殺菌効果や、口をすすぎ病原体を吐き出した可能性が考えられるという。一方、ヨード液を使ったうがい薬には、予防効果は確認できなかった。
川村教授らは、18-65歳の男女計387人に実験に参加してもらい、(1)1日3回以上水うがいをする、(2)1日3回以上薬を使ってうがいする、(3)うがいしない、の3グループに分けて2003年12月から2004年3月にかけ、1人について2カ月追跡調査。
その結果、1カ月に100人のうち何人が風邪になったかに換算すると、それぞれ17.0人、23.6人、26.4人だった。統計処理を行った結果、水うがいをした場合の発症確率はうがいをしない場合に比べて40%低下したが、ヨード液うがいでは12%の低下にとどまり、統計学的に有意ではなかった。
下記の京都大学・保健管理センターのサイトで概略が読める。
http://www.kyoto-u.ac.jp/health/006.htm
【文献】
Satomura, K., et al.: Prevention of Upper Respiratory Tract Infections
by Gargling: A Randomized Trial. Amer. J. Prevent. Med. 29: 302-307. (2005)
2005/11/10 老化制御タンパク質クロトーは活性酵素を減少させる
黒尾誠(アメリカ・テキサス大学助教授)らが発見したクロトー(Klotho)は老化抑制ホルモンである。生命の糸を紡ぐギリシャ神話の女神の名前に因んで名付けられたクロトータンパク質をネズミに過剰に発現させると寿命が延びたことは本欄でも紹介した。
今回、培養細胞とクロトー遺伝子を導入マウスの両方を用いて、クロトーが酸化的障害を防止することが見いだされた。
DNAや脂肪、タンパク質などが酸化を受けると細胞の機能が劣化し、老化すると考えられている。そのため、酸化を誘導する活性酸素の過剰生産を防ぐことにより老化は抑制できると考えられる。
クロトータンパク質は、マンガン・スーパーオキシド・ジスムターゼの発現を誘導するFoxOと呼ばれる転写因子を活性化することが今回発見された。マンガン・スーパーオキシド・ジスムターゼは、活性酸素であるスーパーオキシド・ラジカルを、それほど有害ではない過酸化水素(H2O2)に変換する酵素で、フリーラジカルの過剰生産による酸化ストレスの増加を防ぐ作用がある。
この結果は、クロトーが老化を抑制し、寿命を延ばすとする理論を裏付ける新しい証拠である。
【文献】
Yamamoto, M., et al.: Regulation of Oxidative Stress by the Anti-aging Hormone Klotho. J. Biol. Chem. 280: 38029-38034. (2005) [doi: 10.1074/jbc.M509039200]
▽ クロトーが老化を制御していると考えられる証拠が次々と出てきている。今回の発見で、従来の活性酸素が老化の要因とする説をも説明できる。このまま行けば、ノーベル賞も期待できる。
2005/11/08 反復動作が疲労感、抑うつ症状の引き金に
同じ動作を長時間繰り返すと神経から放出されるたんぱく質が、疲労感や抑うつ症状を引き起こすことが、アメリカ・テンプル大での研究で明らかになった。
マウスに前脚の関節を使った反復作業をさせ続けると、約3週間後から、負担のかかっている神経細胞が「サイトカイン」と呼ばれるたんぱく質を大量に放出する。この時点で関節部分に痛みはないとみられるが、マウスは次第に作業の手を抜き始める。血中のサイトカインの一部が脳へ回り、けん怠感などを引き起こしているためと推定している。5−8週間たつと、細胞が作り出すサイトカインの量はピークに達し、マウスは作業の合間に横たわったり、眠ったりするようになる。
同様の現象は人間の体内でも起こり得るとしている。反復作業を続けているうちに、「どことなく体調が悪い」、「仕事の能率が上がらない」、「憂うつな気分になる」などの症状が現れる可能性があるという。研究チームは「サイトカインが体を守るための合図を発しているととらえるべきで、けん怠感などの症状により、神経の損傷がそれ以上悪化しないよう、休養が必要だと訴えているのだ」と説明している。
【文献】
Al-Shattia, T., et al.: Increase in inflammatory cytokines in median nerves in a rat model of repetitive motion injury. J. Neuroimmunology, 167: 13-22. (2005) [doi: 10.1016/j.jneuroim.2005.06.013]
2005/11/07 一緒に食事が大切とする母親の子供は肥満が少ない
3795人の子供たちを調べた結果、母親が、子供と一緒に食べることが大切であると考えている母親の子供には肥満が少ないとオーストラリアの研究者が発表した。
78%の母親は1日に1回は家族と食事をしていると回答したが、43%の母親は、子供と一緒に食べることが重要であると思っていなかった。食事を一緒に食べることが重要ではないと思っている家族の子供は、肥満になるリスクが27%高いことが分かった。
一方、何回一緒に食べたかとの間には統計的に有意な相関は認められなかった。そのため、家族が一緒に食事することが重要であると思っている母親の子供に肥満が少ないのは、間食せず、健康的な食習慣が身に付くためではないかとしている。
【文献】
Mamun, A.A., et al.: Positive maternal attitude to the family eating together
decreases the risk of adolescent overweight. Obesity Research, 13, 1422-1430.
(2005)
2005/11/06 仕事上のストレスは心血管疾患の危険性を高める
仕事上のストレスが、動脈の炎症度を高め心臓発作などに結びつきやすいことが、ベルギー・ゲント大の研究から明らかになった。
男性の労働者892人を対象にアンケートによる仕事の心理的ストレスなどを評価するとともに、ストレスを現すバイオマーカーとして、血漿フィブリノゲン、C反応性蛋白質、血清アミロイドA蛋白質の値を比較検討した。
その結果、仕事上のストレスを感じている男性は、心臓発作など心血管疾患に関与する血液凝固因子の血漿フィブリノゲン値が高値を示すことがわかった。しかし、C反応性蛋白質や血清アミロイドA蛋白質と仕事によるストレスとの間に関連は認められず、また年齢、学歴、職種、肥満指数(BMI)、喫煙の有無などの条件による差は認められなかった。
【文献】Clays. E., et al.: Associations between dimensions of job stress and biomarkers of inflammation and infection. J. Occup. Environ. Med. 47: 878-883. (2005)
2005/11/05 果物、野菜、木の実、種子だけではダメ
「常識破りの超健康革命」(松田麻美子)では、「果物、野菜、木の実、種子だけ」で十分としている。いやいや、本書の内容からすればこれだけにすべきだと述べている。
言い換えると、動物性食品を一切口にせず、植物性食品だけにすべきであるとしている。ところがこれは、科学的には大間違いで、危険ですらある。
こうした動物由来の食品を全く食べない人は、ビタミンB12の欠乏症にかかりやすい。また、カルシウム、鉄、亜鉛の摂取量も低くいだけでなく、タンパク質や多くの微量栄養素に欠けている。
そのため、大人でも問題であるが、子供の成長には特に危険で、ニュージーランドで痛ましい事件が起きた。肉や魚、乳製品を一切食べないことに徹底した夫婦に男児が誕生したが、植物性食品だけの食事によりビタミンB12が欠乏し、男児は衰弱死した。両親は1度は子供を入院させたがすぐ連れ帰り、医師の指示に背いて死に至らしめたとして遺棄罪に問われている。
植物性食品だけの食事法と病院を否定する松田麻美子の主張と同じことを実践した結果である。
2005/11/04 「朝食に果物を」と「朝食に果物だけ」は大違い
「常識破りの超健康革命」(松田麻美子)では、『「バランスのとれた食事」をとらないようにすること−「バランスのとれた食事」をとっていると病気になる!』そうである。そのため、「朝食に果物だけ」摂取する必要があるそうだ。どこまで現代医学・科学を否定すれば気が済むのか。
私たちの「朝食に果物を」の前提は、バランスの良い食生活である。現在、日本人の果物の摂取量が不足している。そのため、バランスの良い食生活になるように不足している果物や牛乳、ご飯などを食べる必要がある。「朝食に果物を」の科学データについては、果物&健康NEWS第77,78回を参照されたい。
以上のように、「朝食に果物を」と「朝食に果物だけ」は大違いなのである。両者とも、朝に果物を勧めているが思想的には正反対である。松田らは現代医学・科学を否定、私たちは現代医学・科学を肯定している。
2005/11/03 子の寿命は父親の遺伝子次第か?
寿命の長さと関係すると考えられている染色体の末端部のテロメアの長さは、父親から子に遺伝し、母親からは遺伝しない可能性があるとスウェーデン・ウメオ大の研究チームが発表した。
人の遺伝情報を担うDNAは、24種類の染色体ごとに折り畳まれ、細胞核に含まれている。この染色体の末端部の「テロメア」の長さは、細胞が分裂を重ねるごとに短くなり、限界まで短くなると細胞が死ぬため、寿命を決める遺伝要因の一つと考えられている。女性が男性に比べて長生きするのは、女性の方がテロメアが短くなりにくいためだと考えられている。
研究チームは、49家族の計132人について、血液の単球細胞のテロメアの長さを分析した結果、男性の平均テロメア減少率は年間25塩基対、女性は同16塩基対でああることが分かった。
さらに、父、母、息子、娘の4グループに分け、親子間のテロメア減少率の相関関係を調べると、父と息子や娘との間には統計的に強い関係があったが、母と息子や娘とは関係がなかったとしている。
【文献】
Nordfjall, K., et al.: Telomere length and heredity: Indications of paternal inheritance. PNAS, (October 28, 2005) [doi. 10.1073/pnas.0501724102]
2005/11/02 医学・科学の進歩を否定する人
「常識破りの超健康革命」(松田麻美子)では、「病院にはできるだけ行かないようにすること。医者のストライキがあると死亡率が激減する!」とある。まさに、非科学的な書であることを宣言している文章である。医学・科学の進歩が、病気を治し、平均余命を大幅に延ばしたことを否定している。医学・科学の進歩を完全に否定している。非常識の限界をも越えている。
2005/11/01 早期退職者の寿命は短い?
英医学雑誌に55歳で退職すると、その後10年間に死亡するリスクが65歳で退職した人に比べて有意に高いと報告された。定年前に早期退職し、リラックスした生活を送り、長生きをすると考えられているが、従来通りの刺激のある生活を送ったほうが、寿命は長くなる。1973-2003年に退職した3500人以上を対象に調査したところ、55歳で退職した人では65歳で退職した人よりも死亡率が37%高かった。
この結果に対して、55歳で退職した人は、退職時に健康上何らかの問題がすでに存在していたためではないかとの指摘がある。一方、退職時に仕事の重要性を過小評価している人が多いとの意見もある。
【文献】
Tsai, S.P, et al.: Age at retirement and long term survival of an industrial population: prospective cohort study. BMJ 331:995 [doi: 10.1136/bmj.38586.448704.E0] (21 Oct 2005)

2005/10/30 牛乳に含まれているカゼインは毒ではない
「常識破りの超健康革命」(松田麻美子)では「牛乳に含まれているカゼインは強力な化学発ガン物質である!」と主張している。冗談ではない。科学的な根拠などまったくない。カゼインは、タンパク質の一種に過ぎず、蛋白質が問題であれば、すべての食品(動物性食品のみならず植物性食品も)が強力な発ガン作用があることになる。もちろん果物にもタンパク質は入っている。
この本によれば、カゼインは子ウシにとっては自然が与えてくれた完全な健康食品であるが、人にとっては有害だそうである。その理由のいい加減さに驚く。いわく、「地球上で種族の違う動物のミルクを飲んでいるのは人間だけである」、「この地球上に生息する動物たちで生涯「乳離れ」していないのは人間だけである」。内容に虚偽を含みながら、外見上はもっともらしくいみせ、相手を欺く手法の典型である。
2005/10/29 「常識破りの超健康革命」は非科学的書2
この本の著者松田麻美子らのグループは、そのホームページで「正統医学を拒否」すると述べている。従って、どんなに非科学的主張をしても良いのかも知れないがあまりにもひどいのではないか。
この本が果物摂取を推奨しているからいいんだと考えている人もいるようだが誤っている。現在、果物の消費量は増えておらず、苦しい時期であるが、消費拡大のためには手段を選ばず、何でもありの世界ではないだろう。
今は苦しくても正統医学に基づく果物と健康に関する情報を伝えていく必要があると考えている。科学的根拠に基づいて1人、1人説得していくのは困難で、回り道のように感じる知れないが、最後には大きな果実を得ることができると思っている。誤った手段で一時的な利益が得られたとしても、その後の損失は極めて大きいだろう。
2005/10/29 ウォーキングとスポーツは日本人の心臓病、脳卒中のリスクを減らす
筑波大学の野田らの研究から、ウォーキングやスポーツ活動は心疾患の死亡率を減らすことが分かった。40〜79歳の日本人男性3万1023人と女性4万2242人について、ワオーキングやスポーツ活動をしている人と虚血性脳卒中と冠動脈性心臓病との関係を調べたところ、1日に1時間以上ウォーキングをしているか1週間に5時間以上スポーツ活動をしている人は、ウォーキング1日に30分以下か1週間に1〜2時間スポーツ活動をしている人に比べて心血管疾患の死亡率が低いことが分かった。虚血性脳卒中の死亡率ではウォーキングで29%、スポーツ活動で20%リスクを下げ、冠状動脈性心臓病の死亡率ではウォーキングで16%、スポーツ活動で49%リスクを下げた。
【文献】
Noda, H., et al. (2005) Walking and Sports Participation and Mortality From Coronary Heart Disease and Stroke. J. Am. Coll. Cardiol. 46: 1761-1767.[doi: 10.1016/j.jacc.2005.07.038]
2005/10/28 松田麻美子著「常識破りの超健康革命」は非科学的書
松田麻美子著「常識破りの超健康革命」(グスコー出版)には、現代の科学常識では考えられないことが記述してあります。果物だけ食べていれば良いとする論理は、一般人に誤解を与え、非常識を超えるどころか、危険ですらあります。この本は問題だらけで、科学的な記述はすべて誤っています(一部ではありません)。
例えばこうです。
「バランスのとれた食事」をとらないようにすること−「バランスのとれた食事」をとっていると病気になる!
牛乳に含まれているカゼインは強力な化学発ガン物質である!
病院にはできるだけ行かないようにすること。医者がストライキがあると死亡率が激減する!
朝食はしっかりとらず、果物だけを食べるようにすること
――「朝食信仰」を信じるな。朝食はとらないほうがよい
これらは、科学的に根拠のない主張です。朝食に、著者らが主張する「果物だけ」と、私たちの「朝食に果物を」とは似て非なるものです。
2005/10/25 減量したあと体重を維持するには バンクーバーで行われた肥満に対する年次大会で、定期的に体重を記録することが減量に成功した人の体重を維持するのに有効であるとブラウン大学のチームが発表した。
減量できた人のうち1/3が1年目に、2/3が2年目に元に戻ってしまう。そこで、Wingらは、2年以内に10%の減量に成功した人を、カウンセラーが面接指導するグループ、インターネットのチャットを介して指導するグループ、月ごとに減量に関するニュースレターを配布するグループに分け、体重の増減を調べた。研究を開始する前、どのグループも40%が毎日体重を記録していた。
18ヶ月後に再調査した結果、毎日体重を記録していたのは、面接指導したグループで72%、インターネットグループで65%と増加していたが、ニュースレターのグループでは30%に減少していた。また、面接指導したグループでは18ヶ月後に2.5ポンドの増加、インターネットグループでは6ポンドの増加、ニュースレターグループでは10ポンドの増加が認められた。一方、毎日体重を記録していた人のうち68%は減量した体重を維持していた。
以上の結果より、面接などで本人が定期的に体重を計測することを奨励するだけで、減量した体重を維持できるとしている。
【文献】
Wing, R., et al.; Can We STOP Regain after Successful Weight Loss: 18-Month
Results of
2005/10/24 アジアでは高血圧が脳卒中と心臓病の原因
オーストラリアとニュージーランドと比べて、アジアでは高血圧の人が多く脳卒中と冠状動脈性心臓病のリスクを高めている。従って、食塩の消費を抑えことが重要である。一方、オーストラリアとニュージーランドでは中性脂肪との関係が強いことが分かった。
【文献】
Asia Pacific Cohort Studies Collaboration&NA; A comparison of the associations between risk factors and cardiovascular disease in Asia and Australasia. Eur. J. Cardiovasc. Prev. Rehabil., 12: 484-491. (2005)
2005/10/19 WHO報告書:生活習慣の改善で死亡者数が大幅減
WHOの報告書によれば、がんや脳卒中、心臓疾患などの慢性疾患による死亡を年間2%低下させることができれば、2015年までに世界中で3,6000万人以上の生命が救われる計算になることが明らかにされた。
報告書では、慢性疾患による死亡率を年間2%低下させることを国際的な目標にすべきであると提案している。この数値は、慢性疾患の予防対策をすでに実施しているオーストラリア、カナダ、イギリス、アメリカの成功例に基づいて算出された。
2005年の死亡者数は世界中で約5,8000万人となり、このうち慢性疾患による死亡が3,500万人を占め、2015年までには、死亡者がそれぞれ6,400万人および4,100万人に達すると推測している。
慢性疾患による死亡者数を年間2%低下させることができれば、2005〜2015年間の死亡者数が約3,600万人少なくなる計算になる。回避される死亡のうち、2,800万例が中・低所得国における死亡者数と推定されている。
報告書では、慢性疾患による死亡率を大幅に低下させるための知識はすでに得られていると指摘。健康的な食事、定期的な運動および禁煙の実践により、心臓疾患、脳卒中および2型糖尿病が80%, がんが40%それぞれ発症予防できるとしている。
WHOのプレスリリース 「Stop the global epidemic of chronic disease」は下記のサイト
http://www.who.int/mediacentre/news/
releases/2005/pr47/en/index.html
WHO報告書は下記のサイト
http://www.who.int/chp/chronic_disease_report/
overview_en.pdf
2005/10/16 柿酢で血圧を下げる
渋柿を発酵させて造る柿酢に、血圧を下げる効果があることが分かったと和歌山県が、県立医科大学、JAと協力して行っ調査結果を発表した。
柿産地の伊都・那賀地方の生産者やJA職員ら30〜70代の住民94人を2群に分けて、それぞれ3月と6月から1日1回20mlの柿酢を8週間飲み続けてもらった。
柿酢を飲んだ前後での定期検査で、血圧が比較的高い(最高血圧130mmHg以上か最低血圧85mmHg以上)グループの47人に限って調べたところ、平均で最高血圧が5mmHg下がるなど有意な結果が出た。
柿酢にはカリウムやポリフェノールが多く含まれ、特に塩分を排出するカリウムは米酢の3〜10倍あり、高血圧予防に効果があると考えられている。今後は血液検査の結果を分析し、抗酸化能力についても調べていくとのこと。
和歌山県の発表内容は下記のサイトで読める。
http://www.pref.wakayama.lg.jp/news/shiryo.php?sid=3951
2005/10/14 子供は朝食の摂取が必要
フロリダ大学のRampersaudらは、過去に発表された47編の栄養関係の研究論文を再検討して、朝食の摂取・非摂取の影響について報告した。この報告によれば、朝食を摂取している子どもは、とらない子どもと比べて、「頭の働きがいい」「学校の出席率が高い」「学校の成績が良い」傾向にあることがわかった。更に、朝食を摂ると、朝食抜きの子どもと比べると、太り過ぎの子どもが少ないこともわかった。
以上の結果から、著者らは、朝食を必ず摂取するとともに、果物、全粒穀類、乳製品などの食物繊維が豊富で栄養の高い食品をとることを推奨している。
【文献】
Rampersaud, G.C., et al., (2005) Breakfast Habits, Nutritional Status,
Body Weight, and Academic Performance in Children and Adolescents. J. Amer.
Dietetic Association. 105: 743-760. [doi:10.1016/j.jada.2005.02.007]
2005/10/13 カルシウムで女性の大腸ガン予防
アメリカ・ミネソタ大学ガンセンターが、約45,000人の女性を8.5年間追跡調査した結果、毎日の食事からカルシウムを摂取している女性は、大腸ガンになるリスクが小さくなることがわかった。1日当たり800mgを摂取していた女性は、400mg以下の人に比べ、大腸ガンに罹った率が25%低かった。
【文献】
Flood, A., et al., (2005) Calcium from Diet and Supplements is Associated With Reduced Risk of Colorectal Cancer in a Prospective Cohort of Women. Cancer Epid. Bio. Prev. 14: 126-132.
2005/10/12 コレステロールを下げるには
コレステロール値が高いと、心臓血管系の病気になり易くなるが、果物、野菜、豆類など植物性の食物を多く含んだ食事を摂取するとコレステロール値が下がるとアメリカ内科学雑誌(Annals
of Internal Medicine )に報告された。
果物、野菜、豆類などを多量に消費した人(59人)は、少ししか食べなかった人(61人)よりLDL-コレステロールの値が大きく改善された。
【文献】
Gardner, C.D., et al., (2005) The Effect of a Plant-Based Diet on Plasma
Lipids in Hypercholesterolemic Adults. Ann. Int. Med. 142:725-733.
2005/10/11 気をつけないと太る
今太っていなくても将来太る可能性があることがフラミンガム心臓病研究(Framingham Heart Study)から明かとなった。データによると、現在30歳の人のうち女性では74%、男性では92%が太る。また肥満となるリスクは、女性で39%、男性で48%であった。
研究は1971〜2001年までアメリカ人4117人を調査した。太り過ぎと肥満はそれぞれBMIが25と30以上と定義された。短期間(4年)の調査では、太り過ぎの割合が女性で5〜7%、男性で7〜9%増加した。一方、長期間(30年)の調査では、50%以上が太りすぎで、25%が肥満となった。極度の肥満(BMIが35以上)は10%以上であった。
太り過ぎは、高血圧など生活習慣病の原因となるので注意が必要である。ただし、このデータはアメリカ人の結果であり、日本人ではこれほどではないのではないか。
【文献】
Ramachandran, S., et al., (2005) Estimated Risks for Developing Obesity in the Framingham Heart Study. Ann. Int. Med. 143: 473-480.
2005/10/08 地元食材を使った充実給食
佐賀県唐津市浜玉学校給食センターの栄養士、福山隆志さんたちは、地元の旬の食材を、ふだんから60%から80%も使っていると毎日新聞が伝えている(「ゆらちもうれ」第26回
05/10/6)。佐賀県の平均が40%というから、平均をはるかに上回っている。果物は地元浜玉の農家のものだそうである。
浜玉中学のような、地元産を優先して、旬で新鮮でおいしい食材を、6割から8割、ときには100%近くそろえて取り組みを日常的に行っているところは、なかなかなく、地域によっては、地元の生産物は、形が揃わないからできないとか、手間がかかるから無理とか、はなから敬遠しているところもある。
毎日新聞のサイトは下記。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/travel/
green/news/20051006org00m100063000c.html
2005/10/03 収入低いと不健康感が増大
群馬大学医学部のグループは、中高年で自分が不健康と感じている人の割合は、高収入層より低収入層で高く、中でも都市部の男性では2倍以上の差があると発表した。一方、農村部では収入による差はなかった。そのため、都市部では年収が低い人の労働条件は悪く精神的なストレスも多いためではないかと分析している。
2000年に群馬県内の40〜70代の男女計9,650人を調査し、健康状態が「まあまあ」「悪い」と答えた「不健康感ありの人」(46%)と、収入や生活習慣との関係を解析した。
【文献】
Wang, N., et al. (2005) Perceived Health as Related to Income, Socio-economic
Status, Lifestyle, and Social Support Factors in a Middle-aged Japanese.
J, Epidemiology 15: 155-162.
▽ 群馬大のグループは以前に、不健康感が強い人の死亡率が5〜6倍高いことを報告している。国民の健康増進を図る施策として、安定した収入が得られる職業を確保することが大切であることが分かる。

2005/09/28 C反応性たんぱく質(CRP)が動脈硬化と関連
C反応性たんぱく質(CRP)が動脈硬化と強く関連していることを、筑波大範江林らが突き止め、アメリカ病理学会誌に報告した。心筋梗塞の危険因子である可能性が強く、新たな動脈硬化予防薬の開発につながる成果である。
CRPは肝臓で作られ、細菌に感染すると分泌される免疫たんぱく質。炎症の指標として用いられる。そこで、動脈硬化を起こすよう遺伝子を組み換えたウサギと正常なウサギを使った実験で、動脈硬化のウサギでは血液中のCRPが最大で正常の約28倍まで増加することを確かめた。一方、ヒトの心筋梗塞の患者の場合、動脈硬化の病変部分にCRPが特異的に多く沈着していることも突き止めた。
以上の結果からCRPが動脈硬化の発症にかかわり、心筋梗塞の危険因子のひとつである可能性が強いと結論づけた。
プレスリリースは下記のサイトで読める。
http://www.md.tsukuba.ac.jp/public/rvpatho/
vascpatho/Press%20Release.htm
この論文に対するJan Torzewski氏の論評は下記のサイトで読める(日本語訳)。
http://www.md.tsukuba.ac.jp/public/rvpatho/
vascpatho/AJP-comment-JP.pdf
2005/09/25 世界で6人に1人が太り過ぎ
25日の心臓病予防デーに向けて世界保健機関(WHO)は、世界中で10億人以上が太り過ぎの状態とする推計を発表した。世界の人口は約63億人(2003年)で、約6人に1人が太っている計算になるという。
推計によると、31歳以上の75%以上が太り過ぎとされる国は、女性では米国やメキシコ、エジプト、トルコ、南アフリカなど、男性ではドイツやアルゼンチン、英国、ニュージーランドなどである。
これまで太り過ぎは高所得の国で問題となっていたが、現在は低・中所得の国で急増している。脂肪や糖分が多い高カロリーの食生活が世界的に広まったことや、労働形態の変化、交通の発達で運動不足になっていることが急増の原因と推定している。
現在のペースで太り過ぎの人が増えれば、2015年には15億人に達し、その結果、心臓病や脳卒中が増えると警告している。
WHOのプレスリリースは下記のサイトで読める。
http://www.who.int/mediacentre/news/
releases/2005/pr44/en/index.html
2005/09/23 平均寿命と健康寿命
「健康寿命」とは、世界保健機関によると「健やかに過ごせる人生の長さ」のことで、平均寿命から寝たきりになってしまった年数を引き算した数値である。日本人の平均寿命とともに健康寿命も世界一である。2002
年の世界保健機関の報告では、日本人の平均寿命は 81.4 歳(男性 77.9、女性
84.7)で、健康寿命は平均 73.6 年(男性 71.4、女性 75.8)。 残念なことに、この平均寿命と健康寿命との間には約8年の開きがる。
2005/09/21 日本の出生率、女性の社会進出に比例せず
女性の社会進出と出生率との関係を調査した結果、国際的に女性の社会進出が進んだ国ほど出生率が高い傾向があるのに対し、日本は女性の社会進出が同レベルの国と比べて出生率が低い状態にあることが明かとなった(男女共同参画会議)。
1970年頃は労働力率が高い国ほど出生率が低かったが、1985年頃を境に関係が逆転し、2000年には労働力率が高い国ほど出生率も高くなった。2000年のデータでは、労働力率が84.9%と最も高いアイスランドは出生率も2.08と最高値となったほか、米国やデンマークなども同様の傾向を示した。
出生率が高い国は、男性の短時間就業者の割合が高い、保育サービスの利用割合が高い、家事・育児時間に占める男性の割合が高いなどの傾向があった。そのため、日本の出生率が低いのは仕事と生活の両立支援や子育ての環境整備の遅れが背景にあるとしている。
男女共同参画会議の調査は下記のサイトで読める。
http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/syosika/houkoku/index-kokusai.html
2005/09/16 Klothoホルモンにより寿命延長
テキサス大の黒尾誠らは、Klothoと呼ばれる遺伝子から産生されるホルモンが、マウスの老化を抑制し、寿命を延ばすと米科学誌サイエンス(Science)に発表した。
すでに、黒尾らは、老化による機能低下を促すマウスのKlotho遺伝子の変異型を同定していたが、今回の研究では、過剰活性型のKlotho遺伝子を組み込んだトランスジェニック(遺伝子操作)マウスを作成し、その結果を調べたところ、通常のKlotho遺伝子をもつマウスよりも寿命が20%延長したという。
Klothoホルモンは、インスリン様成長因子1の代謝経路を遮断する作用があり、この経路を遮断することにより寿命が延長すると考えられている。
【文献】
Kurosu, H. et al. (2005) Suppression of Aging in Mice by the Hormone Klotho. Science, [DOI: 10.1126/science.1112766]
2005/09/13 長寿日本一は福岡の皆川ヨ子さん
今月末までに100歳以上になるお年寄りは25606人で、昨年より2568人増えて35年連続で過去最高を更新したと厚生労働省が発表した。このうち女性は約85%を占め、初めて2万人を突破した。
人口10万人あたりの100歳以上の高齢者は、全国平均で20.05人で、昨年より2.0人増えた。都道府県別では、沖縄で51.43人と33年連続の1位で、高知、島根と続いている。
長寿日本一は、福岡県赤池町の皆川ヨ子(よね)さんで1893(明治26)年1月4日生まれの112歳。男性は、鹿児島市の徳田二次郎さんで110歳。
百歳高齢者についてのプレスリリースは下記のサイトで読める。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/09/h0912-2.html
2005/09/11 世界自殺予防デー
9月10日は、世界保健機関(WHO)が定めた「世界自殺予防デー」です。世界的では、毎年およそ100万人が自殺しています。日本でも毎年3万人の人が自殺しています。そのため、WHOでは自殺を公衆衛生問題として認識し、自殺の予防のために政府、個人、専門家、およびボランティアが連携して対策に取り組むことを求める声明をだしています。
2005/09/09 夜遅く食べると太る仕組み
生体リズムを刻む体内時計を調節しているたんぱく質が、細胞内への脂肪の蓄積と密接に関係していることを日大薬学部の榛葉繁紀らの研究で分かった。生体リズムを調節しているたんぱく質は「BMAL1」と呼ばれ、DNAに結合し、体内時計が正常に働くよう調節する働きがあると考えられていた。
そこで遺伝子操作で、BMAL1を持たないマウスの細胞を作り、脂肪の蓄積の様子を調べた。この細胞にインスリンなどを加えて、栄養過剰の状態にしても、細胞内の脂肪は増えなかった。
一方、皮膚などに存在する脂肪を蓄えない細胞には本来、BMAL1はほとんどない。こちらの細胞を遺伝子操作し、BMAL1を大量に作らせる実験をすると、細胞内には脂肪が蓄積された。
他の実験から、BMAL1は、脂肪酸やコレステロールの合成を促進していることも分かっていたことから、BMAL1が脂肪の蓄積に必要だと結論づけた。
【文献】
Shimba S, et. al.: Brain and muscle Arnt-like protein-1 (BMAL1), a component
of the molecular clock, regulates adipogenesis. Proc Natl Acad Sci USA.
102(34):12071-12076. (2005)
▽ たんぱく質BML1は昼間は体内でほとんど作られず、深夜になると増える。体内のBMAL1量は、一日のうち午後10時から午前2時ごろが最高で、最も少ない午後3時ごろの約20倍に達する。そのためBML1が多い時に食事をすると、脂肪酸やコレステロールの合成が促進され、脂肪が蓄積すると考えられる。そのため、夜遅くの食事をとると太る。
2005/09/06 食育に「関心」7割
「食育に関する特別世論調査」が内閣府から公表された。それによると、「食育」について、関心が「ある」「どちらかと言えばある」と答えた人が約7割を占めた。一方、食育の周知度を調べたところ、この調査まで「言葉も意味も知らない」という人は47.4%で、「言葉も意味も知っていた」と答えた人は26.0%にとどまり、「言葉は知っていたが、意味は知らなかった」は26.6%だった。
食育に関心を示した人で、その理由を複数回答で選んでもらったところ、「食生活の乱れが問題になっているから」が69%で最も多く、「生活習慣病の増加が問題になっているから」(67%)が続いた。
調査は全国の成人3000人を対象に面接方式で実施。回収率は54%だった。
「食育に関する特別世論調査」の概要は下記のサイトで読める。
http://www8.cao.go.jp/survey/tokubetu/h17/h17-syokuiku.pdf

2005/08/30 健康食品:女性10人中6人が利用
肥後銀行系の地域シンクタンク、地域流通経済研究所がまとめた女性の「健康食品に対する意識と利用実態調査」によると、女性10人のうち6人超が健康食品を利用していると毎日新聞が伝えている(05/8/25)。
熊本市内の20〜60代の女性456人に尋ねたところ、利用しているが63.8%。そのうち「ほとんど毎日利用している」が43%と最も多く、「週2〜3回」が10.1%。2人に1人は定期的、日常的に利用していた。
利用している健康食品では「ビタミン類」がトップで48.5%、購入金額では1カ月「1000円以上3000円未満」が37.5%で最多。にもかかわらず、健康食品の広告は、「信頼できると思う」はわずか1.3%、「まあそう思う」7.9%で、健康食品広告の信頼度は極めて低かった。
▽ この結果を見ると、健康食品の宣伝文句をあまり信用していないが、飲まないよりはいいと思っている人が多いようだ。
2005/08/18 トランス型脂肪酸の使用の自粛要請/ニューヨーク
ニューヨーク市保健精神衛生局(New York City Department of Health and
Mental Hygiene )は、心臓病対策のため8月10日から市内の飲食店や食品店に対してトランス型脂肪酸を含む調理油の使用自粛を呼びかけ始めた。
アメリカではマーガリンやショートニングなどに含まれる「トランス型脂肪酸」の摂取に注意を呼びかけている。取りすぎると血液中の「悪玉コレステロール」が増え、心臓病の原因になると問題視されるようになったため。
ニューヨーク市ののHealthy Heart - Eat Less Trans Fatのサイトは下記。
http://www.nyc.gov/html/doh/html/cardio/
cardio-transfat.shtml
2005/08/14 平成16年度医療費は過去最高
厚生労働省が発表した平成16年度の医療費は、高齢者の医療費の伸びを反映して、過去最高だった前の年度よりさらに2%増え、31兆4000億円となった。
平成16年度医療費の動向は下記のサイトで読める。
http://www.mhlw.go.jp/topics/medias/year/04/index.html
2005/08/13 国民生活白書(子育て世代の意識と生活)
政府は平成17年度版国民生活白書を公表した。副題は、「子育て世代の意識と生活」で、少子化が進む中、20-40代の子育て世代の所得環境や教育費負担など、子育てを難しくしている問題点を分析している。夫婦が子供1人を大学を卒業するまで育てるのにかかる費用が1302万円と試算した。負担軽減のため、国の財政支援拡大や企業による雇用環境の見直しなど、社会全体が支援に取り組むべきだと提言している。
国の調査によると、出生率は2004年に1.29に低下したが、夫婦の理想の子供数は2.5人と、ここ20年変わっていない。白書は、この子供数を実現できない要因として、「夫婦が子育てで経済的、心理的な負担を感じている」と指摘。子育てを支援するサービスを安く提供することが重要と強調している。
試算で示した1302万円の主な内訳は、食料費など基本的経費が722万円、教育費が528万円で、教育費が大きな負担になっている。子供が増えると食料費や衣料費などが節約でき、2人目は1052万円、3人目は769万円になるという。
国民生活白書の要旨は下記のサイトで読める。
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/
h17/10_pdf/03_youshi/index.html
全文は下記のサイトにある。
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/
h17/10_pdf/01_honpen/index.html
2005/08/12 平成16年度食糧需給表が公表される
農林水産省が平成16年度食糧需給率を公表した。それによると食糧需給率(カロリー換算)は、7年連続で40%であった。小数点以下を考慮した値は39.5%で、前年度の39.7%から0.2ポイント低下した。
諸外国の需給率は、米国119%、フランス130%、ドイツ91%、英国74%、イタリア71%で、年度が異なるので正確な比較はできないが平成16年度も日本は先進国中で最低だったとみられる。生産額ベースの食糧需給表は2年連続で70%だった。
牛海綿状脳症(BSE)や鳥インフルエンザの影響で輸入牛・鳥肉の消費量が減るなど、自給率上昇の要因もあったが、相次ぐ台風上陸で国内産大豆や魚介類の生産量が減り、結果として需給率は横ばいだったとしている。
政府の食料・農業・農村基本計画で、平成27(2015)年度までにカロリーベース45%、生産額ベース76%達成を目標にしている。
農林水産省が発表した食糧需給表のプレスリリースは下記のサイトで読める。
http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050810press_3.html
食糧需給表全文は下記のサイトで読める。
http://www.kanbou.maff.go.jp/www/fbs/fbs-top.htm
2005/08/04 「低炭水化物ダイエット」関連のアトキンスが破産法申請
「低炭水化物ダイエット」関連商品を販売する米アトキンス・ニュートリショナルズが7月31日、ニューヨークの連邦破産裁判所に連邦破産法11条に基づく会社更生手続きの適用を申請したとCNNが伝えている(05/7/31)。負債総額は3億ドル(約336億円)。
同社は、パンやパスタ、穀類などの炭水化物を控えて、代わりに赤身の肉などの高タンパク食品を取ること勧めた「低炭水化物ダイエット」を提唱したロバート・アトキンス博士が1989年に設立。低炭水化物食品の販売などで成長した。
しかし、2003年後半から負債がかさんでいた。
2005/08/02 果物・野菜のソムリエを育成/岩手県
岩手県盛岡地方振興局などはこのほど、日本ベジタブル&フルーツマイスター協会が認定する「ベジタブル&フルーツマイスター」(通称野菜のソムリエ)と呼ばれる青果専門家の資格取得に掛かる経費を助成することを決めたと共同通信が伝えている(05/7/28)。
果物・野菜のソムリエは、野菜と果物の種類、旬、保存方法、栄養価、食べ方などの知識を分かりやすく伝えることのできるスペシャリストで、消費者の食の安全志向もあり、主婦や若い女性の注目を集めている。現在、資格取得者は全国で約4200人、岩手県内には5人いるという。
助成は、県の出先機関の盛岡地方振興局や周辺市町村、農協などでつくる「盛岡地方元気な園芸産地づくり運動推進協議会」が、受講料や試験料などの約半額の7万5000円を援助する。
2005/08/02 ハンバーガー大手2社「食育」啓蒙
ハンバーガーの大手チェーンが、子供に食生活の大切さを教える「食育」の啓蒙(けいもう)活動に本格的に取り組み始めたと産経新聞が伝えている(05/8/1)。小学校向けに「教材」を作成して学校に提供し、授業の場などで役立ててもらう。
日本マクドナルドは、インターネットのホームページに「食育の時間」(http://www.chantotaberu.jp)というウェブサイトを開設した。「ハンバーガーは何でできているの?」「どうしておなかがへるのかな?」といったテーマで、全五時間の授業構成とした。また、「モスバーガー」は、店長やオーナーを小学校に派遣し、正しい食のあり方やリサイクルなどのテーマで出張授業を行う「モスバーガー食育プログラム」を作成。調理場に児童を招くハンバーガーの調理体験を行うプログラムもあり、十月から本格的な普及活動を行う計画とのこと。

2005/07/31 年間医療費で地域差
平成17年度版厚生労働白書によれば、1人当たり年間医療費で最大2倍の地域差があることが分かった。都市部が少なく地方は多い傾向がある。医療費が最大だったのが鹿児島県の33万6000円で、最少の埼玉県の1.9倍に当たる。全国平均は24万4000円。九州、中国四国と北海道で多く、首都圏、近畿などは少ない傾向となった。1人当たり老人医療費は福岡県が90万円で、長野県の1.52倍となった(全国平均は約74万円)。
主要疾患の死亡率も最大で約3倍の地域差が出た。人口10万人当たりのがんの死亡率は秋田県が330人で最小の沖縄県の1.91倍、心疾患は愛媛県が176人と最小の沖縄県の1.95倍、脳血管疾患が秋田県が164人と最小の沖縄県の2.57倍となった。
上記分析は下記のページで読める。
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/05/dl/1-2l.pdf
2005/07/30 出生率と労働力率との関係
平成17年度版厚生労働白書では、「社会保障の地域格差」に焦点を当て、30歳代前半の女性が働く割合が高い地域は、合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの平均数に相当)が高い傾向にあるという、北欧同様のなだらかな相関関係が見られる点を指摘している(第1部第2章第3節p97)。出生率が比較的高い地域は正規職員が多い半面、労働時間が短いため、仕事と子育ての両立がしやすいのではないかと分析している。
30-34歳女性の働いている割合(労働力率)と出生率の関係を平成12年と比較すると、労働力率が73.84%と全国1位の山形県は出生率も5位の1.62であった。逆に労働力率が47.83%で最低の奈良県は、出生率も1.30で下から5番目と他地域でも、なだらかだが同様の相関関係を示した。また、出生率が1.28と3番目に低かった京都府は、60時間以上勤務の割合が6.4%と全国3位で、正規職員率も54%にとどまる。このほか白書は、男性の通勤時間が短かく、延長保育時間が長い地域は出生率が高い傾向なども指摘した。
上記分析は下記のページで読める。
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/05/dl/1-2j.pdf
平成17年版厚生労働白書は下記のサイトにあります。
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/05/index.html
概要は下記のサイトで読めます。
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/05-2/index.html
2005/07/25 血圧正常でも仕事中に上昇
「職場高血圧」に関する調査結果を東京都老人医療センターの桑島巌・副院長(循環器病学)らがまとめたと朝日新聞が伝えている(05/7/21)。健康診断では正常な血圧の人の中に、仕事の合間に測ると高血圧の人が2〜3割もいた。
健康診断では正常血圧だった社員151人(平均年齢約40歳)のうち55人(36%)が、仕事中は上の血圧(単位はミリHg)が140以上または下の血圧が90以上で、高血圧と診断される血圧だった。
ある役所の事務部門でも、健康診断で正常血圧の職員267人(平均年齢約42歳)のうち62人(23%)が、仕事中は高血圧に分類された。
血圧はかなり変動があり仕事中は一般の人でも10程度は上がる可能性があると見ているが、調査で見つかった「職場高血圧」では、健診時より40〜50も上がっていた人もいた。「仕事のストレスが血圧の変動に影響しているのではないか」という。
国内では約3500万人が高血圧と推定されている。成人の約3人に1人の計算だ。仮面高血圧(隠れた高血圧)の人が国内にどれだけいるかは分かっておらず、一定規模の職場で実施された今回の調査は注目される。
2005/07/24 ホテル総料理長の食育
埼玉県さいたま新都心にあるホテルブリランテ武蔵野の総料理長山田清人さんが企画した埼玉県の学校の教職員の人たちを対象にした「大人の食育セミナー&スローフードディナー」について毎日新聞が伝えている(サイトは下記)。このセミナー、食材に使われる農産物を栽培した農家も加わっての本格的なフレンチのフルコースを味わうというもである。
山田さんは「埼玉県に素晴らしい農家も農産物もたくさんあるのに、まだまだ知られていない。その素晴らしさを農業の現場と素材とともに伝えたい。それも子どもたちに直接触れ合う機会の多い、先生たちに、味わってもらおうと企画をした」という。イタリアでは、スローフード協会が、教職員向けの食のワークショップを、フランスでは、有名シェフたちが、子どもたちに料理を教える活動をしているとのこと。
山田さんのすごいのは、まずパネラーを、開催3カ月も前に、自らのフレンチに招待して料理がどんなものか説明し、食事を知り、打ち合わせが行われたことだという。それから、後日、パネラー全員で農家を訪ねて、生産の現場をつぶさにみて、そこからセミナーとディナーの進行を立ち上げたのである。
だからセミナー&ディナーの当日は、パネラー自体が、料理の素材、生産の現場、食事の展開のイメージが描けていて、地域の食の現場を踏まえて、食の安全性や、食べ物や農業の大切さを、なごやかにかみくだいて話すことができた。セミナーの後は、ディナーだったのだが、これが実に素晴らしかったと記者が印象を述べている。
毎日新聞の記事全文は下記のサイトで読めます。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/travel/green/
news/20050721org00m100006000c.html
2005/07/23 日本人の平均寿命、男女とも最高更新
平成16(2004)年簡易生命表によれば日本人の平均寿命は、女性が85.59歳、男性が78.64歳で、男女とも5年連続で過去最高を更新しと厚生労働省が発表した。前年と比べ、女性は0.26歳、男性は0.28歳延びた。女性は20年連続の世界一、男性は前年の3位から香港を抜いて2位となり、世界最速のペースで長寿化が進んでいる。
2004年生まれの赤ちゃんが80歳まで生きる割合は女性が76.8%、男性が55.2%。女性はほぼ半数が米寿(88歳)を迎えられるという。
海外との比較は、統計の年次などが異なるため厳密には難しいが、男性はアイスランド(2001-2004年、78.8歳)、日本、香港(2003年、78.5歳)の順、女性は日本、香港(84.3歳)、スイス(2002年、83.0歳)の順だった。
日本人の三大死因のうち、がんで亡くなる確率は高まったが、心疾患、脳血管疾患で亡くなる確率は下がり、平均寿命の延びに寄与した。
平成16(2004)年簡易生命表は、下記のサイトで読める。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life04/index.html
2005/07/17 胸部X線有効性に疑問
胸の病気の早期発見を名目に毎年1回、職場の健康診断で実施されている胸のエックス線検査について、厚生労働省は法的義務付け廃止の検討に入ったと毎日新聞が伝えている(05/7/17)。
検査の有効性を示す証拠がないためだ。エックス線検査は労働安全衛生法の規則が定める職場健診の1項目。同法は72年の施行以来、事業者に対し年1回の実施、労働者には受診を義務付けており、罰則もある。受診対象者は現在、約5900万人に上る。
結核予防法も年1回の検査を義務付けていたが今年4月に義務は廃止された。見つかる結核患者が受診者1万人に1人未満と少なく、発見の利益よりエックス線被ばくの害が心配されるためだ。
阿部課長は「従来は、とにかく検査するのは良いことだとやってきたが、今は有効性の証拠が求められる時代だ」と話していると伝えている。
毎日新聞記事は下記のサイトで読めます。
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/
20050717k0000m040118000c.html
2005/07/16 「さ・し・す・せ・そ」の根拠
料理のときに調味料を入れる順番の「さ(砂糖)・し(塩)・す(酢)・せ(しょうゆ)・そ(みそ)」は覚えやすいが、科学的に意味はあるのだろうか。この疑問を毎日新聞の「なぜ・なぞ科学」(05/7/13)で調べています。
それによると、「砂糖と塩の順番が大切」とのこと。味付けをすると、調味料が食品の「すきま」に入り込む。塩が水に溶けると原子レベルの小さな粒になるが、砂糖は比較的大きな分子にしかならない。最初に塩を入れると、塩の粒が材料の大半のすきまを埋め、後から大きな砂糖が入り込む余地がなくなるという。
「すせそ」は、料理の最後ぎりぎりに入れるとよいという意味だと考えられる。科学的に重要なのは、砂糖・塩の順番と、酢・しょうゆ・みそは最後に、ということではないかとのこと。
毎日新聞記事サイトは下記。
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/
20050713ddm016070128000c.html
2005/07/10 うつ抑える新薬の可能性
脳に存在するタンパク質OCT3(organic cation transporter-3)の働きを抑えると、抗うつ剤と同じ効果がみられると北市(名古屋大)らがマウスの動物実験で見つけたと発表した(文献下記)。新しい薬や、うつ予防法の開発に道を開く成果として注目されている。
タンパク質OCT3をつくる遺伝子の働きを阻害する物質を、マウスの脳に注入したあと、マウスを5分間、水に入れて積極的に泳ぐ時間を計った結果、ただのリンゲル液を注入したマウスが1分程度だったのに対し、タンパク質を阻害したマウスは4分近くにまで延びた。既存の抗うつ剤と併用すると成績が向上することも分かった。
【文献】 Kitaichi. K., et al.: Behavioral changes following antisense oligonucleotide-induced reduction of organic cation transporter-3 in mice. Neurosci Lett. 382:195-200. (2005)
2005/07/08 平成16年 国民生活基礎調査の公表
厚生労働省が国民生活基礎調査結果を公表した。3年ごとに調査されている通院者率では、全国平均で人口1000人当たり325人で、男女合わせて最多は大阪市の365人で、反対に最も少ないのは沖縄県の235人であった。男女別にみると、全国平均は男性303人、女性347人。岩手県の女性が最多で、385人であった。
また、2003年の1世帯当たりの平均所得は前年比1.6%減の579万7000円で、7年連続で減少した。600万円割れも2年連続で、過去最高の56%が「生活が苦しい」と感じている。
家族構成では、65歳以上の高齢者だけか、高齢者と18歳未満の子供だけの世帯の割合が17%と最高を更新した。こうした高齢者世帯の60%以上が公的年金や恩給だけで暮らし、介護保険が始まっても高齢者が高齢者を介護する「老老介護」の状況は変わらない。
平成16年 国民生活基礎調査のニュースリリースは下記。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/
hw/k-tyosa/k-tyosa04/index.html
統計表は下記。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/
hw/k-tyosa/k-tyosa04/toukei.html
2005/07/07 食育基本法が7月15日から施行
政府は5日の閣議で、国民運動で食生活の改善を目指す食育基本法を15日に施行することを決めた。施行に合わせて発足する食育推進室には農林水産・厚生労働・文部科学省の職員が出向。関係省庁課長会議も立ち上げ、首相を会長に関係閣僚13人と民間委員12人でつくる食育推進会議の設立準備を進める。市民の意見を聞きながら1カ月に1回のペースで基本計画の策定に向けて論議し、基本計画を策定する。
同基本法は国や地方公共団体、教育・農林漁業・食品産業関係者や国民に食育推進の責務を求める一方、政府に必要な法整備や財政措置を義務付けている。食への意識が高まることで、消費者と生産者との信頼関係づくりや地域社会の活性化などを目指している。
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