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2006/06/29 果物を含む食生活は大腸ガンを予防する
男性の自衛隊員1,341人を対象に大腸ガンと食事のパターンとの関係を解析した結果、果物、野菜、乳製品、デンプンを多く摂取し、アルコールの摂取量が少ない人は大腸ガンになりにくいことが九州大学と自衛隊病院との共同研究から分かった。
研究では1)果物、野菜、乳製品、デンプンを多く摂取し、アルコールの摂取量が少ない(DFSAパターン)、2)動物性食品を多く摂取しているパターン、3)日本型食生活の三つの食事パターンに分けて解析したところ、DFSAパターンの食事をしている人は大腸ガンの前駆体である腫瘍ができるリスクが38%少ないことが分かった。一方、他の二つの食事パターンではこうした傾向は認められなかった。
【文献】
Mizoue, T. et al.: Dietary Patterns and Colorectal Adenomas in Japanese Men - The Self-Defense Forces Health Study. Amer. J. Epidemiol. 2005 161: 338-345. (2005) [doi:10.1093/aje/kwi049]
2006/06/27 偏った食生活は喫煙と同じくらい健康に悪影響:オランダ
オランダの国立公衆衛生・環境保護研究所(RIVM)は、果物、野菜、魚をほとんど食べない食生活は喫煙と同じくらい健康に悪影響お及ぼすと発表した。
報告では、現在オランダでは、深刻な病気や死亡の原因となっている食習慣のうち、最大のものが果物、野菜、魚の摂取不足と指摘している。また、何年もの闘病生活を強いられるリスクまで考慮に入れると、不健康な食生活は喫煙と同じくらい健康に大きな害を及ぼすとしている。
オランダでは、約75%が十分に果物や野菜を摂取していない。そのため、不健康な食生活が糖尿病や心疾患、ガンを引き起こしているとしている。
報告書は下記のサイトで読める。
http://www.rivm.nl/bibliotheek/rapporten/270555009.pdf
2006/06/25 コエンザイムQ10:安全な上限量決定は困難
コエンザイムQ10について、内閣府食品安全委員会は「データ不足のため、食品として摂取する際の安全な上限量を決めることは困難」との評価書案をまとめた。ただし、健康食品の製造にあたっては、医薬品としての用量(1日当たり30μg)を超えないよう配慮する必要があるとしている。
コエンザイムQ10は動植物の体内で合成されている物質で、抗酸化作用があり、心不全治療では用量が決められているが、健康食品用としては基準がなかった。
コエンザイムQ10入りの食品を摂取した消費者が胃痛やおう吐を訴えたとの報告もあり、厚生労働省が食品安全委員会に食品としての健康影響評価を依頼した。
安全委員会は「健康被害との因果関係がはっきりせず、評価できなかった。医薬品としての用量を超えても、必ずしも健康被害が出るわけではない。消費者は、医薬品の用量を認識しつつ、摂取後に具合が悪くなることがあれば医療機関へ相談してほしい」としている。
食品安全委員会のコエンザイムQ10の審議結果は下記のサイト
http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc_coq10180622.pdf
食品安全委員会のコエンザイムQ10に関する意見募集は下記のサイト
http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc_coq10180622.html
2006/06/24 カンキツ果汁は骨を強くする
骨粗しょう症モデルのネズミの朝食にオレンジジュースとグレープフルーツジュースを与えたところ、骨が強くなったとアメリカ・テキサスA&M大学の研究グループが発表した。ジュースに含まれている抗酸化成分が骨をもろくするオキシダントの働きを抑制するためではないかとしている。
【文献】
Deyhim, F. et al.: Citrus juice modulates bone strength in male senescent rat model of osteoporosis. Nutrition 22: 559-563. (2006)
2006/06/23 DNAワクチンとは
遺伝子免疫とも呼ばれ、一種の遺伝子治療である。
今までのワクチンは、病気の原因であるウイルスを不活化あるいは弱毒化したものを体内に注入し、体内で自然に抗体を作らせ、免疫の働きを利用して感染を予防する。
DNAワクチンは、ウイルスの抗原になる部分の遺伝子を体内に導入し、体内で抗原を作らせ免疫を誘導する方法である。従来の方法はウイルス全体を接種する必要があったが、この方法によると特定のタンパク質のみが生成されるので、毒性を示す部分を取り除くことができる。
DNAワクチンは研究段階で、マウスでは効果的であるが、人ではまだテスト中である。
2006/06/22 アルツハイマー病予防の新DNAワクチン
アルツハイマー病の原因タンパク質・β-アミロイドが脳に蓄積するのを抑える新しいDNAワクチン(nonviral
Aβ DNA vaccine)を開発したと東京都神経科学総合研究所などの国際研究チームが発表した。
アルツハイマー病は、脳にβ-アミロイドと呼ばれるタンパク質が蓄積して起こる。β-アミロイドをつくるDNAを含んだワクチンを筋肉に注射するとβ-アミロイドが体内で作られるが、同時に、β-アミロイドに対する抗体もできる。この抗体がβ-アミロイドの蓄積を抑える。
そこで、研究チームは、開発したDNAワクチンをアルツハイマー病モデルマウスに投与してβ-アミロイドの蓄積を調べたところ、投与しなかったマウスに比べて3分の1〜半分程度に減った。また、このワクチンは長期間投与しても、免疫に関する細胞の過剰な活性化や髄膜脳炎といった副作用がなく安全性が高いことから遺伝子を用いた治療薬としての可能性が期待されている。
【文献】
Okura, Y. et al.: Nonviral Aβ DNA vaccine therapy against Alzheimer's disease: Long-term effects and safety. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 103: 9619-9624. (2006) [doi: 10.1073/pnas.0600966103]
2006/06/20 女性の場合、睡眠不足が体重増と関連
睡眠不足は体重の増加につながるとアメリカ胸部学会国際会議(American Thoracic
Society International Conference, in San Diego)で報告されたとCBSなどが伝えている(06/05/23)。
Nurses Health Studyに参加した女性6万8,183人を16年間追跡した結果、睡眠時間が5時間以下の女性は、7時間の女性に比べ、2.3ポンド以上(約1kg)体重が増加していた。また、睡眠時間が6時間の女性は、7時間睡眠の女性よりも1.5ポンド以上(約0.7kg)体重が重かった。
さらに、毎日7時間以上睡眠をとる女性は5時間しかとらない女性よりも食事量が多く、運動の習慣は、両グループの間にほとんど差がみられなかった。
以上の調査結果は、睡眠不足は体重の増加につながることを示唆しているが、その因果関係はまだ明らかではない。
男性については調査が行われていないので睡眠不足が体重増につながるかどうか明かではない。
2006/6/19 肝臓から脳に信号が伝わり肥満を抑制
肝臓と脂肪組織の情報のやりとりに関与する神経経路を同定したと東北大の研究グループが科学研究雑誌Scienceに発表した。
モデルマウスに対し遺伝子操作を行い、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)-γ2を肝臓に発現させると、脂肪の蓄積が著しく減少した。また、迷走神経を手術で切断して実験すると、脂肪肝にしても内臓脂肪は減らなかった。
以上のことから、脂肪肝になると神経を通して肝臓から脳に信号が伝わり、体のエネルギー消費を増やしたり、脂肪を減らしたりして、肥満が進むのを抑える調節機構が働くと研究者らは考えている。
【文献】
Uno, K. et al.: Neuronal Pathway from the Liver Modulates Energy Expenditure and Systemic Insulin Sensitivity. Science 312: 1656-1659. (2006) [doi 10.1126/science.1126010]
2006/06/16 ガン化を促進タンパク質が特定される
大腸ガンの進行や悪性化で中心的な役割を果たすタンパク質が特定されたと、金沢大などの国際共同研究チームが発表した。
CRD-BP(coding region determinant-binding protein)と呼ばれるタンパク質は、大腸ガンの細胞内で、ガン進行や悪性化につながるタンパク質を合成するリボ核酸(RNA)を安定化し、ガン化を促進することが分かった。
大腸ガン細胞の培養実験では、遺伝子操作によりCRD-BPの働きを阻害すると、ガン化を促進する伝達経路が衰え、ガン細胞の自殺率(アポトーシス)が上昇し、増殖率が大幅に抑えられた。
大腸ガンを促進する仕組みについては、これまで不明な部分が多かったが、大腸ガンの病巣から多く検出されるCRD-BPが、ガン化促進するタンパク質であることを解明した。
今後、発ガンとガン悪性化の伝達経路の解明や新たな治療、診断法の開発が期待される。
【文献】
Noubissi, F. K. et al.: CRD-BP mediates stabilization of βTrCP1 and c-myc mRNA in response to β-catenin signalling. Nature 441, 898-901 (2006) [doi: 10.1038/nature04839]
2006/06/15 ガンなどの闘病記:ネットで無料検索
図書館司書や医療従事者が選書した700冊の闘病記を無料で検索できる「闘病記ライブラリー」(国立情報学研究所)がスタートした。仮想本棚に闘病記がガン、脳、心、血液など12項目に大分類し、病名ごとに小分類されている。
著者、出版社、目次、概略や解説もあり、著者の性別や年齢、生死などの情報が記載されている。サブタイトルは「病気と闘う患者・家族・患者を支える人へ」である。
闘病記ライブラリーは、下記のサイトにある。
http://toubyoki.info/
2006/06/09 低カロリー食で老化を抑制できる
十分にタンパク質と微量成分が含まれていて低カロリー(1800kcal)な食事を続ければ老化が抑制できるとアメリカ・セントルイスのワシントン大学医学部の研究グループが科学研究雑誌に報告した。
低カロリー食を続けるとT3と呼ばれる甲状腺ホルモンと炎症性たんぱく質腫瘍壊死因子(TNF-α)のレベルが低下した。T3ホルモンは、体温、細胞代謝の制御と細胞にダメージを与えるフリーラジカルに関与していることから、T3ホルモンの減少は老化速度を遅くすると研究者らは述べている。
【文献】
Fontana, L. et al.: Effect of Long-term Calorie Restriction with Adequate Protein and Micronutrients on Thyroid Hormones. J. Clin. Endocrinol. Metab. Online May 23 (2006) [doi: 10.1210/jc.2006-0328]
2006/06/08 歩行能力は寿命と関係する
高齢者の歩行能力が、将来の健康状態および寿命まで予測する重要な指標となることがアメリカ・ピッツバーグ大学などの調査から分かった。400メートルを短時間で歩き切ることができる人は、長生きする確率が高く、心血管疾患および身体障害を来す確率が大幅に低かった。
健康な70〜79歳の被験者3,075人(男性48%、女性52%)に対し歩行テストを行った結果、歩行速度上位25%のグループに比べ、最下位のグループでは死亡リスクが3倍高かったほか、心疾患、運動制限および障害を生じるリスクも高かった。
この結果から著者らは、歩行テストが、高齢者の死亡リスクや疾病リスクを予測する方法として有用であり、かつ、健康状態をテストする指標として役立つとしている。
【文献】
Newman, A. B. et al.: Association of Long-Distance Corridor Walk Performance With Mortality, Cardiovascular Disease, Mobility Limitation, and Disability. JAMA. 295: 2018-2026. (2006)
健康の維持には歩くことが大切であることを裏付けた研究である。特に、高齢者の場合、歩行能力の維持が大切であることをこの研究は示している。
2006/06/02 レモネードが腎臓結石の予防に役立つ可能性
アメリカ・ウィスコンシン大学の研究チームとデューク大学の研究チームがアメリカ泌尿器協会年会(アトランタ:06/5/24)でレモネード(レモンジュースを水で薄めた飲み物)を飲むと腎臓結石を予防できると報告した。
ウイスコンシン大学の研究チームは、120mlのレモンジュースを含む2.5Lの飲料か960mlのレモネードを40ヶ月飲んでもらったところ尿中のクエン酸塩が多くなり量も増えたと報告した。
デューク大の研究チームは、低クエン酸症の患者に120mlのレモンジュースを含む2Lの飲料を摂取してもらったところ12人中11人で尿中のクエン酸塩が増加したと報告した。
腎臓結石ができやすい人にはしばしばクエン酸カリウムが処方されるが、レモンにはクエン酸が含まれているので腎臓結石の予防に役立つと考えられている。
しかし両グループとも、レモネード療法が代替え治療になるかについては、さらに研究を続ける必要があるとしている。
2006/06/01 鳥インフルエンザ、ヒトからヒトへの感染を否定WHO
世界保健機関(WHO)は、インドネシアの一家7人が高病原性鳥インフルエンザに感染し、うち6人が死亡した事態について、ウイルスが人間から人間に感染した可能性があると5月23日に発表したが、その後の研究から人から人への感染は確認されていないと否定し、5月31日に見解を修正公表した。
当初、周囲に鳥インフルエンザに感染した動物がいないとされていたが、その後の調べで数羽の鶏を飼っており、最初の病状が現れる前に3羽が死んでいることが分かった。
以上の結果から鳥インフルエンザの警戒レベルは現状のままでよいとした。
5月31日発表の鳥インフルエンザに関するWHOの見解は下記のサイトで読める。
http://www.who.int/csr/don/2006_05_31/en/index.html
鳥インフルエンザがもし人に移ると大変なこと(世界中で多数の死者が出ると予測されている)になるが、今回は感染は確認されていないようだ。

2006/05/31 ガンに関する正確な情報を引き出せたのはたったの4%
アメリカ・アリゾナ州フェニックスで開かれた医学図書協会の年次総会(2006.5.19-24)で発表されたミシガン大学ガンセンターの研究によると、ガンセンターを訪れた患者や家族で、インターネットなどから正確な情報を引き出せたのはたったの4%であることが分かった。
それに対して、専門の司書が手助けした場合、65%の人に対して彼らが知らなかった新しい情報を提供し、残りの30%に対しては、追加情報が提供された。
このことは、インターネットから正確は医学情報を引き出すためには、専門の知識が必要なことを示している。
上記ニュースはミシガン大学のサイトで読める。
http://www.cancer.med.umich.edu/news/medinfo06.htm
2006/05/29 一酸化窒素は脳の神経細胞を死滅させる
孤発性パーキンソン病やアルツハイマー病などによる脳の神経細胞が死滅する仕組みを北海道大学の上原孝らの国際研究チームが発見したと科学研究雑誌Natureに発表した。
細胞質や小胞体(ER)に存在するストレスタンパク質は細胞の恒常性を維持し、障害に対して保護的な働きをしている。神経変性は、酸化またはニトロソ化ストレスが引き金となって生じることが知られている。そこで、たんぱく質の異常を修復する酵素「PDI(たんぱく質ジスルフィドイソメラーゼ)」に着目し、PDIと一酸化窒素と関係を調査したところ、PDIと一酸化窒素が結合すると、PDIの働きが抑制され異常たんぱく質が増加することを発見した。
そこで、ラットにパーキンソン病や脳こうそくを人為的に起こし、PDIと一酸化窒素の結合状態を調査した結果、PDIと一酸化窒素が結合すると神経細胞を死滅することを動物実験でも確かめた。
また、パーキンソン病やアルツハイマー病で亡くなった患者を調べたところ、全11人から一酸化窒素と結合したPDIが検出されたが、循環器病など別の病気で亡くなった患者(6人)の脳からは未検出だった。
以上のことから脳内で生じる一酸化窒素が正常な酵素に悪影響を及ぼし、有害なたんぱく質を大量合成するために神経細胞が死滅すると考えられた。この発見は、早期発見や治療につながる可能性があり、研究の進展が期待されている。
【文献】
Uehara, T. et al.: S-Nitrosylated protein-disulphide isomerase links protein misfolding to neurodegeneration. Nature 441, 513-517. (2006) [doi: 10.1038/nature04782]
2006/05/28 マグネシウムは死亡率を下げ、銅は上げる
フランスの研究グループが、マグネシウム、銅、亜鉛のレベルとガンや心臓病などの死亡率との関係すると発表した。パリに住む30-60歳の4035人を18年間の追跡調査から、血清中の銅レベルが高い人は低い人に比べて死亡率が50%、ガンによる死亡率が40%、心臓病による死亡率が30%増加した。マグネシウムのレベルが高いと死亡率と心臓病による死亡率が40%、ガンによる死亡率が40%少なかった。亜鉛が低く、銅が高い場合は死亡率が2.6倍、ガン死亡率が2.7倍増加した。同様に、低い亜鉛と高いマグネシウムでは死亡率、ガン死亡率ともに80%減少した。
血液中の金属レベルと疾病との関係を調べた疫学調査は少ないので貴重な論文である。また、この研究だけでは、何故、マグネシウムが死亡率を下げるのか分からないので今後の研究の進展に期待したい。
【文献】
Leone, N. et al.: Zinc, Copper, and Magnesium and Risks for All-Cause, Cancer, and Cardiovascular Mortality. Epidemiology. 17: 308-314. (2006)
2006/05/25 リンゴは心臓病、ガンなどの生活習慣病予防に有効
リンゴにはフラボノイドが豊富に含まれている。フラボノイドは抗酸化性が強くDNAの損傷を防ぐ働きなどが知られていた。アメリカ・カルホルニア大の研究グループは、人の内皮細胞にリンゴ抽出物を作用させた結果、心臓病やガンなどの生活習慣病を引き起こす腫瘍壊死因子(TNF)による細胞活動を阻害する働きが見いだされた。
【文献】
Davis, P.A. et al.: Effect of Apple Extracts on NF-B Activation in Human Umbilical Vein Endothelial Cells. Exper. Biol. Med.231: 594-598. (2006)
2006/05/23 ぜん息患者は、果物とビタミンCの摂取が少ない
ぜん息患者と健常人それぞれ515人を対象とした症例対照研究から、ぜん息症患者は果物摂取が少なく、ビタミンCとマンガンの摂取量も少ないことが分かったとイギリス国立公衆衛生院の研究グループが発表した。ぜん息患者は果物を1日当たり平均132.1gの摂取であったが、健常人は149.1 gであり、統計的に有意にぜん息患者の摂取量が少ない。
【文献】
Patel, B.D. et al.: Dietary antioxidants and asthma in adults. Thorax 61: 388-393. (2006) [doi: 10.1136/thx.2004.024935]
2006/05/22 グレープフルーツジュースと薬と相互作用のメカニズム
グレープフルーツは、コレステロールを下げる薬や血圧を下げる薬など特定の医薬品との相互作用することが知られているがその原因はフラボノイドと考えられていた。
しかし、アメリカ・ノースカロライナ大学の研究チームがグレープフルーツに含まれている成分を詳細に検討した結果、相互作用に関与する成分はフラノクマリン(furanocoumarin)であることを見いだした。
【文献】
Paine, M.F. et al.: A furanocoumarin-free grapefruit juice establishes
furanocoumarins as the mediators of the grapefruit juice-felodipine interaction.
Am. J. Clin. Nutr. 83: 1097-1105. (2006)
2006/05/21 太るのはコラーゲ分解酵素のため
脂肪を摂るとなぜ太るのかについてマウスを用いた実験から明らかになった。脂肪細胞は、コラーゲンに囲まれている。そのため、脂肪細胞が膨張していくためには、周辺組織のコラーゲンを分解する必要がある。今回見つけられたコラーゲン分解酵素(MT1-MMP: membrane-anchored metalloproteinase)は、脂肪細胞の周辺にあるコラーゲンを三次元的に分解する。
本研究は、マウスを用いた研究のため、この酵素がヒトでも同じような働きをもつかどうかは不明であるが、その可能性は高いと予測されている。新しい肥満治療への扉を開くキーではないかと期待されている。
【文献】
Chun, T-H. et al.: A Pericellular Collagenase Directs the 3-Dimensional Development of White Adipose Tissue. Cell 125: 577-591. (2006)
2006/05/19 カモミールとワルファリンの同時使用は危険
ビタミンK に拮抗し、ビタミンK 依存性凝固因子の産生を抑制して,抗凝血作用を発現する薬剤である抗凝血薬ワルファリンを使用している人は、カモミール製品を使用するべきではないとカナダの医学雑誌に報告された。
ワファリンを使用している70歳の女性のケースでは、カモミールの紅茶を飲んで、カモミールローション使用後の重篤な内出血になった。カモミールにはクマリン系成分多く含まれているため、相互作用が起きたと考えられている。
【文献】
Segal R. & Pilote, L.: Warfarin interaction with Matricaria chamomilla. CMAJ 174: 1281-1282. (2006)
2006/05/17 トライアスロン中でも水分の補給は必要ないとの論文
トライアスロンでは水分の補給が必要であるとされているが、最新のイギリススポーツ医学雑誌にトライアスロンにおける水分損失にみあう水分の補給は必要ない可能性があるとイギリスのスポーツ医学雑誌報に告された。
西オーストラリアの鉄人レース(トライアスロン)に参加した10人の男性の内臓などの環境温度に影響されない中核体温と水分減少量についてモニターした。平均年齢は34歳で10時間30分以内でレースを終了した。
レースは3.8km(2.4マイル)の水泳、180km(112マイル)の自転車と42.2km(26.2マイル)のマラソンで行われた。レース中の気温は平均23.3℃で湿度は訳60%であった。
トライアスロンの選手の体重は2.3kg(5.7ポンド)減少したが、これは、体重のおよそ3%に当たる。中核体温は、ちょうど1℃増加した。
以上の結果から、水分が減少しても中核体温の上昇は少ないことから、研究者らは、トライアスロン中でも水分の補給は必要ない可能性がると述べている。
この報告は、従来のスポーツ医学の考え方と異なることからさらなる検討が必要である。
【文献】
Laursen, P.B. et al.: Core temperature and hydration status during an Ironman triathlon. Br. J. Sports Med. 40: 320-325. (2006) [doi: 10.1136/bjsm.2005.022426]
2006/05/16 アメリカで脳卒中予防ガイドラインが発表される
アメリカ心臓協会(AHA)と脳卒中協会(ASA)は、脳卒中を予防するための健康的な生活習慣および適切な治療についてのガイドラインを科学研究雑誌「Stroke」のオンライン版で発表した。
脳卒中のリスクを軽減させるため、次のような対策を示している。果物、野菜、低脂肪の乳製品を多く摂取し、飽和脂肪と総脂肪の摂取を控えること。また、食塩は1日2.3g未満に抑え、カリウムは1日4.7g以上摂取するようにする。
血液中の総コレステロール値を下げる。体重を減らす(血圧降下につながる)。適度な運動をする(1日最低30分間)。さらに、定期的に(最低年2回)血圧検査を受け、常に血圧を管理する。特に、糖尿病患者は血圧を厳重に管理すること。
治療を担当する医師に対するガイドラインの提示も行っている。この報告についてはメルマガ「果物&健康NEWS」でさらに取り上げる予定である。
【文献】
Goldstein, L.B. et al.: Primary Prevention of Ischemic Stroke. A Guideline From the American Heart Association/American Stroke Association Stroke Council. Stroke. online May 4 (2006) [doi: 10.1161/01.STR.0000223048.70103.F1]
2006/05/13 平成16年国民健康・栄養調査結果に見る果物摂取状況
平成16年の国民健康栄養調査によると果物の摂取量は119.2gで、前年に比較して3.6%増加していた。しかし、20〜40歳代では77gと依然として少ない状況で、1日当たり果実類を200g以上摂取した人の割合は20.6%となっている。また、果物を食べている人の割合は、63.5%で食べていない人は36.5%であった。
前年より果物の摂取量が増加したことは朗報であるが、全体的には消費量が少ない状況が続いている。
2006/05/13 平成16年国民健康・栄養調査結果
厚生労働省から「平成16年国民健康・栄養調査」の結果が発表された。生活習慣の状況については、以下の通りである。
運動習慣のある者の割合は、20〜50歳代男性、20〜40歳代女性で低い。年次推移をみると、単年では、ばらつきがあるものの、経年的な傾向としては男女とも総数ではほぼ横ばいであり、比較的若い年齢層で低い傾向が続いている。
朝食の欠食率は、平成11年以降、全体的に男女とも増加しており、特に男女とも20歳代で最も高く、男性で約3割、女性で約2割であり、20歳代の一人世帯に限った場合は、男性で約7割、女性で約3割であった。
脂肪からのエネルギー摂取が25%を超えている者の割合は、成人で男性の約4割、女性の約5割であった。
以上のような結果で、生活習慣の改善は見られていない。
厚生労働省平成16年国民健康・栄養調査結果の概要は下記のサイトで見られる。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/05/h0508-1a.html
2006/05/12 骨粗しょう症などを抑える環状ペプチドWP9QY
東京医科歯科大の研究グループは、9つのアミノ酸が環状に結合したペプチドWP9QYが骨粗しょう症などの際に骨が減少する作用も抑えることマウスを使って明らかにした。
動物の骨は常に形成と破壊が繰り返されているが、健康なときはこのバランスがとれている。しかし、カルシウム不足などになるとバランスが崩れ、骨の破壊が進むことが知られている。
普通の餌を与えたマウスと、カルシウム量を10分の1にしたマウスで実験した。カルシウムの摂取量を減らしたマウスのすねに占める骨の割合は、実験開始後2日で4.4%まで減少し、正常マウスの9.7%の約半分になった。一方、カルシウムの摂取量を減らしたマウスに環状ペプチドWP9QYを投与したところ、骨の占める割合は10.3%となり、正常マウスとほぼ同じとなった。また、環状ペプチドWP9QYをマウスに大量に投与しても肝臓、腎臓の異常は認められなかった。
以上の結果より、環状ペプチドWP9QYは骨の量を減少を抑制するため、副作用の少ない骨粗しょう症などの治療薬として期待されている。
【文献】
Aoki, K. et al.: A TNF receptor loop peptide mimic blocks RANK ligand-induced signaling, bone resorption, and bone loss. J. Clin. Invest. Online May 4 (2006) [doi: 10.1172/JCI22513]
2006/05/11 軟骨の石灰化を抑制するタンパク質の特定
マウスの軟骨にだけ微量に存在しているタンパク質「カーミネリン(Carminerin)」の発現を抑制すると軟骨の石灰化が抑制されることを東大の研究グループが発見した。
研究グループは、カーミネリンの遺伝子を発現しないようにしたマウスを作製し、軟骨の石灰化と骨の突起の形成を調べた結果、変形性関節炎や老化に伴う軟骨の石灰化が抑制されたが、成長には問題がなかった。
以上のことから、カーミネリンは軟骨の石灰化に関与する軟骨特異的タンパク質であることが分かった。病的な石灰化は高齢者などで問題となっており、カーミネリンの機能や制御方法を解明出来れば、画期的な治療法につながると期待されている。ただ、現在のところカーミネリンないしは同等のタンパク質は人では発見されていない。
【文献】
Yamada, T. et al.: Carminerin contributes to chondrocyte calcification during endochondral ossification. Nat. Med. Online 7 May (2006) [doi:10.1038/nm1409]
2006/05/08 地中海料理がアルツハイマー病予防
地中海料理(Mediterranean diet)は、アルツハイマー病予防に有効であることが分かった。ニューヨークの2,258人をおよそ4年間に渡って追跡調査したところ、果物、野菜、シリアルを中心にして魚とアルコールを適度に摂取し、乳製品や肉をあまり食べない地中海料理を食べている人は、典型的なアメリカの料理を食べている人と比較して約40%アルツハイマー病の発症率が低かった。
【文献】
Scarmeas, N. et al.: Mediterranean diet and risk for Alzheimer's disease. Ann. Neurology (Online 18 Apr. 2006)
2006/05/07 糖尿病増加の主因は肥満
アメリカでは糖尿病に罹患している人が増えつづけている。その理由を解明するために、18歳〜79歳の人を対象に1997年-2003年の間の変化について調査が行われた。その結果、1997年に比較して2003年の糖尿病の発病率が41%上昇していたことが分かった。また、同時期に肥満とされる人の率も上がっており、糖尿病との関係が統計的に有意であることから、糖尿病増加の主要因は肥満であると結論づけている。
【文献】
Geiss, L.S. et al.: Changes in Incidence of Diabetes in U.S. Adults, 1997-2003.
Amer. J. Prev. Med. 30: 371-377. (2006) [doi: 10.1016/j.amepre.2005.12.009]
2006/05/06 遅いマラソンランナーは水の飲み過ぎに注意
2003年ロンドンマラソンで低ナトリウム血症になった14人調査した医師グループが、42.195kmを3時間30分以上で走る遅いランナーは水の飲み過ぎに注意が必要とイギリスの王立医学協会雑誌に報告した。
「運動時には水分を」は定説だが、低速のランナーは低ナトリウム血症を避けるため1時間当たり500mlの補給で十分であるとしている。ただし、高速ランナーは1時間当たり最大1000ml必要かも知れないと述べている。
【文献】
Goudie, A. M. et al.: Exercise-associated hyponatraemia after a marathon. J. R. Soc. Med. 99: 1-5. (2006)
2006/05/05 学校に設置できる飲料のガイドラインに合意
クリントン財団(William J. Clinton Foundation )とアメリカ心臓病学会(American
Heart Association)は、アメリカの公立学校に設置する飲料のガイドラインについてアメリカ飲料協会(American
Beverage Association: ABA)と合意したとクリントン前米大統領が発表した。
「これは重要な発表です。アメリカの子供がより健康な状態でいられるのを助ける戦いにおける画期的な前進です。」とクリントン前大統領は述べている。
科学的根拠に基づくガイドラインの内容は以下の通りである。小中学校では水、100%果汁、牛乳などに限定する。高校では、それらに加えて、ダイエットタイプのソーダ類やスポーツドリンクなど1本当たり100キロカロリーを超えないものを認める。また、アメリカの全学校の75%について2008-2009年に、このガイドラインを実施することとしている。
アメリカ飲料協会は学校での炭酸飲料販売について昨年、自主規制を打ち出していた。今回の合意はさらに規制を強めるものだが、スーザン・ニーリー(Susan K. Neely)アメリカ飲料協会会長は「カロリー制限という方法は、子どもにバランスよく食べ、もっと運動するよう教えるべきだという私たちの主張に沿い、理にかなっている」と述べている。
合意したガイドラインは下記のサイトで読める。
http://www.clintonfoundation.org/cf-pgm-hs-hk-work1.htm
クリントン財団のプレスリリースは下記サイト
http://www.clintonfoundation.org/050306-nr-cf-hs-hk-usa-
pr-healthy-school-beverage-guidelines-set-for-
united-states-schools.htm
CNNのサイト
http://www.cnn.com/2006/HEALTH/diet.fitness/05/03/
softdrinks.schools.ap/index.html
CNNのビデオサイトでクリントン前大統領の演説を見られる。
http://www.cnn.com/video/player/player.html?url=/
video/health/2006/05/03/sot.clinton.drinks.cnn
(最初の30秒間CMが放映される)
朝日新聞のサイト
http://www.asahi.com/international/update/0504/019.html
2006/05/04 100%ジュースの飲用は健康的な食事と関連している
アメリカ政府のデータ(National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES) data (1999-2002))を解析した結果、100%ジュースの飲用は、健康的な食事と結びついていると実験生物学会2006年学術集会での報告された。2〜18歳の子どもにおける調査で、100%果汁飲料を飲む子どもは飲用していない子供と比較して健康的な食事をしており、食物繊維やビタミンC、葉酸、カリウム、マグネシウムなどの栄養素を多く摂取しており、総脂肪や飽和脂肪の摂取が少ないことが分かった。
【文献】
Fulgoni, V. L. et al.: Consumption of 100% juices is not associated with being overweight or risk for being overweight in children. Exper. Biol. 2006 meeting # 139.5 (2006)
2006/05/03 果物など葉酸の多い食事はすい臓ガンを予防する
81,922人の男女を調べた研究から果物などから供給される食品に由来する葉酸は、すい臓ガンのリスクを下げることが明らかになったとスエーデンの研究グループが発表した。一方、葉酸のサプリメントの摂取にはこうした効果は明かではなかった。その理由は、葉酸含量の多い果物などの食品を多く摂取しているということは、それだけ長期に渡って葉酸を摂取しているためとしている。また、葉酸のサプリメントの過剰摂取はガン促進の可能性も示唆されている。
【文献】
Larsson, S. C. et al: Folate Intake and Pancreatic Cancer Incidence: A Prospective Study of Swedish Women and Men. J. Nat. Cancer Inst. 98: 407-413. (2006)
2006/05/02 不溶性食物繊維は糖尿病リスクを減らす
疫学研究から2型糖尿病は食物繊維摂取不足が関係していることが知られている。そこで、ドイツの糖尿病研究者らは、太り過ぎか肥満である女性17人を対象に、全粒粉由来の食物繊維含量を高めたパンを3日間摂取してもらった結果、インスリンの利用効率が統計的に有意に改善されたと科学研究雑誌に報告した。
この結果は、食品に含まれている不溶性食物繊維を摂取するとインスリンの利用効率が改善されることを示しており、糖尿病の予防に役立つ可能性が示唆される。糖尿病予防のための食物繊維の摂取目標は1日につき20〜35gである。
【文献】
Weickert, M.O. et al.: Cereal Fiber Improves Whole-Body Insulin Sensitivity in Overweight and Obese Women. Diabetes Care 29: 775-780. (2006)

2006/04/30 ちょっとした生活習慣の変化で寿命が延びる イギリスのケンブリッジ大学が25,000人以上を対象に行った研究から、果物と野菜を5単位以上摂取すると誰でも3年間寿命が延び、禁煙すると4-5年、適度な運動で3年間など、合計すると10-11歳以上も若返るとBBCが伝えている。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/4941910.stm
2006/04/27 インターフェロンを作る酵素の発見 ウイルス感染を防ぐなどの働きのあるインターフェロン-αという物質が体内で作られるのに必要な酵素を理化学研究所のチームがマウスで見つけたと科学研究雑誌Natureに発表した。 インターフェロン-αは、ウイルスなどの異物が体内に入ると作られ、免疫力を高める作用があるため、生体の感染防ぐ働きがある。だが、免疫力を高めすぎると、副作用で関節リウマチなどの疾患が起きることが知られている。 そこで、マウスを用いてインターフェロン-αが作られる反応を検討した結果、インターフェロン-αを強く促す酵素(IκBキナーゼ-α(IKK-α))を見つけた。従って、この酵素をうまく調節できれば、免疫を高めてがんや感染症を治療できるばかりか、免疫を抑えてリュウマチなどを治療することも期待される。
【文献】 Hoshino,
K. et al.: IB kinase- is critical for interferon- production induced by
Toll-like receptors 7 and 9. Nature 440: 949-953. (2006) [doi:
10.1038/nature04641]
2006/04/25 前立腺ガンの進行を止めるには 前立腺ガンと診断された男性が、早期に、食事の内容とライフスタイルを変更したところ、1年で前立腺ガンの症状を示す値(PSA)が改善されたと報告された。 前立腺ガンと診断されたが、まだ、転移しておらず、手術、放射線治療、化学療法などを全く受けていない93人を対象に食事、ライフスタイルを変えるグループと、従来通りの生活を続けるグループ2つに分けた。また、食事、ライフスタイルを変更したグループの食事は、果物、野菜、大豆など豆類、全粒穀物、を中心としたものに換え、さらに、フィッシュオイル、ビタミンEとCを多く摂取するようにし、1日30分間、週6日間のウオーキング、ヨガをベースにしたストレス・マネージメント(ストレッチ、呼吸法、リラクセ−ションなど)を1日1時間行った。また、週に1時間開かれる「同じ仲間の会」に参加した。 1年後、血中の腫瘍マーカーであるPSA(前立腺ガン特異抗原)を測定した結果、食事内容とライフスタイルを変更したグループのPASは、1年前より平均4%下がり、前立腺ガンの進行が抑えられていた。しかも、食事、ライフスタイル
の変化の度合いが大きかった人ほど、PSA値の下がり方が大きかった。 一方、食事、ライフスタイルを変えなかったグループは、PAS値が1年前より6%アップしていた。
【文献】 Ornish
D, et al.: Intensive lifestyle changes may affect the progression of prostate
cancer. J. Urology. 174: 1065-1070.
(2005)
2006/04/24 そううつ病はミトコンドリアの異常が原因 脳内細胞のミトコンドリアの機能障害が、そううつ病を引き起こす可能性があることをマウスで確かめたと理化学研究所などの研究チームが発表した。そううつ病のモデル動物はこれまでなく、今回できたこのモデル動物を使えば病気の治療法や新薬の開発につながると期待されている。 そううつ病は「そう」と「うつ」の精神状態が交互に繰り返される病気で、脳の細胞内でエネルギーを生み出す小器官ミトコンドリアの機能障害が原因ではないかと考えられてきた。 そこで、ミトコンドリアの機能が正常でないマウスを人為的に作出した結果、このマウスは、不眠症や「そう」と「うつ」の気分の波などのそううつ病の症状とよく似た行動異常を示した。この結果は、ミトコンドリアがそううつ病の原因である可能性を強く示唆している。
【文献】 Kasahara,
K. et al.: The rat that has peculiar accumulation to the neuron of DNA mutation
of mitochondria shows the expression type like mood disorders. Mol. Psychiatry
adv. online April 18 2006 [doi:
10.1038/sj.mp.4001824]
2006/04/23 細胞内の自殖作用抑制で神経変性疾患が発症 生物が飢えると細胞が自分の一部を食べる自食作用(オートファジー)は、マウスの新生児で盛んに見られることが知られている。飢餓状態の細胞は、細胞内に含まれているたんぱく質をアミノ酸に分解し、栄養とすることで飢えをしのぐ作用がある。しかし、栄養状態が良くても日常的にもわずかだこの自食作用が起きており、その理由は分からなかった。
水島(東京都臨床医学総合研究所)らの研究グループは、マウスの遺伝子Atg5 (autophagy-related
5)を改変し、全身で自食作用を起こらなくした(文献1)。するとマウスは、神経と肝臓の細胞に異常なたんぱく質がたくさんたまり、生後1日で死亡した。
さらに、神経細胞だけで起こらなくすると、生後1カ月でうまく歩けなくなり、刺激に十分に反応できない運動障害がみられた。脳の神経細胞には異常なたんぱく質の塊がたまっていた。この状態は、アルツハイマー病やパーキンソン病、ハンチントン病などの神経変性疾患と似ていた。 また、田中(東京都臨床医学総合研究所)らの研究グループは、中枢神経系に関与するAtg7(autophagy-related
7),を欠くネズミが異常な行動を起こし出生後28週間以内に死亡したことを確認し、水島らと同じ結論を得た(文献2)。 以上の結果から、自殖作用(オートファジー)は、栄養状態を調節するだけでなく、神経変性(アルツハイマー病やパーキンソン病、ハンチントン病など)を防ぐ働きがあると考えられた。
【文献】 1)
Hara, T. et al.: Suppression of basal autophagy in neural cells causes
neurodegenerative disease in mice. Nature online 19 April 2006
[doi:10.1038/nature04724] 2) Komatsu, M. et al.: Loss of autophagy in the
central nervous system causes neurodegeneration in mice. Nature online 19 April
2006
[doi:10.1038/nature04723]
2006/04/22 脳細胞が死なない理由 年齢とともに脳細胞は死んでゆく(アポトーシス)が、頭をよく使うと脳細胞が死なないのはなぜかが分かったと東京大学の研究チームが科学研究雑誌Cellに発表した。 研究グループは、細胞内で物質を運ぶ役割を担うキネシン・スーパーファミリー・タンパク質4(kinesin
superfamily protein 4: KIF4)に着目し、マウスなどで調べた結果、あまり使われない神経細胞では、KIF4がpoly
(ADP-ribose)
polymerase-1(PARP1)という酵素と結合し、細胞死が導かれることが分かった。一方、よく使う神経細胞では、細胞内にカルシウムが多く流れ込み、PARP1酵素がリン酸化するためKIF4と結合せず細胞死を免れる。 以上のことから、神経細胞の生死の鍵はKIF4が握っているとしている。そのため、脳細胞が死ぬのを食い止めたり、神経の再生が可能になると期待されている。
【文献】 Midorikawa,
R. et al.: KIF4 Motor Regulates Activity-Dependent Neuronal Survival by
Suppressing PARP-1 Enzymatic Activity. Cell 125: 371-383. (2006) [doi:
10.1016/j.cell.2006.02.039]
2006/04/21 女子大生の83%がダイエット経験 アメリカの女子大生は、太り過ぎかどうかに関係なく83%がダイエットの経験をしているとアメリカ栄養学会雑誌に報告された。また、80%は運動を試みたが目標体重を達成したのはわずか19%であった。さらに、9%が喫煙をし、32%が朝食抜きの生活をしている。
【文献】 Malinauskas,
B.M. et al.: Dieting practices, weight perceptions, and body composition: A
comparison of normal weight, overweight, and obese college females. Nutr. J. 5:
11. (2006) [doi:
10.1186/1475-2891-5-11]
2006/04/20 緑茶・コーヒーに糖尿病予防効果 大阪大の磯教授らの研究グループは、全国約1万7000人の追跡調査から緑茶やコーヒーを多く飲む人は糖尿病になりにくいと発表した。 40〜65歳の男女で、糖尿病やがん、心臓病になっていなかった1万7413人を5年間調べた結果、このうち444人が糖尿病を発症した。
緑茶の摂取量との関係では1日6杯以上飲む人は、週1杯未満の人に比べて糖尿病の発症リスクが33%減っていた。コーヒーを1日3杯以上飲む人も、週1杯未満の人に比べ42%減だった。
しかし、紅茶やウーロン茶にはこうした傾向は認められなかった。 さらに身長と体重から肥満と判定される人でも、コーヒーや緑茶などによるカフェイン摂取量が多い人は、発症リスクが大きく減っていた。 緑茶やコーヒーに糖尿病予防効果があるのは、糖尿病につながるインスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)を改善する抗酸化性物質の効果と考えられている。
【文献】 Iso,
H. et al.: The relationship between green tea and total caffeine intake and risk
for self-reported type 2 diabetes among Japanese adults. Ann. Intern. Med. 144:
554-62.
(2006)
2006/04/19 投与薬剤の効果判定に期待 がんは、遺伝子をつくる化学物質「塩基」の並び方に異常があると、細胞が急増して起こる。この異常は、同じ種類の塩基が連続して数個並んでいる場所でよく発生する。 札幌医大など日欧の研究グループは、大腸がんや胃がん、子宮がんの患者計181人から摘出したがん細胞を分析した結果、約2割の40人で同じ種類の塩基が連続して並んでいる異常を発見した。さらに、試験管内で、これらのがん細胞にトリコスタチンAなど3種類の抗がん剤を加えると、がん細胞消滅など効果が表れる場合とない場合があることが分かった。 原因を分析したところ、遺伝子の働きを抑える酵素「ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)」の構造に微妙な違いがあり、抗がん剤の効き目を左右していることが明かとなった。患者の遺伝子をあらかじめ調べてHDACの構造を分析することで、抗がん剤を投与前にその効果の有無を把握できる可能性が示唆されている。
【文献】 Ropero,
S. et al,.: A truncating mutation of HDAC2 in human cancers confers resistance
to histone deacetylase inhibition. Nature Genetics online 16 April 2006
[doi:10.1038/ng1773]
2006/04/15 肥満になりやすい遺伝子の発見 太りやすさに関係しているDNAの型を新たに発見したと、アメリカ・ボストン大などの研究チームが発表した。 研究チームはアメリカ人約700人の血液サンプルと体格データを使って、DNAの塩基が1カ所だけ置き換わっているSNP(single
nucleotide
polymorphism)と肥満との関係について約8万7000カ所解析した結果、遺伝子「INSIG2」の近くにSNPがある人は、そうでない人より1.3倍肥満になりやすいことが分かった。 この遺伝子は、コレステロールなどの合成を抑制することが知られており、動物実験では肥満との関係が明かとなっている。今回見つけられたSNPが遺伝子の働きを阻害するような影響を及ぼしていると考えられている。 また、西欧系米国人、アフリカ系米国人、子どもからなる異なった集団でもSNPと肥満との関係が確かめられた。 危険度はそれほど大きくないものの、今回の調査では約10人に1人の割合でこの型がみられ、肥満の予防や治療法の開発につながると期待される。
【文献】 Herbert,
A. et al.: A Common Genetic Variant Is Associated with Adult and Childhood
Obesity. Science 312: 279-283. (2006) [DOI:
10.1126/science.1124779]
2006/04/12 食物繊維は心臓病、糖尿病に有効 食物繊維が豊富な食事は、血中のC反応性タンパク質(CRP)を下げることが分かった。C反応性タンパク質(CRP)は、身体の炎症のマーカーで、このタンパク質が高いと将来、心臓病や糖尿病になる危険が高まる。 健康な524人を対象に調査した結果、食物繊維を沢山摂取している人はC反応性タンパク質(CRP)の濃度が低いことが分かった。食物繊維の摂取量が最も少ないグループに比べて最も多いグループではCRPの濃度が63%低いことが分かった。 何故、食物繊維の摂取がCRPを下げるのかはまだ分かっていないが、研究者らは、食物繊維が、コレステロールや血糖値を下げるためと推測している。 この研究は、心臓病、糖尿病予防に果物などから食物繊維を1日当たり20-35g摂取することとする指針を支持する結果である。
【文献】 Ma,
Y. et al.: Association between dietary fiber and serum C-reactive protein. Am.
J. Clin. Nutr. 83: 760-766.
(2006)
2006/04/10 マグネシウムでメタボリックシンドロームのリスク低下 糖尿病や冠動脈疾患につながるメタボリックシンドロームの罹患率低下に、マグネシウムの豊富な食品が役立つことがアメリカ・ノースウェスタン大学などの研究グループが明らかにした。 アメリカ人約4,600人を対象として1985年に開始された研究で、マグネシウム摂取量の多い人は、その後の15年間のメタボリックシンドローム発症リスクが31%低いことが分かった。 メタボリックシンドロームの症状には、高血圧、高血糖、高脂血症のほか、「善玉」であるHDLコレステロールの低下などが含まれる。このうち3つ以上が認められると、心血管疾患および糖尿病のリスクが増大する。
【文献】 He,
K., et al.: Magnesium Intake and Incidence of Metabolic Syndrome Among Young
Adults. Circulation 113: 1675-1682 (2006) [doi:
10.1161/CIRCULATIONAHA.105.588327]
2006/04/09 韓国人の食物繊維の摂取量 韓国人は、アメリカ人や日本人に比べて食物繊維をたくさん摂取していることが韓国保健福祉部の調査で分かったと韓国中央日報が伝えている(06/04/03)。、韓国人1人1日当たり平均19.8gの食物繊維を摂取しているが、この量は、アメリカ人(15.1g)や日本人(15.4g)に比べて30%ほど多い。
理由として、食物繊維が多いコメを主食としているうえ、キムチやトウガラシ、海草類などをよく食べるためとしている。しかし、韓国栄養学会の推奨量には届いていない。
2006/04/08 日本、長寿国世界一(WHO世界保健報告から) 世界保健機関(WHO)は、2006年版の「世界保健報告」を発表した。それによると2004年の平均寿命が世界で一番長いのは日本、モナコ、サンマリノの82歳で、日本は「長寿世界一」である。男女別では日本女性が86歳で最長寿、男性は日本、アイスランド、サンマリノが79歳である。 世界192カ国中、日本など16カ国で平均寿命が80歳以上であるのに対し、アフリカの26カ国にアフガニスタンを加えた27カ国は50歳未満だった。最も平均寿命が短いのはジンバブエの36歳である。
WHOの寿命に関する報告は下記のサイトで読める。 http://www.who.int/whr/2006/annex/06_annex1_en.pdf
最も平均寿命が短かったジンバブエは、南アフリカの北に位置する国である。コレラ、サルモネラ、マラリア、赤痢など感染症の蔓延や治安の悪さなどが死亡原因である。
外務省のジンバブエに対する海外安全情報は下記のサイトで読める。 http://www.anzen.mofa.go.jp/info/info4.asp?id=106
2006/04/07 健康・安全を重視/農林公庫調査から 女性の食へのこだわりは「健康・安全」が最も高く、美食や価格を上回ることが、農林漁業金融公庫の調査で分かった。食を通じた健康への取り組みでは、7割の人が「野菜や果物を多く摂取」と答えたが、「サプリメントによる栄養補助」を挙げる人も多く、健康食品への関心の高さを裏付けた。 調査は今年2月、20歳以上の女性、2094人を対象にインターネットで行った。それによると、食に対する最も強い関心は、30%の人が「健康・安全」と答え、1位だった。次いで「美食」が19%、「安さ(経済性)」が12%と、グルメ志向や経済性より健康・安全の方に関心が高かった。 「国産」へのこだわりは10%とそれほど高くはなかったが、それでも「簡便化」や「高級志向」を上回った。「健康・安全」志向の人は年齢層が高いほど多く、50代後半の女性では43%に上る。逆に、「美食」や「安さ(経済性)」を志向する人は若年層に多かった。「美食」に最もこだわる人は20代後半で32%に上り、「安さ(経済性)」は、30代後半で22%を占めた。
農林漁業金融公庫の「
健康に役立つ食品に関する調査」は下記のサイトにある。
http://www.afc.go.jp/your-field/investigate/ pdf/shohi-h17-02.pdf
2006/04/04 ビタミンCの老化抑制効果 東京都老人総合研究所と東京医科歯科大大学院の研究グループは、ビタミンCが不足すると老化が進むことをマウスの実験から解明した。 研究グループは、老化が進むと減る特定のたんぱく質(SMP30)を特定し、その性質を解析した結果、ビタミンCを合成する酵素(gluconolactonases)と同一であることが分かった。そこで、遺伝子操作でこのたんぱく質を持たないマウスを作り、正常なマウスと同時に飼育したところ、6カ月たつと、正常なマウスはすべて生きていたが、このたんぱく質を持たないマウスは半数が老衰で死んだ。死因は老衰で、4倍の速さで老化が進行したことになる。
さらに、ビタミンCを全く含まないえさでこのマウスを飼育すると、人がビタミンCの欠乏でかかる壊血病の症状が現れて、約半年後にはすべてが死んだ。
今回の実験から直ちに人でもビタミンCを摂取すれば老化が予防できるとはならないが、その可能性を示す有力な証拠である。
【文献】 Kondo,
Y., et al.: Senescence marker protein 30 functions as gluconolactonase in
L-ascorbic acid biosynthesis, and its knockout mice are prone to scurvy. Proc.
Natl. Acad. Sci. 103: 5723-5728. (2006) [doi
10.1073/pnas.0511225103]
2006/04/03 内臓脂肪が神経通して食欲調節 東北大学の研究グループは、内臓脂肪に神経を通して食欲を制御する働きがあることを動物実験で解明し、科学雑誌Cell
Metabolismに発表した。 研究グループは、食欲抑制の刺激が脂肪組織から神経を通して脳に伝わると考え、マウスの脂肪組織から脳に向かう神経を切断したところ、予想通りマウスの食欲は低下しなかった。 内臓脂肪は、メタボリックシンドローム(
高血圧、糖尿病、高脂
血症をひきおこし、動脈硬化を進行させる病気)と関係することから、研究グループは、この神経伝達機構の解明により新しい治療法が開発されるとしている。
【文献】 Yamada,
T., et al.: Signals from intra-abdominal fat modulate insulin and leptin
sensitivity through different mechanisms: Neuronal involvement in food-intake
regulation. Cell Metabolism 3: 223-229.
(2006)

2006/03/20 世界的に血圧が下がる アメリカほか4大陸21カ国の38地域を対象とした人口を基にした研究から、世界的に血圧が下がっていることが明かとなった。1980年代半ばから1990年代半ばにわたり収集したデータによると、血圧は平均2.26mmHg下降しており、男性よりも女性に顕著だった。 今回の結果は、降圧薬などの薬物治療によるものとは考えにくい。なぜなら、治療の必要な高血圧症患者だけではなく、全体にわたって血圧の低下が認められるためである。その理由についてはよく分からないが、果物や野菜が一年中手に入るようになったこともその一因ではないかと推測されている。
【文献】 Tunstall-Pedoe,
H., et al.: Pattern of declining blood pressure across replicate population
surveys of the WHO MONICA project, mid-1980s to mid-1990s, and the role of
medication. BMJ. 332: 629-35. (2006) [doi: 10.1136/bmj.38753.779005.BE]
2006/03/19 2030年までに平均寿命が100歳に がん治療などの医療や老化防止研究が現在のペースで進み普及すれば、人間の平均寿命が2030年までに100歳前後になる可能性が高いとの予測を米スタンフォード大のシュリパド・トゥルジャパーカー(Shripad
Tuljapurkar
)教授が報告した。ただし、恩恵は高価な先端医療を受けられる先進国に限られ、南北の格差は拡大する見通しである。 アメリカ・セントルイスで開催されたアメリカ科学振興協会の年次総会で教授が講演した。それによると、世界各地の人口増加率や経済レベルのデータに、医療や老化防止の進歩と普及の予測を当てはめると、現在80歳前後の先進国の寿命は10年から30年にかけて飛躍的に延び、100歳前後に達すると推測できるという。 しかし、進歩がめざましいがん治療や老化防止研究による医療を受けられるのは今後も豊かな国々の人に限られる見通しである。
スタンフォード大学ニュースリリースは下記のサイトにある。
http://www.stanford.edu/dept/news/ pr/2006/pr-atulja-021506.html

2006/02/11 人種により肺ガン発症率に差 喫煙による肺ガンの発症率は人種的にも大きな差のあることが、アメリカ・南カルホルニア大学の研究によって明らかになった。 1993〜2001年に黒人、白人、ラテン系アメリカ人、日系アメリカ人およびハワイ先住民の男女合計18万3813人を対象に疫学調査を行った。その結果、1日10-20本の喫煙者で比較すると、黒人、ハワイ先住民の肺ガンの発症リスクは白人と比べて30-40%高かった。ラテン系および日系アメリカ人は、白人に比べ20%、黒人に比べ60%低く、最も肺ガンにかかりにくかった。
【文献】 Haiman,
C., et al.: Ethnic and Racial Differences in the Smoking-Related Risk of Lung
Cancer. New Eng. J. Med. 354: 333-342.
(2006)
2006/02/07 食事から抗酸化成分を多く摂取すると加齢性黄斑変性症リスクが減少 食事からビタミンEなど抗酸化成分を多く摂取すると、加齢性黄斑変性症(AMD)が避けられるとオランダのチームが科学雑誌JAMAに発表した。 オランダのロッテルダムに住む55才以上の4170人を対象に1990年から1993年の間、と2004年の食事摂取状況と加齢性黄斑変性症との関係を調べた結果、食事から平均以上にβ-カロテン、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛を摂取している人は平均以下の人に比べ加齢性黄斑変性症のリスクが35%低い。
【文献】 van
Leeuwen, R., et al.: Dietary Intake of Antioxidants and Risk of Age-Related
Macular Degeneration. JAMA. 294: 3101-3107.
(2005)
2006/02/06 怒りはけがを誘発 怒りは怪我のリスクを上げる。特に、男性で。救急治療室で治療を受けた2,000人以上の患者を対象に怒りとけがとの関係を調べた結果、怒りはけがのリスクを高めるが分かった。 転落してけが、車の事故、および他の事故について3つの病院で治療を受けた男女を対象に、けがをした24時間以内に怒っていたかそうでないかについて調べた。 その結果、けがの前に患者の怒りが前日より高いとけがになるリスクが高かった。特に、強い怒りと敵意を持つ男性では、けがのリスクが7倍に高まった。女性では、極端な怒りと敵意だけが、けがのリスクを高めたが男性ほどではなかった。 従って、けがのリスクを防ぐにはセルフ・コントロールが大切である。多くの人が、車のハンドルを握って腹をたてている場合の事故のリスクを知っている。怒りは健康に良くない。
【文献】 Vinson,
D.C. and Arelli, V.: State Anger and the Risk of Injury: A Case-Control and
Case-Crossover Study. Ann. Fam. Med. 4: 63-68.
(2006)
2006/02/03 総合ビタミン剤の感染症予防効果は不明 イギリスの65歳以上の高齢者910人をランダムにグループ分けして、総合ビタミン剤を1年間投与したが、風邪や肺炎などの感染症による医療機関の受診率や病気の日数は減らなかったことがイギリス医学雑誌(BMJ)に報告された。 高齢者は免役が低下しているため、ウィルス感染による風邪や、細菌感染による肺炎や膀胱炎などにかかりやすい。その理由として、ビタミンやミネラルの栄養不足が関わる可能性が考えられていた。そこで、総合ビタミン剤のサプリメントを投与して高齢者の感染症を予防できるか調べた。サプリメントは1日1錠投与した。総合ビタミン剤にはビタミンA、C、E、リボフラビン、ナイアシン、葉酸、鉄、銅、亜鉛など)が含まれていた。 その結果、風邪・肺炎・膀胱炎・皮膚炎などの感染症で医療機関を受診した回数には、摂取群と非摂取群に統計的な差が認められなかった。また、感染症にかかっていた日数、及び、処方された抗菌剤の数や、入院率にも、統計的な差は認められなかった。
【文献】 Avenell.
A., et al.: Effect of multivitamin and multimineral supplements on morbidity
from infections in older people (MAVIS trial): pragmatic, randomized, double
blind, placebo controlled trial. BMJ. 331: 324-329.
(2005)
2006/02/02 大豆イソフラボンのサプリメントの評価 骨粗鬆症やガンなどの予防効果があるとされている大豆イソフラボンについて、食品安全委員会の専門調査会が過剰摂取についての注意を促す報告書をまとめた。
ホルモンのバランスを崩す恐れがあるとして、通常の食生活に加え特定保健用食品などサプリメントとしてで1日に追加的にとる安全な上限量を30mgとした。特に、妊婦や乳幼児に対しては「追加摂取は推奨できない」としている。
また、通常の大豆製品の摂取では健康被害が出ていないことも確認し、安全な摂取量の上限を1日70〜75mgとした。
さらに通常の食生活をしている女性を対象に、イソフラボンの錠剤などを飲んでもらい内分泌系への影響をみた調査から、男女ともに1日30mgを追加で取れる上限値とした。
ただし、妊婦や胎児、乳幼児などに対しては、「追加摂取する場合の安全性は科学的に判断できない」とし、通常の食事以外からの摂取は勧めないとしている。
食品安全委員会の専門調査会がまとめた大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方(第32 回会合修正案)
は下記のサイトで読める。
http://www.fsc.go.jp/senmon/sinkaihatu/ s-dai32/sinkaihatu32-siryou1.pdf

2006/01/28 イソフラボン、大豆タンパク質と心臓病との関係
アメリカ心臓協会(AHA)の栄養委員会は、大豆タンパク質やイソフラボンを多くとっても、悪玉コレステロール(LDL)を減らすことは期待できないと発表した。
大豆タンパク質について調べた22件の研究を検討した結果、多く摂取してもLDLは3%しか減少せず、善玉コレステロールや血圧には影響がないと結論づけた。また、大豆たんぱく質のサプリメントを多く摂取しても、心臓病予防効果は得られないとしている。
イソフラボンのサプリメントについても、更年期のほてり、乳ガン、骨粗鬆症などに効果があるとされているが、これらの効果や安全性についても、確認できなかったとしている。
上記の結果は、大豆製品の摂取が心臓病に効果がないことを示している分けではない。同委員会は論文の中で、大豆には食物繊維やビタミンなどを多く含むため心臓病の予防のために有効な食品であると述べている。ただし、イソフラボンなどのサプリメントの効果はないか、ほとんどないとしている。
【文献】
Sacks, F.M., et al: Soy Protein, Isoflavones, and Cardiovascular Health.
An American Heart Association Science Advisory for Professionals From the
Nutrition Committee. Circulation (online 17 Jan 2006) [doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.106.171052]
2006/01/27 運動はアルツハイマー病発症を遅らせる
少なくとも週3日軽度の運動を続ければ、高齢者に見られるアルツハイマー病や他の認知症の発症リスクが30〜40%低下することが分かった。
1994〜2003年にかけて、65歳以上の男女1740人を対象に、健康、身体および精神機能、生活習慣を評価した。研究開始時には、認知症と診断されておらず、自宅で介護を要する状態ではないことを確認した。その後、2年に1回検診し、運動習慣、身体能力、記憶力、注意力、集中力を評価するため問診を実施した。
検討期間の6年間で、アルツハイマー病の発症例は107例、その他の認知症を来した例が51例、死亡は276例であった。研究開始時に15分間の運動を週3日以上定期的に行っていた人は、それより運動量が少ない人に比べ認知症の発症リスクが32%低かった。
以上の結果より、定期的な運動はアルツハイマー病や他の認知症の発症を阻止することはできないものの、長期にわたり発症を遅延させる可能性があるとしている。
【文献】
Larson, E.B., et al.: Exercise Is Associated with Reduced Risk for Incident Dementia among Persons 65 Years of Age. Ann. Inter. Med. 144: 73-81. (2006)
2006/01/26 男性はフェアの行動に共感
他人が苦痛を受けるのを見て満足感を覚える傾向は、女性より男性に強くみられると、イギリス・英ロンドン大のチームが科学雑誌Natureに発表した。
男女の被験者を二人組にして経済ゲームをさせ、パートナーがフェアにふるまう場合とアンフェアにふるまう場合とを作り、その後パートナーに罰(軽い電気ショック)を与えて、その際の脳活動を機能的磁気共鳴画像法で測定した。
好感を持った相手が苦痛を受ける場面では、男女とも「共感」や「痛み」を感じる部分が活発に反応し、同情を感じていることが分かった。しかし、きらいな相手が苦しんでいる姿を見せると、男性では共感の反応がまったくみられず、褒美を受けた時のような満足感が目立って増大した。一方で女性は、弱いながらも共感を示していた。
従って、少なくとも男性では、他人の社会行動の価値付けによって、フェアな対戦者に対しては共感し、アンフェアな対戦者への体罰を好むように共感反応が変化することがわかった。この発見は、利他的な罰という考え方を支持する最近の証拠と符合する。
また、参加者へのアンケートでも、男性は女性に比べて相手に仕返ししたいという願望が強く、ずるい人物が罰を受けるのを見て満足感を得る傾向が高いとの結果が出たという。
ただし、研究を推進した筆頭研究者は「この実験では心理的、経済的な苦しみでなく、身体的な苦痛だけを扱ったために、男性が強く反応した可能性もある。男女差を立証するためにはさらに大規模な研究が必要だ」と述べている。
【文献】
Singer, T., et al.: Empathic neural responses are modulated by the perceived fairness of others. Nature (online 18 Jan. 2006) [doi: 10.1038/nature04271]
2006/01/20 メルマガの配信数が急激に伸びている
今日、メルマガ「果物&健康NEWS」86号が配信されたが、発行部数が7,817部になったと連絡があった。一ヶ月前(12/20)が6,528部だったので差し引き1,289部の伸びである。理由はよく分からないが、こんなに急速に増えたのは初めてである。このまま伸びるとは思えないが、発行部数が1万部を突破するのも近いかもしれない。
「群像(講談社)」や「文芸ポスト(小学館)」の発行部数が約8千部とのことなので、商業誌並になったと言うことだろうか。2004年の2月末に第1号を発行したのでここまでくるのに2年間かかった。
「果物&健康NEWS」用宣伝パンフレットを作ったのでお使いいただけると幸いである。A4版PDFファイルをUPしたのでダウンロードして印刷できる。

2006/01/17 グレープフルーツで歯肉病予防
ドイツの研究グループが、グレープフルーツを食べると歯周病を予防できるとイギリス歯科雑誌に報告した。
今までの研究から血液中のビタミンC濃度が高いと歯周病を予防できることが明らかになっていた。そこで、研究グループは、歯周病に罹患した58人を対象に、グレープフルーツを1日当たり2個、2週間食べてもらったところ血液中のビタミンC含量が増加し、歯牙からの出血が統計的に有意に減少することを見いだした。
研究者はグレープフルーツを食べた直後に歯を磨かないように忠告している。それは、グレープフルーツは酸性であため、すぐに歯を磨くとエナメル質が浸食される恐れがあるためである。
【文献】
Staudte, H., et al.: Grapefruit consumption improves vitamin C status in periodontitis patients. British Dental J. 199: 213-217. (2005) [doi: 10.1038/sj.bdj.4812613]
2006/01/13 肝臓で作られる胆汁酸にやせる効果
肝臓でつくられ、食事のときに腸に流れ出る胆汁酸が、エネルギーの消費を活発にさせる働きを持っているという研究結果が、イギリス科学誌ネイチャー電子版に発表された。
脂肪分の多いエサと胆汁酸を一緒にマウスに与えると、胆汁酸を与えないマウスと比べて体重の増加が抑えられた。体の組織を比較すると、褐色脂肪でエネルギーを盛んに消費していた。
胆汁酸は褐色脂肪細胞の中にある酵素に働きかけるなどして、エネルギー消費などにかかわるホルモンの働きを活発にしていた。人の筋肉の培養細胞で調べると同じ働きが見られた。
ただし、胆汁酸を人が摂取すると、悪玉コレステロールの値が上がってしまう。
【文献】
Watanabe, M., et a: Bile acids induce energy expenditure by promoting intracellular thyroid hormone activation. Nature (online 08 January 2006) [doi: 10.1038/nature04330]
2006/01/08 果物と野菜の摂取で膵臓ガンの予防
膵臓ガンは致命的なガンの1つである。しかし、この病気の根本原因と防止法についてはほとんど知られていない。そこで、カルフォルニア大学の研究グループは、果物と野菜の摂取と膵臓ガンとの関係を調査した(患者対照研究)。
1995年から1999年に膵臓ガンに罹患した532人と対照の1,701人について食物の摂取頻度についてのアンケートを行うとともに直接インタビューを行った。
その結果、果物と野菜を多く摂取すると膵臓ガンが減ることが分かった。摂取量に従って4つのグループに分け、野菜の摂取量が最も多いグループは少ないグループと比較して膵臓ガンに罹患するリスクが55%少なかった。また、果物と果汁の摂取が多いとリスクが28%減少した。さらに、果物と野菜を1日当たり9サービング以上食べている人は、5サービング以下の人より膵臓ガンに罹患するリスクが51%減ることが分かった。これらの結果は、果物と野菜の摂取を増やすと膵臓ガンの予防になることを示している。
【文献】
Chan, J.M., et al.: Vegetable and Fruit Intake and Pancreatic Cancer in a Population-Based Case-Control Study in the San Francisco Bay Area. Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev. 14: 2093-2097. (2005)
2006/01/07 糖尿病発症の原因は高脂肪食
日本では2型糖尿病の発症が多いがその原因はよく分かっていなかった。アメリカ・カルホルニア大学の研究グループが高脂肪食と糖尿病発症との関連を科学雑誌Cellに報告した。ネズミでの研究で、高脂肪食の摂取でインシュリンの生産が抑制されることを示した。
インスリンはすい臓で作り出されるホルモンで、細胞が血液の中からブドウ糖を取り込んでエネルギーとして利用するのを助ける働きをする。インスリンの作用が不足すると、ブドウ糖を利用できなくなり、血液中の血糖値が高くなり、この状態が継続すると糖尿病と診断される。
実験では、GnT-4aグルコシルトランスフェラーゼ(GnT-4a)をコードする遺伝子をノックアウトしたネズミの膵臓でインシュリンの生産が中断された。また、高脂肪食を正常なネズミに与えたところGnT-4a酵素レベルが減少し、インシュリンの生産が抑制された。このことから、2型糖尿病の発症には高脂肪食が関係することが分かった。
この研究は、2型糖尿病の発症のメカニズムを明らかにした重要な論文である。詳しくは、「果物&健康NEWS」(87号、1月27日発行予定:次の次の号)で解説したい。
【文献】
Ohtsubo, S., et al.: Dietary and Genetic Control of Glucose Transporter 2 Glycosylation Promotes Insulin Secretion in Suppressing Diabetes. Cell 123: 1307-1321, (2005) [doi: 10.1016/j.cell.2005.09.041]
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