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「リンゴは皮ごと食べた方がいいの?」との質問を受けることがあります。結論から先に言えば、皮ごと食べて3日でやめるなら、皮をむいて毎日食べてください。
毎日食べる食事は、生存に必須な栄養分をとることが第一義的な役割ですが、楽しく、心豊かにすることでもあります。食による健康の維持・増進と食の楽しみとは、相互に矛盾する関係ではありません。食事を摂る事による充足感、また美味しい物を食べる事による喜びは、精神衛生上好ましい影響があります。
リンゴを皮ごと食べるように勧める根拠は、皮と果肉の成分値を比較して皮にポリフェノールなどが多いことによります。しかし、この比較には注意が必要です。というのは、リンゴ1個を考えた場合、果肉重量に比較して皮の重量が少ないので、皮だけの成分値を理由に、皮ごとがよいということにはなりません。なぜなら、リンゴの皮だけを食べることはまれで、果肉と一緒に食べるのが普通だからです。
そこで、アメリカ連邦農務省(USDA:
United States Department of
Agriculture)が作成した食品データベースに記載されている皮付きリンゴと皮なしリンゴの成分値を見てみましょう(表)。リンゴ1個の果肉割合は85%で、皮の割合は7%です。ミネラルの成分値で見るとカルシウム、鉄、マグネシウム、カリ、ナトリウムでは皮付きの方が多く、亜鉛、銅、マンガンでは皮なしの方が多くなっています。ビタミンでは、C、B6、A、E、Kでは皮付きの方が多いのですが、B1、B2、パントテン酸では皮なしの方が高い値となっています。食物繊維は皮付きが多く、ポリフェノールも、(-)-エピカテキン、(+)-カテキン、ケルセチンともに皮付きリンゴに多く含まれていますが、皮なしリンゴにも結構な量が含まれていることが分かります。
以上見てきたように、皮付きリンゴと皮なしリンゴの成分値を見ると、皮だけと果肉だけの成分値の差から受ける印象とは異なり、皮なしリンゴにも栄養成分やポリフェノールが意外と多く含まれていることが分かります。
従って、皮ごと食べることを楽しんでいる人はそのまま続けてください。皮を食べることに違和感のある方は、無理をしないで皮をむいて食べてください。美味しくなくては食事ではありません。
健康の維持・増進には「食事バランスガイド(http://j-balanceguide.com/)」などでも指摘していますが、主食、主菜、副菜、果物、牛乳・乳製品の5つを過不足なく食べることが必要です。食糧需給表(平成16年度
概算値)の果実の供給量をみると1人1日当たり114gです。この量は、果物の摂取目標である200グラムの6割程度にすぎません。
果物はお薬ではないので、皮ごと食べて3日でやめるなら、楽しみながら皮をむいて毎日食べてください。果物を毎日食べることが健康のためには何より大切です。
表. 皮付き、皮なしリンゴの成分値 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
成分名
皮なし 皮付き −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 水分(g) 86.67
85.56 カロリー(kcal) 48 52 タンパク質(g) 0.27 0.26 脂質(g)
0.13 0.17 灰分(g) 0.17 0.19 炭水化物(g)
12.76 13.81
ミネラル カルシウム(mg) 5 6 鉄(mg)
0.07 0.12 マグネシウム(mg) 4 5 リン(mg)
11 11 カリ(mg) 90 107 ナトリウム(mg) 0 1 亜鉛(mg)
0.05 0.04 銅(mg) 0.031 0.027 マンガン(mg)
0.038 0.035
ビタミン C(mg) 4 4.6 B1(mg)
0.019 0.017 B2(mg) 0.028 0.026 ナイアシン(mg)
0.091 0.091 パントテン酸(mg) 0.071 0.061 B6(mg) 0.037
0.041 A(μg) 2 3 E(mg)
0.05 0.18 K(μg) 0.6
2.2
食物繊維 食物繊維(g) 1.3
2.4 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− USDA National Nutrient Database for
Standard Reference, Release 18
(2005)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ポリフェノール (-)-エピカテキン(mg)
6.23 8.14 (+)-カテキン(mg) 0.86 0.95 ケルセチン(mg) 1.5
4.42 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
USDA Database for the Flavonoid Content of Selected Foods ・2003
(2006.2.17記)
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