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 ■ 科学的進歩ベストテン

      
Science誌が選ぶ

  2004年の科学的進歩ベストテン

  2003年の科学的進歩ベストテン


 
Science誌が選ぶ2004年の科学的進歩ベストテン

日本語版
http://www.sciencemag.jp/breakthrough/bt2004.html
英語版
http://www.sciencemag.org/sciext/btoy2004/

1位 火星の生命を支えていた塩分濃度の高い酸性の水
 長きに渡り火星表面に存在し、生命を支えていたと思われる塩分濃度の高い酸性の水に関する発見を2004年の最もめざましい進歩に選んだ。地球上で生命が産声を上げ始めた数十億年前、火星も生命を育むことのできる高湿・温暖な惑星であったことを示す証拠が発見された。
 火星探査車オポチュニティは、乾燥と高湿が繰り返されていた歴史を伝えるメリディアーニ平原のイーグルクレーターで露出した床岩を発見した。同床岩から、かつて火星には長期に渡る高湿・温暖な時期があったことを示す、長年にわたり探し求められてきた証拠が得られた。
 一方、火星の裏側では、探査車スピリットが浅い地下水の存在を示す証拠を発見した。この地下水が、数百メートルにもおよぶ火山灰を柔らかく鉄分の多い岩に変化させたと推測される。

1位を除いて、以下に紹介するものの順位は不同である

The Littlest Humans(最も小さなヒト):
 インドネシア、フロレス島の洞窟で、ヒトの親戚にあたる小さな種(Homo floresiensis)が発見された。この驚くべき発見から、現代のヒトとこれら小さな「原人」が18,000年前の地球で同じ時期に生活していたことが示唆された。Homo erectusの初期個体群から進化したと考えられるHomo floresiensisは、島で孤立化し、乏しい資源を有効に利用するため体が縮んでしまったと考えらる。あるいは、これらの化石は単に「小頭症」と呼ばれる頭の小さな現生人類の遺体化石なのだろうか。2005年にも議論は続く。

Human Cloning(ヒトクローニング):
 韓国人研究者によるヒト胚クローン作成という衝撃的ニュースは世界を駆け巡った。これはクローン技術がヒト細胞にも応用できることを初めて証明するものであった。彼らが意図していたのは、胚性幹細胞を作成し、科学者達が複雑な疾患を解明する、あるいは最終的に、患者に遺伝学的に適合した代替細胞を作り出す手助けとなることであった。

Banner Year for Condensates(凝縮の当たり年):
 基本的な2つの原子を冷却し、単一の量子状態、すなわち「凝縮」を実現する方法を掌中に、科学者達はこれら物質の不可思議な形態を探った。2つの主な功績は、原子が離れるにつれて変化する凝縮の振る舞いの解明と、気体・液体に続く固体凝縮の実現である。

 Hidden Genome Treasures(ゲノムの秘密のお宝):
ゲノム中に存在する「ジャンクDNA」と呼ばれる部分が、実はこれまで考えられていたより遙かに重要な存在であることが明らかになった。遺伝子および遺伝子の蛋白質生成に関与する部位で発見されたこのDNAは、遺伝子が正しい時間に正しい場所で活動を開始するために極めて重要であることが判明した。

Pulsar Pair(パルサー連星):
 天体物理学者によって、パルサー(放射線を放ちながら回転する中性子星)の連星が初めて確認された。これら天体のさらなる研究によって、アインシュタインの一般相対性理論に関するこれまでで最も厳密な試験が可能になるかもしれない。

Plant and Animal Diversity Declines(動植物の多様性減少):
 両生類、チョウ、植物および鳥類を対象に実施された大規模な研究から、種の多様性が減少しているという衝撃的な事実が明らかになった。種の豊かの減少に加えて、世界各地で気候変動が自然に変化をもたらしていることが示唆された。

Water, Not Just on Mars(火星の水だけじゃない):
 2004年には火星の水が脚光を浴びたが、地球の水に関する研究も大きな進展を遂げた。水の構造と化学的振る舞いに関する新たな研究結果によって、同研究分野は化学から大気科学へと新生面を開くことになるかもしれない。

Medicines for the World's Poor(貧困国のための薬):
 強力な原動力として登場した「官民パートナーシップ」は、薬剤の開発と開発途上国への供給方法に大きな影響を与えた。マラリアワクチン試験、抗HIV薬普及運動など、重要なイニシアチブを支えたのは、財団、富裕国、学界、製薬会社および諸団体・機関による共同事業であった。

Genes in a Drop of Water(一滴の水の中に存在する遺伝子):
 あまりに小さく、あまり遠いため肉眼で見ることのできない生命体を確認する新しい方法が発見された。研究者らは、サルガッソー海と廃坑の奥など、全く異なる環境から水を収集し、その中に浮かぶ遺伝子の塩基配列を調べた。同研究から、新しい遺伝子とゲノムが同じ様に発見された。

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Areas to watch in 2005(2005年に注目すべき分野):
Science誌が2005年に注目している分野は、肥満薬、ヒトの遺伝学的多様性と疾患の解明に役立つと思われる国際ハップマップ作成プロジェクト、そして土星探査機カッシーニ・ホイヘンスによる土星の月、タイタンの研究である。




 
Science誌が選ぶ2003年の科学的進歩ベストテン

日本語版
http://www.sciencemag.jp/breakthrough/bt2003.html
英語版
http://www.sciencemag.org/sciext/btoy2003/

 Science誌とAAASは、「宇宙の主な構成要素は“暗黒エネルギー”と呼ばれる未知の力により放散される謎の“暗黒物質”であるという一連の発見を、2003年の最もめざましい発見」に選んだ。

第1位 輝ける暗黒の宇宙(Illuminating the Dark Universe)
 ウイルキンソンマイクロ波非等方性探査衛星と、スローンデジタルスカイサーベイ望遠鏡によって、宇宙学者が唱える宇宙の運命に関する奇妙な説が一部確認された。

第2位 精神病の遺伝子(Genes for mental illness)
 統合失調症、うつ病、双極性障害などの遺伝性疾患リスクを確実に高める特定の遺伝子が同定された。そして現在、こうした遺伝子がどのように脳の情報処理を歪め、人を精神病に追いやるのかという研究が進み、精神病治療薬の開発につながる脳のバイアス(偏り)の解明が急がれている。

第3位 気候変動の衝撃(Climate Change Impacts)
 2003年、地球温暖化はもはや抽象概念ではなくなった。氷の融解、干ばつ、植物の生産性低下、および動植物の行動変化が各方面より報告されたのだ。

第4位 RNAの進展(RNA’s many roles)
 RNAに関しては2002年の最もめざましい発見に選ばれた。そして2003年、そのRNAが初期発生から遺伝子発現までの細胞行動にどのような影響を及ぼすかについて研究が展開された。siRNA(small interfering RNA)」の力を利用すれば、特定蛋白質の産生を制御することで、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)や肝炎などの疾患治療が可能となるかもしれない。

第5位 単一分子によるテクニック(Single-molecule techniques)
 生物学者と物理学者による新たな共同研究により、細胞内の個々の分子活性が明らかになった。動く分子モーター、上質で長持ちするナノスケールのテクニカラー市場、またDNA単一消化酵素に関して研究が進み、ビジネスがにぎわいそうだ。

第6位 ガンマ線のバースト(Gamma Rays bursts)
 宇宙で最も活発な爆発である”ガンマ線バースト”と呼ばれるすさまじいエネルギー爆発に関する理解が深まった。天文学者らは、明るいガンマ線バーストの光の中に超新星の確かな特徴を発見し、ガンマ線バーストと大質量星の爆発である超新星との関係を確認した。米国航空宇宙局(NASA)が2004年中頃に打ち上げ予定のSwift人工衛星は、これまでのミッションの5倍のガンマ線バーストを捉えるであろう。

第7位 性細胞と幹細胞(Sex cells and stem cells)
 マウスの胚性幹細胞が、精細胞と卵細胞の双方に進化できるという驚くべき発見がなされた。当発見は、性細胞が進化する仕組みと一部の不妊症の原因解明に役立つと考えられるる。しかし一方、ヒト胚性幹細胞が将来、ヒト卵子の供給源となるかもしれないという可能性は、深刻な倫理問題を提起することにもなった。

第8位 左旋性材料(Left-Handed Materials)
 2年間の論争を経て、いくつかの研究チームが、特定のハイテク材料が光(および他の電磁放射線)を「逆の」方向へ曲げることができることを確認した。科学者らはこうした新しいタイプの材料を用いて、逆のドップラー効果を生み出した。これら左旋材料を用いた良質なレンズの作成も進められている。

第9位 独立独歩のY染色体(The Self-Reliant Y Chromosome)
 今年、ヒト男性Y染色体の遺伝子塩基配列により、この一匹狼の染色体がパートナーを必要としない理由が解明された。Y染色体は、「回文配列」(鏡像配列)の重複遺伝子を持っているため、突然変異が起こり新たな遺伝子コピーが必要になっても、対のコピーが手元にあるのである。

第10位 画期的な癌治療法(Breakthrough Cancer Therapies)
 2003年6月、大規模臨床試験において従来の化学療法剤と併用した抗血管形成薬により、進行大腸癌患者の生存期間が延びたことを発表した。抗血管形成薬は血管形成を妨げて腫瘍を餓死させる。現在およそ60の抗血管形成薬がさまざまな癌を対象とした臨床試験で使用されており、研究者や患者は、抗血管形成研究の恩恵に浴することができると思われる。

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2004年に飛躍が期待される分野(Where Researchers Might Soar in 2004)
 Science誌は、来るべき2004年において見守るべき分野にも焦点を当てた。今年は、3件の火星着陸計画、生物兵器防衛に対する微生物学およびゲノム学、ヒトゲノムに関する洞察、オープンアクセス科学ジャーナル、気候変動と持続可能な農業に対する土壌の影響、科学界における安全保障の強化、およびテロ対策の費用と便益に関する論議、重い「ボトム」クォークに関する研究などが選ばれた。





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