毎日くだもの200グラムメールマガジン
□■□ くだもの&健康ニュース Vol.6 ■□■ 2011年9月16日(金)配信
みなさん、こんにちは! 味覚の秋です。果物の季節です。今週号もよろしくお願いします。
───────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。 http://www.kudamono200.or.jp ──────────────────────────────
<<< 本日のメニュ− >>>
・ 季節の便り ・ くだものレシピ:クリ ・ くだもの広場「ぶどうの皮に付いている白い粉やリンゴの皮の ベトベトは農薬ですか?」 ・ 文献紹介:糖代謝を改善する新しいタンパク質が発見される ・ 文献紹介: まずくても食べ続けてしまうわけ ・ 放射性物質と果物に関するQ&A 果物は水で洗うと除染効果があるとのことですが、水道水は大 丈夫ですか。 ・ くだもの豆知識:おいしいクリの食べ方 ・ 花実好きの家庭果樹だより:ハナユズ ・ 文学の中の果物:二人の役人(宮沢賢治) ・ くだものいちば ・ 編集部より
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■ 季節の便り
栗飯や病人ながら大食い − 正岡子規
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■ くだものレシピ:クリ
○ 栗と生ハムのリゾット
材料 栗 6個、リゾット米 2合、オリーブオイル 少々、ブロード 少々、白ワイン 少々、パルメザンチーズ 少々、生クリーム 少々、 生ハム 4枚
作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 http://nishi-iwami.ja-shimane.gr.jp/resp/kurihum.htm
○ 栗蒸しようかん
材料(4人分) あん(市販の加糖こしあん) 500g、小麦粉 75g、かたくり粉 75g、 塩 少々、栗の甘露煮ビン詰 300g
作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 http://www.ja-shimizu.org/p_198.html
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■ くだもの広場「ぶどうの皮に付いている白い粉やリンゴの皮の ベトベトは農薬ですか?」
残留農薬に関心のある果物好きのミカさんが、博士のところに心 配そうにやってきました。
ミカ:こんにちは。果物で気になることがあって今日は確かめに来 ました。 博士:こんにちは。何を確かめたいの。
ミカ:ぶどうの皮に付いている白い粉やりんごの皮のベトベトは農 薬成分が付いているんじゃないかと思って。 博士:ちがうよ。これは果物自身が作り出している「ろう物質」で、 自分の身体が乾燥したり、水に濡れて細菌が侵入するのを守 っているんだよ。
ミカ:食べても大丈夫ですか。 博士:もちろん大丈夫。むしろ、新鮮でよく熟している証拠なんだ よ。
ミカ:なーんだ、安心しました。でも、残留農薬は大丈夫ですか。 博士:平成18年の食品衛生法の改正で、全ての農薬等について厳し い農薬残留基準を定めたポジティブリスト制度が導入され、 登録のない農薬成分も含めて全て検査されて、基準を超えた 食品は販売等が禁止されているんだよ。
ミカ:じゃ、残留農薬を心配せず皮ごと食べても良いんですね。 博士:そうだよ。でも衛生的には洗って食べた方が安心だね。
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■ 文献紹介:糖代謝を改善する新しいタンパク質が発見される
名古屋大学の研究チームは、肥満に伴う糖代謝異常などを改善す る善玉タンパク質「アディポリン」を発見したと「生化学雑誌」の オンライン版(8月17日)に発表しました。
肥満になると糖尿病などの糖代謝異常や心血管疾患などを高率に 発症します。そのため、肥満症の病因解明は重要です。
研究では、肥満マウスとやせマウスの脂肪組織に発現する遺伝子 を解析し、その中で機能が未知のタンパク質を探索しました。その 結果、脂肪細胞に高濃度に発現する新しいタンパク質が見つかりま した。そのタンパク質は、インスリン感受性を高めることが分かり ました。そこで、このタンパク質をアディポリンと命名しました。
アディポリンは脂肪細胞に多量に発現していますが、肥満糖尿病 マウスの脂肪組織ではアディポリンの発現量は少なく、血中濃度も 低いことが分かりました。さらに、肥満糖尿病マウスにアディポリ ンを投与すると、体重の増加や血糖値の上昇も抑制され、インスリ ン抵抗性や糖代謝異常も改善されることが明らかとなりました。
こうした実験結果から、アディポリンは糖代謝などを改善する脂 肪細胞由来の新しいホルモンであると考えられました。そのため、 研究者らは、アディポリンの量を増加させることができれば、肥満 症の治療に役立つと考えています。
【文献】 Enomoto, T. et al.: Adipolin/C1qdc2/CTRP12 functions as an adipokine that improves glucose metabolism. JBC, Online Aug. 17, (2011) [doi: 10.1074/jbc.M111.277319]
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■ 文献紹介: まずくても食べ続けてしまうわけ
人は食事療法が必要でも、身についた食習慣をなかなか変えませ ん。アメリカ南カリフォルニア大学の研究者は、まずいのに食べ続 けてしまう理由について「性格と社会心理学速報」(2011年8月22 日)に発表しました。
研究では、映画館で映画を観ながらポップコーンを食べてもらい ました。出来立ての美味しいポップコーンを食べた群と、前の週に 作っておいたまずいポップコーンを食べた群に被験者を分けました。
その結果、普段から映画を観るときにポップコーンを食べる習慣 のある人は、まずいものも美味しいものと同じくらいよく食べまし たが、食べる習慣のない人はまずいものはあまり食べませんでした。
次に、実験場所を映画館から会議室に移して同じようにポップ コーンを渡して映画を観てもらったところ、ふだん映画を観ながら ポップコーンを食べる習慣のある人も、まずいポップコーンをあま り食べないことが分かりました。
さらに、利き手と反対の手を使ってポップコーンを食べてもらっ たところ、顕著にこの傾向が明らかとなりました。
以上の結果から研究者は、まずいものでも食べ続ける理由は単な る習慣で、ちょっとでもそのパターンが崩れるとその習慣も変わる と考えています。この結果は、食事制限が必要な人に対する食事療 法を成功させるための方法の開発に役立つと述べています。
【文献】 Neal, D.T. : The Pull of the Past: When Do Habits Persist Despite Conflict With Motives? Pers. Soc. Psycho.l Bull. online Aug. 22, (2011) [doi: 10.1177/0146167211419863]
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■ 放射性物質と果物に関するQ&A 果物は水で洗うと除染効果があるとのことですが、水道水は大 丈夫ですか。
放射性物質の水道水への影響については、原子力災害現地対策本 部、文部科学省、地方公共団体及び水道事業者により検査が実施さ れています。
こうした検査結果に基づき、現在、飲用を控えるよう要請がなさ れている地域はありません。また、5月以降、ほとんどの地域にお いてヨウ素131、セシウム134、137ともにND(検出下限値未満) となっており、検出されてもごく微量です。
なお、検査による測定値が原子力安全委員会が設定した「飲食物 摂取制限に関する指標」(指標)を超過した場合、@指標を超える ものは飲用を控えること、A入浴等の生活用水としての利用には問 題がないこと、B代替となる飲用水がない場合には、飲用しても差 し支えないこと、とされています。(3月 19 日付の厚生労働省の 通知)
参考とした資料は食品安全委員会の下記です。 http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/emerg_QA.pdf
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■ くだもの豆知識:おいしいクリの食べ方
くりは、煮たり焼いたり蒸したりと、さまざまな食べ方で楽しま れています。鬼皮と渋皮をむいて甘露煮やくりご飯にしたり、渋皮 をつけたまま渋皮煮にしたりと、幅広く楽しめます。生のくりの鬼 皮や渋皮をむくときは、1晩水に浸けるとむきやすくなります。ク チナシの実を入れて甘露煮を作ると鮮やかな黄色になります。
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■ 花実好きの家庭果樹だより:ハナユズ
春に白い花が沢山咲いたので、緑色の実が台風後の雨を吸って 大分大きくなりました。冬に向かって黄色くなるのが楽しみです。
ハナユズの写真は下記のサイトにあります。 http://www.kudamononet.com/kudamono200/back_number/K&K006phto1.html
冬至のユズ湯に、焼き魚のスダチ替わりに活用しますが、一番は 冬の寂しくなった庭での金色の実の観賞です。(花実好き)
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■ 文学の中の果物:二人の役人(宮沢賢治)
その頃の風穂(かぜほ)の野はらは、ほんたうに立派でした。 青い萱(かや)や光る茨(いばら)やけむりのやうな穂を出す草 で一ぱい、それにあちこちには栗の木やはんの木の小さな林もあり ました。
野原は今は練兵場や粟(あは)の畑や苗圃(なへばたけ)などに なってそれでも騎兵の馬が光ったり、白いシャツの人が働いたり、 汽車で通ってもなかなか奇麗ですけれども、前はまだまだ立派でし た。
九月になると私どもは毎日野原に出掛けました。殊に私は藤原慶 次郎といっしょに出て行きました。町の方の子供らが出て来るのは 日曜日に限ってゐましたから私どもはどんな日でも初蕈(はつた け)や栗をたくさんとりました。ずゐぶん遠くまでも行ったのでし たが日曜には一層遠くまで出掛けました。
ところが、九月の末のある日曜でしたが、朝早く私が慶次郎をさ そっていつものやうに野原の入口にかゝりましたら、一本の白い立 札がみちばたの栗の木の前に出てゐました。私どもはもう尋常五年 生でしたからすらすら読みました。
「本日は東北長官一行の出遊(しゅついう)につきこれより中には 入るべからず。東北庁」
私はがっかりしてしまひました。慶次郎も顔を赤くして何べんも 読み直してゐました。 「困ったねえ、えらい人が来るんだよ。叱(しか)られるといけな いからもう帰らうか。」私が云(い)ひましたら慶次郎は少し怒っ て答へました。
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■ くだものいちば
今回は札幌市中央卸売市場に入荷している果物について紹介しま す。取扱量の多い果物はメロン、スイカ、ナシ、リンゴ、ブドウな どです。
メロンは北海道産です。
スイカは北海道産です。
ニホンナシ(幸水、豊水など)は新潟、福島、茨城、佐賀産などで す。
リンゴ(つがる)は青森産です。
ブドウ(デラウェア、巨峰、など)は北海道、山形、山梨、福島産 です。
ウンシュウミカン(ハウスみかん)は佐賀、神奈川産です。
レモン、バレンシアオレンジはアメリカ産、グレープフル−ツは南 アフリカ産です。 カキ(刀根早生、など)は和歌山、奈良産などです。 モモ(ゆうぞら、など)は福島産などです。プルーンは北海道産です。
バナナはメキシコ産です。パイナップルはフィリピン産です。キウ イフル−ツはニュージーランド産です。
「今週の果物」は下記の青果物市況情報を参考に作成しています。 https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do
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■ 編集部より
果物が美味しい季節となりました。果物と長寿との関係について 敬老の日(9月19日)の毎日新聞に、栗や柿、リンゴなど秋の果物 についてNHK「あさイチ」(9月27日8:15〜)に取り上げられます。 お目についたらご覧ください。(tnk)
ふだん口にできないような福島の見事な果物をたくさん味わって います。周辺からも大きくて見栄えのある桃の美味しさに感嘆した との声が多く聞かれます。(HK)
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