毎日くだもの200グラムメールマガジン
□■□ くだもの&健康ニュース Vol.35 ■□■ 2012年11月16日(金)配信
みなさん、こんにちは! 今週は、カンキツ類の特集です。 「ミカンが色づくと医者が青ざめる」です。 ───────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。
http://www.kudamono200.or.jp ──────────────────────────────
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本日のメニュ−
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・ 季節の便り ・ くだものレシピ:カンキツ ・ くだもの広場:朝食に果物がよいのはどうしてですか。 ・ 文献紹介:フラボノイドで女性の胃がんのリスクが減少 ・ 文献紹介:マルチビタミンでは心臓病を予防できない ・ 花実好きの家庭果樹だより:花柚(はなゆ) ・ 文学の中の果物:ひかりの素足(宮沢賢治) ・ くだものいちば ・ くだもの豆知識:オレンジの歴史と現在の生産量 ・ 読者から:グレープフルーツと降圧薬との関係 ・ 編集部より
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■ 季節の便り
柚子の玉味噌の火焔を吐かんとす
− 正岡 子規
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■ くだものレシピ:カンキツ
○ 野菜に、肉に、魚に、ゆずみそ
ゆず入り味噌ダレです!簡単に作れます。なんにでも合います。
材料(1瓶) ゆず皮すりおろし
大さじ1杯、ゆずの絞り汁 大さじ1杯、みそ 150g、砂糖 大さじ3杯、みりん
大さじ2杯、だし汁1/4カップ (ダシパウダー小さじ1/2+水50ccもok)
作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/1660883
○ サッパリ爽やか、みかんムースロールケーキ
大好きなフワフワロールケーキにみかんのムースを巻いてみまし た。みかん本来の味を生かして甘さ控えめ。男性にも喜んでいただ けます。
材料 みかん
4個、ゼラチン 5g、卵 L3個、砂糖 75g、天ぷら粉 52gなど、
作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/465167
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■ くだもの広場:朝食に果物がよいのはどうしてですか。
果物が大好きで、勉強熱心なミカちゃんが、何か聞きたそうに博 士のところにやって来ました。
ミカ:こんにちは。最近、朝食を摂らない人が多いと聞きますが、 朝食を摂らないと、からだにどんな影響がありますか。 博士:こんにちは。朝食を食べない若い人が多いことを、国でも大 きな問題にしているね。朝食を食べないと、仕事や勉強の集 中力が低下したり、便秘や肥満の原因になることもわかって いるんだよ。
ミカ:どうしてなんですか。 博士:脳のエネルギー源はブドウ糖なんだけど、寝ている間も消費 するから、朝は不足状態なんだね。朝食を抜くと、脳の活動 が鈍って集中できなくなるんだよ。それに、朝、胃の中に食 べ物が入ると腸のぜん動運動が促進されて便意を生じるんだ けど、抜くと、このリズムが乱れるしね。また、空腹では心身 の活動を抑制して、エネルギー代謝量を低下させ、栄養の 不足を感じとり、体内に脂肪を蓄えておこうとするんだ。
ミカ:だから、前回のメルマガで読んだように、朝食を抜くと昼食 や夕食の量が増えやすくなり、脂肪の蓄積がさらに進むんで すね。 博士:そのとおりだね。
ミカ:朝食に果物がよいのはどうしてですか。 博士:朝食を取らない主な理由は、時間がない、食欲がない、作る のが面倒くさいなどなんだよ。この点、果物は、ブドウ糖や すぐにブドウ糖に分解するショ糖を豊富に含んでいるし、水分や さわやかな食感を与える有機酸が多く、そのまま食べられ、 朝でも食べやすい上に、唾液の分泌を促進させて食欲の増進 にも役立つんだね。 それに、果物のもつ香や色彩が、あわただしい朝に精神的な ゆとりやうるおいを与えてくれるしね。 ミカ:まさに、朝の果物は金なんですね。
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■ 文献紹介:フラボノイドで女性の胃がんのリスクが減少
ヨーロッパの国際研究チームは、果物などを含む食事からフラボノイド を多く摂取していると、女性では胃ガンのリスクが減少すると「アメリカ 臨床栄養学雑誌」に発表しました。
研究は、ヨーロッパがん栄養調査に参加したヨーロッパ10カ国の 35〜70歳の参加者約48万人を対象に、食事由来のフラボノイドと胃 がんとの関係について、平均11年間の追跡調査が行われました。
その結果、女性は、総フラボノイドの摂取量が多いと胃がんのリ スクが19%有意に減少することが分かりました。しかし、男性では こうした関連性は認められませんでした。 また、フラボノイドのサブグループのアントシアニジン、フラボノール、 フラボン、フラバノールも女性の胃ガンのリスクを下げました。
なお、フラボノイドの食品成分データベースは、アメリカ農務省 などが作成しているデータベースが用いられました。
研究チームは食事摂取によってフラボノイドを摂取することで、 女性の胃がんのリスクを引き下げられると述べています。
【文献】 Zamora-Ros,
R. et al.: Dietary flavonoid and lignan intake and gastric adenocarcinoma
risk in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition
(EPIC) study. Am. J. Clin. Nutr., Online October 17, (2012) 「doi:
10.3945/?ajcn.112.037358」
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■ 文献紹介:マルチビタミンでは心臓病を予防できない
アメリカ、ハーバード大学メディカルスクールなどの研究チーム は、男性医師に対する臨床試験の結果から、毎日、マルチビタミン (総合ビタミン剤)を摂取しても心臓病や脳卒中などの予防効果は ないと「アメリカ医学会誌(JAMA)」に発表しました。
サプリメントを摂取しても健康に役立つかどうか、はっきりして いないにも関わらず、アメリカでは心臓病など慢性的な病気の予防 を目的に多くの人が毎日摂取しています。観察研究(疫学調査)で は、マルチビタミンの定期的な摂取と心臓病予防に関連性はないこ とが明らかとなっています。しかし、長期間の臨床研究はこれまで ありませんでした。
そこで研究者らは、長期間、マルチビタミンを摂取することが心 臓病やがんのリスクに影響を与えるかを、大規模に試験している内 科医健康研究2をもとに解析を行いました。この臨床試験は、無作 為化二重盲検プラセボ対照比較試験で、1997年〜2011年に調査を行 いました。研究参加者は50歳以上(平均64歳)
14641人の男性内科医 です。このうち、研究開始時にすでに心臓病を抱えている人は754人 いました。
調査対象は、非致死的な心臓発作や脳卒中及び心臓病由来の死亡 で、マルチビタミン摂取群は7317人、プラセボ摂取群は7324人でした。 平均11.2年間経過を観察したところ、1732人が心臓病を発症(うち652人 が心臓発作、643人が脳卒中)し、829人が心臓病で死亡しました。 また、プラセボ摂取群とマルチビタミン摂取群を比較したところ、 すべてにおいて統計学的な有意差は認められませんでした。
こうした結果から、研究者らは、基本的にはマルチビタミンの定 期的な摂取の必要性はないと結論づけています。そして、ビタミン 剤が必要なのは、栄養状態が不良の場合に限られると述べています。 日頃、ビタミン類が多く含まれている果物などを摂取している人 は必要ないようです。
【文献】 Sesso,
H.D. et al.: Multivitamins in the Prevention of Cardiovascular Disease in
Men. - The Physicians' Health Study II Randomized Controlled Trial. JAMA.
308: 1751-1760. (2012)[DOI:
10.1001/jama.2012.14805]
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■ 花実好きの家庭果樹だより:花柚(はなゆ)
このところの冷え込みで、花柚の実が黄色く色付いてきました。 金色の実の写真は下記のサイトにあります。
http://www.kudamononet.com/kudamono200/back_number/K&K035phto1.html
冬の庭を金色に飾るだけでなく、冬至の柚子湯に、ゆず味噌や サンマのぽん酢に重宝しています。(花実好き)
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■ 文学の中の果物:ひかりの素足(宮沢賢治)
風がまたやって来ました。雪は塵(ちり)のやう砂のやうけむり のやう楢夫はひどくせき込んでしまひました。
そこはもうみちではなかったのです。二人は大きな黒い岩につき あたりました。
一郎はふりかへって見ました。二人の通って来たあとはまるで雪 の中にほりのやうについてゐました。 「路まちがった。戻らなぃばわがなぃ。」
一郎は云っていきなり楢夫の手をとって走り出さうとしましたが もうたゞの一足ですぐ雪の中に倒れてしまひました。 楢夫はひどく泣きだしました。 「泣ぐな。雪はれるうぢ此処(こご)に居るべし泣ぐな。」一郎は しっかりと楢夫を抱いて岩の下に立って云ひました。
風がもうまるできちがひのやうに吹いて来ました。いきもつけず 二人はどんどん雪をかぶりました。 「わがなぃ。わがなぃ。」楢夫が泣いて云ひました。その声もまる でちぎるやうに風が持って行ってしまひました。一郎は毛布をひろ げてマントのまゝ楢夫(ならを)を抱きしめました。
一郎はこのときはもうほんたうに二人とも雪と風で死んでしまふ のだと考えてしまひました。いろいろなことがまるでまはり燈籠 (どうろう)のやうに見えて来ました。正月に二人は本家(ほん け)に呼ばれて行ってみんながみかんをたべたとき楢夫がすばやく 一つたべてしまっても一つを取ったので一郎はいけないといふやう にひどく目で叱(しか)ったのでした、そのときの楢夫の霜やけの 小さな赤い手などがはっきり一郎に見えて来ました。いきが苦しく てまるでえらえらする毒をのんでゐるやうでした。一郎はいつか雪 の中に座ってしまってゐました。そして一そう強く楢夫を抱きしめ ました。
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■ くだものいちば
今回は盛岡市中央卸売市場に入荷している果物について紹介しま す。取扱量の多い果物は、リンゴ、ミカン、カキ、バナナなどです。
リンゴ(ジョナゴ−ルド、王林、紅玉、ふじ)は岩手、青森産などです。
ウンシュウミカン(早生温州、など)は静岡、長崎産などです。
カキ(富有、平核無、など)は奈良、和歌山、岩手産などです。
ニホンナシ(新高、など)は福島、栃木産などです。 セイヨウナシ(ラフランス、など)は岩手産などです。
ブドウ(巨峰、など)は福島、岩手産などです。 メロン(アールス、など)は高知産などです。 キウイフル−ツは山梨産などです。
バナナ、パイナップル、レモンは海外産です。
「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。
https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do
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■ くだもの豆知識:オレンジの歴史と現在の生産量
原生地インドからオレンジが中国へ伝来したのは2200年以上前と 考えられています。
中東へはアラビア人によりインドから導入されました。その後、 十字軍の遠征(1096〜1270)によりエルサレムから地中海地方にも たらされました。
一方,中国のオレンジは、16世紀初頭にポルトガル人によって地 中海地方に伝えられました。インドおよび中国より伝来した地中海 地方からオレンジの優良品種群が生まれました。
新大陸への伝播は、コロンブスの2回目の航海(1493)のあとに、 植民地となったハイチにオレンジの種が播種されたのが最初と伝え られています。ブラジルには1530年頃に導入されました。1870年代 には、アメリカのカリフォルニア州とフロリダ州に導入され、大産 地が形成されました。
我が国へは、室町時代末期に中国から渡来しました。
表.オレンジの生産量の多い国 −−−−−−−−−−−−−−−−− 国名
生産量(トン) −−−−−−−−−−−−−−−−− 1 ブラジル
18101700 2 アメリカ合衆国 7477920 3 インド 5966400 4 中国 5003289 5 メキシコ
4051630 6 スペイン 3120000 7 エジプト 2401020 8 イタリア
2393660 9 インドネシア 2028900 10 トルコ
1710500 −−−−−−−−−−−−−−−−− FAOSTAT2010年の資料から作成
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■ 読者から:グレープフルーツと降圧薬との関係
メルマガ担当者殿
グレープフルーツは、血圧降下薬など医薬品と一緒に食べると体 によくないと聞いたのですが、もう少し詳しく教えてください。 (東京:果物好き)
【編集部より】 果物好きさん、メールありがとうございました。 高血圧になると血圧を下げるために血圧降下薬が処方されます。 降下薬には様々なタイプがありますが、その中でカルシウム拮抗薬 (フェロディピンなど)の中に、グレープフルーツに含まれている フラノクマリンと反応し、血圧降下作用が増強されるものがありま す。(文献)そのため、こうした薬を服用している場合はグレープ フルーツの摂取は控える必要があります。 同様な反応はグレープフルーツだけでなく、スイーティー、ブン タン、ダイダイなどでも起きることが明らかとなっています。一方、 バレンシアオレンジ、ウンシュウミカンなどは血圧降下薬に影響を 与えないことが知られています。 そのほか、グレープフルーツとの相互作用が知られている医薬品 について下記の表に記載しました。
表.グレープフルーツとの相互作用が知られている医薬品 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 薬効分類
医薬品名 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− カルシウム拮抗剤 フェロディピン、ニカルジピン、ニフェジピン、
シルニジピン 抗HIV剤 サキナビル 免疫抑制剤 シクロスポリン、タクロリムス 抗血小板剤
シロスタゾール −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【文献】 Bailey, D.G. et
al.: Grapefruit-felodipine interaction: effect of unprocessed fruit and
probable active ingredients. Clin. Pharmacol. Ther., 68: 468-477.
(2000)
皆様からのメールをお待ちしています。メールの宛先は下記です。 mainitikudamono@gmail.com
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編集部より
ビタミンや機能性成分は、単独では効果はなく、食事の中で一緒 に摂取する他の成分との相互作用や相乗効果によって生活習慣病予 防効果が現れると考えられています。今号で紹介したマルチビタミン サプリメントの臨床試験結果も、そうした基礎理論を支持していま す。こうしたことから、毎日くだものを200グラム以上食べることが 必要なのです。(tnk)
今年も、甘さの足りない極早生みかんが10月に値を下げ、その後、 甘い早生みかんが出回り始めて値を戻していますが、甘さの足りな いみかんを食べた人が、みかんのイメージを悪くし、美味しいみかん の消費に少なからず影響しているのではと心配しています。(HK)
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