毎日くだもの200グラムメールマガジン
□■□ くだもの&健康ニュース Vol.57 ■□■ 2014年1月17日(金)配信
あけましておめでとうございます。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。 ───────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。
http://www.kudamono200.or.jp ──────────────────────────────
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本日のメニュ−
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・ 季節の便り ・ くだものレシピ:ミカン ・ くだもの広場:皮をむいたりんごの色が茶色に変色するのを防 ぐにはどうしたらいいですか。 ・ 花実好きの家庭果樹だより:千両 ・ 文学の中の果物:芥川龍之介論 ―藝術家としての彼を論ず(堀辰雄) ・ くだものいちば ・ 読者から:バイオマーカーって何? ・ 編集部より
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■ 季節の便り
旅人の蜜柑くひ行く枯野哉
− 正岡子規
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■ くだものレシピ:ミカン
○ 餅つき機にお任せ、簡単みかん餅
フレッシュミカンをたっぷり使って餅つき機で簡単に作れるミカ ン餅です。おやつにもぴったり、ほんのり甘くて子供が気に入ります。
材料(作りやすい分量) ミカン
4個、もち米 1kg、もちとり粉(片栗粉)適量
作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/2442780
○ 残りみかんで簡単オレンジチキン
甘いタレが鶏肉に合います。子供が大好きな味!ミカンと鶏肉が あればすぐに作れます。
材料(二人分) ミカン
2個(小なら3個 - 絞り汁が100ccになるようにする)、鶏 肉 1枚、はちみつ
小さじ1杯など。
作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/2429719
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■ くだもの広場:皮をむいたりんごの色が茶色に変色するのを防
ぐにはどうしたらいいですか。 果物大好きのりん太君が、なにか聞きたそうに博士のところにや って来ました。
りん:こんにちは。皮をむいたりんごの色が茶色に変色するのを防 ぐにはどうしたらいいですか。 博士:こんにちは。家庭では、りんごを切ったらすぐに水につけた り、薄い食塩水やレモン水をつけると変色を防ぐ効果がある ね。病気の人に、おろしたりんごを食べさせる場合は、おろ し板に陶器やプラスチック製のものを使うと変色しにくいよ。 りん:どうして、変色しにくいんですか。 博士:茶色に変色する理由は、切ることで細胞内のポリフェノール オキシダーゼという酸化酵素が出てきて、りんごに含まれて いるポリフェノールという物質を酸化させ、変色するんだ。 だから、変色を防ぐ方法は、これらのどちらかを無くすか、 酸化反応を弱めるようにしているんだね。
りん:具体的に教えてください。 博士:まず、水につけるのは、これらを洗い流すことになるね。 薄い食塩水や酢水は酵素の働きを低下させるんだ。レンコン ややまいもを酢水に付けるのもこの原理だね。レモン水には 酸化反応を止めるビタミンCも含まれているね。酵素反応は 低温で抑制されるから冷蔵庫に入れておけばもっと効果的だ ね。逆に、りんごではしないけど、野菜の湯通しはお湯の熱 で酵素を壊すから変色しないんだね。
りん:りんごをおろすのに陶器やプラスチック製のものを使うのは 何故ですか。 博士:金属のおろし金だと、金属イオンが出てきて、その金属イオ ンが酸化速度を早めて変色が進むんだね。
りん:りんごでも変色しにくい品種があると聞いたんですが。 博士:ふじや王林、シナノスイートなど大半の品種は変色しやすく、 千秋、シナノゴールド、つがるの順に変色しにくいようだね。 最近、青森で育成された「千雪」はほとんど変色しないね。 ポリフェノールオキシダーゼの活性が著しく弱く、ポリフェノール の含量も少ないんだ。カットりんごやすりおろしりんごなど の1次加工品や酸化防止剤を使わないジュースやシードルな ど付加価値加工品が変色しないりんごの食べ方として期待さ れているね。 りん:変色防止方法を試してみて、みんなにも教えてあげようかな。
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■ 花実好きの家庭果樹だより:千両 千両の赤い実が庭の片隅を輝かせています。 赤い実は、下記のサイトにあります。
http://www.kudamononet.com/kudamono200/back_number/K&K057phto1.html
例年、正月過ぎには野鳥に食べられていますが、今年はまだ、庭 の片隅を輝かせています。(花実好き)
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■ 文学の中の果物:芥川龍之介論 ―藝術家としての彼を論ず(堀辰雄)
この「秋」の少し以前に書かれた 「蜜柑」(大正八年)「沼地」(大正八年) も好個の短篇である。非常に微妙な、鮮かな效果を持つてゐる。 しかしそれは
narrative(説述)の巧妙さから來るのである。さう いふ點、「奉教人の死」等の narrative
の巧妙さをさう拔き出て ゐない。新機軸を出したものではない。彼の新境地を切り開いた點 では、無論、その功績を「秋」に讓らねばならない。唯、これは、 殊に「蜜柑」は好個の短篇と言ふにとどまる。
「開化の殺人」(大正七年) 「開化の良人」(大正八年) は所謂開化物に屬し、歴史小説の部類に入れる方がいいと思ふ。 殊に、これらの小説の手法が歴史小説のそれとは、少しも異らない 點から。しかし二作とも風俗描寫よりも心理描寫の方が數等面白い のである。
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■ くだものいちば
今回は、秋田市公設地方卸売市場に入荷している果物について紹 介します。入荷量が多いのはミカン、リンゴ、イチゴ、バナナなど です。
ウンシュウミカン(大津4号など)は 神奈川、和歌山産、イヨカンは佐賀産、ハッサクは和歌山産、 デコポン(しらぬひ)は佐賀産です。 レモン、グレープフルーツはアメリカ産です。
リンゴ(ふじ、王林。陸奥など)は秋田、青森産などです。
イチゴ(とちおとめ、ほのか)は栃木、佐賀、宮城産などです。 メロン(アールスなど)は熊本産などです。
カキ(富有など)は福岡産などです。 ブドウは青森産です。
バナナはフィリピン、エクアドル産です。 キウイフルーツ(ヘイワード)は愛媛産です。
「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。
https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do
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■ 読者から:バイオマーカーって何?
メルマガの配信を楽しみにしている一人です。文学の中の果物や 家庭果樹だよりなどを先に目を通しますが、文献情報も分かりやす いので読んでいます。ただ、最近の話題であるバイオマーカーにつ いては、わかりにくいのでもう少し基本的なことから教えてくださ い。(東京:知りたがり)
【編集部より】 メールありがとうございました。バイオマーカーと果物との関係 について紹介します。ヒトを対象とした疫学研究から、果物が豊富 な食事は、ガン、脳卒中、心血管疾患、糖尿病などに対する予防効 果を示す証拠が蓄積しており、各国の健康施策に反映しています。 その一方で、アメリカ農務省によるORACデータベースの取り下げな どから、抗酸化成分などについての生活習慣病のリスク低減効果の 再検討が求められています。こうした状況の中で、近年、バイオマ ーカーの開発が注目され、新しい研究ターゲットとなっています。
バイオマーカーとは、定量可能な生物学的パラメータ(血圧や血 糖値など)で、疾患リスク、病気の診断、生物学的代謝プロセス、 病理学的プロセス、治療的介入に対する薬理学的応答などのヒトの 健康と生理学関連の評価の指標です。生化学検査、血液検査、腫瘍 マーカーなどの各種臨床検査値や画像診断データなどが知られてい ます。この中から、生活習慣病のリスク要因である果物の摂取を客 観的に評価できるバイオマーカーの開発に関する最新の研究事例を 紹介します。
【研究事例1】 生活習慣病予防の疫学研究では、食事と疾患など の関係を調べるために食事摂取頻度調査票が用いられています。食 事摂取頻度調査票は、数十項目からなり、その結果をもとに食品成 分表を用いて各栄養素の摂取量を推定します。
しかし、アンケート調査は複雑であるためエラーも多いことが知 られています。そのため、生活習慣病のリスク要因である果物や野 菜の摂取を客観的に評価できるバイオマーカーの開発が求められて います。
そこで、今まで行われた疫学データの総合的組織的解析の結果、 最も一般的に測定され、最も一貫して果物と野菜の摂取量を評価で きるバイオマーカーは、カロテノイドやビタミンCであることが分 かりました(文献1)。
【研究事例2】 血清中のカロテノイド濃度は、果物や野菜の消費 量のバイオマーカーとして期待されています。しかし、カロテノイ ドのレベルは、年齢や体脂肪、アルコールの消費とともに低下する 可能性があります。
そこで、ランダムに選択された159人の閉経後の女性(56-75歳) を対象に、高速液体クロマトグラフィーを用いて血清カロテノイド を測定しました。
解析の結果、カロテノイド濃度は、果物や野菜の消費量が多く、 適度なアルコール摂取で増加していました。また、健康的な閉経後 の女性の集団では、カロテノイドの血清濃度は、年齢や体脂肪量が 増加するに従って減少しました(文献2)。従って、臨床へ応用す る場合はこうした点を考慮する必要があると考えられました。
以上のように、生活習慣病予防のリスク要因である果物と野菜の 摂取量を客観的に評価できるバイオマーカーとして血液中のカロテ ン類やビタミンCなどの成分が優れていることが明らかにされつつ あり、生活習慣病予防や治療後の食事指導等の臨床への応用が期待 されています。
【文献】 1)
Baldrick, F.R. et a;.: Biomarkers of fruit and vegetable intake in human
intervention studies: a systematic review. Crit. Rev. Food Sci. Nutr., 51:
795-815. (2011) [doi: 10.1080/10408398.2010.482217] 2) Wawrzyniak, A. et
al.: Dietary, anthropometric, and lifestyle correlates of serum carotenoids
in postmenopausal women. Eur. J. Nutr., 52: 1919-1926. (2013) [doi:
10.1007/s00394-013-0493-y]
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編集部より
今年は、シェイクスピア生誕450年とのことです。新春にふさわ しい、よく知られた台詞を紹介します。「どんなに長い夜も必ず明 ける。(The
night is long that never finds the
day.)。果物 の夜明けを待ち望んでいます。(tnk)
平成25年産の果実は、春先の低温、空梅雨、猛暑、秋の長雨、 台風と相次ぐ天候不順に見舞われたものの、販売量、価格ともほぼ 平年並み。みかんは食味良好で価格も好調とのこと。天候不順に負 けない生産者の努力に敬意。(HK)
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