毎日くだもの200グラムメールマガジン
□■□ くだもの&健康ニュース Vol.96
■□■ 2015年10月30日(金)配信
みなさん、こんにちは!
今号では、ユネスコの世界無形文化遺産に認定されているフランス
料理と食育との関係について紹介しています。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは下記です。
http://www.kudamono200.or.jp
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<<< 本日のメニュ− >>>
・ 季節の便り
・ くだものレシピ:ギンナン
・ 文献紹介:果物の摂取はうつ病予防にも効果的
・ 食育:フランスの健康栄養政策
・ 文学の中の果物:太宰治との一日(豊島与志雄)
・ くだものいちば
・ 編集部より
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■ 季節の便り
いろいろの紅葉の中の銀杏哉
− 正岡子規
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■ くだものレシピ:ギンナン
○ 秋鮭と銀杏の炊き込みご飯
秋の味覚を使った炊き込みご飯。秋鮭と銀杏の組み合わせは珍し
いかも?
材料(3〜4人分)
ギンナン 適量、秋鮭(切り身) 2枚、コメ 3合、えのきだけ
小1パック、酒 大さじ1杯、昆布 小1枚、など。
作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/3460392
○ カルボナーラ秋の味覚銀杏入り。
市販のパスタソースに、秋の味覚「銀杏」を加えて簡単美味しい
カルボナーラを作りました。
材料(2人分)
ギンナン 適量、スパゲティー 200g、カルボナーラソース 2人
分、ベーコン 適量
作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/3448709
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■ 文献紹介:果物の摂取はうつ病予防にも効果的
スペインのラス・パルマス・デ・グラン・カナリア大学の研究
チームは、加工肉の摂取量が少なく果物などの摂取量が多い地中海
式食生活や類似の食事パターンの人は、うつ病(用語解説1)にな
りにくいと、医学雑誌「BMC医学」に発表しました。
研究では、うつ病ではないボランティア(15,093人)を対象に、
食事などの生活習慣因子がうつ病に与える影響について追跡調査が
行われました。平均8.5年の追跡調査期間中に1,550人がうつ病と診
断されるか、抗うつ剤を服用していました。
調査データを解析した結果、健康的な食生活の指標である食事イ
ンデックス・スコアが高い人ほど、うつ病の発症リスクが低いこと
が分かりました。具体的には、果物、野菜、豆、ナッツ、オメガ-3
系脂肪酸の摂取量が多く、適度な飲酒をしている人でした。
さらに、うつ病の発症リスクには閾値(いきち;用語解説2)が
あると考えられました。健康的な食生活の中程度の遵守率でも、う
つ病の発症は顕著に低下しました。
こうした結果から、うつ病予防に必要な栄養素の摂取量が日常的
に足りないとうつ病が発症するのではないかと研究者らは考えてい
ます。
【用語解説】
1)うつ病:生活のなかのさまざまな出来事が原因で気持ちが落ち込
んだり、憂うつな気分になるが、普通は数日すると回復する。 し
かし、原因が解決しても気持ちが落ち込んだままで、強い憂うつ感
が長く続き生活するのが難しい状態がうつ病である。
2)閾値(いきち):特定の作用因子が、生物体に対しある反応を引
き起こすのに必要な最小あるいは最大の値。限界値または臨界値と
もいう。
【文献】
Sanchez-Villegas, A. et al.: A longitudinal analysis of diet quality
scores and the risk of incident depression in the SUN Project.
BMC Med., 13: 197. (2015) [doi: 10.1186/s12916-015-0428-y]
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■ 食育:フランスの健康栄養政策
フランスの果物摂取と健康栄養政策について紹介します。日本の
和食と同様にフランス料理も、ユネスコの世界無形文化遺産に認定
されています。世界無形文化遺産とは、歴史や生活風習などと密接
に関わる文化のことで、健康とは直接関係ありません。
一方、WHO(世界保健機関)は、生活習慣病予防のために、果物
や野菜を中心の食生活に改善するための健康栄養政策の実施を各国
政府に勧告しています。
フランスでは、20世紀後半、生活習慣病が急増するとともに、国
民保険の支出額が大幅に増えました。こうした健康を巡る情勢や国
民の健康への関心の高まりを受けて、フランス政府は、2001年、果
物と野菜の摂取量を増やすなどを公式指標に定めた栄養健康政策を
開始しました。この中で、フランスの食文化の伝統を守りながら国
民の健康の維持・増進を図ると明記しました。健康と食の味わいや
喜びを結び付けた画期的な健康政策です。
食育では、フランスの食文化の価値を教えるとともに、果物など
質の良い栄養価の高い食材を選択するように、生徒に教えています。
さらに、子供たち自身が味覚を磨き、感じたことを言葉で表現でき
るようにするための指導も行われています。
その結果、健康栄養政策の成功か失敗かの指標である果物消費量
は一人一日あたり2000年が267gであったのが、10年後には305gへと
着実に増加しました。同時に、生活習慣病も大幅に減少しました。
2000年と比べて10年後には死亡率が、心臓病で-39%、脳卒中で-36
%、糖尿病で-24%へと、たった10年で大幅に減りました。
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■ 文学の中の果物:太宰治との一日(豊島与志雄)
おかしいのは、鶏の料理だ。だいぶ前、太宰が来た時、私は彼の
前で鶏を料理してみせたことがある。へんな鶏で、雌雄がわからず、
つまり、子宮も睾丸も摘出できなかったという次第で、大笑いとな
った。こんな血腥いこと、太宰としては厭だったろうと思われるの
に、案外、彼は興味を持って、其後、よそで、自ら執刀し、そこら
中を血だらけにしたという。私はそれを聞いていたし、前回の失敗
を取返したくも思い、丸のままを一羽求めて来さして、食卓の上で
手際よく解剖してみせた。ところがその鶏、産むまぎわの卵を一つ
持っていて、まだ殼がぶよぶよしてる大きいのが出て来て、私も、
むろん太宰も、ちょっと面喰った。
酒の席でまで文学論をやることは、太宰も私も嫌いだ。政治的な
時事問題なども面白くない。話はおのずから、天地自然のこと、つ
まり山川草木のことが主となる。以前に、太宰と近所を歩いて、雀
の巣だった銀杏の樹のあたりを通りかかったことがある。今ではそ
の辺は戦災の焼跡になっているが、その銀杏の樹に嘗て、数百数千
の雀が群がって囀ずり、付近の人々は払暁から眼を覚まされたとい
う。その銀杏の樹が五本立ち並んでると私が言ったところ、三本し
か見えないと太宰に指摘された。見ると、なるほど三本のようであ
る。豊島さんの話、まったく出たらめで、五本だと言うが、なあに
三本しかない、と太宰は大笑いするのだ。酔うとそれが彼の口癖に
なった。雌雄の分らない鶏も、酔後の彼の口癖だ。――そんなこと
で、その日も大笑いした。胸に憂悶があればこそ、こんな他愛もな
いことに笑い興じるのだ。
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■ くだものいちば
今回は、沖縄県中央卸売市場に入荷している果物について紹介し
ます。入荷量が多いのはミカン、リンゴ、カキ、バナナなどです。
ウンシュウミカンは熊本、和歌山産などです。
バレンシアオレンジ、グレープフルーツは南アフリカ産です。レモ
ンも輸入されています。
リンゴ(ジョナゴールド、ふじ、など)は岩手、青森産です。
ニホンナシ(豊水、など)は鳥取産などです。
セイヨウナシは長野産です。
カキ(平核無)は和歌山産です。
ブドウ(巨峰、など)は長野産です。
メロン(アールス、など)は熊本、アメリカ産です。
バナナはフィリピン産です。パイナップルはフィリピン、沖縄産で
す。
キウイフルーツなども入荷しています。
「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。
https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do
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■ 編集部より
フランス料理の伝統を守りつつ、果物と野菜の摂取を勧める健康
栄養政策は、「毎日くだもの200グラム」運動にも大変参考にな
ると思いました。(tnk)
10月26日は”柿の日”。日付は正岡子規が明治28年の10月
26日からの奈良旅行で、「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」を詠ん
だとされることにちなむ・・とのこと。ちょうど私も、先週に法事で
帰省したついでに”天空の聖地”高野山にお参りをしてきました。
道端の直売所などは、柿、かき、カキの看板でまさに柿色一色。
柿(生)はもちろん、柿の葉ずしも食べて、元気いっぱい!!・・・
・・のはずですが、風邪でダウンしてしました。
かきにはビタミンCやβ‐クリプトキサンチンも豊富なのですが、
どうも車の運転での長旅の疲れが出たようです。読者の皆様も季節
の変り目には注意してくださいね。(KM)
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