毎日くだもの200グラムメールマガジン
□■□ くだもの&健康ニュース Vol.113
■□■ 2016年7月8日(金)配信
みなさん、こんにちは!
【健康効果】甘くておいしい果物と、食品に添加する砂糖の違いを
明らかにした文献を紹介します。
─────────────────────────────
毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは下記です。
http://www.kudamono200.or.jp
──────────────────────────────
<<< 本日のメニュ− >>>
・ 季節の便り
・ くだものレシピ:モモ
・ 文献紹介:健康な高齢者は食事由来の食物繊維の摂取量が多い
・ くだもの広場:博士が応える果物の不思議(ヤマモモ編)
・ 文学の中の果物:家のめぐり(若山牧水)
・ くだものいちば
・ くだもの豆知識:ネクタリンの伝搬
・ 編集部より
──────────────────────────────
■ 季節の便り
桃の實を論語讀む子に分ちけり
− 正岡子規
──────────────────────────────
■ くだものレシピ:モモ
○ 焼き桃とろとろ 桃のタルトケーキ
焼いている時の桃の香りがたまりません!暑い時期は冷やしてど
うぞ!!
材料(18cmのタルト型 1台分)
熟れた桃 1個、卵 1個、砂糖 70g、薄力粉 85g、マーガリン
(バター) 40g
作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/3338136
○ 焼き桃のアイスクリーム添え
焼くと桃の甘みが増えて美味しいです。
BBQのデザートにもどうぞ 。
材料
桃 一個、バニラシュガー スプーン1杯、アイスクリーム 適量
作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/1207249
──────────────────────────────
■ 文献紹介:健康な高齢者は食事由来の食物繊維の摂取量が多い
オーストラリア、ウエストミード医学研究所の研究チームは、食
事由来の食物繊維をしっかり摂っている人は、歳を重ねても健康で、
いきいきと生活できると、「老年医学雑誌シリーズA」に発表しま
した。同時に、健康的な人たちは炭酸飲料や加糖飲料の摂取量が極
めて少ないことも指摘しています。
具体的には、果物や穀類からしっかりと食物繊維を摂ると、加齢
に伴う疾病や身体障害のリスクが減ることが分かりました。
研究では、49歳以上の男女1,600人以上を対象に10年間、追跡調
査を行いました。炭水化物の摂取状況(総炭水化物摂取量、総食物
繊維摂取量、グリセミックインデックス(GI)、砂糖の摂取量な
ど)と、加齢に伴う健康との関係を調査しました。
本研究では、「歳を重ねても健康」とは、身体障害や抑うつ症状、
認知障害、呼吸器症状、がんや冠動脈疾患、脳卒中といった慢性疾
患がないことと定義しています。
研究の結果、加齢に伴う健康状態の大きな違いは、食事由来の食
物繊維の摂取量の差と関係が深いことがわかりました。
10年間の追跡調査で、ヒトが消化することのできない食物繊維の
摂取量は、調査した項目の中で最も強い影響があり、食事由来の食
物繊維の摂取量が最も多い人たちは、長く健康でいられる確率が、
そうでない人と比べて79%も高くなることが明らかとなりました。
さらに、果物の摂取量が多い人は、少ない人と比べて慢性疾患な
ど健康リスクが36%低いことが分かりました。また、穀類では47%
低いことが分かりました。
言い換えると、果物や穀類由来の食物繊維の摂取量が多い人は、
高血圧や糖尿病、認知症、うつ病などの病気や身体的障害に苦しむ
可能性が低いことを示しています。
また、健康と砂糖の摂取量との関係について、果物などに含まれ
ている砂糖含量も影響するのではないかと予想されましたが、実際
には、炭酸飲料や砂糖入りの飲料の摂取量が大きく影響しているこ
とが明らかとなり、こうした飲料の摂取量が少ないほど健康である
ことが分かりました。
今回の結果は、世界保健機関(WHO)が推進している果物と野菜
中心の食生活への改善や、食品に添加されている砂糖の摂取を控え
るとの方向性を支持しています。
【用語解説】
グリセミック・インデックス(GI)
血糖上昇反応度の指標です。糖質を50g含む食品を摂取した後の
血糖値の上昇を、基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血
糖値の上昇と比較し、パーセントで表した数字です。GIが高い食品
ほど血糖が急激に上昇し、インシュリンの分泌が必要となります。
果物のGIはとても低く40前後です。
【文献】
Gopinath, B. et al.: Association Between Carbohydrate Nutrition
and Successful Aging Over 10 Years. J. Gerontol. A. Biol.
Sci. Med. Sci., (2016) [doi: 10.1093/gerona/glw091]
──────────────────────────────
■ くだもの広場:博士が応える果物の不思議(ヤマモモ編)
今回から、果物についての興味深い話を「果物の不思議」と題して、
新たに登場する博士に応えていただくコーナーをスタートします。
不定期の連載になりますが、皆さんよろしくお願いします。
では早速、博士登場!!
博士:ミカさん、リン太君こんにちは。
ミカ:博士、幻のフルーツと呼ばれるヤマモモって知っていますか?
博士:いきなり質問とは、さすが果物好きの姉弟だね。ヤマモモは
食べたことあるよ。ヤマモモは、徳島県や高知県の特産の果物な
んだ。原産は日本とも中国とも言われており、樹の高さが10mに
もなる大木で、里山には自生樹が見られるよ。街路樹にも使われ
ているところがあり、そこではぎっしりと小さな果実がなって、
路上にばらばらと落ちているのが見られるよ。
リン太:それ、どんな実なの?桃みたいなの?
博士:街路樹になる実は小さいけど、栽培品種では、直径2cmほど
の真っ赤な、まん丸い果実になるんだ。中心に5mmほどの種があり、
その外側に柱状の果肉がぎっしりと突き出して、球状となった果
実なんだよ。
ミカ:そんな果実、見たことないわ。
博士:ヤマモモは日持ちがしないので、一般の市場に出回ることは
ほとんど無いからね。だから、産地へ行かないと食べられないんだ。
高知では、朝市に出ていて、250gのパックで1,000〜1,500円くら
いで売られていたよ。
リン太:わぁー、サクランボより高いや。
博士:ヤマモモって、面白いんだよ。雄樹と雌樹があり、雄花は雄
樹に、雌花は雌樹にしか着かないんだ。だから、果実は雌樹にし
か着かない。
ミカ:キウイフルーツと同じだわ。
博士:よく知っているね。ヤマモモは3〜4月ごろに赤い花を
咲かせるんだが、特に、雄花は真っ赤で、非常に目立つよ。そして、
雌樹には梅雨明けごろに真っ赤な実を着けるんだ。
不思議なことにね、近くに雄花(雄樹)は見られないのに、1本
の雌樹は1,000を超す実が着くんだよ。じつは、雄花はびっしりと
花粉が詰まっていて、その花粉が数kmも飛んで、遠くの雌花も受粉
させると言われているんだ。
ミカ、リン太:へぇー、こんなに広い空間で、うまく受粉されるものね。
本当に不思議だね。キウイフルーツは、雄樹と雌樹は近くにあるものね。
博士:徳島や高知では、生の果実だけでなく、ジャムやシロップ漬け
も売られているよ。ホワイトリカーに漬けたヤマモモ酒もきれいな
赤い色が出て、美味しいお酒だよ。
ミカ・リン太:私たち、まだお酒は飲めないので、シロップ漬けの
ジュースを飲んでみたいな。
──────────────────────────────
■ 文学の中の果物:家のめぐり(若山牧水)
先づ野蒜(のびる)を取つてたべた。これは此處に越して來た時
から見つけておいたもので、丁度季節なので三月の初め掘つて見た。
少し過ぎる位ゐ肥えてゐた。元來此處の地所は昨年の春までは桃畑
であつた。百姓たちが桃畑の草をとつて畑つゞきの松林の蔭に捨て、
毎年捨てられた草が腐つて所謂腐草土となり、その腐草土の下にこ
の野蒜は生えてゐたのである。しかも無數に生えてゐる。ざつと茹
(ゆ)でて、酢味噌でたべる。いかにも春の初めらしい匂ひと苦味
とをもつた、風味あるものである。
神武天皇だかの御歌の中に『野蒜つみに芹つみに……』といふ句
のあるのがあるが、わたしは郷里で幼い時よくこの野蒜つみ芹つみ
をやつた。野蒜は田圃の畦にあり、芹は水氣をもつた田中の土に生
えてゐた。どうしたものかこの野蒜つみはわたしのすぐ上の脚の不
自由な姉と關係して考へ出される。多分一二度も一緒に行つたこと
があつたのであらう。それでも水田のくろを這ふ樣にして摘んで歩
く彼女の姿を端なくも見出でた記憶が殘つてゐるのかも知れぬ。
つぎに嫁菜をよく摘んだ。これは寧ろ細君の方が先に見つけそし
て彼女の好みで摘んだものである。家の東は桃畑、北は桑畑となつ
てゐるが、二三人の百姓しか通らぬ桃畑の畔にも桑畑の畔にもいつ
ぱいに生えて居る。はうれん草にも飽く頃で、一二度はおいしいも
のである。
──────────────────────────────
■ くだものいちば
今回は、宇都宮市中央卸売市場に入荷している果物について紹介
します。入荷量が多いのは、モモ、スモモ、メロン、スイカ、バナ
ナ、などです。
ウンシュウミカンは大分、長崎、愛知産などです。
リンゴ(ふじ)は青森産です。
モモ(日川白鳳、など)は山梨産などです。
スモモ(ソルダム)は山梨産です。
サクランボ(佐藤錦)は山形産です。
ブドウ(デラウェア、巨峰、など)は大阪、栃木産などです。
メロン(アールス、アンデス)は高知、茨城、山形産です。
スイカは千葉、茨城産です。
バナナ、パイナップルはフィリピン産です。
「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。
https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do
──────────────────────────────
■ くだもの豆知識:ネクタリンの伝搬
ネクタリンは、世界の主要な果物の一つで、アメリカとイタリア
が大生産国です。ネクタリンは、果皮に毛がないためにモモよりも
スモモに似ているようにみえますが、モモです。150以上の品種が
知られています。ネクタリンの名前は、ギリシャやローマなどの神
話に登場する「神の飲み物」に由来しています。
ネクタリンは、おそらく2000年以上前に中国で生まれ、古代ペル
シャ、ギリシャ、ローマに伝搬したと考えられています。しかし、
不思議なことに、ネクタリンの記述はほとんど残されていません。
記録が現れるのは1673年で、ロンドンでは薬剤師同業組合が薬用と
して栽培しており、1720年にはアメリカ、ヴァージニア州での栽培
品種の記述が見いだされています。
ネクタリンは生食、ジュース、軽く茹でる、焼く、肉と一緒に
バーベキューにするなどの食べ方が知られています。果肉は多くの
場合オレンジ色から黄色で、白色のものはまれです。
──────────────────────────────
■ 編集部より
このたび、本メルマガの前編集者原田都夫氏と間苧谷徹氏と一緒
に、「全ての人が最高の健康水準に到達すること」を目的としたWH
Oの常識を日本へ、科学的データでわかる「果物の新常識」(誠文
堂新光社)を出版することになりました。御笑覧いただければ幸い
です。(tnk)
いよいよ夏の果実の本格的な出回りが始まり、果物売場には、サク
ランボ、スイカ、桃、プラム、ブドウなど色とりどり。
今回から、「くだもの広場」のコーナーの新企画がスタートします。
皆さんご期待ください。(KM)