毎日くだもの200グラムメールマガジン
□■□ くだもの&健康ニュース Vol.32 ■□■ 2012年10月5日(金)配信
みなさん、こんにちは! 今週は、今が旬のカキの特集です。 皆様からのお便りをお待ちしています。 ───────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。
http://www.kudamono200.or.jp ──────────────────────────────
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本日のメニュ−
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・ 季節の便り ・ くだものレシピ:カキ ・ くだもの広場:日本の果物の消費は世界では少ないほうですが、 野菜の消費は多いですか。 ・ 文献紹介:果物や野菜が豊富な抗酸化力が高い食事は心筋梗塞を予防 ・ 文学の中の果物:ア、秋(太宰治) ・ くだものいちば ・ くだもの豆知識:カキの歴史 ・ 読者から:にんじんはビタミンCを壊すの? ・ 編集部より
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■ 季節の便り
臍寒し柿喰ふ宿の旅枕
− 正岡子規
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■ くだものレシピ:カキ
○ 秋刀魚&柿
熟しすぎてしまった柿を使ってさんまの臭み消しに。 生臭さが消えますよ 圧力鍋をつかえば骨ごと頂けます
材料 柿 熟しすぎたもの 2個、秋刀魚 3〜4匹、醤油 大さじ2杯、 酒
大さじ3杯、など。
作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/683372
○ 簡単!柿入りちらし寿し
メッチャ簡単 鍋一つで、味付け、市販のすし酢で本格酢飯に 旬の柿を散らし、彩りもきれい
材料(5〜6人分) 柿(平核無柿)
1個、米 3合、酢(市販のすし酢) 適量、きゅう り 1本、にんじん 50g、しらす 30g、かまぼこ 30g、干し椎茸
5枚、など
作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/1965241
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■ くだもの広場:日本の果物の消費は世界では少ないほうですが、 野菜の消費は多いですか。
勉強熱心で果物には目がないミカさんが何か聞きたそうに博士の ところにやって来ました。
ミカ:こんにちは。この前、日本の果物の消費は、世界では少ないこ とを教えてもらったんですが、野菜の消費はどうなっています か。 博士:こんにちは。1人1日当たり果物消費量を、FAO(国連食糧農業 機関)統計でみると、我が国は144g、世界176カ国中127位で、 世界平均の200gに比べて7割程度と少ないんだ。一方、野菜は 278gで世界では53位で、順位は果物より上だけど、世界平均の 361gも、欧州平均の335gも下回っているんだよ。アジア平均は もっと多くて441gだから、その3分の2も食べていないんだ。
ミカ:野菜も少ないとはビックリですね。 博士:日本より野菜の少ない国には、欧州のフランス、ドイツ、イギリス、 などがあるよ。 ミカ:ホントですか。 博士:でも、フランス、ドイツ、イギリスは果物をたくさん食べるから、 野菜と果物の合計では、どの国も日本より多いんだよ。 日本は、世界平均の561gを大きく下回る422gで、順位もずっと 下位の93位なんだ。日本より少ない国はベトナムやインド、 インドネシアなどだよ。
ミカ:中国や韓国はどうですか。 博士:両国とも野菜の消費はトップクラスで、中国は881gで1位、 韓国は599gで10位なんだ。果物と野菜の合計でも、4位と20位 だね。 ミカ:日本では、これから、果物も野菜ももっと食べるようにしない といけないですね。 博士:そのとおりだね。国も、来年度からスタートする国民健康増進 運動「健康日本21」の2次版で、「野菜と果物の摂取量の増 加」を大きな目標に掲げているんだよ。 ミカ:世界に置いていかれないように、みんなで頑張って果物も野菜 も食べなくちゃーね。
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■ 文献紹介:果物や野菜が豊富な抗酸化力が高い食事は心筋梗塞を予防
スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究グループは、抗酸化 能力が高い食事をしている人は、心筋梗塞のリスクが
低いと、 「アメリカ医学会誌」に発表しました。
研究では、 49-83 歳の
3万2561人のスウェーデン人女性を対象 に、1997年から
2007年まで追跡調査を行いました。
食物摂取頻度調査を行うとともに、摂取した食品の抗酸化力を合 算して食事の抗酸化力としました。その結果、食事の抗酸化力に最 も寄与したのは、果物と野菜でした。次に、抗酸化力の高さに応じ て被験者を5グループに分けました。
抗酸化力の最も高い食事をしているグループは、1日あたり7 サービング(約500g)の果物と野菜を摂取していましたが、最も低 いグループの果物と野菜の摂取量は、1日当たり2.4サービング(2 00g未満)で、摂取量に約3倍の開きがありました。
抗酸化力の最も高いグループは、最も低いグループと比べ、心筋 梗塞のリスクが
20
%低下していました。
また、抗酸化力の高いグループは、低いグループと比較して脂肪 の摂取量も少ないことが分かったので、脂肪の摂取量の影響を排除 して心筋梗塞のリスクを求めたところ、抗酸化力が最も高いグルー プは、心筋梗塞のリスクが
29
%低いことが分かりました。
一方、食品中の単一の抗酸化成分や抗酸化成分のサプリメントに は、リスク低減効果は認められませんでした。そのため、リスク低 減効果は、様々な抗酸化成分の相乗効果の結果であると研究者らは 考えています。
この研究は、食事中の全ての抗酸化力を測定して心筋梗塞のリスク との関係を調査した最初の研究です。
【文献】 Rautiainen,
S. et al.; Total antioxidant capacity from diet and risk of myocardial
infarction: a prospective cohort of women. Am. J. Med., 125: 974-980.
(2012) [doi:
10.1016/j.amjmed.2012.03.008.]
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■ 文学の中の果物:ア、秋(太宰治)
秋ハ夏ト同時ニヤッテ来ル。と書いてある。
夏の中に、秋がこっそり隠れて、もはや来ているのであるが、人 は、炎熱にだまされて、それを見破ることが出来ぬ。耳を澄まして 注意をしていると、夏になると同時に、虫が鳴いているのだし、庭 に気をくばって見ていると、桔梗(ききょう)の花も、夏になると すぐ咲いているのを発見するし、蜻蛉だって、もともと夏の虫なん だし、柿も夏のうちにちゃんと実を結んでいるのだ。
秋は、ずるい悪魔だ。夏のうちに全部、身支度をととのえて、せ せら笑ってしゃがんでいる。僕くらいの炯眼(けいがん)の詩人に なると、それを見破ることができる。家の者が、夏をよろこび海へ 行こうか、山へ行こうかなど、はしゃいで言っているのを見ると、 ふびんに思う。もう秋が夏と一緒に忍び込んで来ているのに。秋は、 根強い曲者(くせもの)である。
怪談ヨロシ。アンマ。モシ、モシ。 マネク、ススキ。アノ裏ニハキット墓地ガアリマス。 路問エバ、オンナ唖ナリ、枯野原。
よく意味のわからぬことが、いろいろ書いてある。何かのメモの つもりであろうが、僕自身にも書いた動機が、よくわからぬ。
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■ くだものいちば
今回は名古屋市中央卸売市場本場に入荷している果物について紹 介します。取扱量の多い果物は、ミカン、ナシ、カキ、リンゴ、バ ナナなどです。
ウンシュウミカンは三重、熊本、大分産などです。 レモンはアメリカ産です。グレープフルーツは南アフリカ産です。
リンゴ(つがる、など)は青森産などです。 ニホンナシ(新高、など)は愛知、佐賀産などです。
カキ(次郎、など)は愛知産などです。 ブドウ(巨峰、など)は長野産などです。
メロン(アールス、など)は茨城産などです。 キウイフルーツはニュージーランド産です。
バナナ、パイナップルはフィリピン産です。
「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。
https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do
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くだもの豆知識:カキの歴史
カキの原生地は中国です。中国では紀元前2世紀の前漢の時代に は栽培が行われていたと考えられています。
我が国には、奈良時代(710年〜784年)に、中国から渋ガキが渡 来したと考えられています。
当時の中国は唐(618年〜907年)の時代で、我が国からは遣唐使 が派遣されていました。遣唐使の派遣の目的の一つは、盛唐文化を 受容して日本に持ち帰ることでした。そのため、遣唐使は帰路に大 量の文物を日本に持ち帰りました。
奈良市にある東大寺の正倉院には、聖武天皇の遺愛品や東大寺の 文書・寺宝などのほか、遣唐使がもたらしたペルシアおよびアジア 各地の遺品も含まれています。
この正倉院に保管されていた文書「続々修」(天平宝字2年、75 8年)に干柿が記載されています。そのため、この時代には、すで に渋ガキを干し柿に加工する技術が確立していたと考えられます。
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■ 読者から:にんじんはビタミンCを壊すの?
いつも楽しく拝見しています。 今日は、ビタミンCについてお尋ねします。毎朝、りんごなど果 物と野菜をジューサーでジュースにして飲んでいます。ところが先 日、にんじんはビタミンCを壊すと言われました。本当でしょうか。 よろしくお願いします。(メルマガネーム:群馬の風邪知らず)
【編集部より】
メールありがとうございました。朝にいただく果物&野菜ジュー スは目覚めをすっきりさせてくれますね。その上、栄養価も高いの でお勧めです。
にんじんに含まれている酵素が、果物に含まれているビタミンC を壊すという説が一般に流通していますが、誤りです。
にんじんの酵素とは、アスコルビン酸酸化酵素のことで、還元型 のビタミンCを酸化型に変換します。このことをさして、にんじん の酵素がビタミンCを壊すと言われます。
しかし、ヒトでは、酸化型ビタミンCを摂取しても、体内ではす ぐに還元型に変換されることが実験で明かとなりました。そのため、 酸化型ビタミンCも、ヒトの体内では還元型ビタミンCとして同等 の効力があると判断されました。
文部科学省が作成している日本食品標準成分表2010年版では、こ うした科学的成果に基づいて、食品中のビタミンC含量を測定し、 成分値を公表しています。
「群馬の風邪知らず」さん、安心してにんじんを使ってください。(tnk)
皆様からのメールをお待ちしています。投稿アドレスは下記です。
mainitikudamono@gmail.com
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編集部より
「禁断の果実」がリンゴとは書かれていないとの逸話はよく知ら れていますが、その逸話を知って、聖書を確認する人は意外と少な いのです。「くだもの&健康ニュース」では、その一手間を惜しま ないようにしています。正倉院文書「続々修」も確認しました。(tnk)
福島の梨とぶどうを美味しくいただきました。今年は価格が大分 回復してきたとのこと、嬉しい限りです。(HK)
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