毎日くだもの200グラムメールマガジン
□■□ くだもの&健康ニュース Vol.39 ■□■ 2013年3月1日(金)配信
みなさん、こんにちは! 今週は、桃の花の特集です。 ───────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。
http://www.kudamono200.or.jp ──────────────────────────────
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本日のメニュ−
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・ 季節の便り ・ くだものレシピ:モモとひな祭り ・ くだもの広場:日本人が果物をあまり食べない理由はなんですか。 ・ 文献紹介:摂取推奨量の範囲内であれば糖類は肝臓の脂肪を増 さない ・ 文献紹介:果物と
野菜が腎臓を守る ・ 花実好きの家庭果樹だより:キンカン ・ 文学の中の果物:桃太郎(芥川龍之介) ・ くだものいちば ・ 編集部より
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■ 季節の便り
桃さくや三寸程の上り鮎 − 正岡 子規
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■ くだものレシピ:モモとひな祭り
○ ひな祭りケーキ
材料(直径18cm丸型) 黄桃の缶詰
1缶、黄桃缶詰のシロップ 50g、桃のリキュール 大 さじ1杯、イチゴや飾り菓子など 少々、生クリーム 300g、バニラ ビーンズ
5cm、など
作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/2122746
○ ひなまつり 桃とクリームチーズの三角パイ
材料(2個分) 黄桃(缶詰)
26g、クリームチーズ 14g、デニッシュバター 1個、 粉糖 適量
作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/1721373
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■ くだもの広場:日本人が果物をあまり食べない理由はなんです か。 果物大好きのりん太君が、なにか聞きたそうに、博士のところに やって来ました。
りん:こんにちは。前回、日本人が果物をあまり食べていないと聞 いたのですが、理由はなんですか。 博士:こんにちは。中央果実協会が、昨年10月に実施した「果物の 消費に関するアンケート調査」結果を見ると、「果物の1日 摂取量が200gに達していない理由」は、調査対象者のうち200g 未満の摂取者の49%が、「他に食べる食品があるから」、48 %が、「一度にそんなに量を食べられないから」、40%が、 「値段が高く食費に余裕がないから」、24%が、「食べるま でに皮をむくなど手間がかかるから」、18%が、「太るとい けないから」と答えていたね。 りん:若い世代はどうですか。 博士:若い世代は、「値段が高いから」と「皮をむくなど手間がか かる」という回答が、年齢が高い世代と比べて高くなってい る特徴があるね。 りん:若い人は、値段や手間を問題にしているんですね。 博士:そうだね。また、同じ調査で、調査対象者全体では、「果物 を食べる理由」として、7割が、「おいしくて好きだから」、 6割が、「健康に良いから」と答えているが、「果物を意識的 に摂っていないし、摂れていない」と答えた割合も43%もあり、 果物を必需品と考えず、嗜好品とみている層が半分近くいるん だね。 りん:どうしたら、果物の摂取を増やすことができますか。 博士:「果物を食べるようになったきっかけ」という質問の回答で、 「家族が習慣的に食べていた」、「健康に良いと聞いたから」 が多かったことをみると、果物を嗜好品のお菓子と比べるも のから、野菜と同じように、健康的な食生活を送る上での必 需品であることを浸透させることが大きな決め手のようだね。
りん:家庭や学校での小さい頃からの食習慣が大切なんですね。 博士:そのとおりだね。
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■ 文献紹介:摂取推奨量の範囲内であれば糖類は肝臓の脂肪を増
さない
アメリカ、セントラル・フロリダ大学などの研究チームは、「高果糖 コーンシロップ(ブドウ糖果糖液糖、HFCS)やショ糖(砂糖)を摂取 推奨量の範囲内であれば、摂取しても非アルコール性脂肪肝疾患の 原因となる肝臓脂肪の増加は見られない」と「応用生理学・栄養学 ・代謝作用」雑誌のオンライン版(2013年2月)に発表しました。
臨床実験では64人の被験者に、体重を維持するのに必要なカロ リーの8%、18%、30%を、高果糖コーンシロップ(果糖含有量55%) またはショ糖を低脂肪牛乳などに加えて10週間摂取してもらいまし た。
その結果、高果糖コーンシロップ摂取群及びショ糖摂取群の平均 的な肝臓脂肪量は、実験前と変わりませんでした。また、骨格筋の 脂肪含有量も10週間にわたり有意な変化は認められませんでした。
従来の2型糖尿病や肝疾患などの疾病と糖類との関連性を調べた 研究では、非現実的に高いレベルの果糖を被験者に与えたり、ブド ウ糖とは独立して果糖を被験者に摂取させていましたが、通常の食 事で果糖などを消費する条件では、果糖など糖類が肝脂肪を増やさ ず、インスリン抵抗性に影響することもありませんでした。
【文献】 Bravo,
S. et al.: Consumption of sucrose and high fructose corn syrup does not
increase liver fat or ectopic fat deposition in muscles. Appl. Physiol.
Nutr. Metab., Online 12 Feb. (2013) [doi:
10.1139/apnm-2012-0322]
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■ 文献紹介:果物と
野菜が腎臓を守る アメリカ、テキサスA&M医科大学などの研究チームは、「慢性腎 症の患者にとっても果物や野菜の摂取が必要である」と「アメリカ 腎臓学会臨床雑誌」のオンライン版(2013年2月)に発表しました。
腎臓は尿中に酸を排出する働きをしていますが、腎疾患により機 能が低下すると、この働きが低下し、結果として血液中に酸が蓄積 し、アシドーシス(酸血症)となります。
ところが、果物や野菜を積極的に摂取する食生活に改善すると、 慢性腎症(CKD)患者でも代謝性アシドーシスが抑えられ、腎臓を 保護する効果が期待できることが分かりました。この効果は、治療 薬にも匹敵するとしています。
臨床実験は、慢性腎症(ステージ4)の患者71人を対象に行われ ました。被験者を、果物と野菜を積極的に摂取する食事療養群と重 炭酸ナトリウムを治療薬として内服する内服群の二群に分けました。 内服量は食事性酸の産出を半分に減らす量としました。
実験開始から1年後、両群とも腎症のステージに変化はありませ んでした。また、代謝性アシドーシスの抑制効果を示す血漿マー カーも両群ともに高く改善されていましたが、改善率は内服群の方 が高い結果でした。尿検査による腎機能評価は両群とも同じくらい 低下していました。
果物や野菜にはカリウムが多く含まれているため、血液中の濃度 が高まることが予想されたので、血中のカリウム濃度が調べられま したが、両群ともに基準値の範囲内でした。
以上の結果から、研究者らは、慢性腎症の患者でも果物と野菜を 摂取する食生活に改善することが必要であると結論づけています。 本研究の成果は、臨床実験を基としているので信頼性が高いことか ら、今後の追跡調査が待たれます。
ただし、我が国では現在、腎疾患の患者に対してはカリウムの摂 取制限が行われており、生野菜や果物の摂取を控えるように指導さ れています。
【文献】 Goraya,
N. et al.: A Comparison of Treating Metabolic Acidosis in CKD Stage 4
Hypertensive Kidney Disease with Fruits and Vegetables or Sodium
Bicarbonate. Clinic. J. Amer. Soc. Nephrol., Online Feb. (2013), [doi:
10.2215/?CJN.02430312]
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■ 花実好きの家庭果樹だより:キンカン
キンカンが、ウッドデッキの隅で、寒さに耐えて黄色い実を付け ています。。 キンカンの黄色い実の写真は下記のサイトにあります。
http://www.kudamononet.com/kudamono200/back_number/K&K039phto1.html
食べずに眺めて楽しんでいます。(花実好き)
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■ 文学の中の果物:桃太郎(芥川龍之介)
むかし、むかし、大むかし、ある深い山の奥に大きい桃の木が一 本あった。大きいとだけではいい足りないかも知れない。この桃の 枝は雲の上にひろがり、この桃の根は大地の底の黄泉(よみ)の国 にさえ及んでいた。何でも天地開闢(かいびゃく)の頃おい、伊弉 諾(いざなぎ)の尊(みこと)は黄最津平阪(よもつひらさか)に 八つの雷(いかずち)を却(しりぞ)けるため、桃の実を礫(つぶ て)に打ったという、――その神代の桃の実はこの木の枝になって いたのである。
この木は世界の夜明以来、一万年に一度花を開き、一万年に一度 実をつけていた。花は真紅の衣蓋(きぬがさ)に黄金の流蘇(ふ さ)を垂らしたようである。実は――実もまた大きいのはいうを待 たない。が、それよりも不思議なのはその実は核(さね)のあると ころに美しい赤児(あかご)を一人ずつ、おのずから孕(はら)ん でいたことである。
むかし、むかし、大むかし、この木は山谷(やまたに)を掩(お お)った枝に、累々(るいるい)と実を綴(つづ)ったまま、静か に日の光りに浴していた。一万年に一度結んだ実は一千年の間は地 へ落ちない。しかしある寂しい朝、運命は一羽の八咫鴉(やたがら す)になり、さっとその枝へおろして来た。と思うともう赤みのさ した、小さい実を一つ啄(ついば)み落した。実は雲霧(くもきり) の立ち昇る中に遥(はる)か下の谷川へ落ちた。谷川は勿論(もち ろん)峯々の間に白い水煙(みずけぶり)をなびかせながら、人間 のいる国へ流れていたのである。
この赤児(あかご)を孕(はら)んだ実は深い山の奥を離れた後 (のち)、どういう人の手に拾われたか?――それはいまさら話す までもあるまい。谷川の末にはお婆(ばあ)さんが一人、日本中 (にほんじゅう)の子供の知っている通り、柴刈(しばか)りに行 ったお爺さんの着物か何かを洗っていたのである。……
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■ くだものいちば
今回は、名古屋市中央卸売市場本場に入荷している果物について 紹介します。入荷量の多い果物は、ミカン、イヨカン、リンゴ、イ チゴ、メロンなどです。
ウンシュウミカン(普通温州)は静岡、愛知、三重産などです。 イヨカン(宮内いよかん)は愛媛産、ハッサクは和歌山産、ポンカ ンは愛媛産、ネーブルオレンジ、レモン、グレ−プフル−ツはアメ リカ産です。不知火(デコポン)は和歌山産です。
リンゴ(ふじ、王林など)は青森産です。
イチゴ(紅ほっぺ、ほのか、など)は愛知、熊本産などです。 メロン(アールス、など)は静岡、高知産などです。
バナナ、パイナップルはフィリピン産です。 キウイフル−ツ(ヘイワ−ド)は和歌山産です。
「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。
https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do
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編集部より
アメリカ腎臓学会臨床雑誌」のオンライン最新版に掲載された論 文「果物と野菜が腎臓を守る」は、慢性腎症には果物と野菜の摂取 制限が必要とする従来の考え方を180度転換するものです。長期に わたる臨床試験の結果であること、専門の学会誌に掲載されたこと から、科学論文としての信頼性は高いと考えています。ただ、読者 の皆様に推奨するにはさらなる追跡調査や別のグループによる証拠 が必要です。 腎臓病学会の科学的声明ないしガイドラインの改正を待って皆様 に推奨したいと考えております。本メルマガでは、研究レベルと推 奨レベルは異なるとしており、推奨レベルは科学的論理性や証拠が 十分あることが必要です。今回紹介した研究の深化を期待していま す。(tnk)
寒さが本格化している中、冬の味覚のみかんとりんご、それにい ろいろな晩かんを美味しく味わっています。(HK)
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