毎日くだもの200グラムメールマガジン
□■□ くだもの&健康ニュース Vol.70 ■□■ 2014年8月22日(金)配信
みなさん、こんにちは! 今週はブドウのあれこれです。地産地消の経済学も紹介しています。 ───────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。
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本日のメニュ−
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・ 季節の便り ・ くだものレシピ:ブドウ ・ くだもの広場:グレープフルーツやオレンジなどの輸入かんきつ
は増えていますか。 ・ 文献紹介:地産地消で地域経済が活性化 ・ 花実好きの家庭果樹だより:ぶどう ・ 文学の中の果物:喫茶店にて(萩原朔太郎) ・ くだものいちば ・ くだもの豆知識:ワインの始まり ・ 編集部より
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■ 季節の便り
葡萄の美酒夜光の杯や唐の月
− 正岡子規
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■ くだものレシピ:ブドウ
○ ぶどうとチキンのブランチサンド
ブドウをフルーツとしてではなく、ご飯として頂きます!ブドウ の甘みとスパイシーなチキンの相性ばっちりです!
材料
(2人分) ブドウ 適量、鳥もも肉 150g、ナッツ類
40g、塩、あらびきコショウ など。
作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/1868892
○ 生ハムとぶどうのサラダ
切り落としの生ハムでも充分OK
材料
(二人分) 種なしブドウ 好きなだけ、生ハム 1パック、ベビーリーフ 1パック、 ドレッシング
適量
作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
http://cookpad.com/recipe/2323611
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■ くだもの広場:グレープフルーツやオレンジなどの輸入かんきつ
は増えていますか。
果物大好きのミカさんが、なにか聞きたそうに、博士のところに やって来ました。
ミカ:こんにちは。みかんやその他の国産かんきつの生産が減って いますが、減った分、グレープフルーツやオレンジなどの輸入
かんきつは増えていますか。 博士:こんにちは。統計をみると、平成14年から24年までの10年間 で、国産かんきつでは、うんしゅうみかんの生産量は113万トン から25%減の85万トンに、その他のかんきつは37万トンから33% 減の25万トンに、それぞれ大きく減少しているね。でも、輸入 かんきつのトップのグレープフルーツも29万トンから47%減の 15万トンに、レモンも8.8万トンから39%減の5.4万トンに大きく減少
しているんだよ。オレンジは10.4万トンから25%増の13万トンに
増加したけど、25年は11万トンに減少しているね。
ミカ:国産かんきつの減少分を輸入かんきつが補っているわけでは ないのですね。 博士:そうだね。オレンジは10年間でほとんど変わらないけど、グレープ フルーツは10年間で半減しているし、レモンの減少率も大き いね。 ミカ:グレープフルーツやレモンはどうしてそんなに減少したので すか。 博士:もともと、日本人の好きな果物ランキングでは、グレープフルーツ は下位なんだ。そんな中で、国産果実では、酸味を抑えた糖度
の高い新品種が増加しているし、糖度を上げる栽培方法の果実 が増えていることも背景にあって、酸味の強いグレープフルーツ
などが嫌われたのかも知れないね。それに、日本の最大の輸入 相手国であるアメリカのグレープフルーツの生産量がグリーニング
病の拡大などが影響して、この10年で半減したことも大きな要因
と言われているね。
ミカ:減少している「その他の国産かんきつ」の中で、近年増えている 品種はありますか。 博士:大所では、デコポンとも言う「不知火」、「河内晩柑」「はるみ」 「せとか」「肥の豊」。少ないけど「はるか」「はれひめ」「紅まどんな」 「南津海」「甘平」など酸味を抑えた甘さが特徴の品種が増え ているね。
ミカ:輸入果実で増えている品目は何ですか。 博士:横ばいで年変動の大きいバナナ以外では、パインアップルが 47%増の5.1万トン増加して17万トンに、キウイフルーツは18%増 の1万トン増加して5.9万トンに、生鮮ぶどうは81%増の1万トン増加 して2.1万トンに、ミネオラなどのマンダリンは106%増の1万トン増加 して2.0万トンに増えているのが目立つくらいだね。これらを合計 しても8万トン程度だから、かんきつの減少分に置き換わったわけ でもないんだね。
ミカ:消費者の嗜好が酸味を嫌うとともに、少量多品目に分散したん ですね。 博士:そうかも知れないね。果物以外にも美味しい食べ物がたくさん あって、「果物はそれらの嗜好品の1つ」ということかな。
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■ 文献紹介:地産地消で地域経済が活性化
アメリカ、ペンシルベニア州立大学農業学部の研究チームは、自分 で栽培した作物を地域で販売している農家は、規模は小さく流通量 も少ないが、地域社会の経済成長を促していると「季刊経済発展」 の最新号に発表しました。
「地域社会重点型農業」を消費者に直接作物を販売したり、アグリ ツーリズム活動やその両方から農業所得を得ている農場経営形態と 定義しました。国勢調査から6.2%の農家が直接販売をしており、 アグリツーリズム活動を行っている農場は更に少ないことが分かり ました。
2002年〜2007年の郡レベルの国勢調査データを地域別に解析した 結果、2002年に比べて、1.直接販売の売り上げが1ドル増加するごと に農業の総売上高が5ドル上昇する地域(ニューイングランド)、 2.直接販売の売上高が1ドル増加すると農業の総売上高が9ドル増加 した地域(デラウェア、メリーランド、ニュージャージー、ニューヨーク、 ペンシルベニアなど)、3.直接販売の売り上げが増加したが農業の 総売上高の減少した地域(アメリカ南東地域)などに分かれました。
次に、一人当たりの農業売上高の変化が、地域の一人当たりの実 質個人所得の変化に影響するかを分析しました。その結果、5年間 で農業売上高が1ドル増加すると、地域の個人所得が22セント上昇 することが明らかとなりました。農業に従事する労働人口が2%未満 という比較的規模が小さいことを考えると、直接販売が地域の個人 所得に及ぼす影響は非常に大きいと考えられました。
「研究を始めたころは、正直に言うと地元での直接販売が地域の 経済成長に影響するとは思っていなかった。これまで経済の専門家 は、外部からの新規資金の注入こそが経済成長に必須と考えてきた。 しかし、アメリカ東北部における直接販売が地域の経済成長を促す ことが分かった。このことは、経済成長に地産地消が関与する証拠 (エビデンス)である」と述べています。
【用語解説】 アグリツーリズム アグリツーリズムとは、農村や農場への旅行、滞在型の余暇活動 のこと。広義には、都市と農村の交流。日本では一般にグリーン ツーリズムと呼ばれている。
【文献】 Brown,
J.P. et al.: Linkages Between Community-Focused Agriculture, Farm Sales, and
Regional Growth. Economic Development Quarterly, online Oct. 18,
(2013) [doi:
10.1177/0891242413506610]
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■ 花実好きの家庭果樹だより:ぶどう 緑のカーテンのぶどう(ナイアガラ)が熟してきました。 半透明の薄緑色に熟したぶどうの房は下記のサイトにあります。
http://www.kudamononet.com/kudamono200/back_number/K&K070phto1.html 完熟すると甘みが増します。(花実好き)
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■ 文学の中の果物:喫茶店にて(萩原朔太郎)
先日大阪の知人が訪ねて来たので、銀座の相当な喫茶店へ案内し た。学生のすくない大阪には、本格的の喫茶店がなく、珍らしい土 産話と思つたからである。果して知人は珍らしがり、次のやうな感 想を述べた。先程から観察して居ると、僅か一杯の紅茶を飲んで、 半時間もぼんやり坐つてる人が沢山居る。一体彼等は何を考へてゐ るのだらうと。一分間の閑も惜しく、タイムイズマネーで忙がしく 市中を馳け廻つてる大阪人が、かうした東京の喫茶店風景を見て、 いかにも閑人の寄り集りのやうに思ひ、むしろ不可思議に思ふのは 当然である。私もさう言はれて、初めて喫茶店の客が「何を考へて 居るのだらう」と考へて見た。おそらく彼等は、何も考へては居な いのだらう。と言つて疲労を休める為に、休息してゐるといふわけ でもない。つまり彼等は、綺麗な小娘や善い音楽を背景にして、都 会生活の気分や閑散を楽しんでるのだ。これが即ち文化の余裕とい ふものであり、昔の日本の江戸や、今の仏蘭西の巴里などで、この 種の閑人倶楽部が市中の至る所に設備されてるのは、文化が長い伝 統によつて、余裕性を多分にもつてる証左である。武林無想庵氏の 話によると、この余裕性をもたない都市は、世界で紐育と東京だけ ださうだが、それでもまだ喫茶店があるだけ、東京の方が大阪より ましかも知れない。ニイチエの説によると、絶えず働くと言ふこと は、賤しく俗悪の趣味であり、人に文化的情操のない証左であるが、 今の日本のやうな新開国では、絶えず働くことが強要され、到底閑 散の気分などは楽しめない。巴里の喫茶店で、街路にマロニエの葉 の散るのを眺めながら、一杯の葡萄酒で半日も暮してゐるなんてこ とは、話に聞くだけでも贅沢至極のことである。昔の江戸時代の日 本人は、理髪店で浮世話や将棋をしながら、殆んど丸一日を暮して 居た。文化の伝統が古くなるほど、人の心に余裕が生れ、生活がの んびりとして暮しよくなる。それが即ち「太平の世」といふもので ある。今の日本は、太平の世を去る事あまりに遠い。昔の江戸時代 には帰らないでも、せめて巴里かロンドン位の程度にまで、余裕の ある閑散の生活環境を作りたい。
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■ くだものいちば
今回は、京都市中央卸売市場に入荷している果物について紹介し ます。入荷量が多いのは、スイカ、モモ、ナシ、ブドウなどです。
スイカは山形、長野、滋賀、京都産です。 メロン(アールス、など)は静岡、茨城、高知、山形、北海道産で す。
モモ(清水白桃、川中島白桃、あかつき、など)は山梨、長野、岡 山産などです。 スモモ(太陽、など)は山梨産などです。
ニホンナシ(幸水、豊水、二十世紀)は徳島、鳥取、香川、愛知、 佐賀産などです。
ブドウ(デラウェア、マスカット・ベリーA、巨峰、マスカット・ オブ・アレキサンドリア、ピオーネ、など)は山梨、鳥取、長野、 岡山、兵庫、香川産です。
ユズは京都、徳島産、スダチは徳島産です。 バレンシアオレンジはアメリカ産、グレープフルーツは南アフリカ 産です。
バナナ、パイナップルはフィリピン産です。 キウイフルーツはニュージーランド産です。
「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。
https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do
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■ くだもの豆知識:ワインの始まり
人は、何千年にもわたって、ブドウ果汁の発酵を利用してきました。 ブドウ果実は、夏から秋にかけて肥大し、やがて皮が破れて果汁が 外に出てきます。そうすると果汁中の糖が果皮の表面に繁殖している 酵母と接触し、アルコール発酵が起きます。アルコールができる過程 で、香りや味に関連する多くの物質と混ざり合った液体ができあがり ます。人は、この液体が非常に魅力的であることを知りました。
栽培したブドウからつくられた最も古いワインの考古学上の証拠は、 イランの南西部からイラク、トルコそれぞれの国境線となるザグロス 山脈北部にある新石器時代の遺跡から出土した陶器の壷から発見され ました(7400〜7000年前)。
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■
編集部より
研究者も驚いた、地産地消と地域の経済成長との関係は、とても 興味深いものがあります。何事も調べてみないと分からないもので すね。思い込みに気をつけないといけないと思いました(tnk)
グレープフルーツの甘い品種を選んで食べていましたが、輸入量 が10年間で半減していたとは驚きです。半減の原因の当事者の1人
だったようです。(HK)
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